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小さい小さい絵展 12月19日

 

毎度お知らせばかりで恐縮です。

今年最後のお知らせ、どうぞお付き合いくださいませ。

 

毎年暮に開催されます「小さい小さい絵」展が

今年も今日12月19日から始まります。

今年は去年に引き続き1点だけ

名刺大のテンペラ画模写を出品します。

ヴェロッキオ(1435~1488)が描いた

「聖母子と2人の天使」から部分模写、天使の顔です。

 

ヴェロッキオと言えばレオナルド・ダ・ヴィンチのお師匠様。

そして敬愛するギルランダイオのお師匠様でもあるのです。

・・・わたしも弟子のひとりに加えて頂きたい・・・!

でも毎日怒られそうで怖い!

 

 

額縁も15世紀風に、古典技法で作りました。

ヴェロッキオ工房でも使っていたはずのボローニャ石膏地です。

金の彩色はテンペラ絵の具で描きました。

 

▲額縁の外側サイズはB5のひと回り小さいくらいです。

 

ヴェロッキオが描く人物の口って結構特徴的です

。いつもキュッとしているというか

ちょっと尖っていて口角がはっきりしている印象です。

この天使の微笑む口元も例にもれず。

 

▲この天使の見上げる眼差しの先には聖母マリア様が。

 

お忙しい時期ですが、池袋へお出かけがありましたら

どうぞ東武百貨店6階のアートギャラリーへお立ち寄りくださいませ。

よろしくお願い申し上げます。

 

小さい小さい絵展

池袋 東武百貨店6階アートギャラリー

12月19日(木)~25日(水)

10時~19時 最終日17時閉場

美術画廊・アートギャラリー|イベントガイド|東武百貨店

ありがとうございました!そして 12月16日

 

怒涛のような11月、12月の小箱展示は

すべて無事に終えることが出来ました。

神楽坂、谷中、京都、お越しくださった皆様に

感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 

箱義桐箱店 谷中店での「秘密の小箱」展は今年3回目で

ようやく、なんとなく、展示などの要領が分かってきたような気がします。

でもお客様とお話するのは相変わらず緊張します。

自分で作ったものを自分で勧めることの難しさたるや・・・!

こればかりはまだ慣れませんが、練習した方がよさそうです。

堂々と爽やかに!を目指す。

 

 

京都の「梅軒画廊」さんは、今回初めて展示していただきました。

クリスマスとお正月を前にした暖かな企画の

仲間に入れて頂けて嬉しい限りです。

ちょうど「秘密の小箱」展と期間が重なっていたので

在廊が叶わずでした。残念!

展示をご一緒できた方々の作品も拝見したかったし

暮の京都散策もしたかったのでした。

 

 

日々、ものすごく遅いスピードで生きていることを実感しました。

この晩秋~初冬は3倍速で過ぎた毎日でした。

でもこれくらい人生にメリハリがある方が気持ちも良いです。

 

長い時間お待たせしてしまっているお客様、

考えること、するべきこと、次のこと、

ずいぶんと停滞させてしまいました。

小箱以外のことを後回しにしすぎてしまいましたので

これからまた諸々整理して進める所存です。

 

 

果物とリボンと子羊の舌の額縁 12月12日

 

「いったい何時から作っているんだい・・・?」

「ハイ、もう忘れてしまうほど大昔です。」

・・・という脳内会話が繰り広げられるほど

以前から続けております、名付けて「果物ぐるぐる額縁」です。

外側を果物のリース、内側にはリボンがぐるぐる巻き

端先は「変形ラムズタン (lamb’s tongue)」が取り巻くという

彫刻がぎゅうぎゅう詰まったデザインです。

 

 

記憶にはございませんが、記録をさかのぼると

今年4月27日に石膏を塗りました。

そしてどうやら彫刻は昨年秋に終えた様子。

ということは、着手は・・・一昨年かもしれません。やれやれ。

 

▲こうした「苦手な作業」はAtelier LAPIS の講師時間にするに限ります。

熱心な生徒さん方に囲まれていると、わたしも頑張れる気がする

・・・ような気がする。

 

彫刻をした額縁に石膏を塗るには様々コツがありますが

とにかく、いかに凹凸を均一の厚さに、

筆跡を残さず塗るか!・・・難しい。

凹に溜まった石膏を再度彫って(リカットして)

メリハリを戻し、丸い果物を「ふっくら艶やか」を目指して磨き・・・

 

 

うーむ、うーむ・・・

こんな感じで石膏磨きは終了。次は箔作業です。

全面金箔にするか黒と金のコンビにするか、まだ迷い中・・・

どうしよう??

 

 

京都「Art for Gift」展 12月09日

 

先日も書いたばかりなのですが

12月7日土曜日から15日日曜日まで

京都・四条烏丸にあります梅軒画廊で開催の

「Art for Gift」展に小箱6点を出品しております。

宣伝ばかりで恐縮です・・・

 

 

梅軒画廊さんは1916年創業という大変歴史のある画廊

烏丸駅からほど近く、京都のまん真ん中にあります。

ここ数年は関西方面の方に見ていただく

機会がありませんでしたので、

大変うれしく参加させていただく事にしました。

 

 

わたしKANESEI以外に12人の作家が丹精込めた作品が並びます。

クリスマスのプレゼントに、お年玉の代わりに、

またはご自分の楽しみのために、

どうぞお選びいただけたらと思います。

 

 

梅軒画廊 

「Art for Gift」展 12月7日~15日

〒604-8153 京都市中京区烏丸通四条上ル笋町682

営業時間:10:00~18:00 

電話:075-221-3510

 

 

菊と牡丹と片輪車 12月05日

 

昔々のその昔に作った和柄の小箱があります。

その時は白い石膏地に模様を線彫りして、

ボーロを塗って金箔を貼り磨いてつくりました。

全面金で華やかな小箱が完成したのです。

 

その小箱がとても気に入っていて、ある方に差し上げた後も

ずっと「もう一度いつか作ろう」と思っていました。

 

最近、黒地に模様を彫る細工が楽しくて、ある日ふと

「そうだそうだ、あの和柄小箱を黒地で作ってみるべし!」

と思い立って作りました。

 

 

菊と牡丹と片輪車の模様で、内側の布は濃いばら色です。

 

▲側面にも模様が続きます

 

なんだかたまに「和に飢える」と言いましょうか

唐突に和風の小箱も作りたくなるのです。

この黒地に線彫り装飾は地味ですけれど細かな線も描けて

繊細な和模様にも最適な技法でした。

 

