diario
La nostalgia in Italia 2011 -Arrivederci Italia- 3月26日
イタリアの郷愁 2011 -さようならイタリア-
しばらく間が空きましたが「イタリアの郷愁」も
帰国の日になりました。
イタリア最後の日 空港についてからは案の定慌ただしく
チェックインしたり荷物を預けたりバタバタと右往左往。
名残を惜しむ余裕も無く あっという間に搭乗になりました。
イタリアで最後に撮った美しい夜景写真はブレブレで
まるでなにやら分かりません。トホホ。
こうして飛行機に乗ること十数時間で 無事に故郷日本へ帰り着きました。
旅の写真を見返して 思い出しては綴ってみましたが
もう4年も昔のことになりました。
あの頃とは変わってしまったお店や場所もあるかもしれません。
でも街の空気や住んでいる人たちの息遣いのようなものは
2011年旅の最中も わたしが留学していた頃と変わらないと感じていたように
きっと2015年になった今も変わっていないのだろう・・・と
思って(願って)います。
次にイタリアへ行けるのはいつになるやら分かりませんが それまで
懐かしい人たち 懐かしい風景に再会できることを楽しみに
額縁制作に励もうと思います。
また折に触れてイタリアのことを思い出した際に登場するかもしれませんが
「イタリアの郷愁 2011」ようやく今日でおしまいにします。
長らくお付き合いいただき ありがとうございました。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 19 Ritmo della luce- 2月09日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外19 灯りのリズム-
入り組んだ路地の奥や回廊は日中でも薄暗いヴェネチア。
ところどころで見かける街燈のデザインは美しく
そして灯りの色もあたたかです。
ドゥカーレ宮殿回廊の灯りは吊り下げ式で
天井に反射する光の影も丸いアクセントになっています。
床のモザイクの繰り返しパターン 並ぶ柱と天井アーチの連なり
そして等間隔に下げられた灯りで ポンポンとリズムが刻まれます。
サン・マルコ広場をかこむ回廊にも吊り下げ式の灯り。
お店それぞれのランプも横から差し出されていて
小さく主張しているのも可愛らしい様子です。
夜はもっとキラキラときれいでしょう。
道標の矢印看板を見失って 路地で立ち往生しても
こんなランプの灯る居酒屋を見つけたら助かります。
親しみやすい親父さんが笑顔で迎えてくれそうです。
日本だったらきっとLEDのライトになっているような場所も
ヴェネチアはまだ白熱灯のオレンジ色の光でした。
どちらもそれぞれ良いけれど
旅人の思い出には 白熱灯の灯りが印象深いのです。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia ‐Paesaggio dal Taxi acqueo- 1月22日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -水上タクシーからの風景-
とうとうこの時が来ました。
ヴェネチアの“マルコ・ポーロ国際空港”から日本へ帰ります。
夕方発の便ですので ホテルからの出発はランチ後ゆっくりでした。
まずは水路でバスターミナルへ向かい リムジンバスで本土の空港へ。
最後の贅沢 そして名残を惜しむためにホテルの桟橋から
水上タクシーでバスターミナルのある Piazzale Roma へ行くことにしました。
予約時間になるとホテルの桟橋にはピカピカに磨かれたモーターボートが到着し
あっという間に重いスーツケース2つが積み込まれた思ったら
サッと手を出され船へ導いてくれます。
水上タクシー料金は60ユーロでした。
ヴェネチア到着時の苦労と恐怖を思えば雲泥の差。
ゴンドラも乗りませんでしたし 遊覧も兼ねて自分への贅沢を許しましょう。
「終わり良ければ全て良し」ということで。
ボート内はシートがありますが 最後まで風景を楽しむために立ち乗り。
磨かれた屋根には空の飛行機雲とかもめが写っていました。
前の青い船はトラック代わりの貨物船です。台車も積んでいます。
モザイク壁の美しいお屋敷と船バス。
すこし裏水路に入ると 廃墟になった屋敷もあります。
ヴェネチアの家は維持が大変で 本土に移る人も少なくないとか。
パトカーももちろんボート。パトボート。
そして下の写真 右からにょっきり出ているのは信号です。
これだけ交通量の多い水路ですから 信号は当然ですね。
また当然ながら 信号機は陸路と同じです。
さあ終点 Piazzale Roma が近づいてきました。
この橋をくぐればもうすぐです・・・!
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 18 Finestra Romantica- 1月12日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外18 ロマンチックな窓-
サン・マルコ広場の裏あたり 観光客がひっきりなしに通る運河沿いに
とても美しい窓辺があり すかさず写真を撮ってしまいました。
イタリアの他の古い都市同様にヴェネチアも
街中で植物を見かける機会はとても少ないので
こうして手入れの行き届いた美しい窓辺には惹きつけられます。
おそらくこの建物のワンフロア毎に一件のお宅になっているのでしょう。
3階のテラスは大小取り合わせた緑がたくさん!
(植木鉢が運河に転がり落ちたらどうしよう・・・余計な心配ですね)
その上の4階のテラスは真っ赤なゼラニウムで統一されていて美しさもそれぞれ。
わたしが住人だったらどんな風にしたいかな・・・と考えましたが
やはり3階のテラスのように沢山の種類をとりどりに
花の時期をずらしていつも何かの花が咲いているようにしたいと思います。
お手入れは大変でしょうけれど 道行く人が楽しんでくれたら
それも満足感のひとつとなって せっせとテラス作りに励むでしょう。
窓の左上へ伸びる蔦 手すり右の大きな鉢でCの字になって
濃い緑に淡い緑 テラコッタの茶色 赤やピンクまた濃紫の花がアクセント。
そして中央から まるで薄いカーテンのように垂れる蔦があって
何気なさそうに装っていますが かなり計算された形です!
この窓を開けて出てくるのはどんな人でしょうか。
白髪を美しく結ってタイトスカートにハイヒールを履いた奥様?
それともガウンを羽織った妙齢の女性?
まさか引退後のオジサマだったりして??
きっと毛の長い猫も飼われているのではないでしょうか。
なににせよロマンチックな人が住んでいるに違いない!と予想しています。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Corridoio del Doge- 12月22日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -総督の回廊-
サン・マルコ広場にあるヴェネチア総督の宮殿 ドゥカーレ宮殿。
夕方の入場締め切り近くの時間になって入ってみることにしました。
現在の入り口は”porta della carta”(布告門))ではなく 海側にあります。
見上げると午後の光が当たる海側の壁に ゴシック風装飾の影が出来ていました。
並ぶクローバーがかわいい。
入ってすぐの中庭ではぐるり周囲を白で囲まれます。
サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会同様に白く軽やかな装飾。
4階建ての壁が迫っていても 花輪やリボン模様
そして広い開口部で威圧感は少ない印象です。
そして尖頭アーチをみると
ああここはフィレンツェからは遠い場所 ヴェネチアなのだと感じます。
そして続く回廊。
さまざまな時代 その時の権力者たちが密談をしながら
あるいは議論を声高に繰りひろげながら歩いたであろう場所は
熱気はすでに遠く 観光客の姿もまばらになっていました。
ここがヨーロッパ世界を動かす中枢のひとつだった時代があったことは確かだけれど・・・。
気の早いイタリア人 職員はすでに帰りたくてソワソワしています。
半分追い出されるようにして宮殿を後にしたら
外はもうすっかり黄昏時で このイタリア旅行最後の夜が始まったのでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 17 Stesso posto- 12月11日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外17 同じ場所-
いつどこで手に入れたか記憶もおぼろな古い絵葉書に
サン・マルコ広場の一角の風景があります。
明るい色使いが美しく なによりイタリアの風景で嬉しくて
しばらく部屋に飾っていました。
今回の旅でも幾度となくサン・マルコ広場を通り
絵葉書の場所 “porta della carta”(布告門)で一枚写真をぱちり。
光の加減も角度も絵葉書と違うけれど
空の色は近かったかな と思っています。
サン・マルコ教会とドゥカーレ宮殿(右側のピンクと白の建物。
ヴェネツィア共和国の総督邸兼政庁でした。)の
間にあるこの布告門は かつてドゥカーレ宮殿の正面入り口だったとか。
マルコ・ポーロもティントレットも そしてティツィアーノも通ったのでしょうか。
威風堂々とした彼らが通った様子を想像します。
世が世ならわたしのような東方の一国民が通ることなどできなかった門。
それを考えると不思議でもあり感慨深くもあり・・・。
「第20回 小さい小さい絵展」は昨日10日をもって終わりました。
お忙しい時期にお出かけくださり またお買い上げを頂き
誠にありがとうございました。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Il labirinto nascosto del monastero- 12月01日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -修道院の隠された迷路-
白くて華麗なサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会には鐘楼があって
観光客もエレベーターで昇る事ができます。
サン・マルコ広場にある鐘楼にも昇れますが
サン・ジョルジョ・マッジョーレの鐘楼はなにせ空いていますから
地上の喧騒やさまざまな匂いなどからすこし距離を置いて
心静かに(観光なのに矛盾した気持ちではありますが)
景色をながめて思索にふけるにはとても適しています。
カソリックの教会と迷路というとシャルトルのノートル・ダム大聖堂のものが有名ですが
このサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会の迷路もシャルトル同様に
瞑想しながら歩き 巡礼を模すために作られているのかもしれません。
シャルトルは聖堂内にあるのに対し こちらは開放的な庭に作られているので
瞑想する気持ち 神様に対する心持ちなど 違いがあるのでしょうか。
それとも環境に左右されるのは修行が足りない証なのでしょうか。
いわゆる遊びの迷路-行き止まりがあったりするような-ではなくて
神様に近づくために歩く迷路は とても美しいものでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Organo della Basilica di San Giorgio Maggiore- 11月20日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂のオルガン-
ヴェネチアの中心サン・マルコ広場から運河を挟んだ目の前に
サン・ジョルジョ・マッジョーレ島があります。
船バスに乗って数分 すぐに到着します。
島の小さな船着き場からの眺めは まさにカナレットの絵そのものなのでした。
カナレットもきっときっと来たはず。
1610年に完成したという真っ白なファサードのサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会は
フィレンツェとは全く違う趣です。
フィレンツェでは「真っ白」の建造物を見かけることはほとんど無く
歴史的建物は灰色の荒削りの石 またはバラ色やペールグリーンの
大理石モザイクが印象的です。
ここでもまたイタリアの地方色の濃さを感じます。
フィレンツェの質実剛健とも ローマの絢爛豪華とも違う
ヴェネチア特有の明るく軽やかな美しさ。
パイプオルガンのパイプさえもヴェネチア風に見えてきます。
このオルガンが奏でる音もきっと明るい響きに感じるのでしょう。
未だに心のどこかに「パイプオルガン奏者になりたい」という
夢があるわたしです。
人生はあっという間・・・
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 16 Pianta coraggiosa?- 11月03日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外16 ど根性植物?-
迷路のように入り組んで細い路地がつづくヴェネチア。
中庭のあるようなお屋敷に住めば別としても
街中で植物を見かける機会はあまり多くありません。
それはイタリアの古い街はどこも同じですけれど。
きょろきょろと見回しながらカメラを向けて
観光客の見本のような格好で路地散策をしていると
不思議な風景も沢山見かけました。
建物がお互いを支えあう梁 その上に
ど根性植物発見です。
日本ではアスファルトの隙間で必死に育った大根などが
「ど根性大根」なんて話題になりましたけれど
ヴェネチアの路地上にもひっそりけなげな子が生きています。
仲間がいるので励ましあっているでしょうか。
それとも少ない水を取り合うライバル?
がんばって生きておくれ!とエールを送りました。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Un ricordo della cioccolata calda- 10月20日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ホットチョコレートの思い出-
リド島の散策と帰りの船で海風にさらされて
冷えた身体にエネルギー補充をしましょう。
サン・マルコ広場にある これまた有名なカフェ
Caffè Lavena カフェ・ラヴェーナです。
ヴェネチア最古のカフェであるフローリアンより
遅れること30年 1750創業のこのお店もまた美しい内装です。
ゆっくり座って・・・も良いですが 今回はカウンターでささっと。
「un caffè perfavore!」コーヒーをひとつください!
あっという間に笑顔でサーブされたエスプレッソコーヒー。
ご存知のように イタリアでコーヒーと言えばこのエスプレッソです。
上の写真はお砂糖を入れて混ぜただけ。まだ口を付けていません。
ジノリの美しい小さなデミタスカップの 半分にも満たない量ですが
熱々で良い香り 砂糖を入れて甘くしたコーヒーは
何とも言えない幸せな美味しさです。
これが大きなカップにナミナミと入っていたら・・・?
長いコーヒー文化で培われたこの「ひとくち」が絶妙なのでしょう。
そえられたチョコレートとの相性も抜群でした。
ずっと以前に両親とヴェネチアを訪ねた時に
歩き疲れてぐったりと3人でこのラヴェーナに入ったことがあります。
その時にココアが飲みたいという父の為に 拙いイタリア語と英語で
ココアを注文したのですが・・・どうやらメニューにない様子。
「暖かいチョコレートドリンクをお願い!」と母が英語で言うと
上の写真と同じような白いジャケットに赤いタイのおじさまが考えた末に
「 D’accordo!」(了解!)そして「Eccolo!」(はいどうぞ!)と
持ってきてくれたのは この小さなチョコレートを何枚も沢山
ピッチャーに入れて温め溶かしてくれたものに 温かなミルクが添えられたセットでした。
メニューにないけれど機転を利かせてその場で答えて下さったことと
そのチョコレートドリンクの美味しかったことは 今も我が家の語り種です。
あのおじさま 今頃どうしておられるでしょうか。
旅先で親切にしていただいた思い出は いつまでも残ります。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Che vita ci sono?- 10月06日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -どんな人生がそこに?-
ぶらぶらと気が赴くままに住宅街を散歩します。
朝は真っ白だった霧も 徐々に晴れてきました。
沢山の木々に囲まれて 緑豊かな広い庭
手入れの行き届いた大きなお家・・・
住んでいるのはどんな人々だろう?
仲の良いご夫婦が一緒にああでもないこうでもないと
楽しそうに庭仕事をしている風景や
夏には真っ赤なキョウチクトウの花が咲く庭への門を
ワンピースを着た女の子が通って行く様子
海からの風が抜ける薄暗い居間で 白いカーテンが揺れて
ラジオから小さい音でカンツォーネが聞こえていたり
運河をすすむボートの音で その日の天候や時間がわかる老人が住んでいる・・・
そんなことを考えながら歩いていたら すっかり道に迷ってしまいました。
ようやくたどり着いた港から また船バスに乗って本島へ帰りましょう。
海の霧も消えて 道しるべの杭の向こうにはアルメニア人の修道士が暮らす島
サン・ラッザロ・デッリ・アルメーニ島が浮かんでいました。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 15 Ti piacerebbe mangiare dolce verde? 9月22日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外15 緑のお菓子が食べたいの?-
バールやパン屋さん 乾物屋さんやお土産物店
気を付けてみてみるとケーキやお菓子を売るお店はけっこうあります。
秋という季節柄 栗やチョコレートを使った濃厚なお菓子が沢山。
エスプレッソと一緒に立ち飲みでササッと頂くのもイタリア風ですし
教会前広場でのんびりと道行く人を眺めながら・・・も旅ならでは。
上の写真はどれも美味しそうなケーキばかり。どれにしようか悩みます。
ですが同じショーケースの左には 突如としてなにやら強烈な緑色が。
なんだろな? メロン味?ライム味?のエッセンスが入った砂糖掛け?
その他のお店にも この「鮮やかな緑」はほぼ必ずあるのでした。
乾物店にはマジパンのお菓子。 サボテンの実の形でしょうか。
こちらのバールには ピスタチオとナッツのパン。(ビスケット?)
ピスタチオって こんな緑色でしたっけ?
