diario
Firenze 2023-効くか効かないか 1月11日
ダラダラと続けております2023年1月~2月の
フィレンツェ滞在記です。
わたしがフィレンツェに行くのは、以前は11月
最近は専ら2月メインです。
なぜなら一番安い時期だから。
そしてなぜ安いかと言えば、寒いから。
海外からイタリアへ旅する方々にとって
イタリアの魅力と言えばやはり
美味しい食べ物もさることながら
燦燦と輝く太陽と青い海・・・が大きいようで
2月の暗くてジメジメで寒い時期は
わたしのような「海は特に・・・」
の人間には穴場時期です。
さて、そんな「寒い時期」ということは
やっぱり風邪をひきやすいのです。
滞在中、毎度毎度風邪をひいて
(発熱したり寝込むことは無いけれど)
のどのイガイガと鼻水に苦労する。
薬局へ駆け込みます。
数年前のブログでも書いたのですが
イタリアののど飴がとても優秀です。
「Benactiv」もうこれ一択!と思って
(言いふらしすぎて数人の方から
イタリア土産に頂戴したほど)いるのです。
だけど今回、違うのど飴も入手しました。
フィレンツェの街角には結構な数の薬局があって
(ドラッグストアではなくて、いわゆる町の薬屋さん)
薬剤師さんの考えで提案してくれる薬が違うのです。
それぞれの薬局で「のどが痛くて」と言って
出してくれたのが下の写真のもの。
▲箱に点字があるのも素晴らしい。新鮮。
Benactivも箱側面に点字があります。
一番下の箱がお気に入り「Benactiv」
その上は違うメーカーだけどBenactivと成分はほぼ一緒です。
一番上はどうも成分が違う。
使い方を読むと、下ふたつは「24時間に8粒まで。
1つ食べたら次まで3~6時間開けること」とあるけれど
一番上は1~2時間に一粒食べること、とありました。
効能が優しいのですね。
これを薦められた薬局は住宅街のオシャレなお店
だけど薬剤師さんはザ・イタリアンなマンマで
「なるべく強い薬は使わないように」と考える感じでした。
下ふたつ、食べるとほんのり苦くてよく効く。
一番上は、レモン味の美味しい飴。
効くかと言うと、やっぱりBenactivには敵わないのでした。
それからもうひとつ。
イタリアのエルボリステリア、直訳すると薬草店
つまり漢方薬店のような位置づけでしょうか。
そこに行ったときに「風邪気味で頭痛がする」
と相談して買ったのが下のひと箱です。
このお店はこの薬でちょっと名が知れていたみたいで
後から少し調べたら古くからあるもののようです。
薬剤師さん曰く「解熱効果はないけれど、痛みには効くわよ」と。
物は試しと飲んでみることにしました。1回2錠。
そして1日に2錠以上飲まないこと。
つまり一日1回飲めば長く効くということらしい。
薬草の薬ですから当然だけど草の味
見かけも正に「乾燥草団子」(!)です。
ほんのりミントが感じられるので
大粒の割にのど越しスッキリ爽やかで不思議な飲み心地です。
そして効きました。
人によって合う合わないがあるでしょうし
わたしは初体験の薬だから余計良く効いたのかもしれませんけれど
即効性があります。
内容はと言うと、ヤナギ、デビルズクロー(?)
トケイソウ(!)、カモミール、ラベンダー
レモン、マジョラム、ミント、
そしてナイアシンの植物抽出物と。
トケイソウって、あの時計草でしょうか??
ヤナギ、つまり柳は抗炎症作用、鎮痛効果がある、と書いてありました。
つまり何がどうなのか良く分からない・・・けれども
このひと箱(20粒入り)で15€。
1回1€50・・・日本円で240円弱。
ううむ、安くはない。
ハーブベースの割にあまりに効きすぎるような。
でも常備薬に良さそう。
薬ですから副作用の心配はありますが、
少ない回数で効いてほしいですものね。
その国によって薬も医療も歴史があって
人々の体質も体格も違って
医療に対する考え方も人それぞれです。
薬の効き具合、薬剤師さんの品格と優しさ
そんな面からもイタリア文化や考えの一端が見えるのでした。
Firenze 2023-食べた食べた5 11月23日
フィレンツェ滞在記のつづきです。
ドイツの友人Kを夕飯にご招待する日の午後
さて何を作ろうかと考えて、ロールキャベツにしました。
なにせ市場で買った巨大ちりめんキャベツが冷蔵庫に
鎮座しておりますので、消費を手伝ってもらうことに。
玉ねぎを刻んで卵と生ソーセージ(生ひき肉とハーブ
スパイスが腸詰になっている。
日本のスーパーなどで売っている生ハンバーグのような
調味済み生ひき肉)を混ぜて、茹でたキャベツで包みます。
この生ソーセージを使えば手間要らず。
美味しくて簡単でした。
後はちょっと良いトマトソース(こちらも調味済み・・・)で
ぐつぐつ煮込むだけ。
▲トマトソースでひたすら煮る。途中でお湯を足したり。
ひき肉入りなのでオイルは入れず。
▲美味しい生ソーセージとキャベツとソースのおかげで成功。
調味済み材料ばかり使っておりますが
短い滞在期間にスパイスや材料を揃えるのも
ほら、なんだかね、と言うことで!
これはイタリア滞在での定番料理になる予想です。
今振り返って、イタリアに来たドイツ人にわざわざ
キャベツとソーセージの手抜き料理を食べさせるなんて
ちょっと悪かったと思ったりして。
せめてイタリア料理か和食にすれば良かった。
でもまぁKも「これは美味しいねぇ!」と
喜んでくれましたから、思い出の一つとして。
それにしてもロールキャベツを作るのは何年ぶりだろう??