この小箱は12月7日から開催の京都でのグループ展に出品します。

和だから京都・・・という安直な考えではるのですけれども

もしかしたら海外の方のお目に触れる機会が

東京より多いかもしれない、と思いつつ。

 

▲下のトレーも京都のアンティークショップで買ったものです。京都&京都

 

この小箱、菊と牡丹なので季節を選びません。

床飾りのお香合として使っていただいても良いなぁと

思ったりなんかしております。

 

関西にお住まいの方、お越しのご予定の方

おついでの際にぜひお立ち寄りくださいませ。

よろしくお願い申し上げます。

 

「Art for Gift 2024」

梅軒画廊

12月7日(土)-14(土)会期中無休

10:30-18:00 最終日17:00閉場

京都市中京区烏丸通四条上ル笋町682

075-221-3510

 

 

六角形に希望を込めて 12月02日

 

小箱を発表しはじめてから3年目

なんというか・・・マンネリ化してきた感があり

でもたかが数年で世界観が大幅に変わるってもんでも無し・・・

とウダウダ考えていました。

脱・マンネリと言うほどではありませんが

六角形の小箱木地を作って頂けることになり

鼻息荒く完成させた次第でございます。

 

 

いつもお世話になっている箱義桐箱店さんではなく

友人のMさん(古典技法額縁教室 Atelier LAPIS の生徒さんですが

もはや友人と呼ばせてください!)に

特別に作って頂いた小箱木地です。

大変に手間がかかる制作だったと思います・・・

ありがとうございます。

 

 

Mさんには、小箱の角の面取りはしないでください、と

お願いしてありました。

おかげ様でエッジがキリリとした小箱が出来てニヤニヤしています。

箱義さんの桐小箱は、そのまま使う前提で完成された小箱ですので

角は美しく面取りされています。

わたしはエッジがパリッと立ったデザインが好きなので

もどかしく思うこともあったりして。

 

 

左は金14カラットの水箔、右は金22カラットの本金箔

パスティリア(石膏盛上げ)で装飾しました。

 

 

サイズは六角形の対角60mm、高さ40mmです。

少し高さがありますので、いままでのKANESEI小箱には

入らなかった宝物も入れて頂けるかもしれません。

箱義桐箱店谷中店での「秘密の小箱」展い出品いたします。

ぜひお手に取ってご覧ください。

 

「秘密の小箱」

-フィレンツェの古典技法で作る小さな箱-

2024年11月29日(金)~12月12日(木)

10:30~18:30 月・火休廊 最終日17時まで

箱義桐箱店谷中店

台東区谷中3-1-5-B1・101

☎03-5832-9811

箱義桐箱店

 

 

つばめ飛んで行け東へ向けて 11月28日

 

小箱のつばめシリーズは、おかげ様で好評です。

 

アンティークの金属でできたオーナメントから型取りして

パテで作ったつばめモチーフを使っています。

いままでは「つばめメイン」でシンプルに黒や金だけ

という小箱ばかりでしたが、今回は背景に凝ってみました。

 

 

小さな小箱(相変わらず変な表現。

良い言葉が見つからない!)には小さいつばめ。

周囲は金に線刻、蓋には夜空に輝く星と

金のつばめが飛んでいます。

 

 

大きめの小箱(・・・)は周囲をまるく面取りして

背景全面に模様を線刻し、水箔

(14K、金と銀の合金)を貼り磨きました。

つばめはシンプルに黒にしてみたら、なんだかすこし和風なような。

 

 

ちなみに、ですけれど、わたしが持っている

アンティークオーナメントのつばめ以外にも

何度か古いつばめの金具をお店などで目にしましたが、

そのすべてが右向きでした。なぜでしょうかね?? 

東が吉方なのだろう!・・・と思っておきます。

 

▲飛べ、つばめ達よ

 

どちらもアンティーク調に古色を付けてあります。

今までのツバメシリーズに比べたら派手ですが、

ぎゅっと詰まった雰囲気で良い感じです。

オーナメントを使った小箱デザインの

新しいシリーズが出来そう。たのしいです。

 

こちらの小箱2点は明日11月29日から開催の個展

「秘密の小箱」展に出品いたします。

どうぞお手に取ってご覧ください。

お待ちしております。

 

100枚?200枚?それともナシもアリ?? 11月25日

 

いよいよ金曜日から始まります「秘密の小箱」展です。

 

その「秘密の小箱展」のDMを作りました。

写真は今年も浅野カズヤさんに撮って頂いたものでして

それをネットで発注するのですが。

さて、何枚作るかな・・・?

 

昨年は200枚作りましたが、友人に

「少ないんじゃないの?!」と言われちょっと後悔したものの

終わってみればちょうど良かった。

200枚のうち半分は郵送で様々な会社や出版社、

ギャラリーなどなど手あたり次第にお送りした(送り付けた)のでした。

 

会期中、お客様とおしゃべりして最後に名刺を頂いたら

大変に有名な芸術誌の方でした。

もちろん編集部にDMをお送りしていたのですが

「ああ・・・せっかく送ってくださっても

DMの類は見る機会が無くて・・・」とのお話。

この方はSNSをご覧になって個人的に来てくださったのでした。

 

あれだけ大きな編集部なら日々DMも大量に届くし

そりゃ目にも留まらんでしょうなぁ・・・。

友人の展覧会のお知らせなどを見ていても

「今年はDMは無し」パターンが半数近く。

と言う訳で、今年は半分、100枚だけ作りました。

 

 

その100枚が昨日とどいたのですが、これがなんと

わたしの設定ミスで写真上下に1~2mm白いラインが入っていて

(写真が小さかったみたい)、カッコ悪いったらありゃしません。

おまけに一枚一枚微妙にラインの幅や角度が違う。これいかに。

まとめて切る訳にもいかず、結局1枚1枚カッターで切りました。

不幸中の幸いは、標準紙で薄かった(ケチった)こと、

100枚だけだったこと。1時間で切り終えて、やれやれ。

 

 

微妙~~~に幅が違うDMハガキ100枚、準備が整いました。

箱義桐箱店谷中店、アトリエLAPISにて配布させていただきますので

お見かけの際にお手に取って頂けましたら幸いです。

 

 

秘密の小箱展 2024 11月21日

 

お知らせばかりで恐縮です。

箱義桐箱店谷中店での小箱展示会を今年も開催いたします。

11月29日の金曜日から12月12日の木曜日まで。

「秘密の小箱」展、今年で早くも3回目になりました。

 

 

こちらブログでもいくつかご覧いただいた小箱もイソイソと馳せ参じます。

 

 