上の棚に並ぶアブサンも鮮やかな緑色。
アブサンってこんな緑色でしたっけ?!
そしてリド島の駅前にあった新しいバールには
緑以外にも鮮やかな色とりどりの装飾が施されたケーキ。
思えばわたしが幼かった頃の誕生日ケーキに 食紅を使ったマジパンや
砂糖細工の飾りがのっていた時代もありました。
でも青と緑は?! 鮮やかさも違います。
まるで花束のようなケーキの数々。
こんなところにも イタリアと日本の感覚の違いが垣間見られました。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Bel uomini 3- 9月01日
リド島の散策も終盤 夕方にサン・マルコ広場へ戻る
船バス乗り場に向かって歩いているとき。
ようやく人影もちらほらと見えてきました。
この島では観光客が少ない時期でもありましたが
ここで暮らしておられるだろう方々とすれ違う機会がありました。
裕福な方が比較的多い場所なのでしょうか
おそらく80歳近いとおもわれる とても上品な女性が
毛皮のロングコートに最新モデルのグッチのバッグを提げていたり
八百屋さんにならぶ野菜が丁寧に扱われていたり
また 広いお庭のある家がならぶ落ち着いた住宅街があったり。
道行く車が大きくて(イタリアの街中では小回りの利く小型車が多い?)
街路樹も手入れが行き届き 歩道がとても広くて安全。
イタリア大都会のチェントロ(旧市街)とはずいぶん違います。
いたるところに「余裕」が感じられるのが印象的でした。
そんな通りで見かけた男性。
黒のコーディネート。
ダウンコートのベルトを締めても このスタイルの良さ!
幅広のソフト帽も ちらり見える真っ白な髪もお似合いです。
スッと立ってサッとひらいた新聞に目を通す・・・
これを「きざ」と言うのでしょうけれど(笑)
シチュエーションも立ち姿も何もかもが美しくて
映画のワンシーンのようでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Bottega dell’arte- 8月21日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -画材店-
額縁店はとうとう通りがからなかったけれど
TESTOLINI という画材店には行き当たりました。
でも残念 せっかくでしたがお昼休み中。
イタリアのお店はまだまだ長いお昼休みをとる習慣が健在です。
閉じたドアの向こうは真っ暗で 旅行者用の絵ハガキの棚や
思い出に良さそうな 可愛らしい運河の絵なども見えます。
これをモダンでさっぱりとした額縁にいれて飾れば
とても素敵な記念になるのにな なんて思ったりして。
右側のウィンドウから覗いてみることにしましょうか。
多色刷りの版画が2点 上はサン・マルコ広場の風景
下はヴェネチアの地図でしょうか。
そして水彩の絵の具セットや油絵の絵具箱
下に並ぶ本に「acquarello」と見えますが「水彩画」という意味。
きっと教本なのでしょうね。
そしてイタリアが誇る高級画用紙 Fabriano もあります。
(下部中央の黄色い包み)
後日にこのお店のHPを見てみたところ このTESTOLINIはどうやら
大きな会社で オフィス用品などを扱っているようです。
このお店もデザイン用品や水彩・パステルの品揃えが豊富な様子。
フィレンツェの ZECCHI などとはまた違った雰囲気でモダンです。
もしかしたらメノウ棒や金箔道具 古典技法の材料は
揃えていないかもしれませんけれど・・・
開店していたら 記念にテンペラ用の面相筆など買いたかったな
と写真を見て思い出しています。
TESTOLINI bottega dell’arte
San Marco 1756 30124 Venezia,Italia
La nosalgia in Italia 2011 Venezia -Non esiste più in Giappone 8月11日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -日本にはもうない-
リド島の「ヴェネツィア国際映画祭」
授賞式の会場となったホールの前には
あいかわらず人影はありませんが
9月に行われた映画祭の名残がまだちらほらとあって
これまたノスタルジックなような寂しいような気分になりました。
まつりのあと。
すっきり片づけて気持ち新たに・・・は日本。
名残を惜しんで懐かしい気持ちに浸るのがイタリア?
そんなことを考えつつ歩いていると
前から来るのはオート三輪!
日本ではもうすっかり姿を消してしまったけれど
イタリアではまだまだ現役です。
日本の軽トラも白ばかりではなくて 濃い緑色があれば良いのに。
ナンバープレートが正面にないのが不思議。
細いタイヤ 直線的なデザイン ワイパーも一本。
運転しているおじさんもイメージ通り。とても可愛らしい!
これまたノスタルジックな気持ちを盛り上げてくれたのでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 14 Batman misterioso- 7月31日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外14 謎のバットマン-
上を見ても下を見ても 右を見ても左を見ても
人影はどこにも見えないリド島の広い浜辺。
ところが
長い長い海岸線の遠くから ふしぎな影が見えました。
何者でしょうか?
わたしたちに向けて小さな声で呼びかけているようです。
あやしい。
すわ小心者のバットマンか?!
「cachemire cachemire・・・」
つぶやく声は カシミール カシミール・・・
カシミアストール売りのおじさんでした。
にこにこと恥ずかしそうな笑顔だったのに写真に写っておらず残念。
遠くでストールを広げて立ちつくし(バットマンのポーズ)
近づいてくる様子もありません。
わたしたちが
「Non,Grazie!」けっこうです!と叫ぶと
(なにせ遠いので叫ばないと波音に消されてしまう)
すこししょんぼりと 恥ずかしそうな笑顔のまま
カシミールバットマンは戻っていきました。
いやはや驚きました。
どこかでわたしたちを見かけたから登場したのでしょうけれど
一体どこから現れたのか そしてどこへ戻ったのか見当もつきません。
帰る後姿を見送りましたが 砂浜の先 点のようになっても
結局どこへ行きつくのか分からず終い。
イタリアにはごく稀に
異次元的な場面に遭遇します。
La nostalia in Italia 2011 Venezia -Viaggio “La più antica Venezia”3- 7月21日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -最古ツアー その3-
今回のヴェネチアの旅にサブタイトル「最古ツアー」を銘打ったからには
「最古の映画祭」の舞台となるリド島へ行かずばなりますまい。
最古のホテルに泊まり 最古のカフェでお茶をして
最古ツアークライマックスのリド島訪問の朝です。
通勤ラッシュにもまれながら船バスで向かいました。
朝霧の向こうにはサン・ジョルジョ・マッジョーレ島の鐘楼と飛行機雲。
そうこうするうちに どんどん霧が深くなります。
上の写真 見づらいですが霧の中で沖に浮かぶ杭があります。
これを目印に海上に道があって 船は進みます。
さて「ヴェネチア」「リド島」「映画」ときたらもう
ルキノ・ヴィスコンティ「ヴェニスに死す」しかありません。
アッシェンバッハとタジオの出会いの舞台となったホテル・デ・バンです。
もう40年以上昔の映画ですが タジオの象徴的な美しさと
死ぬ間際のアッシェンバッハの剥げ落ちた化粧顔の悲しさは
一度見たら印象に残って 忘れられません。
ふたりの出会いとなったホテル・デ・バンで朝のお茶をしましょう!
(さすがに宿泊は高根の花ですので。)
・・・と思いきや なんと改装中でした。
むなしく鉄格子を揺らしてみても 人っ子一人(作業の人さえ)いません。
リド島でのお楽しみがひとつ無くなってしまって これは誤算でした。
なんということでしょう。 茫然と浜辺を散歩します。
遠くから憧れの(でも改装中の)ホテル・デ・バンを撮影。
さて・・・シーズン・オフのリド島はとにかく人が少なくて
海風もとても冷たくて あまりの静謐さに茫然とします。
まるで「大昔の人の息吹がわずかに残る遺跡」のような とでも言いましょうか。
人影のない広い広い浜辺を散歩しましょう。
波打ち際は貝殻ばかり。
裸足であるいたら痛そう。
それにしても前後左右もちろん上下 人影がありません。
こうした「荒涼とした冬の海」はわたしの大好きなもののひとつです。
コートの襟を立ててポケットに手を入れて 考え事をする。
リド島の旅つづきます。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Colore verde azzurro- 7月10日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -青緑色-
ヴェネチアの街 建物の壁は白が主でベージュやピンクなど明るい色
石畳の色もフィレンツェより白っぽい印象です。
そこに扉の茶色 ゴンドラの黒や赤 窓の日よけの緑など原色の強い色があり・・・
でも今になって思い起こす色は 青緑色でした。
ヴェネチアの水路の色が不思議な青緑色なのです。
冬でも強い日差しが当たる水路は 思ったよりずっと透明です。
どこまでも 白の混じった青緑色のグラデーション。
日本の海(太平洋)で感じる「潮のにおい」はほとんどありません。
これがアドリア海の特徴なのかはわかりません。
とても美しい青緑色でした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Mercato del pesce 2- 6月30日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -魚市場2-
リアルト橋の近くにある魚市場には 魚以外のお店も出ています。
まずは八百屋さんから覗いてみましょう。
手前にあるバットに入った白い輪切りは おそらく根セロリでしょうか。
10切れで6ユーロ。サラダにする?グリルにする?
奥のバットはアーティチョーク 10個で4ユーロ。
オレンジ色でビニールに入ったものはカボチャの角切りです。
どれもこれも下処理がしてあってとても便利!
上に渡したロープにバナナをかけるのもアイディアですね。
つぎの八百屋さんも下処理済みのカボチャを売っています。
フィレンツェの市場にもあったかな?記憶にありません。
カットカボチャは1キロ3ユーロ50セント。
そして足元には鳩がせっせと食事中でした。
あのカボチャの皮は彼らのお腹に収まるのですね。
最後には食べ残しも掃除されますのでご心配なく。
こちらはフレッシュハーブがたくさん!
フェンネルにミント タイムが2種類 コリアンダーも。
隣の魚売り場の新鮮な魚をこのハーブとスープにしたら美味しいでしょうね。
それにしても 煮込み用の長いトマト1キロ3ユーロ50セント
わたしの好物ブロッコリーは1キロ3ユーロ・・・羨ましい価格です。
さてお次は加工肉のコーナー。
建物内にお店がありますが窓から品定めができるようになっています。
ソーセージのお店 これまたわたしの好物 生ソーセージは1キロ10ユーロ90セント
唐辛子入り13ユーロ90セント 燻製ソーセージ14ユーロ90セント。
このお店は90セントにこだわりがあるようです。
こちらはハムのお店。
豚リブの燻製ハム1キロ11ユーロ90セント 豚すねの燻製ハムも11ユーロ90セント。
加工肉のお店 ギリギリ90セントでお得感を出すのが
日本の「イチキュッパ!」に通じる心を感じました・・・。
それにしてもこのキャベツ半分は何でしょうか。つけあわせ?謎。
さぁ最後は乾物店です。
左の黄色い箱は Pasta Locale ローカルパスタ つまり地元産のスパゲッティ。
たしかにフィレンツェでは見かけたことのないパッケージです。
となりは乾燥ポルチーニ100gが7ユーロ20セント。
さすが本場でもポルチーニ茸は高価な食材ですね。
中央の干しトマトの右側も乾燥ポルチーニですがブロークンで割安です。
普段の食卓にはこれで十分! 地産パスタでポルチーニソース・・・良いですね。
こうして市場を覗けば ヴェネチアの人たちが日々何を食べているのか垣間見えます。
新鮮なお野菜も魚介類も手頃にあって 魚介を食べることに慣れた日本人には
魚屋さんが少ないフィレンツェよりも長期滞在にも向いた街かもしれません。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Mercato del pesce- 6月19日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -魚市場-
ヴェネチアの旅では毎日海鮮を楽しみましたが
その美味しい魚介類の市場も訪ねてみました。
ヴェネチアの中心部分 リアルト橋のすぐ近くです。
時間がお昼近くなってそろそろ店仕舞いの露店もありましたが
なんとか駆け込み。
中央の柱にある黄色い看板には
「tutti venerdi baccala’ bagnato」とありますが
毎週金曜日にはホシダラを水で戻したものを売っています とのこと。
ヨーロッパでは金曜に肉を食べず魚を食べる古い習慣があるそうです。
立ち飲み居酒屋バーカロで舌鼓を打ったバッカラ(ホシダラ)のチケッティは
こうした市場で売られている材料を使っているのでしょう。
http://www.kanesei.net/2014/02/06.html(バーカロのチケッティを食べたお話)
ちなみに右上の黄色い看板にはノルウェー諸島ロフォーテンで取れた塩鱈があるとのこと。
真ん中の赤い大きなものはカサゴの一種のようです。
スープにするのでしょうか。
赤いエビ1キロ14ユーロ 茶色いエビ13ユーロ。
エビ1キロって何尾くらいあるのでしょうね?
クロダイ1キロ9ユーロ カタクチイワシ1キロ4ユーロ。
こちらのカタクチイワシもイワシも1キロ5ユーロ50セント。
うろこがまだついているほどピカピカです!
ささっとお刺身にして生姜で食べたらおいしそうです・・・。
こちらはシャコがたくさん。
左上の茶色いぬめりのある大きな魚2匹には「gabilo」1キロ14ユーロとあります。
残念ながら辞書にはgabiloが載っていません。
こちらは大きなカニ14ユーロ。
店主の女性の眼光の鋭さも見逃せません。
ホテルに滞在する旅では美味しい食材をみつけても
指をくわえているばかりなのが残念です。
週単位で借りられるキッチン付アパートに滞在するのも良いかもしれません。
ちなみにこの市場には野菜売り場もあります。
次回はお魚以外の売り場をご紹介します。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 14 Cosa vuoi?- 6月09日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外14 なにか用?-
美しい空 白い建物にはイタリア国旗 そして凛々しい表情のカモメ。
おおいそぎでカメラを構えて1枚パシャリ。
イタリアのカモメ代表!のようです。
・・・と きれいな姿に見とれていたら
あら見つかっちゃった。
「なにか用?」と一言残してプリプリと
カモメは飛んでいきました。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -window-shopping 1- 5月29日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ウィンドウショッピング1-
わたしはチェスはおろか将棋もできません。囲碁も。
でも以前からチェスのセットを見るのは好きです。
駒のデザインもさまざまでインテリアとしても素敵。
買わないけれど見るだけで楽しい!
そんなときはウィンドウショッピングに限りますね。
ヴェネチアのお土産店で見て楽しかったチェスセット。
ローマ軍対アラブ軍ですって。
ボードも革張りで金の装飾入り。豪華ですね。
よく見ると ローマの女王様は手に動きがあって表情も勇ましく
騎士の馬は立ち上がり 今まさに出撃!の雰囲気が出ています。
一方 アラブ軍の女王様はつつましく立ち 騎士のラクダもぼんやりムード。
まるで既に勝敗が付いた後の様子のようです。
これもイタリア製だから と言ったところでしょうね。
もう一つみつけたチェスセットも やはり対アラブ軍ですが
こちらは時代が下って十字軍が対戦します。
こちらの駒はとてもリアルにできていて 人物の表情も良く
そして中世の騎士姿が好きなわたし 本気で購入を考えました。
結局買いませんでしたけれど。ううむ。
どうもミニチュア好きの血が騒ぎます。
そしてタッセルのお店。
こちらもまたわたしにとっては垂涎の的です。
タッセルにゴブラン織りのクッション タペストリー!
このディスプレーに飛び込みたいほどでした。
チェスセットに後悔はありませんけれど
このタッセルは・・・窓越しに眺めるばかりではなくて
ひとつくらいお土産に買えばよかったな と今更思い出しています。
次回はきっと!
La Nostagia in Italia 2011 Venezia ‐Galleria veneziana- 5月19日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ヴェネチアの画廊-
もちろんヴェネチア散策中も目を光らせて(?)
