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黒ツバメが来た町 10月07日

 

皆さんは、黒いツバメの物語をご存じですか。

古い古いお話です。

 

 

昔々のある日、町の教会に真っ黒なツバメが巣を作りました。

町の人々は全身が黒いツバメを見たことがありませんでしたし

黒い生き物は不幸を運ぶという言い伝えを信じてしまう人もいて、

黒ツバメの巣を3つの卵ごと壊してしまいました。

 

可哀そうな黒ツバメは涙を流しながら

教会の周りをぐるぐる飛び続けました。

町の人々も教会の神父様も、その様子を毎日見ていました。

そして3日3晩飛び続けた黒ツバメは

とうとう力尽きて教会の回廊に落ちてしまったのでした。

 

回廊の壁には、ずっと昔に描かれた美しいフレスコ画がありました。

天使が楽しそうに飛んでいて、そこには森の小鳥たちも

描かれているのでした。

倒れた黒ツバメはこの絵を見上げながら

「こんな風に楽しそうに生きたかったなぁ」と思い、目を閉じました。

 

明くる日の夜明けに神父様がこの絵を見ると、

あの黒ツバメが絵の中で生き生きと

飛んでいる姿が描かれているではありませんか。

昨日までは無かったはず、不思議なことがあるものだと

絵の中に生まれ変わった黒ツバメの話はあっという間に町中に広まりました。

町の人々は絵を見ながら

「ああ、なんて可哀そうなことをしてしまったんだ」と

黒ツバメと同じように涙を流しました。

 

そうして、町の人々は今ではツバメを大切にしながら、

黒ツバメの伝説を子供たちへ伝えているのでした。

でも真っ黒なツバメは、二度とこの町に巣を作ることは

ありませんでした。

 

 

・・・なんちゃって。

こんな物語があったような無かったような。

黒ツバメの小箱、いかがでしょうか。