今年は何故だか金と黒と水金(ほぼ銀色の金)の

3色がメインになりました。

色のある・・・たとえば明るいパステルとか

ハッキリとした赤や真っ青など、ほんの少し作りました。

だけど気分は金・黒・水金だったのでした。

理由は「ひたすら自分の好きなものだけ」を

追求した結果と言えそうです。

開き直りつつ、ひとつの挑戦です。

数えてみれば86個、ありました。

 

そして、今年からいろいろな事情があって

価格をだいぶ変更いたしました。

もともと可愛くないお値段でしたが

更に可愛げが無くなり、申し訳ない限りです。

この価格変更も、やむに已まれぬひとつの挑戦となりました。

この2つの挑戦で飛躍できるのか。

 

 

どうぞ、お手に取ってご覧いただけましたら幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

 

「秘密の小箱」

-フィレンツェの古典技法で作る小さな箱-

2024年11月29日(金)~12月12日(木)

10:30~18:30 月・火休廊 最終日17時まで

箱義桐箱店谷中店

台東区谷中3-1-5-B1・101

☎03-5832-9811

箱義桐箱店

全日在廊予定です。

 

ポーチだポーチだ 11月18日

 

できました、ポーチ。

 

 

小箱を入れる専用ポーチです。

服飾デザイナーの藤井陽介さんとのコラボ・・・と言いますか

無理やりお願いして甘えて作って頂いたのです。

4色8種、すべて藤井さん手描きの絵が入れてあります。

 

このポーチ企画を思いついた時は、なんとな~く

「ポーチがあったらかわいいなぁ」程度でした。

小箱自体が生活に必要なものでは無くて

完全なる趣味の世界、生きる上での余興のようなもの。

その余興にさらなる余興(ポーチ)って、どうなんだ?

自分ひとりで盛り上がっているだけな気がする。

そんな風に思っていたのですが。

 

▲十字の模様

 

▲秋の牡鹿・・・かわいい

 

▲栗鼠!リス!りす!

 

▲教会にあるような模様

 

▲パステルイエローにシルバー、紐は水色、かわいすぎ

 

▲これも教会の模様のよう。紺に金の模様、黄色の紐・・・身もだえする。

 

▲ルネッサンス時代のドレスの模様のような。

黄色と水色ってなんでこんなに(以下略)

オーナメント付きの盛り上がった小箱も入ります。

 

出来上がってみれば、大げさなのは承知なのですけれど

「小さな夢も動けば叶う」としみじみ嬉しくなりました。

 

生地と紐の種類は藤井さんと選びましたが

色や図柄はおまかせしました。

想像していた以上に、思い描いていた以上のポーチが完成しました。

これは今回だけ特別、限定なのです。

 

 

んもう、かわいすぎちゃってどうしよう。

(しつこくてすみません・・・!)

8枚のポーチ、4枚は神楽坂のギャラリー

「ラ・ロンダジル」にお預けしましたので

ぜひお手に取ってご覧ください。

残る4枚は11月29日からの個展でご覧いただく予定です。

 

小箱をポーチに入れたら安全に持ち運ぶことができます。

旅行に大切なアクセサリーや、肌身離さず大切になさっているものを入れて

またはクリスマスのプレゼントとして、

選んで頂けたら嬉しいです。

 

それにしても、自分用に1枚とっておこうと思ったのですが

結局どれもこれも選べなくて、

最後にもし残ったら、その1枚を手元に置こうと思っています。

全部がお嫁に行けばそれが一番、でございますけれども・・・

なんともはや。いやはや。ウハハ。

 

 

妄想茶道具小品展 11月15日

 

今年の秋~冬は小箱の展示が続いており

お知らせばかりなのですが・・・

 

 

東京・神楽坂にありますギャラリー「ラ・ロンダジル」にて

明後日11月16日から開催の展覧会に出品いたします。

タイトルは「ロンダの妄想茶道具小品展」

 

いわゆる「お茶道具として」作られたものではなくても

たとえば小さな器を茶碗に・・・とか

ガラスの小瓶を振出(金平糖などを入れる器)に・・・

など見立てて使うことがあります。

KANESEIの小箱を、ちいさなお菓子入れにいかがでしょうか、と

提案していただいています。

ちいさなチョコレートやドライフルーツを蝋紙に包んで入れたり。

または香合としてお使いいただくことも。

 

▲ラ・ロンダジルさんのInstagramよりお借りしました。

竹編み風シリーズです。

 

 

小箱の他、ハガキサイズの額縁2点、楕円の額縁2点もございます。

額縁には裏板、アクリルガラスが入っておりますので

お好きな写真や展覧会の絵ハガキ、古裂やコラージュなど

お好きなものを入れてください。

 

▲こちら4点の額縁

 

「世界にひとつだけのとっておきをテーマに謳う妄想茶道具小品展は

現代作家が提案する茶道具と古いもの面白いものを

取り混ぜた愉しむ心が最優先の

固いことは言いっこなしの茶道具展です。」

(ギャラリーのリーフレットより)

 

 

秋の神楽坂へ、お散歩がてらどうぞお越しください。

よろしくお願いいたします。

 

ロンダの妄想茶道具小品展

 

天野ミサ 彫金

大桃沙織 金工

KogoccoPepin 胡桃細工

加藤キナ 鹿角細工 

KANESEI 古典技法小箱

伯兆 蒔絵

橋村大作 吹きガラス

村瀬玄之 張貫漆器

山本景子 漆・木工

 

2024年11月16日~11月30日

12:00~19:00

日曜・祝日・最終日 18:00まで

11月18日・25日 休廊

ラ・ロンダジル

新宿区若宮町11 摩那ビル1F

03-3260-6801

 

 

 

蛇の道は蛇 2024 11月11日

 

先日、曹洞宗の冊子「禅の友」に掲載していただく

写真の撮影がありました。小箱とちょこっと額縁。

掲載用の写真のほかに、わたしが使って良い許可を頂いて

小箱の集合写真も撮って頂きました。

フォトグラファーは浅野カズヤさんです。

 

▲編集者の方と浅野さんが色々真剣に。

 

フォトグラファーの仕事は大荷物がつきもの。

レンズ数種類、照明も数種類、三脚やらカメラ本体や、大変です。

いつもお疲れ様です。

上の写真の四角く光っているのは照明器具で

サイズも重さもタブレット。

光量も色味(青~赤まで)自在に変えられるのです。

いやぁ、日々進化です。大きな照明はもはや必要無し。

このタブレット型照明は自室にも欲しくなりました。

床置きでも棚に置いても、何かの後ろから照らすでも

なんでも可能なのですからね!