額縁店を探していたのですが とうとう「額縁工房」には
行き当たる事ができませんでした。
代わりにと言いましょうか 見かけたお店は
16世紀~17世紀を中心とした画廊のようでした。
少々急いでいたのを言い訳にお店に入らず
店名も場所の記録も取らなかったのが今頃悔やまれます。
正面の大きな額縁はルネッサンス時代に流行したフィレンツェの
「プレッツェーモロ」額縁に見えます。
箱型の額縁を黒ベースに塗り 金で植物模様を角や中央部に入れるのが特徴。
納められた静物画もキャンバスの波打ちや亀裂が見えるので
作品自体も時代がありそうです。
ただ 額縁は古いのか 古い仕上げにした最近の物か不明です。
額縁の古さを見るには裏の仕上げやカカリの内側を見ることで
木地の年代を想像することができます。
また 持ち上げてみて比較的重ければ新しいもの
軽ければ古いものというのもひとつの判断材料です。
右側の壁にはオランダ17世紀に描かれたような花の静物画や
奥の壁には初期フランドル派のような女性像なども見えます。
下の台にはカナレット風のヴェネチア風景画
これまたオランダ17世紀風(?)の肖像画の小品
フランドル16世紀風(?)の風景画が飾られています。
この風景画の額縁は平面的で どことなく東洋の雰囲気もあります。
ヴェネチアは北の都市であり また海運都市でもありましたから
アルプス以北の国の雰囲気やエキゾチックな香りもします。
こうしたところからも ヴェネチアとフィレンツェの違いを
見て取る事ができて とても興味深いのです。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 13 Insarata di rucola- 5月08日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外13 ルッコラサラダ-
ある日の夕食に尋ねたトラットリア(食堂)は
地元でも人気らしく ホテルから予約を入れてもらい
ようやく席にありつきました。
イワシのフライ カニのタリアテッレ イカスミのスパゲッティ
どれもこれも美味しくて白ワイン“オンブラ”も進みます。
少々野菜が食べたいな とお願いしたルッコラのサラダ。
ドーーン!と登場しました。
まさに「ルッコラのサラダ」以外の何物でもありません。
ルッコラといったらルッコラなのだ!と言わんばかり。
イタリアではテーブルに置いてあるオイルと塩 ビネガーを
自分の好みで使うのが一般的ですので 調理も調味もしてありません。
ボールに山盛りのルッコラを入れただけの姿は迫力と共に
ウサギか牛になった気分がよぎりましたが
ウサギや牛に負けないほどワシワシと平らげました。
日本で見かけるルッコラより葉が小さく繊細でやわらか。
ルッコラだけをこんなに心行くまで味わうのも初めてだし
贅沢なものでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Bel uomini 2- 4月28日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -美しい男たち2-
夕方 vaporetto(船バス)に乗って夕食のレストランへの移動中に
すっきりとした一団が見えると思ったら
若い水兵さんたちでした。
20代前半でしょうか 刈り上げたうなじはまだ少年の面影が残る彼ら
真っ白な帽子が明かりに照らされて眩しく輝いていました。
わたしが留学していた1996年から1999年には
まだ徴兵制のあったイタリアですが
2000年に徴兵は廃止され 職業軍人のみの国となりました。
留学当時 徴兵に行っている恋人と会うために
ボローニャ(軍の施設があったのでしょう)に週末ごと
通っていた女の子がいたことを思い出していました。
懐かしい記憶。
彼らはいま 素敵な家庭を築いているかもしれません。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Viaggio “La più antica Venezia”2- 4月14日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -最古ツアー その2-
ヴェネチアの旅のサブタイトル「最古ツアー」ですが
まずはヴェネチア最古のホテルに泊まること。
そしてヴェネチア最古のカフェに行くこと。
1720年創業の Caffè Florian です。
1720年と言えば日本は江戸時代で
赤穂浪士の討ち入りから18年が過ぎたころ。
ヨーロッパではバロック音楽 バッハが活躍し
17年後にはトスカーナ大公メディチ家が断絶する・・・という時代。
そのころから今も同じ場所にある老舗カフェです。
Caffè Florian はサンマルコ広場にある大変美しい店舗です。
天気の良い初夏から晩夏なら日中でも夜でもテラス席に座って
白ワインやカフェラテを注文すれば
「これぞヴェネチア!」の気分を満喫できるはずです。
わたし達が訪れた時は肌寒い季節だったからか
はたまた acqua alta (満潮時の水位が高く浸水する)の時期だったからか
広場にテーブル席が出ていませんでした。
広場を突っ切って回廊の中へ行きましょう。
目指すカフェが見えてきました。
ちなみに上の写真の柱の右側 3人の男性は
アル・カポネのファミリーではありません・・・。
カフェ・フローリアンのカメリエーレ(給仕人)の男性たちです。
さて わたし達は美しい内装を見たかったので迷わず店内の席へ。
カウンターのあるエントランスを過ぎて いくつか部屋が続きます。
案内されたのはイメージしていた通りの席でした。
真っ赤なソファ ヴェネチア様式の背もたれが広く開いた椅子
うす暗い店内を照らす灯りは鏡に反射しています。
壁に描かれた絵はガラスで守られていますが
そこにも反射したヴェネチアングラスのシャンデリアが
キラキラと雰囲気を盛り上げてくれます。
花や女性のモチーフ 明るい色使い(部屋は暗いですが)は
宿泊したホテルの装飾とも近く感じます。
http://www.kanesei.net/2013/11/04.html
お願いしたのはティラミスとコーヒー。
美しい内装を楽しみつつ のんびりと座っていれば
カメリエーレがさっそうと熱々のコーヒーを注いでくれ
“Prego,madame…” なんて言われて 気分はすっかり18世紀のマダムです。
この Caffè Florian のカメリエーレは皆さん燕尾服姿でした。
華奢な若者ではなくて 50~70代くらいの男性がほとんど
(70代と思しきカメリエーレ氏のきれいな白髪と優しい笑顔が印象的)
またイタリア男性は胸板が厚いので燕尾服が大変お似合いでした。
きりりと伸びた背筋もばっちりです。
首から下げた老眼鏡もご愛嬌な
Caffè Florian の素敵なカメリエーレ氏でした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Paradiso di frutti di mare 1- 3月27日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -シーフード天国-
イタリアはアドリア海に囲まれた半島ですから
日本同様に魚介類もとても豊富です。
わたしが留学していたフィレンツェのあるトスカーナ州は
西側が地中海に面していましたが フィレンツェは内陸にあるからか
名物料理は肉が多かった(Tボーンステーキやサラミ類)のですが
さすが海の都ヴェネチア 海の幸自慢のお店が目白押しでした。
レストランの入り口には その日おすすめの海鮮がずらりと並び
それらをどのように料理してもらうか店内で相談できます。
ブイヤベースにしても ハーブでさっと煮ても
炭火焼きにレモンとオリーブオイルでシンプル味もOK
日本風に塩焼き!もありかもしれません。
ご自慢の海鮮のディスプレーの仕方もお店それぞれ。
ついついカメラを向けてしまいました。
こちらはモダンな雰囲気のお店。
まだ午前中だったからか 品揃えは少なめです。
カニに牡蠣 ヒラメ 手前の紙包みはコウイカ?
そして奥はサケでしょうか。
ちなみにズラリ並んでいる赤いラベルのワインは “Santa Martina”
お手頃なテーブルワインのようですがトスカーナ州のワインです。
地方色の濃いイタリアで 他地方のワインを飾るとは
こちらのレストランはトスカーナ州と所縁があるのでしょうか。
なんだかそれだけで親しみがわきます。
こちらもまだ準備中かもしれませんがクラシカルな雰囲気のお店。
目を引くのは巨大なヒラメ!何という名前なのでしょうか。
そして調理方法も大変気になるところです。
それから・・・右にはイシモチのような魚とカニ
中央にロブスター! イカに牡蠣に大きなマスのようなものも。
奥の窓がステンドガラスになっているのも素敵です。
まだまだ見かけたシーフードのウィンドウディスプレーですが
こちらが最後 まさに「タイにヒラメが舞い踊り・・・」です。
おまけにこちら ガラスがありませんので道から直接です。大胆!
まるで魚屋さんのようですね。でもレストランですよ。
イカにタコに手長エビ!シャコ!ホタテも!
魚も赤いのは金目鯛?キスのような姿も見えます。
今日の漁で上がった目ぼしい魚介は勢ぞろいした感じ。
ハーブや野菜も目いっぱい飾って 赤いテントに明るいライト
この賑やかさにひかれて観光客で大盛況でした。
旅の食事は美味しさは勿論ですが ワクワクする楽しさも
大切な思い出になります。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Gondola! Gondola!- 3月13日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ゴンドラ!ゴンドラ!-
ヴェネチアを語るにあたってゴンドラを挙げずにはいられず・・・
おのずと撮った写真の数も多くなってしまいます。
ひきつづきゴンドリエーレ達(ゴンドラ漕ぎの男たち)のお話。
サン・マルコ広場のすぐ奥にある開けた運河
フォンダメンタ・オルセオロ (fondamenta orseolo) には
出航前のゴンドラがたくさん!
そして道の脇には木製の数字版。
何番のゴンドラが碇泊中・・・などの管理用でしょうか。
ここは決まった組織のゴンドラ碇泊所のようです。
ゴンドラにも会社組織があるのか はたまた
日本の個人タクシーのようなシステムなのか 気になります。
というのも きっちりと制服のように
おなじジャケットにカンカン帽 そして短髪のゴンドリエーレばかりの乗り場と
(きっと帽子のリボンの色でも組分けされているに違いなし。
下の写真の方々 名付けて「組織ゴンドリエーレ」)
髪型もボーダーシャツもそれなりに自由なゴンドリエーレがいて
(彼らはカンカン帽も被らない場合が多い。「自由ゴンドリエーレ」)
なんだか気になって気になって仕方がないのでした。
下の写真の左のゴンドラが「自由ゴンドリエーレ」
右が「組織ゴンドリエーレ」と思われます・・・。
前回のゴンドラのお話に登場したカンカン帽を被らない
ゴンドリエーレ達も おそらく自由ゴンドリエーレでしょう。
http://www.kanesei.net/2014/02/17.html
そしてゴンドラ乗り場の近くでは 制服姿の組織ゴンドリエーレ達が
「ゴンドラ!ゴンドラ!」と旅行者に呼びかけているのでした。
呼んでいるつもりなのでしょうけれど馴れ馴れしくもなく
笑顔もなく どこか独り言のように聞こえた
彼らの「ゴンドラ!ゴンドラ!」のつぶやきが
まるで魔法の呪文のように思えて
不思議に心に残っています。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Bel uomini 1 – 2月17日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -美しい男たち 1 -
ローマやフィレンツェに比べてヴェネチアでは
「働く男性」を見る機会が多かったように思います。
名物のゴンドラ乗り「Gondoliere」ゴンドリエーレもしかり。
サン・マルコ広場の近く 観光客が多い海辺の通りには
カンカン帽にボーダーシャツ マリンスタイルジャケットと
“これぞ正しいゴンドリエーレ”のような男たちが待っています。
足を組んで新聞を読んでいるだけですが かっこいい。
こちらのゴンドリエーレは裏水路にてしばしの休憩でしょうか。
輝くように磨き上げられたゴンドラは 彼らのプライドの証。
空の青が写り込んでいます。
じっと物思いにふけるような姿 美しい右手が印象的でした。
こちらはホテルの部屋に面した水路のゴンドリエーレ。
紅白と黒でまとめて(サングラスのフレームも)
ポケットに手を入れて何気なく立っているだけ・・・かっこいい!
こちらは船バスから見かけて 思わず撮ってしまったゴンドリエーレ。
ううーむ・・・一番の色男でした。
彼のゴンドラに運よく乗ったら 風景はそっちのけで
ゴンドラを漕ぐ姿ばかり見入ってしまうかもしれません。
イタリア人らしい長い脚に 櫂で鍛えられた逞しいスタイルで
ゴンドリエーレ達はヴェネチアの花形です。
伝統工芸のように美しいゴンドラを颯爽と操る美しいゴンドリエーレは
乗せてもらうのは勿論 眺めるだけでも楽しい。
La nostalgia in Italia 2011 venezia -brindisi con buona ombra!- 2月06日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -美味しいオンブラで乾杯!-
イタリアの美味しいワインは有名ですね。
そして旅の楽しいところは好きなときにお酒が飲めること・・・
とは言え散策に支障がない程度に! ほろ酔いまでですよ。
ヴェネチアにはバーカロ(bacaro)と呼ばれる立ち飲み居酒屋があって
たいてい朝から営業がはじまります。
この日の午前中 まずは老舗有名店 Cantina do Mori へ。
薄暗くて天井の低い店内には年代物のお鍋がたくさん!
この穴倉的雰囲気でワクワク期待が高まります。
さすがに平日の朝っぱらから酒場に繰り出す人は少なくて・・・
でもちらほらやってくる常連さんに交じって白ワインを頼みましょう。
(彼らはお酒を飲んでから仕事に向かうのでしょうか。謎。)
ヴェネチアでは白ワインをオンブラ(ombra 影)と呼ぶそうです。
“signore! una ombra perfavore!”
オンブラをひとつください!
ウィンドウの出来立てチケッティ(一口サイズのおつまみ)から
イワシのブルスケッタと小ダコのマリネ。
まだお酒を飲む前から手振れで写真が・・・。武者震い。
言うまでもなく美味しくて あっという間に平らげました。
舌鼓を打ちつつ次のバーカロへ向かいましょう。
バーカロに長居は無用です。
こちら2軒目は打って変わって若者で押すな押すなの大繁盛。
もみくちゃになりながらも しっかりチケッティを選びました。
こちらもイワシのブルスケッタ。
そして白いペーストは baccala と呼ばれる干し鱈です。
ほぐした鱈をミルクで煮て オリーブオイルとにんにくでペースト状に。
家庭やお店でレシピが少しずつ違う郷土の味です。
これまたフワフワクリーミーで美味しいのなんの。
この日は結局 午前中に3杯のオンブラを頂きまして
2軒目のお店の名前も記録しませんでした・・・。
とにかくこの日の目的は無事達成!
1軒目 Cantina do Mori お勧めです。
トリップアドバイザー : Cantina do Mori
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 12 Perché?- 1月20日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外12 なぜ?-
額縁制作には電動工具を使う場面もあり
街中で見かけると ついウィンドウを覗き込みますが・・・
ヴェネチアの工具店にあったのは “YAMATO”.
サンダーでしょうか。
聞いたことのないメーカー シンプルな造り
日本製ではないようです。
それにしても なぜ大和??
グレーに赤の配色から「宇宙戦艦ヤマト」を思い出してしまいました。なんとなく。
ヴェネチアで見つけた 意外な「日本」でした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -I senatori dicono che・・・- 1月09日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -元老院議員たちが言うには-
日本のNTTdocomoにあたる会社がイタリアのTIMです。
テレコム・イタリア・モービレ(Telecom Italia Mobile)
日本でも良く見かけるような携帯電話のショップがありました。
奥のポスターに笑ってしまって 写真をぱちり。
ずらりと並ぶローマ時代の元老院議員のオジサマ方 そして
もしかしてカエサル?!も携帯電話で何やら楽しげにお話し中です。
“Passa a TIM,raddoppi le ricariche per 2 anni.”