と言うくらい久しぶりでした。
日本だとどうも面倒に思ってしまうのです。
先日、いつも楽しく拝見しているYさんのブログ
(フィレンツェ在住の日本人女性のブログ)でも
「ロールキャベツを久しぶりに作った」とあって、
彼女はコンソメスープで作っていて
とても優しく美味しそうでした。
次回はわたしもコンソメ味にするか、ホワイトソースも良いし
お出汁で煮ておでん風も美味しいし・・・と悩んでおります。
せっかく思い出したメニューなので、これから
冬に向けて作ることにします。
Firenze 2023ーいつものところ 11月16日
フィレンツェはローマやミラノに比べれば
とてもとても小さな街で
主要な場所は歩いて回ることができます。
その小さな街に美術館と教会がぎゅっと詰まっていて
おまけにウフィツィ美術館は一日では
見切れないほどのボリュームがあります。
だけど、毎度訪れるのは同じ美術館と同じ教会。
いつものところを回るだけで時間切れになります。
わたしの「いつものところ」とは
・ウフィツィ美術館(言わずと知れた)
▲例の絵のあの部分・・・
・サン・マルコ美術館(フラ・アンジェリコ)
▲ここはフィレンツェ滞在の始まりと終わりの場所
・バルディーニ美術館(額縁コレクション)
▲もうここに住みたい。
・メディチ・リッカルディ宮殿(ゴッツォリ)
▲願わくば丸一日借り切ってひとりで堪能したい。
・サンタ・アポローニャ修道院食堂(食堂部分のみ公開)
▲カスターニョの最後の晩餐をほぼ独り占めできる感動
・ホーン美術館(2023年1月2月は休館でした)
・ダヴァンツァーニ邸宅美術館(中世の奥様気分で)
・捨て子養育院美術館(ギルランダイオやジォットも)
・バルジェッロ美術館(工芸と彫刻、そして小箱が沢山)
・サン・ミニアート・アル・モンテ教会
▲大好きな教会だけど、いつもほんの少しだけ怖い。
・サン・レミージョ教会
▲ここも実はだいぶ怖いけれど、通ってしまう。
・サンタ・クローチェ教会
・サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会
・サンタ・トリニタ教会
・サン・サルヴァトーレ・アル・モンテ教会
他にも行きたい教会はアレコレあるのですが
とにかくこの16か所は滞在中に這ってでも行く
何なら複数回行くところです。
ウフィツィ以外どこも並ぶことも無く
ボォォ~ッと心から入り込める場所です。
▲ドゥオーモは外から装飾を見るだけで興味津々、美しい。
ミケランジェロの傑作ダヴィデ像のある
アカデミア美術館もドゥオーモも
留学時以来行っていませんし(大行列に並ぶ気力も無い)
ピッティ宮殿内のパラティーナ美術館
(ラファエッロが沢山)も余裕があれば。
思えばわたし、ミケランジェロとラファエッロはそんなに・・・
ハハハ・・・。
(アカデミアとパラティーナは他にも素晴らしい作品目白押しです。
食わず嫌いもやめた方が良さそうですね。)
まだまだ見ていないお宝も場所もあるのに
「わたしのフィレンツェ」は広がらないのが現状。
でも、毎度おなじみの美術館の、おなじみの作品を前にしても
その時々で発見もあるし印象・感想も変わるのですから
毎度おなじみのようで実は違うのですよ。
▲サン・マルコ美術館2階の図書室前の窓に立っていると
後ろをフラ・アンジェリコがスタスタと歩いているような気がする。
こうして狭い街の中を狭い範囲でぐるぐると回遊しております。
次回滞在するときも、きっと同じところを巡るのです。
留学当時は学校と工房へ通うことがメインでしたし
放課後や週末は友人と遊び惚けていたので
美術館の中に住んでいるような3年間だったのにもったいないことをした・・・
と思いつつも、フィレンツェの空気に触れ目に入る風景に恵まれ、
会う人々にも恵まれた3年間だから現在のわたしがあって
今もフィレンツェの素晴らしさに惹かれる心を保っていられるのだ
・・・などと考えています。
Firenze 2023-2 食べた食べた4 10月26日
2023年1月~2月のフィレンツェ滞在記のつづきです。
サンタ・クローチェ地区の小さなアパートを借りて
疑似ひとり暮らし。
普段は家族と暮らしておりますので
料理をしても「ひとり分」がイマイチつかめません。
そしてイタリアのスーパーではパック売りのもの(野菜もお肉も)は
基本的に日本の商品より量が多い気がします。
さて、サンタンブロージョ市場へ繰り出して
ちりめんキャベツ、玉ねぎ、にんじんやロマネスコ、果物
美味しいバター、トスカーナ名産の塩なしパン等を買い込み
朝っぱらから晩ごはんを仕込みます。
市場の帰りにまたもやスーパーに立ち寄り
市場で買い忘れた鶏肉とスープストックも購入。
チキンスープを作りましょう。
▲包丁は前回までの滞在で凝りまして、
小さくて使い慣れた包丁を持って行きました。
上の写真のものはスープストックですが
日本では見たことのない濃縮ジュレ状。
普通のキューブタイプもありましたが試しにこちらを使ってみたら・・・
やっぱり美味しいのですね。
味がフレッシュと言うか柔らかいと言うか。
ビーフやチキン、野菜のみなど数種類ありました。
そしてこの鶏肉、「ずいぶん大きな手羽元だな!」と思っていましたが
骨付きのもも肉なのでした。
これまた日本の一般的なスーパーで売られている
骨なし開き状態では無くて、こんなところでも
「国が違えば・・・」を感じる。
骨付きもも肉、ロマネスコ、ちりめんキャベツの
外側の濃い緑の葉をグツグツ。
そして完成して喜んで、午後は額縁師匠のパオラの工房へ出かけたのでした。
さて。パオラとしゃべりにしゃべって
頭も口も耳も疲れて帰ってきましたが
もうご飯は出来ている幸せ。早速晩ごはんです。
冷えた白ワイン、マスカルポーネとゴルゴンゾーラのチーズセット
そして例のチキンスープ・・・ですが
キャベツの外側の葉を捨てずにケチったので
「これでもか」と煮込んでも微妙に硬い・・・。
いや、まぁ自分で作って自分ひとりで食べるので
硬いな!で終わるのです。
上の写真はサイズ感がおかしいとお思いでしょうけれど
このイチゴが巨大なのです。キウイフルーツくらい大きい。
そして寂しいのでテレビをお供にするのですが
選りによって(?)ベルルスコーニ氏が
わたしの晩ごはんにお付き合いくださいました。
この時1月末、ベルルスコーニ氏はこうして
お変わりなくテレビで話しておられましたが
今はもう鬼籍に入ってしまわれた。
人生はいつどうなるのか分かりません。
だから出来るときに出来るだけのことをしないと。
そして翌朝。
寝る前に仕込んでおいたトスカーナパンのフレンチトーストです。
一度作ってみたかったのです、塩なしパンのフレンチトースト。
美味しい無塩バターでジュワッと焼いて、はちみつ
(これはお手頃価格だった・・・微妙。)をのせて食べたのです。
うむ、美味しい。
でも思っていたのと何かが違う。
▲パウチに入ったはちみつ。使いやすい形でした。
ひとつまみのお塩が入った方が美味しいらしい・・・
フレンチトーストにも人生にも、お塩が無いと
引き締まらない。再確認でした。
つづく!!