 

 

小箱の集合写真撮影。

これらの写真は11月末からの個展「秘密の小箱」の

DMやSNSで使わせていただく予定です。

おなじセッティングで、わたしがスマホで撮ったら下の写真。

 

▲薄らのっぺり。

 

そしてプロが撮ると

 

▲手前の箱をひとつ交換していますが

 

こうなるのです・・・!

立体感も趣も陰影も、クッキリ感も全然違う。

「なんじゃこりゃー!」と叫びたくなる。

いやはや、やはり蛇の道は蛇、でしたっけ、

とにかくプロの技を目の当たりにして大騒ぎでした。

 

これから頂戴した沢山の写真の中から

数枚を選び出さねばなりません。

これが楽しくも難しい。でも楽しい!

皆さまに早く見て頂きたいと思っております。

 

 

ポーチがあれば安全に 11月07日

 

これ、なんざんしょ?

 

 

紐でぐるぐる巻き。答えは

 

 

小箱のポーチでした~!!

いや、見てすぐわかりますよね、お粗末様でした。

 

いま、友人で服飾デザイナーの藤井陽介さんにお願いして

小箱のポーチを計画中。

ポーチがあれば小箱を安心して持ち歩いていただけます。

 

試行錯誤が続いておりまだ試作で

布や紐も変更かもしれませんけれど、おおむねこんな形です。

そして藤井さんに手描きワンポイントを入れてもらって

コラボしよう!と言う計画。

 

▲ムフフ・・・もうぜったいカワイイ

 

そうは言っても時間があまりありません。

11月前半にはなんとか完成しないと!

皆様に手に取っていただける日が待ち遠しいです。

 

 

楕円考 11月04日

 

イタリア製の楕円の小さな額縁木地2種を

友人のご厚意に甘えて5枚ずつ買ってきていただきました。

以来楕円額縁の魅力にはまっています。

 

いままで楕円の額縁って可愛らし過ぎるような気がしていて

つまりあまり興味がわかなくて辿り着いていませんでした。

ですが今年に楕円額縁のご注文をいただいて1枚作ってみたら

なんて楽しい世界だろう!

 

今日ご覧いただく楕円4枚(四角も1枚紛れていますが)は

ご注文の品ではありません。

めくるめく楕円の世界で目をハート♡にしながら

好き勝手に作ったものです。

 

▲黒地にかすれた金の植物文(プレッツェーモロ)と

四つの切込みを入れた全面純金箔

 

▲石膏盛上げでレリーフを入れた純金箔と真っ黒の2種

そして四角いプレッツェーモロ。

 

楕円の魅力は、なんと言っても「角が無い」と絶妙なバランス。

角が無いと始まりと終わりが無い。

そして曲線に長方向と短方向で作られるリズムがあること

でしょうか。正円とはまったく違う・・・。

楕円額縁のデザインを考えて、作って、眺めて、

つくづく面白く不思議な世界なのです。

 

 

始まりと終わりが無いのなら、模様も連続で良い。

・・・でもなんだか、間も作りたくなる。

 

 

そして模様を4か所に入れて区切る・・・慣れた方へ。

 

まだ楕円と本気で仲良くなれていない。

距離感がつかめていないわたしです。

これから更に楕円木地をいじくりまわして慣れていこうと思います。

 

それにしても、もっと楕円の木地が欲しい!

色んなバランス、デザイン、サイズの木地が

日本で手に入ると嬉しいのだけど・・・❕ううむ・・・

 

黒いプレッツェーモロと切り込み金の2枚は

11月半ばからのグループ展(神楽坂ラ・ロンダジル)

金と真っ黒パスティリアと四角いプレッツェーモロの3枚は

11月29日からの個展「秘密の小箱」展

(箱義桐箱店谷中店)でお披露目いたします。

 

 

同じ気配の物たち 10月31日

 

先日ご紹介しました、昭和風味に加工した

キャンドルスタンドですが

オリジナルの商品に実はあと2種類が販売されています。

もう少し背が低くて上部のお皿が広いキャンドルスタンド

それからコンポート皿のような形のもの。

味を占めまして、のこる2種類も購入して同様に加工しました。

 

 

上の写真、左が前回に加工した背が高いものです。

中央がコンポート、右が低いキャンドルスタンドです。

どれもオリジナルの姿はナチュラルで爽やかな印象なのですが

 

▲加工前のオリジナルの姿。写真はショップよりお借りしました。

 

ふたつにもちょっと削ったり塗ったり磨いたり

コッテリ仕上げにしました。

 

 

コンポートには小さな箱なら3つ並ぶ感じ、そして

 

▲相変わらずお供え感が強い・・・

 

低いキャンドルスタンドには中くらいの箱が

すっかり収まるサイズです。

ピンクと金と茶色の組み合わせも可愛らしい。

 

 

古色をつけた金や黒との相性も良いようです。

なにせどれもこれも古色コッテリですので

発している気配が同じなのですね・・・。

 

こんな感じで今年は展示してみようと思います!

 

イタリアの人からコーヒーを取り上げたら 10月28日

 

先日、父が渡してくれた新聞の切り抜きです。

 

▲10月5日の日経新聞

 

イタリアのバールでのエスプレッソコーヒーの値段が

最大60%値上がりの恐れですって。いやはや。

 

世界中、もはやどこでも何もかも値上がり一方ですけれど

その原因は様々。コロナ禍後の変化、気候変動、戦争・・・

この記事によると「気候変動によってコーヒー豆の

国際的な供給が混乱」とあります。

豆が採れなくなっているのでしょうか。

日本のスーパーで買うコーヒー豆も高くなりましたよね。

 

イタリアの人からコーヒーを取り上げたら

もはやイタリア人では無くなってしまうかも!と思うくらい

飲む人は朝昼晩と何度も飲んでいますから

(飲まない人は全く飲まない。差が激しい。)

これは大変に切実な問題です。

 

▲お砂糖を入れて混ぜたところ。まだ飲んでいませんよ。

 

上の写真は今年2月にフィレンツェのバールで立ち飲みした時のもの。

レシートには10%の税金を含めて€1.30とあります。

日本円でおおよそ210~220円くらいです。

 

この「SCUDIERI」というバールは

ドゥオーモのすぐ傍にある観光客も沢山訪れるようなお店で、

住宅街に行けば€1.20とか、場所によっては€1なんてお店もあります。

仮に60%上がったとして€2.16、日本円で350円。

立ち飲みのエスプレッソだけで350円かぁ・・・。

た、高・・・もごもご・・・大変だぁ!