「TIMを通せ!2年間はチャージが倍になるぞ」と言う感じでしょうか。
プリペイド式の携帯電話の広告と思われます。
日本でもお侍姿で車に乗ったり携帯電話で話したり・・・という
広告を見かけますが 国は違えどアイディアの共通はあるようですね。
それにしても このカエサル風の男性のお顔といい髪形といい
いかにもローマ時代の彫刻にありそうな造りで 良い味を出しています。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Città di labirinto- 12月30日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -迷路の街-
車も通らない細い路地が続く街 ヴェネチア。
地図を片手に小さな橋を渡ったりトンネルを潜ったり。
2回角を曲がるともう 自分が向いている方角を見失う
方向音痴のわたしの目印は この黄色い看板でした。
向かって左の看板「RIALTO」は 矢印の方角にリアルト橋がある知らせ。
リアルト橋はヴェネチアの中央付近にあって
地図でもすぐ見つかる観光名所であり 船バス停留所があり便利です。
迷っても とにかくこの橋に出ればリセットできます。
RIALTO のほかにも SAN MARCO (サンマルコ広場)への矢印もあります。
細い路地は空が細くて 昼間でも暗い場所もあって
ついふらふらと彷徨い入ってしまうのですが
(夜は安全とは言えないかもしれません。)
人気のない道から突然に賑やかな場所に突き当ったり
だんだん迷うことが楽しくなってきます。
上の写真「sotoportego」とは
建物の下を通り抜ける道のこと。
トンネルの天井 木組みはそのまま
建物の床を支えています。
ノックしたら聞こえそうですね。
フィレンツェにもあるのでしょうか・・・。
ヴェネチアならではの通りかもしれません。
こんなトンネルも迷路のワクワク感を盛り上げてくれます。
***
2013年最後のブログをご覧くださり
ありがとうございます。
額縁をお買い上げ下さった皆さま また
修復のご依頼を下さった皆さま
ありがとうございました。
そして様々な場面でご指導やご協力をいただき
ありがとうございました。
来年も誠実な仕事をめざす所存です。
どうぞ良いお年をお迎えください。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Una mattina al Bar- 12月16日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ある朝のバールで-
朝からお腹いっぱいに美味しい食事をとって
いよいよ街にくりだしても 通りには美味しそうな
エスプレッソコーヒーや焼き立てパンの香りが漂っていて
ついついカメラを向けてしまいます。
道が狭いヴェネチアでは 店先のすぐ傍をかすめて歩きます。
目に入ってくるのは これまた出来立ての美味しそうなパニーニ。
サラミを挟んだだけの一口サイズから
チーズやトマト ルッコラやハムを山盛り挟んだものまで。
お店によっては お願いするとホットサンドにもしてくれます。
寒い朝にアチチと頂くもよし
散策後のランチ用にいまから準備しておくもよし・・・。
ウィンドウの上にあるビニールに入ったS字のものは
ヴェネチア名物のお菓子 ブッソライ(bussolài)です。
小麦粉と卵と砂糖とバターだけ というシンプルレシピのクッキーだとか。
優しい味がするのでしょう。
もう一軒 通りがかったバールでは
ようやく朝の準備が終わったところ。
奥では常連さんらしき男性が エスプレッソコーヒーに
お砂糖を沢山入れて 朝のエネルギーチャージ中です。
この濃いコーヒーに沢山のお砂糖を入れたものは
慣れると癖になって 日に何度も飲みたくなるもの。
そしてカフェインと糖分で 身体もシャキッと元気になります。
ちなみにこの店主のオジサマ(赤いメガネがおしゃれ!)
開店早々からビール片手に接客中。
なんともおおらかで楽しそうなお店でした!
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Colomba e gioventù- 11月25日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -鳩と青年-
ヴェネチアの中心 サン・マルコ広場は
有名なカフェや高級店が並ぶ美しい場所です。
海風から守られて ぽかぽか陽射しが気持ち良い広場では
鳩がくつろいでいます。
あたたかな空気を一杯にため込んで 丸々した愛らしい姿。
「ふくら雀」ならぬ「ふくら鳩」ですね。
そんな鳩と戯れる青年がいました。
沢山の鳩に囲まれているのに 楽しそうにはしゃぐでも無く
優しい木のように佇んでいる姿 そして安心した鳩の様子は
まるでずっと昔から鳩と心が通じているかのようです。
若い青年には珍しいような 穏やかで透明な空気が広がっていて
印象深い光景でした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 11 Stile della miscela?- 11月14日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -番外11 混合様式?-
ヴェネチア最古のホテルは白を基調にした
ロココ風の装飾で 華やかで可愛らしい雰囲気です。
朝食の間から部屋へ帰る廊下でみつけた鏡入りの額縁。
金と黒と赤 色使いや迫力はバロック風
貝殻やC字のモチーフはロココ風でしょうか?
短手下部には白地に花を描いたプレートが入れられてあります。
これは・・・タイルなのかガラス絵なのか。
ぱっと見はバロックの印象だけれど
良く見るとロココ風味。
古いイメージに仕上げられていますが
20世紀に作られた新しい額縁でしょう。
混合様式の不思議な魅力ある額縁でした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Viaggio “La più antica Venezia”1- 11月04日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -最古ツアー その1-
ヴェネチアの旅にはサブタイトルをつけていました。
その名も「最古ツアー」です。
もっとも古いホテルに泊まる というのもそのひとつ。
ローマ フィレンツェと周り 最後の街ですので
奮発することにしました。
思えば最初の訪問地ローマの宿は悲しい裏窓の部屋でしたが・・・
「終わり良ければ全て良し」でございます。
ヴェネチア最古のホテルは ヴェネチアらしい華やかさがありました。
ルネッサンス情緒のフィレンツェとは違う ロココ風の愛らしさです。
額縁デザインの参考にしたくなります。
さて 朝ごはんをいただきましょう。
これもまたホテルの楽しみの大きなひとつです。
朝食の間へ足を踏み入れてみたら まるで舞踏会の会場のよう。
バイキング形式のメニューも豊富で美味しくいただきました。
昨夜到着時からの疲れもあっという間に吹き飛ぶ瞬間。
隣の席のマダムは なんと朝からシャンパンを!
このシャンパンも朝食用に準備され ジュースと並んで
カメリエーレ(給仕人)が笑顔でサーブしてくれていたのでした。
最古のホテルの朝食は「最古ツアー」はじまりを飾る美しさでした。
LUNA HOTEL BAGLIONI
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Extra 10 Vari biglietti di Roma- 10月24日
イタリアの郷愁 2011 番外10 さまざまな切符
先日のトピックでヴェネチアの船バス「vaporetto」の
切符をご紹介しましたが
今日は遅ればせながらローマの切符いろいろご紹介です。
なにせ「旅先の物は捨てられない」性分のわたしなので
地下鉄も美術館も 入場券はすべて持ち帰りました。
この旅で最初の訪問地 ローマ到着時に買った切符。
ローマのフィウミチーノ空港からテルミニ駅までの
電車の切符は 片道一枚14ユーロでした。
30分くらいでローマの中央駅テルミニに着きます。
「レオナルド・エクスプレス」という名がついた直通電車です。
良く見るとレオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画が印刷されています。
こんなところもイタリアらしいデザイン。
こちらはローマの美術館や博物館切符です。
コロッセオの風景版画のデザイン切符は
フォロ・ロマーノの入場券でした。うつくしい。
右下はヴァチカン美術館 その左はサンタンジェロ城の入場券。
ヴァチカン美術館切符の図はラファエロの描いた有名な壁画
「アテナイの学堂」から これまたレオナルド・ダ・ヴィンチを
モデルとしたとされる部分です。
ローマとレオナルドの関係は深いのですね・・・。
最後はローマの地下鉄とバスの切符です。
こげ茶色と黄色にローマ市の紋章が入って素敵なデザイン。
これらは一枚1ユーロで75分間なら片道どこまでも乗れます。
または4ユーロなら1日乗車券が購入できます。
ちなみに上の写真の黄色いスペースに書いてあるのは
“Sei pronto ad affrontare il controllore?”
「あなたは取締を受ける準備はできていますか?」
イタリアは切符を買っても改札で検印せずに
使い回して乗ってしまう人が後を絶たず
抜き打ちで検札されることがあります。
その警告文が切符に記されているのですね。いやはや。
自動販売機で買った切符の裏側には
買った日時 期限切れになる時刻が印刷されて一目瞭然。
こうして様々な切符をみると お国柄も垣間見えて
とても興味深く 旅先ではつい切符も溜めてしまいます。
以上 ローマの切符いろいろでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Il biglietto Veneziano- 10月14日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -ヴェネチアの切符-
ヴェネチア旧市街は車の通行が制限されており
道行くのは人 せいぜいリアカーです。
自転車通行は可能かもしれませんが 見かけませんでした。
乗り物は すべて船。
モーターボート 小さな貨物船 ゴンドラ・・・
旅行者の移動手段は もっぱら歩きか “Vaporetto” という船のバスです。
下の写真 運河の左側に見える黄色い小屋が船バスの停留所ですが
浮桟橋なので波でフワフワと揺れ続けています。
下の写真のような切符は 街のタバコ屋やキオスク
または乗り場の窓口で買えます。
“biglietto ricaricabile” とありますが
イタリア語で”biglietto”(ビリエット) は切符
そして”ricaricabire” (リカリカービレ)とは「再チャージ可能」とでも言いましょうか
いわばsuica のように まとめた金額を入れておくことができるカード。
・・・ですが 写真でご覧のように乗る度に何度も買っていたわたし。
気づいたのは帰国後にゆっくり眺めた時でした。
エコにもならず もしかしたら無駄遣いになっていた可能性も。
これからヴェネチアに行かれる方は どうぞチャージしてお使いください!
ちなみに 裏側には広告が載っています。
左は旅行代理店 右はどうやらバイオメディカルセンター。
左は旅行者向け(「イベントチケットの購入代行します」とあります。)
右はきっとイタリア在住者に向けたものでしょう。
船バスに乗りながら切符裏を見て それぞれ明日の予定を立てたり
あるいは家族や自分の健康について思い悩んだり。
広告を見るのも なかなか興味深いです。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Il lavoro della mattina- 10月03日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -朝の仕事-
晩秋の夜明けは遅くて 午前8時でもまだ朝焼けの名残。
寝起きのまま ぼんやり窓の外を眺めていたら
ひとり またひとりと男性がやってきます。
右の公園から柵を超えて・・・何事でしょうか。
どうやら宿の目の前にある運河はゴンドラの夜間保管所らしく
彼らはこれから出勤するゴンドリエーレ(ゴンドラ乗り)なのでした。
もくもくと カバーをはずし片づけ 整備を確認して
音もなく大運河へと消えていきました。
街にいくつもある「ゴンドラ乗り場」から観光客を乗せて
ロマンチックなカンツォーネを歌いながら
今日も優雅に水路を滑らせていく・・・そんな男性たちでした。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Buona Sera Venezia!- 9月23日
イタリアの郷愁2011 ヴェネチア -こんばんは ヴェネチア!-
とうとう最後の訪問地 ヴェネチアに到着です。
サンタ・ルチア駅を出ると もう目の前には運河があります。
陽はとっぷりと暮れて 家路に付く人たちは早歩きの時間。
まずはともあれ 重い荷物を宿に置かなくては。
桟橋の窓口で船のバス”vaporetto”のチケットを買って乗り込みます。
地元の通勤帰りの人一杯の船内は 東京の満員電車さながら!
(上の画像は「italiying」さんからお借りしました。)
地図の左上にあるサンタ・ルチア駅から 宿のあるサン・マルコ寺院近くへ行くには
逆S字のカナル・グランデ(大運河)を通るのが一般的で
わたしもそのつもりで乗り込んだ船バスでしたが
出発して気づいてみれば 船は反対を向いてどんどん外海へ!
ヴェネチアの名所を通る運河からの 美しい夜景を楽しもうと思っていたのに
遠く離れていく街の灯り 真っ暗な風景と外海の強風で
頭の中は疑問と不安で一杯です。
後から地図で確認してみたところ 左からぐるっとジューデッカ運河を通るルートでした。
到着した停留所もサン・マルコ広場から少し離れた場所にぽつんとあり
薄暗い海沿いの道を 宿まで大きな荷物を引きずって歩くことに。
お腹はすくし 荷物は重いし 疲れているし 暗くて不安だし・・・
この旅でガイド役を買って出ていたわたしでしたが大失敗でした。
どうにか宿にたどり着き 部屋に入ったときは疲労困憊。
バタン!と仰向けになったベッドの上には
うつくしいヴェネチアングラスのシャンデリアが輝いていました。
この輝きを見て ようやくヴェネチアに来た喜びを実感したのでした・・・。
La nostalgia in Italia 2011 Venezia -Il vespro- 9月12日
イタリアの郷愁 2011 ヴェネチア -晩鐘の時-
15時30分 フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅を出発。
この旅最後の目的地 ヴェネチアへ向かいます。
(上の画像は「こちら旅の情報部」さんからお借りしました。)
夕暮れの車窓からみえる景色はローマ~フィレンツェ間で見た
渓谷や美しい丘陵とは一味違いました。
イタリア半島の西側フィレンツェから
東側にあるヴェネチアへの道はボローニャを越える頃まで
トンネルが多かったような記憶があります。
それもすでに曖昧ですが。
そして北に近づくにつれて ポー川のデルタ地帯が
近くなったのでしょうか 風景が平になりました。
地平線と森 茜色の空 そしてどこまでも広がる耕作地。
ジャン=フランソワ・ミレーが描いた「晩鐘」を思い出しました。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Arrivederci!- 9月05日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -さようなら!-
もう2年前にもなるイタリアの旅行記を続けていますが
いよいよフィレンツェを発つ日をお話ししようと思います。
朝 ザクロの実る宿の屋上からは
相変わらずの青空を背景にしたドゥオーモが見えました。
今回は本当に天気に恵まれた旅でした。
教会や家々の窓が青いのは 空の青が写っているからです。
思い出深く 名残惜しいフィレンツェですが
そろそろお別れの時が近づいてきました。
次の目的地 ヴェネチアが待っていてくれます。
(たぶん 待っていてくれているはずです・・・)
フィレンツェの中央駅 サンタ・マリア・ノヴェッラ駅で
電光表示板から予約した電車のホームを探します。
旅先での駅は いつもノスタルジックな気持ちになります。
ここにいる人々は これから違う場所に行く人
そして到着する人を迎えに来た人 様々です。
ヴェネチアへ向かうのは15時30分発のユーロスター。
2時間の旅です。
さようなら フィレンツェ!
また来ます。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Castorina- 8月26日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -カストリーナ-
右岸にある宿で一休みしてから向かったのは
カライア橋を渡って左岸すぐ サント・スピリト通りにある
Castorina というお店です。
入り口は小さく 早歩きでは見逃しそうなお店ですが
一歩入れば壁いっぱいに展示されている飾り彫刻の
豊富な種類には驚くばかりです。
そしてわたしは嬉しさのあまり目移りするばかり!
額縁に限らず 家具や室内の装飾に使うオーナメントが
数えきれないほど並びますが 店員さんに
「これとこれとあれ 幾つずつ」と言うと
間違えることなく奥から商品を持ってきてくれるのです。
観光客や「ちょっと見るだけ」なお客さんはまず訪れないらしく
静かな店内は足音と作業の音だけが響きます。
あまりな静けさに 少々緊張してしまいました。
奥の机(壁同様に商品が展示されている机)では
家具にゴンマ・ラッカ(シェラックニス)を塗る職人さんの姿。
「写真を一枚良いですか?」と尋ねると 無言で頷いて下さいました。
とたんにちょっと照れくさそうな表情と動きになって
これがまたいかにもフィレンツェの職人さんらしいのでした。
zecchiと並んで フィレンツェに行ったら必ず寄りたいお店のひとつ。
頂いたカタログ代わりのCD-ROMを見ながら
今から次に行ったときに買いたいオーナメントを選んでいます。
Castorina : http://www.castorina.net/
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Extra 9 Loro camminano – 8月15日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -番外9 彼らは歩く-
歩き疲れた午後に 宿にいったん戻って一休み。
部屋に上がるのも面倒で 暖炉の燃える暖かなサロンの
ソファーで気分転換することにしました。
ナポレオンをテーマにしているのでしょうか
壁には沢山の額がありました。
高い天井に緑の壁・・・不思議と落ち着きます。
日が暮れるにはまだ早い時間 窓からは
道を歩く人々が見え なかなか面白い観察でした。
まずはこの男性。
わたしの印象と記憶では フィレンツェの冬に
一番多く見かける男性ファッションです。
ジーンズに大きなハーフコート。(ジャケット?ジャンパー?)