Firenze 2023ー食べた食べた3 10月05日
忘れたころに再登場、フィレンツェでのお話です。
額縁と小箱のことばかりでは書いていて
自分でも息が詰まると言いますか(笑)
思い出をたどって。
2023年冬の滞在はサンタ・クローチェ~サンタンブロージョ界隈
(城壁内の東、住宅街)のアパートで、
市場もスーパーマーケットもドラッグストアもアジア食材店も近く
そして何より額縁師匠パオラの工房も徒歩2分という便利な場所でした。
でもいわゆるチェントロ・中心部からは歩いて15分くらい
毎日良く歩きました。
ウフィツィ美術館に朝一番で乗り込んで
中世~ルネッサンスを真剣に見すぎて
バロック以降の作品はギブアップして裏ルートで出口に直行した日。
おまけに自分との約束「今回の滞在では本は買わない」を破って
3キロはあろうという画集を買っちゃって
トホホ&ちょっとウキウキ、そして疲れてヘトヘトな午後でした。
ウフィツィから空腹を抱えてトボトボ歩きながら、思い出しました。
そうだ!この近くに行きたいお店があったんだ!!
日本人オーナーシェフのトラットリア
「アッカディ」にお邪魔することにしました。
▲お昼からひとり酒・・・お料理を待ちます。
こちらのお店は路地にポツリとあって
入口を入るとキッチンが良く見えます。
オーナーシェフと目が合ってお互い「こんにちは~」と日本語でご挨拶。
久しぶりの日本語と暖かな笑顔に迎えられて
いやはや、ものすごくホッとしました。
地元の方に愛されるレストラン、遅めの時間でしたが
向こうのテーブルには職人さん軍団もランチ中でした。
▲パスタはブロッコリーのスパゲッティ。
とろとろのブロッコリーと少しのニンニクで美味!
ランチセットの価格はもううろ覚えですが
パスタとメインディッシュ、飲み物(ワイン可)を選んで
12~15€くらいだったでしょうか。良心的です。
中心街から少し離れているのもポイントかもしれません。
▲メインディッシュはお芋のコロッケ!
メインは様々選べましたが、コロッケ即決。
想像した「日本のコロッケ」登場かと思いきや
フィレンツェと融合していました。
ジャガイモだけの柔らかいコロッケをトマトソースでパクッ!
アツアツサクサク、中のお芋はトロフワ
トマトソースのほのかな酸味で・・・ああもう。
写真を見て再度味わっております。
白インゲンの付け合わせはトスカーナの定番。
黒コショウとオリーブオイルを垂らして
これまたホクホク美味・・・
パスタとコロッケとお豆という
かなりボリューミーなお昼ご飯でしたが綺麗に平らげて
コーヒーも頂いて心身ともに満ち足りました。
そして今振り返ってみたら、ベジタリアンな食事でした。
お肉ゼロだからこのボリュームを平らげられたのかも?
このお店はメニューも雰囲気も
正統派フィレンツェスタイルです。
アラカルトにはフィレンツェ名物Tボーンステーキもあります。
先入観かもしれませんけれど
やっぱり日本人シェフのお店だからか
そこはかとなく日本を感じると言いましょうか。
脂濃くない(胃もたれしない)、
清潔で、静かで明るく穏やかな空気で
店員さん(この時は全員イタリアの方でした)も
ゆったり親切でしみじみ安心するのです。不思議。
滞在場所にも寄りますし、夜はちょっと
行きづらい場所かもしれませんが
また必ず行きたいお店です。
和食を食べたいわけじゃないけれど
日本を感じたい時などにも。
次回はデザートまでたどり着きたい・・・
ムフフ・・・
Firenze 2023- その会話と感覚 8月21日
わたしがフィレンツェに行く時には必ず会いたい
そして会う人は何人かいますが
その一人は小箱珍道中に付き合ってくれたL
そしてもう一人はベルリン在住のドイツ人Kです。
Kはわたしの滞在に合わせてベルリンから来てくれます。
この2人は特に大切な友人です。
2人ともPalazzo Spinelli の木工修復コースで共に学び
お互いに家族も知っているし
若気の至りの恥ずかしい思い出も知っていたりして
もはや隠すことも無く安心して受け止めあえる
と言うような間柄です。
この人たちと会えたことは
留学で得た大きな大きな経験と宝です。
▲右がK、左がL、3人で郊外にドライブに行ったとき。
Kがフィレンツェに来てくれて
3年ぶりに再会して喜んだあと、
まぁちょっと2人でアペリティーボ
(夕方の食前酒と軽いおつまみ)でもしようよ、と座って乾杯。
その時、Kがまじめな表情で
「あのさ、ご両親が亡くなった後、あなたどうする?」
と聞いてきたのでした。
会ってすぐに突然の質問だったので
ビールを吹き出しそうでした。
「最近よく考えるのよ。
両親も今は元気だけど年を取ったし。」と。
うん、確かにそうだね。
そうか、3年ぶりの再会、その最初の会話が
「一人になったら」かぁ・・・。
またある日、KとLと3人でお茶をしていた時の2人の会話
L「あれ、君、昨日髪を洗ったの?」
K「ううん、昨日も一昨日も洗ってない。」
L「あ、そう?なんか昨日のほうが君の髪が脂っぽかったけど」
K「いやぁ、もう面倒だから家に帰るまで洗わない。アハハ」(翌日帰国)
わたしはまたもやコーヒーを吹き出しそうでした。
日本だったら無い会話ではないでしょうか。
ヨーロッパの人たちの髪質は違うし洗髪頻度はそれぞれ。
Kの髪が不潔とも感じませんでした。
それにしても、友達に可能な質問なんだなぁ・・・。
その他にも、その会話はアリなの?!というような
(赤裸々すぎて書けない)内容でも
彼らは飄々と普段通りの顔をして
「昨日何食べた?」みたいな感覚で話すのです。
デリカシーが無いのとは違う。
繊細な部分はとても繊細で、人の気持ちにも敏感な人たちなのです。
ヨーロッパの人と言っても国が違えば感覚も違って
人それぞれで一概には言えませんけれども
日本より個人主義を強く感じます。
図書館や郵便局で職員さんに質問をしても
キッパリ「知らない。」の一言で終わられてしまう。
「私は悪くない。知らないのは私の自由。」だから。
システム(役所や交通機関など)は
担当者の気分次第だったり、
人間の感情が仕事を左右することが頻繁で
日本人はそれに驚き困ります。
けれどその分、周りの人々は我慢強いと言いますか