 

その後、イタリア人の友人にこの記事について聞いてみたところ

「エスプレッソ€2・・・高すぎ。

もうバールで飲まないで家だけで飲むかも。」とのこと。

(家で飲むにしても、やっぱり豆も値上げでしょうけれど。)

 

イタリアの人たちにとってエスプレッソは

パンと同じくらい「生きるために必要なもの」でしょうから、

値上がりは致し方ないにしてもせめて20~30%程度だったら

と思ってしまいました。どうなるんだろう。

 

 

ヴェロッキオ先生に許しを請うて 10月24日

 

今年もまた、この季節になりました。

暮に開催される「小さい絵」展への出品準備です。

今年はヴェロッキオ作の聖母子像から部分

天使の顔をアップで模写しました。

いつものように卵黄テンペラです。

「小さい絵」展に出しますので、絵のサイズは8.5×6センチ

名刺くらいの大きさでしょうか。

 

▲どうだどうだ、どうなんだ?影が強いような気がするが・・・

 

模写をすると毎度のことですが、止め時が分からない。

いじくり続けるとドツボにはまってどんどんずれてしまう・・・

という経験から、心身が「わぁ!もうだめだ!」と叫んだ時に筆を置く。

・・・ヴェロッキオ先生、お許し下され。

ヴェロッキオは、かのレオナルド・ダ・ヴィンチのお師匠様

そしてなんとなんと、我が額縁師匠マッシモ&パオラの

額縁店兼工房はヴェロッキオ工房の跡ということが判明しております。

そんな訳でわたくし、ヴェロッキオには勝手に親近感を持っているのです。

 

さて、今年の額縁は15世紀、ヴェロッキオが活躍していた時代に

フィレンツェで流行したプレッツェーモロスタイルです。

木地にボローニャ石膏、黒色はアクリルガッシュですが

金の模様は模写同様に卵黄テンペラで彩色しました。

古色をつけて擦り切れた印象に仕上げています。

 

▲木の形が「典型的プレッツェーモロ「」と違うけれど、模様は伝統的に。

 

オリジナル作品「聖母子と2人の天使」(ロンドン・ナショナルギャラリー所蔵)

には全面金箔の額縁が付けられていますが

わたしの模写はちょっと地味に仕立てました。

 

▲納品用に白ボール紙でカブセ箱を作ります。

 

 

ううむ、ちょっと地味すぎましたかしら・・・。

でもまぁ、金だと絵が負けそうですし(わたしの技術不足ゆえに)

まぁ良しでしょうか。

 

▲右下の青い部分は、マリア様の衣なのです。青空じゃないのですよ。

 

いままで「小さい絵」展に出して頂く模写の額縁は

絵に比べて簡単に作って(市販の額縁を使ったこともあり。)いましたが

去年からは額縁も絵と同等程度に心を込めて作ることにしました。

何枚も描いて簡単な額縁を付けていたこともありますが

1枚入魂(念か?)の方が良いのではないかしら、と

最近は思うようになりました。

 

 

ええと、まぁ何と言いますか、はい、こんな感じで。

12月に東京・池袋の東武デパート美術画廊にて開催予定の

「小さい絵」展に出品いたします。

詳細はまたご案内させてください。

 

悶えて唸りつつも、やはり卵黄テンペラの模写は楽しいのです!

 

 

令和から昭和に加工 10月21日

 

今年も11月末から12月にかけて

谷中の箱義桐箱店谷中店の皆様のお世話になりながら

展示会を開催予定なのです。

そして毎度のことながらディスプレイに悩みます。

 

なにせ小箱と言うくらいですから

ひとつひとつが小さい。

ぽっちらぽっちら並べても

「なんのこっちゃ」という印象ですし

凹凸がありません。

額縁をお盆のようにして(平面を区切って)

小箱の集団をいくつか作ったりしました。

でもやっぱり何か高さが出るものが欲しい。

軽くて小さくて、安全な什器・・・。

 

そんなことを考えておりましたら

木製のキャンドルホルダーなるものを発見しました。

パイン材ですって。

▲写真はショップからお借りしました

 

上部のお皿がφ80mmなら小箱を

ひとつ置くのにちょうど良さそう!

という事で、さっそく注文しました。

届いた商品は薄い塗装にニス仕上げで

シンプルで可愛らしい。

・・・小箱展示にはもう少し、なんというか

コッテリ感が欲しい!

 

まずはニスを溶剤で剥がし、カーブを好みに削って、

ついでに柱中央の丸部分を簡単に彫っちゃって、

色も濃くしてワックス塗って、ふぅむ・・・どうだろう?

▲白い部分が削ったところ。

 

▲ステインで着色して、お得意(笑)のワックスコテコテ仕上げ

 

 

うむ。イタリア風味は感じないけれど

古臭くはなりました。よしよし。

 

▲ちょっとお供えっぽいのは気のせいですか。

 

もしかしたら小箱よりも最中やお饅頭のほうが

似合う仕上がりかもしれませんけれど、

そしてなぜか昭和を感じますけれど、これはこれで。

昭和生まれのわたしが作るものを乗せるのですからね、

昭和風味で結構なのでございます。

・・・開き直って。

 

楽しい工作でした。展示が楽しみです!

 

 

川野芽生さんの物語 10月17日

 

先日お知らせいたしましたオンライン展覧会

「ニコラス・カルペパーの窓」展が公開されています。

 

この展覧会では作品の出品作家ひとりと

コラムや物語をつける作家ひとりを組み合わせて

作品と文章を同時に楽しんでいただくというコンセプト。

わたしの小箱8点に、川野芽生さんが

物語ふたつを付けてくださいました。

 

▲すべて画像は展覧会より

 

川野芽生さんといえば、歌人でもあり

小説は芥川賞候補にもなった新進気鋭の作家さんです。

今回は大きな小箱(変な表現)4つには「星を仕舞う」という作品を

 

 

小さい小箱4つには「函(はこ)のかなたの世界を見る」

という作品を書いてくださいました。

 

 

不思議で深遠で少し怖くて、想像がどんどん膨らむ物語です。

わたしが作った小箱ですが、なんだかもう、どこか遠くの国の・・・

もしかしたら違う星のもののように感じるのでした。

小箱にこんな素敵な物語を添えていただけて、なんて嬉しいこと!