これは黒だったり深緑だったり革製だったり。
でも靴はほとんどの人が茶色な印象。
30代から70代くらいまで幅広い年齢層で見られます。
次にあらわれたのは 歩く姿も美しい女性二人組。
奥の人は歩きやすそうな柔らかいブーツに
鮮やかなオレンジ色のパンツを ブーツインしています。
街の中に屋根瓦のオレンジ色や明るい色の木製品があるせいか
このパンツの色も風景に馴染んでいました。
手前の女性は全身モノトーンで 大きなバッグや
ワンポイントの入ったタイツはわたしも好きです。
そして驚くほど高いヒールでも 膝の後ろをきっちり伸ばし
石畳を歩きぬける・・・その動きが一番のお手本でしょう。
最初に観た男性が 商店や工房の方だとしたら
こちらの男性は まさにサラリーマンですね。
磨かれた黒い靴にビジネスバッグもコートも
そして手袋も黒。
お仕事中なのか かなりの早足で通り過ぎました。
フィレンツェではミラノやローマより
サラリーマン的な服装の男性は少ない印象です。
最後の男性は 年齢は写真からはよく分かりませんが
手にする紙袋に目が留まりました。
なんだか・・・富士山の絵に見えませんか?
はたまたセザンヌの絵? いやいや やっぱり富士山でしょう。
日本土産をもらったのか 何かの偶然か
(実は富士山はまったく関係がなかったか?!)気になります。
さて・・・こうして人間観察をしている間に
棒のようだった足も 少し楽になりました。
これから目指すは 昨日は既に閉店していたお店へリベンジです。
もちろん わたしも歩いて行きます。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Cornici Maselli- 8月05日
サン・ロレンツォ教会からサン・マルコ教会への道すがら
留学当時から気になっていた額縁工房の前を通りました。
「Cornici Maselli」という大きくて名のある工房です。
入り口は小ぢんまりしていますが 奥は広く
ショーウィンドウはいつも上品にまとめられています。
手前のウィンドウには小さなピノキオ人形が可愛らしい。
入り口左側のウィンドウにも手の込んだ高級額縁と一緒に
白いケースに大切に入れられた白木のピノキオが見えます。
どうやら「ピノキオ文化協会」という会があり
このお店の方は会員で 物語にある実物大のピノキオ人形を作ったとか。
額縁とともに手彫りのピノキオ人形も販売しているそうです。
物語「pinocchio」の舞台はフィレンツェ
額縁もフィレンツェの特産工芸品のひとつ
そしてどちらも木工職人の手仕事
という繋がりがあるのです。
この日 ひさしぶりに「Cornici Maselli」の美しい店構えを見て
本当はもっとじっくりウィンドウを覗き込みたかったのですが
なんだか気後れしてしまって そそくさ退散しました。
またいつか訪ねる日があったらきっと お店の中まで入って
Maselli氏にお会いしてみたいと思っています。
Cornici Maselli : http://www.cornicimaselli.com/index.php
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Il melograno- 7月25日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -柘榴-
11月のフィレンツェでは 市場でも街中の木でも
柘榴の実りを見ることができました。
日本では あまり見かける機会が無いように感じる
柘榴の実ですが 中国からヨーロッパにかけての
大陸では身近な果物のようです。
宿泊先にも大きなテラコッタの鉢に植えられた柘榴に
ひとつだけ実が残っていました。
誰も食べないのかしら 鳥のご馳走かしら などと
余計な心配をしたのは わたしだけのようですけれど。
今 手元にある「ヨーロッパの模様辞典」という本によると
「西アジア原産の柘榴は種子の多さから繁栄のシンボルとされた。
14世紀のイタリアを中心に東方的なイメージとしてもたらされた
柘榴模様は独自に変貌しつつ高級織物の模様として発展した。」とあります。
ルネッサンスからバロックにかけて 貴婦人の豪奢な衣装に
柘榴模様が使われています。
「柘榴模様の衣装」で一番に思い出したのは
アーニョロ・ブロンズィーノが描いたこの作品でした。
Eleonora di toredo col figlio Giovanni (1544~45)
Galleria degli Uffizi,Firenze
「エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョヴァンニの肖像」
これもまた「多産・繁栄」を象徴する柘榴模様は
外国から嫁いできた女性の肖像画の衣装としてふさわしいのでしょう。
「貴婦人と一角獣」のタピスリーに織り込まれている
貴婦人の衣装にもダマスク織にゴブラン織・・・もちろん柘榴模様がありました。
ドレスの模様もベルトの垂れ飾りも柘榴です。
時代なのか作られた場所なのか 上の肖像画の衣装よりも
柘榴模様がより具体的というか 柘榴と分かりやすい形で
表現されているようです。
14世紀当時とほぼ変わらない佇まいのフィレンツェの街を旅して
今もかわらず愛でられている柘榴を見て・・・
はるか昔の彼女たちの栄華に思いを馳せます。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze – Extra 8 I biglietti dei musei- 7月15日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -番外8 美術館のチケット―
日本での映画前売り券や特別展覧会のチケットには
きれいな写真が印刷されていて 鑑賞後もコレクションしてしまいます。
でも常設展や映画の当日券は・・・日付の印刷があるシンプルな券ばかり。
イタリアの美術館の常設展でも やはり同じです。
下の写真は 上から
サン・ロレンツォ教会の聖具室入場券
サン・マルコ美術館
メディチ家礼拝堂入場券(サン・ロレンツォ教会内)
下の2枚はフィレンツェ市の統一チケットのようで バーコードで管理されています。
美しいデザインではあるけれど わたしのような
「何でも捨てずに取っておく旅行者」にとっては
ピンクのサン・ロレンツォ教会聖具室入場券のように
昔ながらというか 趣の残るチケットのほうが嬉しかったりして。
そのうち この聖具室入場券も下の統一チケットになるのかもしれません。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Terracotta- 7月04日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -テラコッタ-
朝 宿泊先の屋上に行って冷たいけれど新鮮な空気を深呼吸。
様々な高さの屋根の連なりの向こう側に
朝日を浴びるサン・ロレンツォ教会のクーポラが見えました。
テラコッタの瓦屋根のグラデーションの波に
これまたテラコッタの煙突から出る蒸気がきれいでした。
地上から見る街は 建物はルネッサンス当時と変わらずとも
現代的な服装の人々や車が通り 商店の看板もあります。
でも屋上からの眺めは 現代的なものがほとんど目に入らず
大昔から変わらないテラコッタのオレンジ色が見えるばかりなのです。
そしてこの風景は個人的に なんだかとても「留学当時」を思い出させます。
屋根裏にあった友人のアパートからの眺め
学校にあった藤の花が美しく咲くテラスからの眺め・・・
限られた旅の時間 物思いにふけってばかりはいられません。
暖かいカプチーノと甘いブリオッシュでイタリア的朝食をとって
さっそくサン・ロレンツォ教会の見学に出かけることにします。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Mi manca la dolce!- 6月20日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -甘いものが食べたい!-
フィレンツェはローマやミラノに比べると
小さな街ですので 散策はほぼすべて歩きです。
歩いて回るからこそ 目的地への途中での発見が沢山あり
気になる路地の寄り道も気の向くまま です。
そして心躍る興奮のぶん エネルギー消費も増えまして・・・
つまり甘いものが食べたくなるのです。
わたしの額縁師匠マッシモ氏の工房から歩いて数分のところに
ベッカリア広場があります。
映画館があって 留学当時何度か通った場所です。
ここに可愛らしいケーキ店ができていました。
「DOLCI E DOLCEZZE」というお店。
ミントグリーンと金の配色も女性好みの可愛らしさ。
ドゥオーモ広場にあったような伝統的なお菓子屋さんとは一味違う
日本でも見かけるようなシンプルなケーキが並びます。
イタリア語で「甘い」を “dolce”と言いますが
ケーキなど甘いものを指す言葉でもあります。
店名を訳してみればそのまま「ケーキとお菓子」。
店内のカウンターには タルトレットがぎっしり並びます。
目移りしてひとつを選ぶのが一苦労・・・
このお店の一押しは レモンのタルトだとか。
午後には売り切れてしまう人気商品だそうです。
同行した人が選んだので ひとくちお味見。
エッセンスなど使わない レモン本来のさわやかさでした。
悩んだ挙句 わたしは木イチゴのタルトにしました。
なぜこれを選んだか?・・・見かけの可愛らしさです!
これまた木いちごの甘酸っぱさとカスタードクリームが絶妙。
本当はひとつと言わずいくつでも という気分でしたが
じつはまだ午前中でしたので 我慢我慢。
ちなみにこのお店の素敵なところは タルトと一緒に
スプマンテ(白の発泡ワイン)の組み合わせをお勧めしてくれるところ。
まだお日様が真上を通る前から ケーキとワインでほろ酔いのご機嫌
益々散策が楽しくなったのでした。
dolci e dolcezze : http://www.mercurioviareggio.com/dolci&dolcezze.htm
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Extra 7 La cartolina Misteriosa- 6月06日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -番外7 不思議絵葉書-
何度かご紹介している「不思議絵葉書」シリーズですが
今回のイタリア旅行で見つけた一枚は
フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会所蔵
十字架磔刑の木彫写真でした。
細密に彫られた木彫象に さらに彩色をほどこし
イエス様がうけた拷問の傷跡 滴る血が
あまりに生々しく 痛々しい。
執拗なまでの傷の表現に対して
イエス様の表情は 穏やかです。
そして 煌々と当たる照明の反射でなお一層
印象を強くしています。
ほかの「不思議絵葉書」同様に
静まり返った深夜に物音ひとつせず
ここだけが真空の異空間のような・・・
やはり誰宛にも投函せず 持ち帰りました。
Basilica di Santa Maria Novella
Crocifisso in legno dipinto di Cultura Anglosassone
sec.XIII‐XIV
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Mamma d’Italia- 5月23日
イタリアの郷愁2011 フィレンツェ -イタリアのマンマ-
Mamma Mia! (マンマ・ミア!)
というセリフはイタリアで良く聞かれる言葉ですが
日本で言えば 良い意味の時も悪い意味の時も
「なんてこと!」といった感じです。
直訳すれば「お母さん!」ですけれど。
イタリアの人たちにとって それだけお母さんの存在が大きい証ですね。
さて イタリアで聞いた面白い言葉で
「パンツにアイロンをかけるお母さん」というものがあります。
これは「典型的な古き良きお母さん」という感じでしょうか。
わたしが住んでいたアパートのキッチン窓は中庭に面していて
プライベートな生活感あふれる部分が 隣近所お互いに垣間見える場所でした。
ある夏の日 お隣のお母さんがテレビを見ながら
家族全員の洗濯物すべて(Tシャツから靴下 そしてパンツも)に
アイロンをかけておられるのが開いた窓から見えて
半信半疑だったこの「典型的イタリアのお母さん」の姿を
リアルに目の当たりにした驚きがありました。
室内は居心地良く整えられ 掃除が行き届き
毎週末には美味しそうな料理が並ぶテーブルを囲んで
離れて暮らす家族が賑やかに勢ぞろいする・・・そんなお宅でした。
きっとイタリアの理想的家族そのままの姿のような。
下の写真はフィレンツェの通りから見えたテラスです。
よく手入れされた植物と きちんと干された沢山の洗濯物。
この家でもきっと溌剌としたお母さんが
洗濯物にアイロンをかけているのだろうなぁ・・・。
キッチンから見えたお宅の幸せな風景を思い出していました。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Zecchi- 5月13日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -ゼッキ-
古典技法絵画や修復などにご興味ある方の間では
かなり有名な画材店「Zecchi」(ゼッキ)です。
いまさらご紹介するまでもない・・・かもしれません。
この短い旅の間にも数回通いました。
デザイン用具やアクリル絵の具など現代の製品も勿論揃いますが
金箔作業の道具 膠や古いレシピの顔料にオイル 銀筆
1頭分まるまるの羊皮紙 修復に欠かせない天然樹脂・・・
さすがルネッサンス発祥の街だけある品揃えです。
ドゥオーモの近く 横丁にある小ぢんまりとした店ですが
夕方には学生や本職の画家さん 世界各国の旅行者で狭い店内は満員。
イタリアのお店の特徴なのか 店内で自由に商品を手に取って
(チューブ入り絵具や筆等)選ぶこともできますが
基本的に カウンターで店員さんにお願いして
奥から出してもらったり 顔料を量り売りしてもらいます。
これがまた 何とも「ちょっと特別」な感じで楽しくもあります。
混雑時には延々と待つことになりますが
イタリア的なゆっくりとした時間の進み方なのです。
「郷に入れば郷に従え」ですね。
そして気を付けなければいけないのがお昼休み!
朝の開店が8時30分と早い分 お昼休みは3時間もあります。
最近ではイタリアでもお昼休みがないお店が増えましたが
ゼッキのような古いスタイルのお店も健在です。
わたしが今回フィレンツェ滞在中に数回通うことになったのも
このお昼休みのタイミングや夕方の混雑で
なかなか思うように買い物がはかどらなかった・・・という理由。
でもご安心! 帰国後に「買い忘れた!」なんてことがあっても
ホームページのサイトからメールで注文
海外発送もお願いすることができます。
http://zecchi.it/ (左上角のイギリス国旗クリックで英語表示)
留学当時 大学病院で親不知を抜いた帰り道
腫れた顔をして寄ったゼッキで 店長のおじさんに
「おお 良く頑張ったね」と慰めてもらったのも思い出です。
おじさんは髪がずいぶん白くなったものの お元気でお店は大繁盛でした。
ちなみにこの店長のおじさん 「冷静と情熱のあいだ」という
フィレンツェを舞台にした日本映画で画材店の店長として登場しています。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -I fratellini- 5月02日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -イ・フラテッリーニ-
旅行者にとって昼食は大きな楽しみの一つ。
そしてイタリア人にとっても同様に 大きな楽しみの一つです。
ドゥオーモとシニョリーア広場の中間にある
“I fratellini” というスタンドはフィレンツェ人でいつも賑わっていて
旅行者にもおすすめの立ち飲みワインとパニーノ(サンドイッチ)の店です。
店の名前 “I fratellini” とは直訳すると「兄弟」の意味。
そっくりな兄と弟で切り盛りする繁盛店です。
写真を撮ったのは早い時間でしたが これがお昼時にもなれば黒山の人だかりです。
お行儀よく後ろで待っていたら いつまでたっても順番は来ません。
とりあえず人をかき分けカウンターに乗り出してアピールします。
兄(おそらく)がきちんと「カウンターにたどり着いた順番」で
注文を取りワインを継いでくれて 弟がせっせとパニーノを作ってくれます。
以前に市場のお話でもご紹介した生ソーセージのパニーノ
“Il panino alla salsiccia fresca e melanzane”(生ソーセージとナスのパニーノ)
を右手に キアンティ・クラッシコの赤ワインを左手に持って
賑やかにおしゃべりしながら パンくず目当ての鳩を踏まないように気を付けながら
地元民のように堂々とかぶりついて味わうのも一興です。
食事が終われば 写真手前の男性が手をかけている木の棚に
ワイングラスを返し 下のくずかごにパニーノの紙屑を捨て
また午後の散策や仕事に戻りましょう。
留学当時には 昼休みに友人とここでパニーノと炭酸水を買って
(午後に授業や工房での作業があったのでワインはお預け!)
シニョリーア広場のロッジア前階段に座って食べたのを思い出し
この旅でも同じようにしてみました。
パニーノの味もロッジアからの眺めも 何も変わっていません。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Duomo2- 4月15日
花の都フィレンツェの象徴 サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂は
遠くからも見えるオレンジ色のクーポラ(円蓋)が印象的ですが
近寄ってみると じつは様々な装飾で埋め尽くされています。
ピンクとペールグリーンそして輝く白の大理石モザイクは
とても繊細で ひとつひとつの仕事を考えると
一体何人の職人がどれだけの時間をかけて細工をしたことか!