迷惑をかけられても「やれやれ」と寛容なのでしょう。
怒鳴る人もいない。
それってきっと、自分もそうだから気持ちがわかる
怒っても良い事は何もないと分かっているから
なのかもしれません。
互助感覚といいましょうか
困っていても誰かが助けてくれる可能性が日本より高く
「終わり良ければ総て良し」が強いような。
彼らは久しぶりに会った友人に
唐突な質問が思い浮かべば素直にするし、
髪を洗おうが洗うまいが自由だし、
それに対して思った質問をするし、
そんな質問をされても何とも思わない。
何歳になっても、流行っていなくても
ミニスカートが履きたければ履く。
困った人は当然助けるし、助けられる事に躊躇しない。
日本ではあまり感じない種類の自由さと寛容さ、
素直さが彼らにはあるようです。
そしてわたしは彼らのそんな様子を興味深く観察し
日本には無い友人関係にも居心地の良さを感じる。
染み着いたわたしの日本人的感覚と彼らの感覚と
どちらが優れているとか好きとかでは無くて、
その違いがひたすらに面白いのでした。
Firenze 2023-小箱営業珍道中 とうとうその日が来た 7月03日
右往左往に紆余曲折あった
フィレンツェ小箱営業でございます。
2月半ば帰国後、フランチェスコ父さんに
お礼やら進捗伺いなど何通かメールをお送りしたのですが
一向に返事も無し。
どうしたもんかと思いつつ時間は刻々と過ぎ・・・
嗚呼、イタリア。
そうでした。彼らには彼らの都合とペースがある。
もはや細かく説明するのは省略しますが
やきもきしつつ「もはやフランチェスコさんの気が変わって
小箱を置くのは止めちゃった?!」と不安になりつつ数か月。
その間も友人Lがわたしとフランチェスコさんの仲介を続けてくれ
「大丈夫、僕がするから君は心配しないで」と
慰めてくれて全て取り仕切ってくれて
なんとも申し訳なく有り難い。
Lには一生の御恩が出来ました。
さて、そんな訳で!とうとう!
2023年6月14日に!
フィレンツェの Eredi PAPERONE にKANESEI の小箱が並びました。
▲Lが撮って送ってくれた写真です。
▲上の棚にも素敵な箱がある!
感慨深い。
でもまだ実感は湧かないのです。
早くフィレンツェに行ってPAPERONEに行って
お店の奥にあるケースに並ぶ小箱を見たい。
きっとその時に、心の底から喜びが沸き上がるのでしょう。
最初はちょっとした思い付きでした。
「フィレンツェでわたしの小箱を販売出来たら良いなぁ!」
程度だったのが、実際に動いてみたら
「あれよあれよ」と実現できてしまった。
動いている最中は疲れたり悩んだり恥ずかしかったり
自分では苦労したような気がしていましたけれども、
今振り返ればたった1か月の滞在期間中に
達成できたのですから万々歳です。
(帰国後、実際に店頭に並ぶまでが長かったけれど。)
それもこれも、友人Lをはじめ
Eredi PAPERONE のフランチェスコさん
いつも励ましてくれたCちゃん(Lの奥さん)
営業で訪ねたお店の方々のご協力の賜物なのです。
(わたしは引きつった笑顔で小箱を並べただけのような!)
今回の経験で得られたことは本当に沢山あります。
フィレンツェの目の肥えた商人たち(大げさではなくて)に
小箱を認めてもらえる「第一関門」を突破できたこと。
これは第一ですけれども
自分の営業力と計画性の無さも痛感しました。
Lも最初は気軽に「手伝うよ」と言ってくれたけれど
まさかここまで面倒になるとは思わなかったでしょう!
・・・いやまったく。
この経験を今後にどう生かせるか。
「売れたらいいな」「ほかのお店にも展開できたらいいな」などなど
欲を持ち始めるときりがない・・・けれど、ここで終わりにせずに
引き続きフィレンツェでも日本でも
小箱営業を続けていきたいと思います。
もしフィレンツェでお時間がありましたら
Eredi PAPERONE へぜひお立ち寄りください!
EREDI PAPERONE FIRENZE
via del Proconsolo 26R – 50122 Firenze
Firenze 2023-小箱営業珍道中・・・そうして 6月29日
息切れしつつ、2023年1~2月に滞在しました
フィレンツェでの突撃小箱営業のお話のつづき。
どうぞお付き合いください。
日本出国時に「この営業はダメ元。
上手くいけば運が良かった程度に思っておこう」と
自分の精神に保険をかけておいたのですが
それでも落ち込むものは落ち込みます。
そろそろ気力体力が尽きてきて
もう諦めようと思う・・・と泣き言をLに言ったころ
最後に訪ねたポルタ・ロマーナ近くの工房で
ご紹介していただいたのが老舗の高級文具店でした。
夕方に2人で訪ねたそのお店は、ドゥオーモ広場東から
南へ出る Via del Proconsolo プロコンソロ通りにある
Eredi Paperone Bottega d’Arte というお店です。
フィレンツェの伝統工芸であるマーブル紙を使った
美しいノートや箱、カードや文具の目移りするほど並び
奥には製作工房もある本格的なお店です。
お父さん率いる家族経営の「昔ながら」で
きっちり整頓された明るいお店。
▲小箱もある!
さて。
と言う訳でして・・・とうとう最後の最後
このEredi Paperone のボス、フランチェスコさんに
拾っていただいたKANESEI の小箱なのでした。
奥の工房で小箱とクリクルム(履歴書的なもの)を
フランチェスコさんとその妹さんに見て頂き
(クリクルムを作って行って良かった~!)
相棒L がいろいろ捕捉しつつ確認してくれて
(L が居てくれて良かった~!!)
10分程度で「ふむふむ、君の希望はわかったよ。
じゃあ試しにウチに置いてみたらどうだい?」
と言ってくださったのです。
はて聞き間違いかな、と思いつつ
頭に上った血で顔が真っ赤になりながら
フランチェスコさんの大きな暖かい手とがっちり握手をして
喜びで天に舞い上がりそうなのを繋ぎ留めてもらいました。
そこから現実に戻りまして
価格や今後の流れ諸々を相談し
わたしの帰国後もLが仲介をしてくれることになりまして・・・
Lと2人、夕暮れの通りに飛び出して
踊りながら乾杯したのは言うまでもなく!