この展覧会を企画してくださった「桐とリボン」の方々へ

感謝申し上げます。

 

「ニコラス・カルペパーの窓」展覧会場は

下記のリンクからどうぞご覧ください。

「星を仕舞う」

「函のかなたの世界を見る」

 

 

テルマエ・イタリアエ 10月14日

 

先日イタリア人の友人と話していましたら

「ねぇ、今度あなたがイタリアに来た時には

温泉に行こうよ」と言うので、

それはもちろん喜んで!と答えました。

 

イタリア半島はご存じのように活火山もあり

ローマ時代には温泉や大衆浴場の文化もあった場所です。

今も「Terme テルメ」と呼ばれる温泉保養施設というか

スパというか・・・はイタリア全国各地にあります。

 

 

上の写真、濁ったプールのように見えますが

これはトスカーナ地方にある「バーニョ・ヴィニョーニ」

という村に残る古い温泉です。

現在は入浴禁止ですが今も温泉は湧き続けていますし

となりの建物(白いテントのある)はホテルで

ここには温泉を使ったスパがあります。

 

▲朝の様子はただの溜池風ですが

 

▲夜には湯気があがって、暖かそう・・・入ってみたい。

 

ちなみにイタリアのみならずヨーロッパの温泉は

ほぼ混浴で水着着用です。温度も低め。

ぬるいプールに泳がず浸かる、といった感じです。

 

イタリア人との会話に戻ります。

その人が「わたし、日本の温泉にも行ってみたいんだよね~。

ムフフ。でもどうしよう、緊張しちゃう!」

などと言うものですから、

内心何を緊張するのだ?と思いつつも

「そうね、日本の温泉はイタリアの人には少し熱いかもね」

と適当に答えましたら、この人ったら

「え、日本の温泉って水着を着ないんでしょう

裸で混浴なんでしょ?キャー♡」

などとひとりで喜んでいるのでした。

いったい何時の時代の話なんだい・・・?江戸時代かな。

どこで仕入れた話やら。

 

「あのねぇ、確かに裸で入りますよ。

でも男女別だからね。特別な温泉に行けば

混浴もあるけれど、お年寄りが多いんじゃないかな」

と答えましたら、「なぁんだ・・・そう・・・。」と

大変にがっかりした様子でした。

・・・あなたはいったい何を期待して緊張していたんだい?

色々想像して笑ってしまいました。

 

 

小箱とニコラス・カルペパーの窓 10月10日

 

2021年の春に初めて発表した小箱は

おかげ様で今年2024年の秋~冬には

3つのグループ展に参加、そして個展を

開催させていただけるところまでたどり着きました。

そのグループ展のひとつ目は10月13日から19日まで開催されます。

 

「植物の香りのネセセールvol.2

~ニコラス・カルペパーの窓」というタイトル。

そしてオンライン展示会という形です。

オンライン展示・・・初めてです。

わたしは下記写真7点の小箱を出品いたします。

 

 

ニコラス・カルペパーとは

17世紀イギリスの植物・薬草学者にして占星術師。

 

オンライン展覧会って・・・?と最初は戸惑ったのですが

主催の方にお話しを伺いました。

展示期間中はオンラインの会場にて作品と

同時に発表されるエッセイと共にお楽しみいただき、

会期終了後20日から展示作品は

オンラインショップにてご購入いただける、

というシステムだそうです。

 

 

今回の展示・・・ネット上ですので

つまり写真をPCやスマホ等の画面でご覧いただくのですけれど、

写真も美しいものになりますし、オンラインならではの楽しみ方も。

いつでもどこでも誰とでも、ご覧いただけます。

 

▲これらの写真はいつも自分のスマホで撮っております・・・

 

上記写真の小箱はもちろん、参加作家のみなさんの作品も

ぜひお楽しみいただければと思います。

どうぞ下記リンクのご案内をご覧ください。

よろしくお願い申し上げます。

 

植物と香りのネセセールvol.2〜ニコラス・カルペパーの窓|オンライン展覧会のご案内

 

 

黒ツバメが来た町 10月07日

 

皆さんは、黒いツバメの物語をご存じですか。

古い古いお話です。

 

 

昔々のある日、町の教会に真っ黒なツバメが巣を作りました。

町の人々は全身が黒いツバメを見たことがありませんでしたし

黒い生き物は不幸を運ぶという言い伝えを信じてしまう人もいて、

黒ツバメの巣を3つの卵ごと壊してしまいました。

 

可哀そうな黒ツバメは涙を流しながら

教会の周りをぐるぐる飛び続けました。

町の人々も教会の神父様も、その様子を毎日見ていました。

そして3日3晩飛び続けた黒ツバメは

とうとう力尽きて教会の回廊に落ちてしまったのでした。

 

回廊の壁には、ずっと昔に描かれた美しいフレスコ画がありました。

天使が楽しそうに飛んでいて、そこには森の小鳥たちも

描かれているのでした。

倒れた黒ツバメはこの絵を見上げながら

「こんな風に楽しそうに生きたかったなぁ」と思い、目を閉じました。

 

明くる日の夜明けに神父様がこの絵を見ると、

あの黒ツバメが絵の中で生き生きと

飛んでいる姿が描かれているではありませんか。

昨日までは無かったはず、不思議なことがあるものだと

絵の中に生まれ変わった黒ツバメの話はあっという間に町中に広まりました。

町の人々は絵を見ながら

「ああ、なんて可哀そうなことをしてしまったんだ」と

黒ツバメと同じように涙を流しました。

 

そうして、町の人々は今ではツバメを大切にしながら、

黒ツバメの伝説を子供たちへ伝えているのでした。

でも真っ黒なツバメは、二度とこの町に巣を作ることは

ありませんでした。

 

 

・・・なんちゃって。

こんな物語があったような無かったような。

黒ツバメの小箱、いかがでしょうか。

 

 

カフェオレの香りがする額縁は有りか無しか 10月03日

 

古典技法で金箔を貼るには

磨いた石膏地の上にボーロと呼ばれる箔下地材(粘土)を

ニカワ液で溶いたものを塗り乾かします。

そこに普通の水、つまり水道水ですけれど

水を塗って箔を乗せます。

 

そんな風にして作業をするとき

飲み物を横に置いていることがあります。

なかなかに神経を使う作業ですので、リラックスする為に。

 

▲散らかった机は見逃してください・・・

 

上の写真、右のマグカップは箔用の水

左がカフェオレです。

 

そうです、ご想像の通りでございます。

筆をカフェオレに突っ込みました。

いつかやるだろうと思っていた失態、

とうとうやりました。

 

筆を入れた瞬間に「ギャッ」と気づいたので

幸いにもカフェオレで箔を貼ることにはなりませんでした。

ほんのりとカフェオレの香り漂う

額縁になったのかもしれない・・・と想像します。

 

でもでも、牛乳はカゼインでしょ、接着剤にもなっているでしょ

もしかしてもしかしたら水より牛乳で箔を貼った方が

より丈夫に仕上がったりして!