その膨大な時間と誠実な作業に感動します。
巨大な扉では こんな愛らしい天使が迎えてくれます。
凝ったファサード装飾に比べて 内部はシンプルではありますが
信者が祈り 自分の内面と対峙する場と考えるなら
いっそ控えめな装飾が相応しいとも思えます。
この聖堂内で 数えきれない人たちが
想像を超える回数の祈りをささげ
助けを求め 感謝し 心を落ち着かせたことでしょう。
それら人々の「濃い心」が降り積もり沁み込んだような
厳粛な空間でした。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -La torta di ricordi- 4月04日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -思い出のケーキ-
フィレンツェ ドゥオーモ広場の西の角にあるお菓子屋さん。
ウィンドウには色とりどりのケーキやクッキーが並びます。
レモンやオレンジのアイシングがかかったもの
イチゴやキゥイ メロンのデコレーションケーキ
奥にあるのはカラフルなマジパン細工でしょうか。
手前にはメレンゲや粉砂糖のかかったクッキーにマドレーヌ
そして左奥には有名なカントゥッチ(ナッツ入りの固いクッキー)が見えます。
どれもこれも美味しそう!
イタリアの街の 伝統あるこんなお店のお菓子は
日本のものより数段甘く エッセンス等の味も濃いように感じます。
最初は驚くけれど 慣れると虜になります・・・。
19歳の夏にフィレンツェを訪れ 20歳の誕生日を迎えました。
その時に同行していた友人たちが この店のケーキを買って
祝ってくれた思い出があります。
この店でいつも思い出す あたたかな記憶。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Duomo1- 3月25日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -ドゥオーモ 1-
わたしが初めてフィレンツェを訪れたのは19歳の冬でした。
その頃はボッティチェッリの絵が大好きで
(勿論今も好きですが もっとずっと好きだった頃です)
彼が生まれ育ち絵を描いた街に行けると 心から喜びました。
いざフィレンツェに着き 遠くにこの大聖堂の円蓋が見え始め
いよいよ暗い路地の向こうに 明るく輝く大理石のモザイク壁が見えたとき
あまりの喜びと興奮で 心臓が壊れてしまうのではないかと思いました。
大げさですね。
でも当時の若い心を持ったわたしにとっては
フィレンツェに ドゥオーモに来る事ができたのは大きな感動でした。
この大聖堂にも ボッティチェッリが来たのだ
ボッティチェッリもレオナルド・ダ・ヴィンチも実在したのだ・・・
そんな風に ドゥオーモのどこを見ても嬉しくドキドキしたものです。
いまもその時の感動は覚えていて ドゥオーモに来る毎に
くりかえし思い出し この街とのご縁への感謝の気持ちになります。
そして あの頃のみずみずしい心が遠くなった代わりに
今のわたしが得たものがあることに 改めて気づきます。
フィレンツェを象徴する人 ロレンツォ・デ・メディチ(1449~1492)の詩
“Quant‘e‘ bella giovinezza
che si fugge tuttavia,
chi vuol esser lieto sia
del doman non v’e‘ certezza”
若さとはなんと素晴らしいことだろう
しかしその時間はすぐに過ぎ去る
楽しみなさい
明日に確かなことはなにも無い
(上の日本語はわたしの意訳です)
ルネッサンス時代からいまも 人が感じることは変わりないのですね。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Solo un po’ di cielo- 3月11日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -少しだけの空-
フィレンツェの旧市街は おそらく1400年代後半の
ロレンツォ・デ・メディチの時代辺りに完成され
それ以降 今に至るまで 建物も道も大きな変化は無いのでしょう。
それがフィレンツェをフィレンツェたらしめている魅力。
ルネッサンス時代の様子を想像するのも難しくありません。
現代の車やバスで通るには不便な細い道も
歩いたり馬に乗っての移動には適していたのだ・・・と感じます。
ルネッサンス時代から変わらない
建て込んだ路地や細い道からは 空がとても細く見えます。
クリーム色やベージュのしっくい壁
灰色の石造りの屋敷塀に イタリアらしい濃い青空が映えます。
そして向こうにはドゥオーモ 正式には
サンタ・マリア・デル・フィオーレ「花の聖母寺院」の
大円蓋が 屋根の隙間から見えてきました。
いよいよです。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Extra 6 Un chiacchiere con cagnetto- 2月28日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -番外6 犬と世間話-
ご主人さまに連れられて ほぼ毎日来るところ
レストラン”Sostanza”のいつものテーブルの下は
勝手知ったる場所でございますし ウェイターのおじさんも
お客さまの半分も 馴染みの方々ばかり。
なのでワタクシもお愛想を振りまく必要も無くて
たいへんに居心地良くすごしております。
ですが たまにこうして旅行者にカメラを向けられると・・・
ちょっとうれしくて つい尻尾が小さく振れてしまいますのです。
フィレンツェの街 そして”Sostanza”は
お気に召して頂けましたですか?
そうですかそうですか・・・それは良うございました。
どうぞ良いご旅行を!
・・・と言っていたりして。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -La medicina di principessa- 2月18日
イタリアの郷愁 フィレンツェ -お姫様の薬-
ほの暗い部屋の古い戸棚 中に並ぶのは秘密の薬。
修道士が代々受け継ぐレシピで作った薬は1500年代に
メディチ家からフランス王家へ嫁いだカトリーナも携えていたとか。
当時の面影を今も感じられる 美しくも妖しい(?)薬局が
今もサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のほど近くにあります。
その名もFarmaceutica di Santa Maria Novella (サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局)
すでに日本でも有名になって 銀座店丸の内店とありますが
本店は美術館と見まごうばかりの内装です。
薫り高いクリームやパウダー 香水にうっとり。
今もルネッサンス当時のレシピで作ったという
気付け薬を販売中です。
舞踏会で踊りつかれ ふらりと気が遠くなったお姫様に必要なもの。
・・・どんな香りなのでしょうね?
http://www.santamarianovella.jp/
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Come si chiama?- 2月07日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -何と呼ぶ?-
イタリアの街には裏通りなどに小ぢんまりと
八百屋 肉屋 パン屋 万屋(乾物や瓶詰等)が
ワンセットのように並んでいたりします。
この八百屋さんもそんなお店でした。
わたしの大好きな芽キャベツが箱一杯
その上には大きくて立派なポルチーニ茸が見えます。
一番下で存在感を放っているのは柿です。
イタリア語で柿をなんと呼ぶのでしょうか?
Come si chiama questa frutta?
答えは「KAKI」カキ でした。
上の写真を拡大してみると・・・
「KAKI」と書かれています。
柿は日本原産で 学名も“Diospyros Kaki”と呼ぶとか。
イタリアの八百屋さんで見つけた
意外な「日本」でした。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Librelia bancarelle- 1月28日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -屋台の古本屋-
フィレンツェの中心からすこし東に行ったところに
チョンピ広場があります。
毎月第4日曜日に骨董市が立つのですが
普段にもこうして古本の屋台が数件並んでいることも。
この屋台では美術関係の本が沢山売られていました。
「1冊1ユーロ」や「買取します」なんて張り紙とともに
なにやらセンテンスがいくつか見えます。
読み取れたひとつには
「文化は素晴らしいと思うなら無知になれ。」
また他には
「本は日々失われてゆく。タイムワープする前に買うべきだ。」
「無知な人と議論する必要は無い。彼らは違いを理解しないから。」
など。
この屋台の店主の姿は写っていませんが
いかにも「本を愛する偏屈者」の姿が見え隠れ・・・
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -L’altro lato della porta 1月17日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -扉の向こう側-
イタリアの古い街を歩いていて目に入るのは
細い石畳の道 そして道に接して建つ巨大な石造りの建物。
道に面しているこれまた大きな木の扉は閉じていて
建物内部がどうなっているのか うかがい知れません。
ですが一歩建物内部に入ると中庭があり
明るい日差しが入る場所には植物もあります。
そこは住んでいる人たちだけのプライベート
秘密の空間です。
旅行者が中庭を見る機会はほとんどありませんが
たまに・・・こうして通りから垣間見るチャンスもあって
その秘密の空間が羨ましく
想像を膨らませるきっかけにもなるのです。
どんな人が住んでいるのでしょうか?
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Bottega scultoria- 12月31日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -彫刻工房-
ドゥオーモから路地をすこし南に行ったところ
お店や食堂など小さな建物が密集した裏通りに
大理石の彫刻工房があります。
お昼休みで工房内部はお留守なのを良いことに
ガラス窓からじっくり覗き込みました。
この工房は観光用などではなく れっきとした現役。
整理整頓され 掃除も行き届いています。
ゴシック風の束柱や聖人像など
クラシカルな作品が並ぶ薄暗い工房は
まるでタイムカプセルの中のようではありませんか?
電動クレーンを滑車に
プラスチックケースを木製に変えれば
そこはもうルネッサンス時代と見分けがつきません。
フィレンツェの街には住宅やお店と同じ通りに
当然のように様々な工房があります。
それはルネッサンスの時代から変わらないことだとか。
あわただしい東京では 普段の生活から少し遠い存在に
感じることが多くなってしまった職人や工房ですが
フィレンツェでは未だ 特別なことではなく身近にあって
職人と世間話をしたり 彼らの仕事ぶりを近く感じる事ができる・・・
これもイタリアを象徴する風景のひとつなのです。
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2012年のブログも今日31日で終わりです。
本年もKANESEIブログをご覧下さり ありがとうございました。
また 様々な場面でご教授 ご助力くださいました方々
そして額縁をお買い上げ下さいましたお客様
誠にありがとうございました。
来年もまた相変わらずのペースではありますが
額縁の制作と修復に精進いたします。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2012年 大晦日 KANESEI
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Addio un negozio antiquariato del Borgo Albizi- 12月10日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -さようなら アルビツィ通りの骨董店-
イタリア留学最後の夏に 母がフィレンツェまで
訪ねてきてくれたことがあります。
2人で下宿先のアパートからドゥオーモのある
中心地まで散歩をしました。
Borgo Albizi(アルビツィ通り)は素敵な商店が並ぶ賑やかな通りで
ウィンドウショッピングには最適です。
普段ひとりで歩いていても入る勇気が起きなかった
薄暗くて古めかしい骨董店があったのですが
その時は母とふたりだったこともあり きしむドアを開けてみました。
おそらくとても広い店内は 壁も見えないほど
あらゆる骨董品がぎっしりと詰め込まれていて
その商品の隙間に 小さなおじいさんとおばあさんの店主ご夫妻が
まるで商品の一部のように座っていました。
ウィンドウに飾ってあった銀のデザートフォークを購入しようと
価格をたずねたところ 最初におじいさんが提示した価格が
低すぎると言って すかさずおばあさんから意見が入り
どちらもなかなか譲りません。
結局 おじいさんとおばあさんの価格の中間で決着しました。
そのデザートフォークは もちろん今も我が家で活躍中です。
このフォークを使うたび あの時のご夫妻の様子が思い出され
フフフ・・・と笑ってしまいます。
そして13年ぶりに 今回の旅行でこの骨董店に行ってみると
閉店の片づけ最中でした。
魔法の道具を売っていても不思議ではないような雰囲気だったお店は
あらかたの商品が運び出されたあとで 薄暗い照明ががらんどうを照らし
数人が(おそらくご家族と思われる)忙しく動いています。
13年前とおなじ椅子に座ったおばあさんは13年前よりさらに一回り小さくなって
ぼんやりした眼差しで空になっていく部屋を眺めていました。
そして おじいさんの姿は見えませんでした。
さようなら アルビツィ通りの骨董店。
デザートフォークは大切にします。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze extra5 11月29日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ 番外5
こちら街の旅行代理店。
いらっしゃいませ。
お正月旅行のご予約はもうお済ですか?
なんちゃって お昼休みで留守番なのでした。
これからお昼寝(シエスタ)の時間です。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze extra4 11月19日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ 番外4
イタリアを旅する楽しみの大きなひとつは
なんといっても食事があると思います。
日本にも沢山の美味しいイタリアンレストランがありますが
旅先での食事は 空気も雰囲気も そして自分の気持ちも
すべてが特別に感じられますから。
そして何より一期一会の貴重な体験です。
今回の旅での大ヒットはこの本でした。
その名もズバリ「フィレンツェ美食散歩」です。
春夏秋冬の季節に合わせてのお勧め観光ルートに合わせ
さらにお勧めのレストランやトラットリア バールが
紹介されており もちろん「Trattoria Sostanza」も。
巻末にはお土産の食材 ドライトマトや塩漬けケッパー等を
使った美味しいレシピまで載っています。
現地フィレンツェに住む著者(ご夫妻)ならではです。
この本お勧めのお店に3~4軒行きましたが
どこも気取らず旅行者にも入りやすいお店ばかりで
全て大満足という大変うれしいガイドブックでした。
フィレンツェを旅する方にぜひお勧めしたい一冊です。
データ : 「フィレンツェ美食散歩 おいしいもの探しの四季の旅」
著者 池田匡克/池田愛美
地球の歩き方GEM STONE
2009年6月 第1刷発行
La nostalgia in Italia 2011 -Firenze- Mercato di Sant’ Ambrogio 2 11月08日
イタリアの郷愁 2011 -フィレンツェ- サンタンブロージョ市場 2
フィレンツェの東にあるサンタンブロージョ市場は
ご近所に愛される庶民的な市場です。
品揃えは豊富で新鮮! 食材以外にも靴やバッグ
下着(!)の露店も並ぶ 観光客にも楽しい場所。
前回の野菜売り場に続いて 今日は建物内部のお店をご紹介します。
野菜売り場の辺りのさわやかなハーブや野菜の香りから
建物内部は一変して発酵食品やスモークなどの濃厚な香りを感じます。
中央市場に比べてもこぢんまりした市場内部で
最初に見えるのがこのお店。
ハムやチーズ 瓶詰や乾物が所せましとあります。
オリーブにチーズにハムは 選ぶのに悩むほど。
奥にはパンもありますから 今夜のオードブルにどうぞ。
このお店には じつはもう一つの名物があります。
手打ちの生パスタがこれまた沢山!
リコッタチーズやほうれん草 かぼちゃの詰め物のラビオリ
めずらしいのは手前の緑のラビオリ。
「ortica」という野菜(食用イラクサ?)を練りこんだ生地です。
どのパスタもささっとゆでてバターソースにセージでも散らせば
それでもうお腹いっぱい幸せいっぱいです。
わたしは毎週土曜の朝にこのお店の生パスタを買って
お昼に食べるのが週末のちょっとした贅沢の楽しみでした。
そして肉屋さんも見逃せないお店です。
豪快に羽や毛がついたままの鶏やウサギが下げてあることも。
大きな塊肉を「ステーキ用に」や「シチューに」などと
厚さも量も希望通りに切り売りしてくれるのは日本と同じです。
見ていて楽しいのは 上の写真のおじさんのように
目移りするほどに並んだ「下ごしらえ済み」のお肉です。
ロールキャベツ 豚ヒレ肉のローズマリー風味
薄切り肉のチーズ包み 鴨肉のオレンジソース・・・
どれもこれも忙しい夕方に頼もしいものばかりです。
イタリアでの自炊生活で一番よく食べた肉類といえば
この「salsiccia fresca」(生ソーセージ)です。
そのままゆでても焼いても もちろん美味しいのですが
イタリアのマンマ達は皮をはがして挽肉状にして
トマトと煮込んでパスタのソースに使っています。
ハーブや香辛料が練りこまれて お店ごとのレシピがあります。
そして驚くのは この生ソーセージのパニーノがあること。
タルタルステーキのサンドイッチのような感じなのですが・・・
これがまた美味しいと言ったらもう!