「これから鍵付きで照明も付けた
ガラスケースを準備するからね、
そこに君の箱をいくつか並べてみたらいいじゃない?
店頭に並ぶのは3月末くらいかなぁ?
他の商品と比べて高額だから売れるか分からないよ。
でも何が起こるか分からないからね、やってみなさいよ!」
と言って下さったフランチェスコさん。
まさしく頼もしいお父さんです。
オマケの一言があって
「でもまぁここはイタリアだからさ!
準備が出来たら連絡するからさ、ワハハ!」
・・・そうです、イタリアです。
予定は未定。3月末はあくまでも希望的観測。
わたしの帰国日は変えられませんので
フランチェスコ父さんの笑顔と握手を信じ
Lに小箱を託したのでした。
つづく・・・!
Firenze 2023 ー小箱営業珍道中はじまる 6月26日
2022年秋に思い付いた「フィレンツェ小箱販売」を
ダメ元でひとまずやってみよう、
何事もやってみなくちゃわからないよ
人生何が起きるか分かっらないよ・・・と
2023年1月半ばに鼻息荒くフィレンツェへ
乗り込んだのは良いものの、実際始めてみたら
不安で慌てていたわたしです・・・お恥ずかしい。
そこへ救世主の友人Lが登場してくれました。
Lは観光業なので1月2月は時間がある、
接客には慣れているという心強い相棒です。
初日の朝、開店直後のポンテ・ヴェッキオの
高級ジュエリー店へ突撃です。
Lがまず笑顔で「こんにちは!」と入り
(彼は背が高くなかなかハンサムですので
ご店主のマダムたちには効果抜群・・・)
「東京の友人が小箱を作っているのですが
お時間宜しければ見て頂けませんか?」と言います。
あっさり断られるかと思いきや
すべてのお店が快く受け入れてくれました。
わたしも後ろからひきつった笑顔でアタフタと小箱を披露します。
▲ポンテ・ヴェッキオ(「古い橋」の意)の中ほどからアルノ川を臨む。
橋の両側に張り付くように高級ジュエリー店が並んでいる。
フィレンツェ観光の中心地のひとつ。
結局何件まわったことか。
ポンテ・ヴェッキオのジュエリー店から始まり
その後セレクトショップや高級インテリアショップ
革の小物店などなど・・・。
飛び込み営業(それも東洋人の)がいかに無謀か痛感しました。
ひとりだったら初日にあきらめていたかもしれません。
どのお店でも、小箱は褒めてくださるのですが
お店に置いては頂けない。
それでも事情を話すと皆さんとても親身になって下さり
最後には「ウチのお店では扱えないけど
このお店なら興味を持ってくれるかも」と
次の候補を教えて下さる方が多いのが印象的でした。
疲れ切った夕方には作戦会議と称して
ワインを飲みながら励ましあい次なるターゲットを絞り
次回こそ!と気合を入れなおして別れる日々でした。
ポンテ・ヴェッキオのジュエリー店
最後にお話したマダムの一言があります。
「この小箱はジュエリーを入れるとか「用途有りき」ではなくて
小箱自身として販売するべき。わたしはそう思うわ。」
そしてつづく・・・
Firenze 2023 ー小箱営業珍道中前夜 6月22日
2023年1月半ばに到着したフィレンツェ。
ひと月の滞在期間中の目的は、小箱の営業でした。
なにせコロナ・パンデミック後初
3年ぶりのフィレンツェで街の様子も何もかも想像止まりでした。
わたしは今まで、いわゆる「営業」をしたことがありません。
ノウハウも無ければ方法も知らず
「行ってみて、目ぼしいお店を回ってみよう」としか考えておらず。
つまり「行ってみてから考える。」行き当たりばったり
まさしくいつものパターンです。
我ながら今さらながら、無知って恐ろしい。
出国前にどうしたものかと数人に相談し
一応のクリクルム(履歴書的な)と小箱写真
販売についてのお願い一覧(何と呼ぶのでしょうか)
それから小箱20個を担いで、いざいざ!
乗り込んだフィレンツェです。
ダメでもともと。期待しすぎずに気軽に。
でも後悔しないように精力的に!と考えておりました。
まずは額縁師匠のパオラと彫刻師匠のグスターヴォに
披露してご意見を募る。
そして、扱ってくれそうなお店を紹介して頂けないかと尋ねました。
ですが・・・パオラからは厳しいご意見が続き
グスターヴォは「へぇ、可愛いね。え?店を知らないか??
さぁねぇ・・・こういったことには疎いから。」でおしまい。
パオラ曰く
・とにかく値段が高すぎる
・オリジナル性がない
・街中の廉価なお土産屋で売っている小箱と差別化するのが難しい
などなど・・・
お先真っ暗・・・がっかり。
だけど、前途多難は最初から分かっていたこと。
二人の意見が全てではないのだ!と自分を励ましつつ
留学時代の友人L(先日のビステッカの友人です)
にも見てもらいました。
パオラに言われたこと、自分の考え
具体的なプラン(今思えば行き当たりばったり過ぎプラン)
を聞いてもらったところ、Lが一言
「いいじゃん!営業回り、僕が一緒に行こうか?」と。
なんとなんと、わたしの折れかけた心が
シャッキリ立ち直った瞬間です。
かくして経験ゼロなわたしたち2人の
飛び込み営業珍道中が開始されたのでした。
こうご期待であります・・・つづく!