・・・水貼りで十分頑丈ですし

虫やらカビやらが寄ってくる方が心配ですね・・・。

 

▲大切なマグカップ、欠けてしまったので道具として更に活躍。

 

古典技法の長い長い歴史の中で

同じ失敗をした職人はぜったい、いる。

なんならワインだったかもしれないし!

そんなことを考えながら、そっとカフェオレを飲み干しました。

筆を突っ込んだことはすっかり忘れていました。

 

 

明るくなくたって良いんだ 9月30日

 

今までになく暗い小箱が完成しました・・・。

もとい、黒い小箱です。

 

 

黒地に白いラインの線彫りです。

古色をつけてアンティーク調に加工しましたら

黒が深くなってラインの白も暗くなりました。

模様のデザインは以前から使っているものでも

加工方法を変えてみたら楽しくなりました。

先日ご覧いただいたモスグリーンで細長い

「旅の思い出風小箱」と同じ加工方法です。

 

 

内側の布は明るくしようかと思いましたが、いっそのこと中も暗く。

 

 

いつものように家族に見せましたら

「わはー!これまた暗ぁいぃぃ~!」と爆笑でした。

何が可笑しいのかしら、心外だ。

はいはい、暗いですよ。

でも明るきゃ良いってもんでも無かろうよ。

何事も明暗ありきじゃ。

 

気を取り直して違う写真を撮りましょう・・・。

 

 

明るい場所で撮っても黒い箱は黒いのでした。

でもなかなか趣があって落ち着いていて

本棚にでもちょこっと置きたい雰囲気に仕上がったと思います。

うむ、可愛いじゃないの~。(自画自賛失礼!)

 

いかがでしょうか・・・。

 

 

一匹狼が三匹 9月26日

 

東京はある日突然に、秋になりました。

去年の秋の始まりもこんなでしたっけ?

 

出不精のわたしですが、久しぶりに会った友人二人と

お互いに最近の経験と考えていることを話し合って

そして励ましあって、ずいぶんと元気になりました。

分野は違えどひとりで制作している

またはフリーで活動している友人ですので

一匹狼気質といいましょうか、改めてそんな共通点を感じたのでした。

 

▲夏に食べたプラム、美しい色

 

わたしたちに「気づき」を与えようとしている人がいて

でもその人たちは言葉で何かを与えてくるのではない。

きっかけだけを提示して、こちらの様子をうかがっている。

どんな気持ちでこの作品を作ったのか?

あなたは自作のものに対して、どの程度の考えを持って発表しているのか?

などなど・・・。

 

それをわたしたちが受け取るか受け取らないか

(受け取る気にならないか)は、

そして考えて答えるにはタイミングが大切だよね、と言うこと。

 

なんだかお互いに共感して

「うんうん、そうだよねぇ・・・」を繰り返した午後でした。

そんな時間が必要だったのでしょう。

 

 

もし入れるものが決まっているのなら 9月23日

 

過日、ご注文頂いていた小箱が完成し

お引渡ししました。

お客様でもある知人の方とは

定期的にお目にかかる機会があるので

お互いの様子や好みも分かっていましたし、

ご注文の際にとても分かりやすく

ご希望を伝えてくださっていました。

ですので制作も大変に順調に進みました。

 

そして、この小箱はお客様にとって大切な、

とても思いの籠ったものを入れるために

ご注文下さいました。

わたしは光栄な気持ち、そして

厳かな気持ちでお引き受けいたしました。

デザインやお好みの打ち合わせも大切ですが

小箱の目的をお聞かせいただく事は

制作をする気持ちの上でとても大切なことです。

完成してお引渡し後を想像しつつ作ることが出来ました。

 

さてさて、その小箱ですが。

豆小箱の面取りをして

パスティリア(石膏盛上げ)で蓋にはイニシャルを、

側面にはポチポチを入れて欲しい、

仕上げは金箔に古色をつけて・・・とのご希望。

 

▲ K・W イニシャル。箔を磨いて装飾を終えたところ。ピカピカです。

 

▲パスティリアによる側面ポチポチ。

 

指が映るほどピカピカの金箔ですが

ここから磨り出しをしてワックスとパウダーで

アンティーク調に加工しまして、完成でございます。

 

 

金箔に深みが出ました。

 

 

パスティリアで凸になった部分は

擦り出して下地の赤ボーロが見えています。

 

 

打ち合わせ時に「中は何色にしますか?」と尋ねましたら

「グリーンにしてください、一番好きな色ですので!」

と即答してくださいました。

 

さてグリーンと言っても色んな緑色がありますね。

一瞬「ふぅむ」と思いつつも、そういえば彼女

腕時計のベルトがモスグリーンだったな、

冬はコートの色もモスグリーンだったなぁ・・・

と思い出し、その色を。

お引渡しの時、「ああ、この色~これこれ!」と

喜んでくださって、わたしも大変うれしく思ったのでした。

 

またひとつ、わたしの小さな娘(小箱)が

生まれて嫁ぎました。なんたる幸せ。

 

 

暗いって怖い 9月19日

 

またもや、忘れたころに登場のフィレンツェ滞在記です。

 

フィレンツェ旧市街、ドゥオーモから北東に

サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会があります。

教会前広場があって、横には私が大好きな美術館

「捨て子養育院美術館」もあります。

 

▲前方の白いアーチがサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会

 

わたしが大学卒業後すぐに留学したころ

この教会前広場はドラッグ売買がされたり薄暗いイメージで、

夜にはあまり近寄らない場所でした。

最近はすっかり印象も変わって整備されて

居心地の良い広場になっています。

 

さて、そんな場所にありますので留学時代は近寄らない教会でしたが

わたしの彫刻師匠グスターヴォの工房からほど近く

最近は工房からの帰りに寄り道していました。

グスターヴォ曰く「フィレンツェで一番美しい教会だと思う」とのこと。

 

入口すぐには明るく美しい回廊のポーチがあって

いざ教会内に入りますと、こちらは別世界なのでした。

 

▲窓の外は青空だけど、中は別世界

 

歴史は古く、1481年に完成したそうですが

内部の装飾はバロック様式。

濃いグレーの大理石のせいか、暗く厳かな雰囲気です。

 

▲天井装飾もまるでローマの教会のようです。

 

入ってすぐ左には銀器が並ぶ小礼拝堂があって

 

▲ミケロッツォによる小礼拝堂

 

天使の天井画も美しい。

 

 

なのですが、どうにもこうにも怖いのです。

 

恐らく、暗いこととライティングの効果とは思うのですが

冬に日が暮れてから訪ねると、寒さと静けさとお香の香りと

何もかもが押し寄せてくるような。

信仰の重みと歴史の重みと、外界と隔てられた空気の重みが

圧し掛かってくるような。

 