日本人には馴染みがありませんがモノは試し
フィレンツェにいらした際には一度召し上がってみてください。
La nostalgia in Italia 2011 -Firenze- Mercato di Sant’ Ambrogio 1 10月29日
イタリアの郷愁 2011 -フィレンツェ- サンタンブロージョ市場 1
かつての我が家から そしてマッシモ氏の工房からもほど近くに
サンタンブロージョ市場があります。
フィレンツェには二つの市場があり
中央市場は規模が大きくフィレンツェ人と観光客と両方に愛される一方
こちらサンタンブロージョ市場は比較的規模が小さく
もっぱらご近所さん方に愛されている市場です。
こちらの市場の営業時間は早朝からお昼ごろまで。
わたしもほぼ毎日 学校帰りまたは工房帰りの午前に寄っていました。
いまでも庭のバジリコの香りをかぐと
市場の入り口に沢山あった八百屋さんの香りを思い出します。
市場の建物内には肉屋 チーズ屋 雑貨屋や生パスタの店
建物の外には主に八百屋がずらりと並びます。
どの店も旬の品物しかありません。
ある日 全ての店にアスパラガスが山積みになったかと思えば
しばらく後 突然にアスパラガスは市場に一本も見つからない!という感じ。
もちろんスーパーマーケットもあって 品揃えは日本同様ですが
市場は安くて新鮮なうえ 旬を知る事ができて楽しいのです。
食材であり植物でもある商品の「独特の香り」を感じるのは
やはり市場ならでは だと思います。
たくさん並ぶ八百屋ですが 皆さん馴染みの店があり
わたしもかつて毎日通った店に行ってみました。
当時は肝っ玉母さんと豪快な娘さんコンビのお店でしたが
今は男性がいました。息子さんでしょうか。
イタリアらしくアーティチョークやサボテンの実が見えます。
手前の葉つき蜜柑はマンダリーノと言って
日本の蜜柑のように手でむいて食べる事ができますが
味は日本の蜜柑とオレンジを足して2で割ったような感じです。
オレンジは1キロ1ユーロ50セント。
アフリカから地中海をこえて届けられたのでしょうか。
価格はほぼキロ単位表示ですが もちろん少量でも買えます。
こちらのお店では栗や胡桃など秋のナッツ類と旬のザクロ
そしてどんな時も欠かさないトマトが数種。
ぴかぴか輝く枝付きプチトマトの美味しそうなこと!
こうした庶民的な場所を尋ねると
その街とさらに仲良くなった気持ちがします。
観光名所同様にとても楽しいので ぜひお勧めです。
次回は建物内部をご紹介します。
これまた美味しい食材が山積みです・・・。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze extra3 10月18日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ 番外3
とある庶民的スパーマーケットで見つけた商品。
瓶入りの離乳食ですが
メニューは ウサギ ラム 仔牛・・・
下段には 川魚に白身魚らしきものも。
お国柄でしょうか グルメです!
おもわず試食したくなりました。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Trattoria Sostanza- 10月04日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -トラットリア・ソスタンツァ-
フィレンツェに来たならば ぜひ・・・いえ「必ず」
行きたいと思っていたトラットリア(食堂)があります。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会からほど近い
“Trattoria Sostanza” 直訳すると『物質食堂』でしょうか。
あまりに直訳すぎますが いわばシンプル至上主義。
フィレンツェの郷土料理で有名な老舗店です。
古いながらも大変清潔なお店。
真っ白なクロスがかかったテーブルは 基本的に相席です。
夕食にしては早い時間だったので まだお客様もまばらですが
この後すっかり満席になり 外には行列ができていました。
まずは前菜に お店の名物「アーティチョークのオムレツ」
ふわふわでとろける卵にアーティチョーク(朝鮮アザミ)が包まれています。
卵にはしっかり火が通っているのにまったく固くありません。
このふわふわ仕上げがプロの技なのです。
ワイン片手にメインディッシュは「ステーキ」です。
トスカーナ州名産のキアーナ牛の炭火焼き
“La bistecca alla Fiorentina”
骨付きですが600gはあります。
この日は二人でシェアしましたが 一人でも平らげてしまえそう。
霜降りではなく 美しい赤味のレアステーキは
口に脂が残らず 胸焼けの心配もありません。
お店の名前の印象があるからか なんだか
「生きるために物質を摂取する最高の方法」で調理されているような・・・
身心に行き渡る美味しさでした。
そしてデザートには野イチゴの砂糖&白ワインかけを。
ご覧のように 白いテーブルに白いお皿
飾り気も無いけれど 味で勝負です。
あまりの美味しさに唸り続けた2時間でした。
ちなみに フィレンツェ最後のランチにもまた
この “Trattoria Sostanza” に駆け込んで
最後のシンプル料理を堪能しました。
思い出しても口の中がおいしい記憶で一杯です・・・。
データ : ”Trattoria Sostanza”(トラットリア・ソスタンツァ)
Via Porcellana, 25/r, Firenze, Italia
tel 055.212691
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -La varieta’ di gusti- 9月20日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -様々な趣向-
アルノ川右岸 夜の川沿いの道を散歩していると
「モスカルディ」という額縁店を通りかかりました。
生憎すでに閉店しており 窓から中を伺うばかり。
全面に彫刻を施し 金箔を使った華やかな額縁が沢山並びます。
場所柄 観光客も多く通るからなのか
ウィンドウも美しくデコレーションされています。
ロココ バロック ルネッサンス・・・額縁様式も様々。
額縁に限らず 燭台も箔仕上げで
アンティーク風の加工も見事な仕上がりです。
真っ赤な絨毯と金の色 そして間接照明のライトで大変豪華。
横のウィンドウには小品も並んでいました。
これまた凝った細工でとても可愛らしい!
後ろにはラファエッロの聖母子像が見えますが
このお店の好みがよく表れていました。
マッシモ夫妻の作る額縁とはまた違う趣の額縁店。
教会の区画それぞれに 恐らく必ず一件はある額縁店は
どこもその店独自の味を出した作品を作っている様子が
ウィンドウから垣間見ることができます。
お客様方がそれぞれに好みの額縁店を選ぶ事ができて
そして更に趣味を凝らした額縁をオーダーできる・・・
フィレンツェはそんな環境が整った街です。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -La mia vecchia casa- 9月10日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -わたしの懐かしい家-
フィレンツェ市内の東にあるサンタ・クローチェ教会から
北東に上がったところにある通りの41番地に
わたしが下宿していたアパートがあります。
とても古い建物で なんでも1600年代に建ったとか。
懐かしい入り口は今も変わらず木の扉。
転々と引っ越しをせざるを得ない友人たちが多いなか
ずっと一か所に滞在できたわたしは とても恵まれていました。
リビングには中庭に面しておおきな両開きの窓があって
真白い壁と高い高い天井のある 明るい家でした。
ドイツ人女性の大家さんは音楽家で ピアノが置いてあり
わたしも自由に弾かせてもらえました。
このピアノの存在にどれだけ慰められたことか!
でも 表札にはすでに大家さんの名前はありませんでした。
ドイツに帰国されて 幸せに暮らしておられるのでしょう。
この家に住むことによって わたしが得られた
日々の生活 友人との楽しい団らんや食事の時間 また
安心して勉強に取り組む事が出来た時間・・・
全てが かけがえのない幸せなものでした。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Corniceria dell’Agnolo- 8月20日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -天使通りの額縁店-
フィレンツェに来たのはこの場所で
この人たちに 会いたいが為と言っても過言ではありません。
わたしの額縁のマエストロでありイタリアでの両親でもある・・・
マッシモ氏とパオラ夫人の額縁店にやって来ました。
最後にお会いしてから6年が過ぎていましたが
お二人ともお元気で生き生きと
変わらず額縁を作り続けています。
お店入り口のショールーム兼カウンターの場所は
展示される額縁も増え、わたしが居た頃には無かった
PCもあり ほんの少し雰囲気に変化もあったけれど・・・
奥の作業スペースにお邪魔したとたん
またもや様々な記憶がよみがえり
懐かしさで一杯になりました。
一番の変化は彼女(犬)が加わっていたことでしょうか。
恥ずかしがり屋の看板娘 ガイア。お利口さん。
マエストロご夫妻の写真もご紹介したいところですが・・・
それは機会があればいつか。
お店の名前「Corniceria dell’agnolo」は
アーニョロ通り(via dell’agnolo)に 面して建つお店
ということなのだと思いますが
今日はじめて「agnolo」の意味を調べてみたら
(遅すぎの感ありますが)イタリアの古い言葉で天使を意味するとか。
つまり「天使通りの額縁店」なのです。
今更ながらとても素敵な名前の額縁店です。
次回は「天使通りの額縁店」のショールームをすこしご紹介します。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Basilica di Santa Maria Novella- 8月09日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -サンタ・マリア・ノヴェッラ教会-
フィレンツェ中央駅の名前の由来となった
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会です。
日本で徒然草が書かれていた頃に(1325年頃)
この教会も今の姿になったそうです。
教会の入場チケットには この教会の大切な宝物である
マザッチョのフレスコ画「三位一体」
案内冊子にはジョットのテンペラ画「キリスト磔刑図」が。
イタリアの教会に入るといつも感じるのは
教会の内と外の空気の違いです。
気温も湿度も匂いも違う 肌触りも違う。
寒い早朝に訪れたせいか この日は冷たく固い空気でした。
朝のミサで灯されたロウソクの残り火が揺らめき
薄暗い聖堂内には数えるばかりの観光客と
一心に祈り続ける老人の後ろ姿がありました。
そして教会横の中庭には やはり美しく繊細な糸杉が
まっすぐに立っています。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Cipresso- 7月30日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -糸杉のある風景-
わたしにとって ローマを思わせる木が笠松なら
フィレンツェでは糸杉(cipresso)を思い出します。
細くまっすぐに繊細に空に向かって伸びる糸杉をみると
フィレンツェ郊外の小さな教会 サン・ミニアート・アル・モンテ教会に通じる
坂道を 夕方に上ったことを思い出すからです。
この坂道からは そこかしこに糸杉が見え
教会の美しいファサードと糸杉に夕日が当たって印象的な風景でした。
糸杉は死を象徴すると聞きます。
あまり良くないイメージがあるかもしれません。
でも フィレンツェはルネッサンス発祥の街。
ルネッサンスは「再生」を意味する言葉ですから
「死」から「再生」へつながると思えば
糸杉を見てフィレンツェを思い出すというのも
そう悪いものでもない・・・と思っています。
La nostalgia in Italia 2011 Firenze -Sono tornata a Firenze- 7月19日
イタリアの郷愁 2011 フィレンツェ -フィレンツェに帰ってきた-
とうとうフィレンツェに到着しました。
帰って来た・・・と言うかどうか。
嬉しく懐かしくもあり 反面複雑な気持ちも有ります。
フィレンツェ中央駅「サンタ・マリア・ノヴェッラ」に付いたとたん
「留学の記憶」と一言ではとても言い切れない
20代前半の3年間を必死に過ごした様々な記憶と
息苦しいような でも懐かしくてはしゃぎたくなる気持ちが
見えるもの聞こえる音感じる匂い 何もかもから
一緒になって押し寄せてきたのでした。
これを “青春を懐かしむ気持ち”と表現するのでしょうか。
我ながら感傷的すぎると思いつつも
「懐かしのフィレンツェにいるのだから
それもまた良いではないか・・・」と
夜のヴェッキオ橋を眺めました。
La nostalgia in Italia 2011 -Dal finestrino del treno per Firenze- 7月09日
イタリアの郷愁 2011 -フィレンツェへ向かう車窓から-
ローマ・テルミニ駅からフィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅行き
15時15分発のユーロスター・イタリアに乗りました。
2等席(グリーン車ではない一般席)で90ユーロでした。
駅を出発して数十分で 早くも街は遠くなります。
イタリアは日本同様に四季がありますが
日本とはまた違う 美しい秋の風景です。
羊の群れの行方
広大な畑を耕す生活
丘の上の家に住む人
夕日に輝く山や森
変化に富む秋の車窓風景を眺め 想像を膨らませた2時間でした。
La nostalgia in Italia 2011 -Per Firenze- 6月28日
イタリアの郷愁 2011 -フィレンツェへ-
次の訪問先であるフィレンツェへ向かう午後。
ローマ中央のテルミニ駅からユーロスターで2時間弱の旅です。
ローマ・フィレンツェ間はおよそ280㎞だそうですから
ノンストップ2時間弱はなかなか快適な移動です。
イタリア国内をつなぐ自慢の高速鉄道だとか。
ユーロスター・イタリアの車体は赤・銀・黒で
きりりとしつつも愛嬌がある可愛らしい表情でした。
扉には日本の新幹線にもあるような(?)
「attenzione uscita」(出口に注意)の表示があります。
下の挟まれる人のイラスト・・・痛そうです。
こんなポーズで挟まれることは無さそうですが。
ちょっと笑いを誘われました。
次回は車窓の風景をご紹介します。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -La pizza Margherita 6月21日
イタリアの郷愁 2011 ローマ -ピッツァ・マルゲリータ-
ローマで最後の食事は スペイン階段近くの繁華街にある
ちいさなピッツェリア(ピザ食堂)でのランチでした。
テーブルクロスは赤いギンガムチェックでイタリアらしい雰囲気です。
ランチセットはピザとドリンク10ユーロ。
場所柄か観光客向けのメニューですね。
運ばれてきたピザは 生地にトマトソースとモッツァレラチーズを
乗せただけのシンプル・イズ・ザ・ベストのマルゲリータです。
正直に言いますと 店構えや雰囲気からあまり期待していませんでした・・・
が 薄焼き生地にたっぷりトマトで予想外になかなかおいしいピザでした。
本当はここにバジルの緑が加わって イタリアの国旗三色が揃うはずなのに
2色で終わってしまったのは まぁご愛嬌ということで。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Il pensiero del’imperatore Adriano - 6月11日
イタリアの郷愁 2011 ローマ -ハドリアヌス帝の思想-
現在は聖天使城「Castel Sant’Angelo」と呼ばれるこの城塞は
当初はハドリアヌス帝が自身の霊廟として建設を始めましたが
西暦139年(次期皇帝時代)完成後まもなくから
長らくの間 要塞や牢獄として使われていたとか。
ハドリアヌス帝はどう思っておられたやら。
わたしが訪ねた時はすでに恐ろしげな役目も終え
中世写本の展覧会が開かれたり ティーラウンジがあったり
観光客も地元の人も憩う場所になっていました。
屋上には名前の由来の聖天使像が。
ライトアップで光と影のコントラストが強調され
躍動感あふれる まさしくバロック的迫力です。
そしてヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂を望む美しい夜景。
ハドリアヌス帝と言えば 以前ご紹介したパンテオンも
この霊廟同様にハドリアヌス帝によって建てられたものです。
http://www.kanesei.net/2011/12/26.html
そしてローマ郊外には有名なヴィラ・アドリアーナ
(ハドリアヌス帝の別荘)もあります。
パンテオン 霊廟 そしてヴィラ・アドリアーナの「海の劇場」
と呼ばれる人工池・・・すべて共通するのは「円形」と言うこと。
美術や建築 文学に造詣があり 思慮深い皇帝だったとか。
皇帝の哲学 目指していた美の姿が垣間見られるようです。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Una cornice di Morandi- 5月31日
イタリアの郷愁 2011 ローマ -モランディの額縁-
システィーナ礼拝堂でミケランジェロのフレスコ画を仰ぎ観て
苦悩するラオコーン象の実物を目の当たりにした後では
衝撃(?)が強すぎて心も脳も徐々に鈍くなりがちです。
ヴァチカン美術館にある近現代美術コレクションの部屋は
見学ルートの終わり近くにあるからか 素通りされることが多いようでした。
それぞれの目当てを考えれば それも仕方がないことかもしれません。
でもわたしにとっては 人ごみから離れて静かな空間で鑑賞できるチャンス。
気持もゆったりとしたものに入れ替えられました。
そんな部屋でジョルジョ・モランディ(1890~1964)の作品に会いました。
6号程度の小品で モランディらしいグレートーンの静物画です。
大好きなモランディの作品に会えた喜びにくわえ
付けられていた額縁もまた素敵でワクワクしました。
こちらの美術館でもフラッシュを使わなければ
写真撮影が可能なようでしたので 額縁の写真をパチリ。
額縁には彫刻が施され 外側から白・ミントグリーン・黒に彩色され
イタリアの額縁らしくアンティーク風の汚し加工がされていました。
ライナーに合板のような木材が使われていることに少々驚きつつも
配色 汚しも作品とのバランスが絶妙で見惚れました。
こうした心躍る出合いは印象に強く残って
今後の額縁制作にも良い影響を与えてくれそうです。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -L’albeli della strada- 5月21日
イタリアの郷愁 2011 ローマ -街路樹-
ローマのパラティーノの丘からサン・グレゴリオ通りへ
下るゆるやかな散策道にあった街路樹は
イタリア料理でかかせないオリーブでした。
黒く熟した実がたわわになっていますが
摘んだり拾ったりする人はいないらしく
落ちた実で 道がまだら模様になっています。
おりしも(?)11月はオリーブの収穫時期真っ只中。
見向きもされない完熟オリーブでしたが
イタリア人にとっては オリーブオイルや
塩漬けにされたオリーブが身近にあるので
わざわざ街中で積む必要もない・・・ということかもしれません。
これが日本だったら わたしは大喜びで拾ったことでしょう!