Firenze 2023 ー小箱営業珍道中序章 6月19日
わたしにとってフィレンツェ留学とは、
古臭く大げさな表現になりますけれども
まさに自由と青春を謳歌し
人生の方向を指し示してくれた時間でした。
たった3年ちょっとだったとは思えないほど
濃く深く心身に刻み込まれた時間です。
そのフィレンツェで学んだ古典技法を使って
装飾をした日本伝統の桐小箱。
それをフィレンツェの街で受け入れてもらえたら・・・
2022年の秋にそんな風に思い始めて
すぐにフィレンツェ滞在の準備を押し進め、
お正月の抱負は「フィレンツェで小箱を販売」
に決めたのでした。
2023年1月半ばに日本を発って2月半ばまでの
1か月間、フィレンツェで怒涛の突撃営業をしました。
そうして6月に、とうとう中心地ドゥオーモ近くにある
高級文具店 Eredi PAPERONE にKANESEI の小箱が並びました。
なんだかまだ夢のよう。
こちらでKANESEI小箱営業珍道中の
お話を聞いていただけたらとおもいます。
つづく。
Firenze 2023ーその呼び名はコファネットと言う。 6月01日
以前、箱のことをイタリア語で「scatola」スカートラと呼ぶ
とお話したことがありました。
小さい箱ですと scatolina スカトリーナまたは
scatoletta スカトレッタなどと言うことができます。
インスタグラムにはイタリア語のコメントも書いておりまして
(間違いだらけの変な文章だとしても
イタリアの方々にも見て頂きたいので・・・)
その際には scatolina と書いていました。
フィレンツェ滞在中、大好きな美術館のひとつである
バルジェッロ美術館を訪ねました。
朝いちばんで行って、ガラガラの展示室を
(普段もあまり混まない美術館ですが)
独り占めする気持ち良さがたまりません。
ここは彫刻作品が有名ですが、工芸品
特に象牙細工や宝飾品も充実しています。
小さくてぎゅっと詰まった世界
まさにわたし垂涎の品々でございます。
今までも心の中は大騒ぎで見学していましたが
小箱を本格的に作るようになってから初めての訪問で
いにしえの小箱を改めてじっっっくり見ることができました。
▲500年前の七宝がこんなに美しく残っている驚き。
▲今はもう作ることも無い象牙の小箱が大小さまざま。
緻密な細工にほれぼれ。
▲この小箱はなんと13世紀のもの。日本の鎌倉時代・・・
これら小箱のキャプションですが
ひとつも scatolina scatoletta なる記載はありません。
すべてが「cofanetto」と表示されているのでした。
cofanetto コファネット、フランス語で coffret コフレ
つまり小さな箱のこと。
そうか、コファネットという単語があるのか。
ううむ、なるほど。
よぉ~し、今日からわたしの小箱も
Cofanetto コファネットである。決めました。
美術館に展示されている宝石のような小箱を見て
自作品も同じ呼び名にしようとは我ながら図々しいのですが
でもまぁ呼び名ですから、自称ということで!
後日、イタリア人の友人にこの話をしましたところ
「ふむ、確かにスカトリーナよりコファネットのほうが
ずっとエレガントだね!コファネットと呼ぶのは大賛成!」
と言ってもらえたのに気をよくして
それ以来すっかり 自称cofanetto が定着しております。
さて。この美術館は小箱だけではありません。もちろん。
▲マヨルカ焼きのコレクションも素晴らしい。
忘れちゃならないのがこの部屋。
▲広々とした大広間は明るくて気持ちがよい。人もまばら。
▲片隅に置くなんてもったいない、かわいいかわいいヨハネ君。
そして中央にはフィレンツェ共和国のシンボルのライオン像「マルゾッコ」
その後ろには麗しいダヴィデ、さらに奥の壁には聖ジョルジョ
(大学のデッサン練習ではお世話になりました。)と
視界にドナテッロ作品が並び立つ奇跡のような空間です。
これはもうドナテッロ祭りが年中開催されているようなもの。
心と頭は大興奮であります!
なんで誰もいないの・・・
これが日本の特別展だったら長蛇の列だろうに!
嗚呼なんたる贅沢、なんたるしあわせ。
つづく1階にはミケランジェロ作品もありますが
わたしはコファネットの衝撃と広間のドナテッロで満ち足りてしまい
ミケランジェロに感動する心のスペースがありませんでした。
フィレンツェにお越しの際には
ウフィツィ美術館もアカデミア美術館も良いけれど
その後にはぜひバルジェッロ美術館へ!
珠玉の世界をご堪能下さい。
Firenze 2023ー食べた食べた2 5月18日
フィレンツェ滞在中、アパートで
しがない自炊料理が基本ではありましたが
友人宅にてご馳走もいただきました。
「おいしいワインがあるからウチで
ビステッカ(ステーキ)パーティーしよう!」
と誘ってくれたのは
フィレンツェ留学時に修復学校で
3年間クラスメイトだったLです。
彼はキャリアウーマンの奥さんと
猫2匹と暮らしています。
約束の午後に「これを焼くぜ~」と送られてきたお肉の写真。
熟成したキアーナ牛の赤身は骨付きですが巨大。
何グラム??これで2人分です。
▲猫のチョルニの目が真剣。
Lの奥さんCちゃんはお肉が苦手。
そして大学では日本文学専攻だったそうで日本大好き!
この日はLがステーキなどお料理担当、わたしは
Cちゃん用に日本食を作って持っていくことにしました。
さて、じゃあわたしはCちゃんに何を作ろうかしらと考え
まぁ結局いつも日本の家で作っているものが無難だろうと
肉無し肉じゃが(つまり野菜の煮物・・・)とインゲンの胡麻和え
それからメインに鮭とイカのから揚げにしました。
アパート近くの「コナッド」というスーパーは結構大きくて
毎週(木曜か金曜か忘れました)魚売り場が素晴らしく充実します。
▲生のたこ!お刺身で食べたい。
▲鯛やサバのような魚、マスのような川魚から
イカ、切り身の鮭やエビなど豊富でおいしそう。
ただお値段はそれなりに・・・
▲肉無し肉じゃが製作中。
コンロは4口あり大きなフライパンもアパート備品。
さて、18時ころ彼らのお宅へお邪魔しました。
アパートから歩いて20分くらい。
フィレンツェではとにかくよく歩きます。
食前酒のプロセッコ(発砲白ワイン)でお喋りしつつ
ここぞとばかりに猫2匹を撫でくりまわしていると
20時にCちゃんが帰宅、さぁいよいよ晩御飯ですぞ~
▲「どうだ~」と笑顔のLがご馳走してくれたワイン
どちらも美味しかったけれど左の赤が特に美味。
▲付け合わせのポテトはニンニクとオリーブオイルとお塩のみ
弱火でじっくりローストして、これまた美味しい。
▲奥にいるのはチョルニの相棒ムジッチェ
食べかけの写真ですみません。
あまりに美味しくて仰け反り続けたビステッカ
レアだけど肉汁は流れ出さず、お皿もほとんど汚れないほど。
外はカリッと香ばしく、中はほんのり暖かくてジューシー
そこに新物のオリーブオイルと美味しいお塩
そしてピンクペッパーでパクっと!
ビステッカにオリーブオイルをかけるなんてどうなの?