大好きなサン・ミニアート・アル・モンテ教会と

サン・レミージョ教会、川向うのサンタ・カルミネ教会、

そしてこのサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会が

わたしにとって4大「怖い教会」です。

いえ、怖いなんて失礼極まりますね。

前述の通り暗いのが一番の理由です、きっと。

(でもそれだけではない気がしています・・・。)

 

怖い怖いと言いつつ、必ず何度も訪れてしまう教会。

まるで落語のようです。

 

 

旅の記憶と小箱の物語 9月16日

 

これは、モロッコ・タンジェのスークと

イスタンブールのバザールを歩いた時の記憶を

思い出しながら作った物語です。

。。。。。。。。。。。。。

 

香辛料とコーヒーと人々の体臭と

ありとあらゆる匂いが積み重なったバザールで、

私は出口を見失っていた。

 

道を尋ねようと思ったその店は薄暗い路地にあった。

入口横には安そうな土産物が並んでいる。

私はただ道を尋ねるのも悪いと思い

商品を選ぶふりをして店に入った。

 

狭い間口とは裏腹に案外奥は深く

いくつかの小部屋が続いている。

4つ目の部屋に差し掛かった時

ふと目に留まった小箱があり、手に取った。

 

五十がらみの退屈そうな店主がいつの間にか

音もなく私の後ろに立っていて驚いた。

「これは俺の爺さんが集めた骨董の残りだ。

爺さんは骨董商をしていたけれど俺が生まれる前に死んだ。

だから、今残っているのはこの棚にあるだけだ。」という。

 

聞けば彼の父親は骨董に興味が無く

祖父の死後ほどなく土産物店にした。

だが奇特な外国人観光客がたまに買っていくから

そのまま並べているそうだ。

 

「この箱がいつのものか?さぁてね

爺さんがどこで買い付けていたのか知らないから、もう分からない。」

「何に使われていたか・・・?それを知ってどうするんだ?

箱は箱さ。持ち主が好きなものを入れるためにあるのさ。」

 

道を聞くために入った店で、古びた小箱をひとつ買って出た。

新聞紙で包まれたその小箱を握って

ぼんやりと使い道を考えながらしばらく歩いたが、

ふとバザールの出口を聞くのを忘れたことに気付いた。

 

その店があった場所はすでにいくつかの路地の向こうで、

もう戻る道は分からなかった。

。。。。。。。。。。。。。

 

 

なんちゃって・・・そんな旅の思い出に

誰かが持っていそうな小箱、のイメージ。

彼が買った小箱が本当に骨董品だったのか

似せて作られた物だったのか

わたしにも分かりません。

 

さて、わたしが作った新しい小箱ですが

模様は西洋の本にあったものなのですが

完成してみたらいつの間にか

いずことも知れぬ雰囲気になっていました。

 

 

124×58×20mm

 

 

あっちとこっちと、感覚は違う 9月12日

 

小箱に装飾をしながら小さな額縁も作る。

どちらも木地にボローニャ石膏を塗って磨いて

ボーロを塗って箔を貼って磨いて・・・と、

材料も手順も同じだけれど、なにやら向き合う気持ちは違うのです。

 

箱は5面(4側面と上面)に対して

額縁は1面もしくは彫刻で3Dだから?

いや違うな、額縁も5面ですな・・・

やはり大きな違いは塊りか枠か、ですかね・・・。

 

ともあれ、箱に疲れたら額縁に行き

額縁に行き詰まったら箱に行き・・・そんなことをしています。

 

 

この額縁も箱に石膏を塗るタイミングにあわせて木地を作って

まとめて石膏を塗っておいたもの。

いつも頭の片隅にあって、どんなデザインにしようかな・・・

と呑気に考えていました。

そしてこれまた箱にパスティリア(石膏盛上げ)をするタイミングで

この額縁にもパスティリアでポチポチを並べました。

 

 

何の変哲もないデザインなのですけれど

角をカットしたことで少し柔らかさが出たかな、と思います。

ポチポチのサイズや間隔でも実は結構な変化が出るのです。

ポチとポチの間が詰まるほどクラシカルな印象になったり

ポチのサイズが大きくなると迫力は増すけれどバランスは難しくなる、とか。

ああでもないこうでもない・・・と

下描きで試しながら考える時間はとても楽しくて

完成した額縁を眺めてひとりでニヤニヤしています。

 

 

今年も12月に箱義桐箱店 谷中店で

小箱の個展をさせていただく予定です。

その際にこの額縁を含めたハガキサイズの額縁を

数点ご覧いただけたらと思っております。

 

 

写真と額縁と 9月09日

 

先週9月6日から、中野にあります写真専門の画廊

「ギャラリー冬青」にて開催の展覧会に

KANESEI の額縁を使って頂いております。

匿名の写真家 H.J 氏によるフィルム写真作品です。

 

▲70年代に撮影された作品。被写体は当時の恋人、現在の奥様。

 

額縁は全部で11点使って頂いておりますが

(その内の2点は同時開催の名古屋での展示に使用)

どの額縁もしばらく前に作ったものです。

 

 

上の額縁は本銀箔の艶消し仕上げ。

写真の空の青、車の輝きとコンクリートの乾いた感じと

とても良く合っています。

 

 

今回の額装はすべてコーディネートされた

渡部さとるさんとギャラリーの方によるものです。

わたしのアトリエにお越しくださり額縁を選び、

写真とのマッチングをしてくださいました。

 

▲とてもクラシカルな額縁だけど、服のチェック模様や

木漏れ日の影に不思議と合っている。

 

 

こうして作品を納めた額縁の姿をギャラリーで見たとき

自分の手元にあった時の記憶が薄れて

知らない額縁を見たような気持ちになりました。

晴れがましいような寂しいような、不思議な気持ちです。

 

▲内側の側面にアワビ貝を貼った額縁は

輝く車体とつながるイメージ。

 

美しく詩的で力強さもあって、青春とノスタルジーと切なさと苦しさと

色々と混ざった感情が沸き上がる写真作品に、

わたしの額縁を使っていただく事が出来たのは幸せなことです。

 

▲この額縁は他社製。これもスッキリとして美しい額縁です。

 

わたしの青春の地であるフィレンツェの

サンタ・トリニタ橋の風景があったことも

わたしの気持ちを揺さぶった理由の一つでした。

 

H.J氏による写真展「melody」は、ギャラリー冬青にて9月26日まで。

もうひとつ名古屋で同時開催のH.J氏写真展「eyes」は

 PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA です。

もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお出かけください。