オリーブは松とともに常緑樹です。
ローマの暖かで明るいイメージは これら常緑樹が
もたらす雰囲気も大きいかもしれません。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Sant’Ignazio- 5月10日
イタリアの郷愁 2011 ローマ -サン・イグナツィオ教会-
ローマの中心地 コルソ通りから西へパンテオンに延びる
セミナリオ通りにある サン・イグナツィオ教会です。
たまたま通りがかり 立派なファサードに惹かれて立ち寄りました。
日本のガイドブックにはあまり載っていない教会ですが
中に入ってみて驚きの迫力でした。
壁から天井までおおうフレスコ画はだまし絵になっていて
まるでこの教会の真上が天国に繋がっているかのようです。
どこまでが実在でどこからが虚構か・・・しばし悩みます。
円蓋の中に見える柱も窓も すべて絵。
この教会は1650年に完成とのこと。
当時の人々がこの教会に足を踏み入れ
天井を見上げた時の驚きはいかばかりだったか。
天国を目の当たりにしたと感じたはずです。
アンドレア・ポッツォというイエズス会修道士が描いたとか。
教会に修道士が描く・・・ 信仰の深さと純粋さの表現と言えるでしょうか。
正面祭壇も「バロック芸術そのもの」のような
ねじれた柱と天井の形。
ダイナミックでドラマチックです。
思いがけなくローマンバロックを体感できました。
Chiesa di Sant’Ignazio :
http://it.wikipedia.org/wiki/Chiesa_di_Sant’Ignazio_di_Loyola_in_Campo_Marzio
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Mercenari svizzeri- 4月30日
イタリアの郷愁 2011 ローマ -スイス傭兵-
ヴァチカン市国はローマ教皇によって統べられている
世界一小さな主権国家であり カソリックの総本山です。
全世界に12万人以上の信者がいるとされるカソリックの聖地
ヴァチカンには 現在も教皇をお守りする兵士がいます。
ヴァチカン市国は軍事力を持ちませんので
市国警察もまた 一部をスイス傭兵が務めているそうです。
ヴァチカン大聖堂に向かって左側を通ったとき
市国内に通じる門(観光客は入れません)には
かの有名な(?)スイス人の傭兵が立っていました。
彼らの制服は ルネッサンス当時のままのデザインで素敵です。
(ミケランジェロのデザインとされますが諸説あります。)
赤 黄 青に黒といった色使い タッセルや包みボタンの装飾が
ルネッサンス絵画から抜け出て来たかのようです。
ミケランジェロによって最終設計された大聖堂と相まって
後期ルネッサンスにタイムスリップしたかのような
楽しい気分になりました。
2人の傭兵さん 写真を撮らせて頂いてありがとうございました。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Musei Vaticani- 4月19日
イタリアの郷愁 2011 ローマ ヴァチカン美術館
ヴァチカン美術館をイタリア語では「Musei Vaticani」と表します。
これは複数形で(単数ならMuseo Vaticano)日本語に訳すれば
「ヴァチカン美術館群」とでも言いましょうか。
広大な敷地には かの有名なシスティーナ礼拝堂もあり
古代ローマの彫刻コレクションはもちろん ルネッサンス美術の区画に
バロック美術の区画 タペストリーの廊下が続き・・・
あまり知られていませんが 珠玉の現代美術コレクションもあります。
まさに「美術館群」なのです。
そんな広い広い美術館内は 長い長い廊下でつながれています。
壁面には気が遠くなるほどの絵画 彫刻 工芸品が並びますが
見上げれば そこにはまた フレスコで描かれた
美しい天井画があります。
天井にまで!こんなに丹精込めた作品がある!・・・と
もう この絢爛豪華の極致のような場所におののきます。
コッテリとしたバロック美術やローマ彫刻に疲れたら
優しい色使いの天井フレスコを眺めて 心をリフレッシュしましょう。
小物の制作や 服の色の組み合わせの参考にもなりそうです。
La nostalgia in Italia 2011 Roma -La Pigna di Vaticano- 4月05日
イタリアの郷愁 2011 ローマ ヴァチカンの松ぼっくり
いよいよヴァチカン美術館にやってきました。
開館前の入り口は オフシーズンながらも
観光客の長蛇の列!入館にどれだけ待つことやら。
わたしは日本でオンライン予約をしていましたので
並ぶことなく そそくさと入館。
予約には一人当たり4ユーロの手数料が必要ですが
個人で行かれる方には 予約をぜひお勧めします。
下の写真は予約票。
ネットで手続きをして(英語可)指定のページを印刷します。
あまりに広いヴァチカン美術館 地図を片手に歩きます。
入り口から近く とても広い中庭に出ました。
ローマらしい色の外壁と 松ぼっくりの彫刻。
やはり松はローマを象徴する植物なのかもしれません。
それにしても 空が青い・・・!
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Pinus pinea- 3月29日
イタリアの郷愁 2011 ローマ 笠松のある風景
イタリアは日本同様に南北に長い国土ですので
都市ごとに気候風土が違い 風景も大きく変わります。
ローマの風景で思い出されるのは 笠松のある風景。
この木を見ると 「ああ ローマに来た」と実感します。
日本の松とはずいぶん違い 傘を開いたような形。
剪定された形はなく 樹齢30年ほどで上部が開くのだそうです。
日本の松は海辺や城下にあって 湿度を含んだ印象ですが
笠松は比較的乾いた暖かい土地に向いた性質だそうなので
ローマは最適な環境なのでしょう。
この写真はフォロ・ロマーノで撮影しましたが
遺跡の灰色と笠松の常緑のコントラストが綺麗でした。
おそらくフォロ・ロマーノが栄えていた時代にも
風景には笠松は今同様にあったでしょう。
カエサルも ハドリアヌスも 見ていたであろう
笠松のある風景です。
古代ローマには笠松を詠った詩人がいたかもしれません・・・
La nostalgia in Italia 2011 Roma -Caro Cavallo- 3月19日
イタリアの郷愁 2011 ローマ 親愛なる馬
ローマでも出会えた馬。
日本の街中で出会う機会がない馬には
うれしくなって ついカメラを向けてしまいます。
近寄っても怒らず(決してこちらを見てくれることはありませんが)
じっと穏やかに佇んで 1枚だけ写真撮影に付き合ってくれました。
その優しさに感謝です。
秋口とはいえ寒いローマでは
耳を覆う頭巾と休憩中の毛布は欠かせないようですね。
La nostalgia in Italia 2011 Roma extra2 3月05日
イタリアの郷愁 2011 ローマ 番外編2
美術館の片隅で 立派なカールヘアを見せて
後ろを向いているのは 一体誰でしょうか?
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答は ライオン Leone でした。
ふっさふさ。
バッハの後ろ姿かと思いました。
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La nostalgia in Italia 2011 Roma -Da lunotto- 2月23日
イタリアの郷愁 2011 ローマ 裏窓から
ローマの宿は テルミニ駅に近くて便利だけが取り柄の
すこし物悲しい建物にありました。
部屋の窓は裏に面していて
見えるのは雑居ビルの裏側ばかり。
旅先で美しい眺めの部屋に滞在できれば
その街の思い出も数割増しで美しくなりますが
こうした裏窓からの眺めは その街の本当の顔
現実の表情を垣間見られて 印象に残るものです。
時差で早朝に目が覚めて まだ暗い時間に裏窓を見ると
すでに出勤の準備をするサラリーマンや
テレビを見ている老人の影が見えました。
ヒッチコックの映画ではありませんが
窓それぞれに一つずつのドラマがあります。
わたしは旅人で 束の間の時間しか過ごさない場所だけど
この窓からの風景の中で毎日の生活を送り
人生の営みがまたあるのだと思うと
感慨深い気持ちになりました。
La nostalgia in Italia 2011 Roma La pausa 2月13日
イタリアの郷愁 2011 ローマ 休息
朝一番で乗り込んだフォロ・ロマーノ。
丘を登ったり下ったり 地下のトンネルで迷ったり
最後にたどり着いたテラスからは
明日もまた 朝一番で向かう予定の
ヴァチカンのクーポラ(円蓋)が望めました。
これぞローマの象徴!でしょうか。
そろそろ遅めのランチにしましょうか。
ローマの名物料理の一つは「カルボナーラ」。
生クリームと卵の熱々ソースのからんだパスタで
エネルギーを補給です。
向かった先の食堂はパスタで有名な店だそうで
地元の方々も沢山楽しんでおられました。
同じイタリアでも こうした蔦のからむ様子は
ローマならでは という印象です。
フィレンツェではあまり見られない風景。
石畳と石造りの建物に囲まれたイタリアの街で
ふとした時に緑を見かけるとホッとします。
La nostalgia in Italia 2011 ROMA il carosello nel crepuscolo 2月06日
イタリアの郷愁 2011 ローマ 黄昏の回転木馬
ローマのテヴェレ川右岸
黄昏時の回転木馬には
数人の女の子の姿がありましたが
馬には乗らず 馬車に乗る子ばかりでした。
お姫様の乗り物は馬ではなく馬車ですものね。
幻想的な回転木馬のむこうには
サンタンジェロ城に立つ大天使の姿が。
どこかおとぎ話の風景のようでした。
La nostalgia in Italia 2011 Roma extra1 1月30日
イタリアの郷愁 2011 ローマ番外編1
わたしが敬愛してやまない画僧 フラ・アンジェリコは
1390年頃にフィレンツェ郊外で生まれ画僧として活躍し
1455年にローマで客死しています。
考えてみればわたしは さまざまな場所へ
フラ・アンジェリコの作品を追いかけましたが
彼のお墓がどこにあるのか 全くと言って良いほど
意識に上がりませんでした。
今回の旅でフラ・アンジェリコのお墓のある
サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会の正面を通ったのに
(パンテオンのすぐ近くでした)
ご挨拶もせぬままだったことに
たった昨日 気づきました。
時すでに遅し。
またローマを訪れる理由が出来ました。
The Ordination of Saint Lawrence 1447-49 Fra’ Angelico
Chapel of Nicholas V The Vatican Roma
La nostalgia in Italia 2011 Roma Foro Romano parte2 1月23日
イタリアの郷愁 2011 ローマ フォロ・ロマーノ その2
なにせフォロ・ロマーノの遺跡は広くて
楽な靴をはいて 半日はたっぷり必要です。
2000年前に生きたローマ人が歩いた石畳を
2000年後に生きるわたしも歩きます。
この遺跡は現在の市街より数メートル低い土地になっています。
中世のころには ほぼ土で覆われており
のどかに牛が放牧されていたというのですから
栄枯盛衰とはこのことでしょうか。
かつてのローマ人たちも この洗練された文化の中で
労働し 喜び悩み 人間関係を築き 生きて 死んでいったのですが
鳩たちには歴史も先人の思いも関わりの無いこと。
遺跡から湧き出る水を楽しんでいました。
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La nostalgia in Italia 2011 Roma Foro Romano parte1 1月16日
イタリアの郷愁 2011 ローマ フォロ・ロマーノ その1
ローマ観光で なにはさておき必ず訪れたいのが
フォロ・ロマーノ(Foro Romano)です。
チケットにはコロッセオの絵が印刷されていました。
こうしたチケットも 記念として持っておきたくなります。
古代ローマの政治・経済・宗教文化の中心地だった場所は
現在は大理石の建造物遺跡を残すばかり。
相変わらず真っ青な空に 2000年も立ち続ける白い大理石柱。
巨大な神殿の名残が かつての繁栄と文化の高さを物語ります。
元老院の建物だけが再建されていて
中に入ることが出来ます。
「ブルータス お前もか」とつぶやいてみたり。
でも 歴史はあまりに遠すぎて 生々しさは皆無でした。
小高い場所からは 糸杉の並木の先にコロッセオの姿も見えます。
もう少し丘を登って 望遠レンズでコロッセオを見てみたら・・・
いまにも崩れ落ちそうな壁!
イタリアも地震が多い国のはずですが
この状態で2000年近く存在し続けるということは
強度があるのか 絶妙なバランスか・・・? 謎です。
まだまだフォロ・ロマーノ観光を続けます。
La nostalgia in Italia 2011 Roma Pantheon 12月26日
イタリアの郷愁 2011 ローマ パンテオン
古代ローマと日本の共通点として
多神教の文化が挙げられるでしょうか。
(いろいろな考えがあるとは思いますが・・・)
ハドリアヌス帝によって建てられたパンテオンは
万神殿とされていましたが
ルネサンス時代には偉人を祀る場所と変化したそうです。
現在はラファエッロのお墓があることや
映画の舞台としても有名になっているようです。
賑やかな通りを進むと 突然に
濃い灰色の神殿「パンテオン」が見えてきます。
周囲の建物と馴染まず パンテオンだけが
見えない空気の壁があるような異空間に感じました。
とても長い年月を経てしまって(西暦128年完成)
唐突にパンテオンだけが取り残されているような。
とは言え ローマの人たちにとっては
そこにパンテオンが在るのが当たり前なことで
違和感があるわけもなく
前の広場では 多くの人たちが待ち合わせをしたり
おしゃべりに興じたり 普通の日常が感じられるのですが
訪問者のわたしには それがまた不思議でなりません。
内部は ドーム型の天井に円形の窓が開いていて
強い日差しと影のコントラストが幻想的です。
万神殿の厳かなイメージがよみがえりました。
La nostalgia in Italia 2011 partenza 12月15日
イタリアの郷愁 2011 出発
空港はいつでも好きな場所です。
日常とは違う気持ちにさせてくれますから。
広い空の下 白い翼にも青空が映ります。
このイタリア旅行も幸先がよさそうな予感がしました。
さあ ローマへ向けて出発しましょう。
飛行機では窓際に座って
空の青の変化を飽きずに眺めました。
青空から黄昏 月夜へ。
La nostalgia in Italia 2011 -prefazione- 12月05日
イタリアの郷愁 2011 序文
2011年秋に6年ぶりのイタリア旅行が叶いました。
真っ青な空と強い日差し 真冬のような寒さ。
懐かしい場所で懐かしい人たちと再会しました。
不定期になりますが
この旅の模様を少しずつご覧いただこうと思います。
写真は最後に訪れたヴェネツィアの小さな島
サン・ジョルジョ・マッジョーレ島の教会前広場で鳩と一緒に記念撮影です。
船のバス(vaporetto)を待つ 静かな時間に。