と思いきや、味に深みが出てまろやかになって
こんなに合うとは驚きでした。
イタリア料理をイタリア人といただくと発見があります。
Cちゃんはわたしの家庭料理を
大喜びで完食してくれて、これまたうれしい。
美味しいご馳走と暖かな友人と
膝で眠ってくれる猫がいて、何と幸せな夜だこと。
昔のLは、料理といえば「素パスタ(茹でたパスタに
オリーブオイルかバターとお塩のみ)か
「素ブロード」(お湯にコンソメキューブを溶かしただけ)の
専門だったのに、いつの間にか大変な料理上手になっていました。
思えばLとわたしが学生時代は毎日
学校でも放課後でもグループで集まって
ワイワイギャーギャーと遊んでいましたが
二十歳すぎの子供でしたからお金もなくて
誰かの家に集まってトマトソースのパスタを食べて
安ワインを飲むのがせいぜいでした。
今はこうして美味しい料理をゆっくり会話しながら
楽しむゆとりが出来たんだな
わたし達も成長したな・・・と感慨深い夜でもありました。
Firenze 2023ーサン・ロレンツォ教会地下潜入 5月11日
すこし間が空いてしまった2月のフィレンツェ滞在記
つづきです。(そして長いです。)
彫刻師匠グスターヴォと一緒に
サン・ロレンツォ教会へ納品に行きます。
教会の保存修復部門入口は一般見学の入口の
右奥の鉄扉の先にあります。
インターフォンを押して重々しく扉が開き
中に入ってみると
バラ咲く中庭があって
振り向いて見上げれば、そこにはサン・ロレンツォ教会の
メディチ家礼拝堂クーポラがそびえています。
近すぎてよく見えないくらい。
小さな扉から「やぁ、どうもどうも」
グスターヴォはIKEAのバッグに額縁をいれて持ってきました。
工房から歩いて10分ですからね。
東京だったら考えられない近さと手軽さです。
さて。この教会の保存・修復部門の担当者の
ご許可をいただいて写真を撮りましたのでご紹介します。
▲中央の楕円額縁が今回グスターヴォが彫刻を修復した額縁
テニスコートくらい?の広さ、低い天井
そして雑多に置かれた教会の宝物!
ものすごく散らかって(失礼!)ホコリだらけ
とても面白くワクワクします。
▲ゴシック風の祭壇、そんなに古くはなさそうですが
素敵なデザインです。
▲「あらよっと! 早く直してよ~」
▲これはいったい・・・?
▲これはアレです、たぶん。
十字架から降ろされたイエス様や聖人の亡骸風彫刻が
横たえられているケース・・・じゃないでしょうか・・・
▲なんだか見慣れたものも。赤ボーロやファーゼ社の塗料。
そしてホコリ・・・
グスターヴォと担当の方が次の修復の打ち合わせをしています。
聖人像の冠が無くなっちゃったから、新たに作るのだとか。
置かれてある道具や材料も、修復を待っている宝物も
この蛍光灯の照明やらニオイやら埃っぽさや何もかもが
留学していたパラッツォ・スピネッリ木工修復コースの教室
パオラの工房、グスターヴォの工房、そして
2020年にローマで訪ねた額縁修復工房を思い出させるものでした。
繋がっている。
わたしがあまりに興味津々で右往左往しているものですから
じゃあちょっと案内してあげましょう!と
修復室の外も見せて頂けることに!
入口と反対にある奥の扉を出ると、教会の地下通路でした。
きゃーこわい♪ ドキワク
冬なので空気は冷たい。そして湿度もあります。
ミケランジェロは一時期このサン・ロレンツォ教会の
地下に身を隠していたことがあるとか。
その部屋には窓があったようですが
「雰囲気は近いのかも・・・」と想像が膨らみます。
▲教会の中庭が高く見える。
外の明るさ、オレンジの生る木の暖かさと
この地下道の暗さと湿度のコントラストが強い。
サン・ロレンツォ教会は紀元4世紀まで
さかのぼる歴史があるそうですが
1421年にメディチ家の出資により拡張工事がされたとか。
この地下迷宮はその頃に作られたのかもしれない、と
想像しています。(確認はしていません。)
だとしたら600年。
この踏み固められた通路は600年間
いったい何人が歩いたことか。
この小窓から、いったい何人が「ああ、外は明るく美しい」
と思っただろう?
道端には燭台が山のようにありました。
誰も管理していないし、修復も未定。
もはや教会のどの場所に置かれていたかも
資料がなくて不明だとか。
泥に汚れたものがあり「これは1966年11月の
洪水の時に被害を受けたものだね」とのこと。
それはつまり、57年ずっと放置されているの??
グスターヴォが「ちょっと直して売っちゃえば?」
なんて言いましたら、担当の方曰く
「そうなんだよね~(そうなんかい!)
でも全部に管理番号が付いているから
ちょっと難しそうなんだよね~」ですって。トホホ。
予算はない。どうにもできないし、どうする予定もない。
そんな宝物が修復室にも沢山ありました。
なんだか残念なような、でも仕方がないような。
そんな燭台をボケッと見ていたら、二人はどんどん先に。
ぎゃー!待って!
置いていかれたら道に迷って二度と出られず
死んでも発見は57年後・・・そんな気がしました。
教会って聖なる場所で、この教会などいわゆる
「パワースポット」かもしれませんけれど
どうしてこうも怖いのでしょう。
日本のお寺も神社も、やはり時々
ドキッとするときもあります
(わたしはスピリチュアル系にはうといのですけれど)。
人間の「気」や「思い」が降り積もっているからですかね。
以上、サン・ロレンツォ教会地下潜入報告でした。
Firenze 2023-グスターヴォの仕事 4月06日
わたしがフィレンツェに着いて最初の1週間は
雨ばかりでした。そして寒い。
ダウンコートを持って行かなかったことを後悔しつつ
彫刻師匠のグスターヴォの工房へ行きます。
「来年80歳だぞ~!ワハハ」と笑いながら
とても頼もしく逞しいグスターヴォ。満面の笑顔です。
祭壇型額縁と思いきや、中央の半円アーチ部分は
ガラス扉になって開閉できるようにするのだとか。
ちょうどアーチを作っているところでした。
後ろの机を見ると、これまた素敵な額縁があるではないですか!
・・・額縁かな?
欠けていた彫刻部分を再現したんだよ、とのこと。
花飾りの部分です。
「これは何?」と訊ねたところ
「サン・ロレンツォからの修復仕事で、明日納品に行くのだ」と。
なんと、明日納品?!わたしも連れてって~!!
と叫びましたら快諾してくれたのです。
サン・ロレンツォ教会とはメディチ家菩提寺で有名な
あのサン・ロレンツォ教会です。
あんなに大きくて重要な教会の仕事もしているグスターヴォ
まだまだ元気で手元も確かですから素晴らしい。
わたしもこんな風にいつまでも
楽しく作業出来たら、と思いました。
さて、次回はいよいよサン・ロレンツォ教会の裏側に潜入ですぞ。
つづく!
Firenze 2023-2 食べた食べた1 3月16日
2020年のフィレンツェ滞在記でご覧いただいた
「食べたもの」は、きっと誰もご興味ないだろうな!
と思いつつも忘備録として書いたのですが
先日「あの食事の様子は面白かった」と
お話くださった方がいらっしゃったので
嬉しくなってまたまたご報告します。
到着した日は午後3時にアパートチェックインでしたので
荷物を置いて一息ついて、ひとまず最寄のスーパーへ
買い出しに行きました。
前回まではウフィツィ美術館裏の
中心地中の中心地のアパートでしたが、今回は住宅街の方
それも留学時代に住んでいた場所から徒歩1分という場所でしたので
なんとも懐かしい地区でした。
最寄のスーパーも当時からお世話になっていたお店です。
さて、そこで買ってきたのはまず、生パスタ、牛乳、卵
オリーブオイル、海の塩、紅茶とプチトマト
イチゴとチーズとヨーグルト。
そして忘れちゃならない白ワインです。
▲食器はアパートの備え付け。
パスタ皿とフォークがなんとも昭和な雰囲気です。
第1回晩ごはん、時差もあるし面倒なのもあって
結局は日本から担いで行ったパスタソース
(成城石井の白トリュフソース。豪華!)でした。
卵4個入りを買って帰って開けてみたら1個ひびがある・・・
「イタリアだから」と諦めの境地。
まぁ腐っていないから良いや!と急きょゆで卵も追加しました。
晩酌をしないのは体調不良時のみというワタクシですが
この日は飲む気分になれず。ハハハ。
とは言え、図らずも初日夜から悪くない晩餐になったのでございます。
現地時間夜8時は日本の明け方
眠くて仕方がないけれど我慢して10時に就寝。
明日朝は市場へ野菜を買いに行こう!と鼻息荒く眠りにつきました。
そうして明け方午前5時・・・
この頃のフィレンツェの夜明けは朝7時過ぎなのでまだ真っ暗です。
でももう眠れない。
1時間ばかりベッドの中でうずくまって、もう飽きた。
ガサゴソ起き上がって朝ごはんでも食べれば元気になるかいな・・・と。
▲お箸も持って行きました!
第1回朝ごはん。
こんなものご覧いただく必要あるか?・・・と
相変わらず恐縮しつつもご紹介しますと
前日にスーパーで調達したプチトマトとヨーグルト。
そしてこれが無いと辛いお味噌汁です。
ちょっと少く作ってしまい物足りなかった。
今回はフリーズドライの出汁入り味噌と
これまたフリーズドライの「みそ汁の具」を別々に持って行きました。
1食分小分けのインスタント味噌汁より荷物にならず
お味噌を料理にも使えて便利でした。
ヨーグルトは洋ナシ風味にシリアル入り。
不思議な食感です。ゆるいヨーグルトにプチプチのシリアル
(ふやけた皮付きの麦?玄米のような?)が入っているので
なんだか甘くて冷たいヨーグルト粥のような。
いや、表現が悪いですな、美味しいのですよ。
はまってしまって、この後ほぼ毎朝食べました。
そしてこの黄色い箱はカロリーメイト!
持って行って良かった、助かりました。
ひとまずお腹は満足、夜も明けました。
予定通り市場へゴーゴー!です。
新鮮野菜と美味しいパンとバターと・・・ムフフ。
つづく
Firenze 2023-1 2月27日
2023年の1月後半から2月半ばにかけて
イタリアのフィレンツェに滞在しました。
コロナ禍が完全に明けたわけでもなく
仕事や家族の事も色々考えて、
でもやっぱり「今行く」と決めたのでした。
快く送り出してくださった方々には
大変感謝しております。
毎度毎度イタリア滞在記は尻切れトンボになっておりまして
お恥ずかしい限りなのですけれど
今回も思い出すままに皆さまに聞いて
(読んで)いただければと思います。
今回の目的は、第一に「小箱の営業をする」でした。
第二は友人知人との再会
第三は日常と違う場所でひとりきりで過ごすこと。
目的はほぼ果たすことが出来ました。
何人か会えず仕舞いだった人もいるのですけれど
またいつか必ず会えると思っています。
そんな訳でして、スーツケースと小箱を入れた
大箱(!)を担いでいざいざ!
今回は今まで通ったことのないルートでした。
ご存じのように現在はロシア上空を通ることが出来ませんので
アンカレッジ付近を通るルートでした。
▲以前のロシア通過ルートの反対周りで北極近くを通るルート。
機内で見る地図が物珍しい。
羽田を夜に出発して14時間後、朝のパリに到着、3時間の待ち時間。
そして乗り換えて2時間でフィレンツェに到着しました。
やれやれ、いつもに増しての長旅でした。
お昼ごろに着いたフィレンツェ空港で
まずはツーリストインフォメーションにて
美術館や教会の開館予定表をもらい
(イレギュラーな予定が多い時期なので必須)
アパートのチェックインまで時間があるのでお昼ご飯にしました。
▲到着ロビー奥にきれいなカフェが出来ていました。
前からあったか・・・記憶が遠い。
お水はトスカーナの銘水パンナでございます。
イタリアでは最近ポケボウル(日本ではポキ?)が
大流行中のようでして至る所で見かけました。
この時食べたポケは生のサーモン、枝豆、パイナップル
穀物(大麦と・・・玄米のような?)の
茹でたものの盛り合わせでした。
写真で見るより大量、そして具の下はこれまた大量の穀物。
お味は、ええと、見たままです。
身体に良い。でも食べきれませんでした。
お醤油が欲しいな~などとイタリア到着直後に思ってしまう。
ちなみにこのミネラルウォーター「パンナ PANNA」は
軟水だそうで、疲れた体に優しいのです。
さて、こうして3年ぶりのイタリア滞在を開始いたしました。
つづく・・・!!