diario
誰が誰のために 4月25日
先日お話しましたアンティーク市「骨董グランデ」で
何に出会ったか、ご紹介させてください。
「いや別に、どこで何に出会おうがどうでも良い」ですって?
まぁまぁ、そうおっしゃらずにお付き合いください・・・。
わたしが骨董市で鼻息を荒くする物は
もうご想像通りなのですけれど、額縁です。
ヨーロッパの小物を扱うお店の最奥のガラスケース
その中の一番後ろにあったのがこの額縁なのです。
サイズは縦16センチ、横が10.5センチと小さいのに
それはそれは繊細な彫刻が施されています。
上部にバラと蔦の葉
下部にはグリフィンです。
バラの花ひとつが1センチに満たない。
グリフィンの顔は小指の先ほど。
楕円の窓も細い枠もすべて彫り出してあります。
▲裏面
なんというかもう、超絶技巧すぎてため息も出ないと言うか
まさに「息をのむ」。
フランスの1850~70年頃のものだとか・・・
それが本当かどうか、わたしには分かりませんけれど
はっきり言ってそんなことはどうでも良いと言うか(良くも無いけれど)
こんな額縁をカリコリと作った人がいて、
それが200年近く大切にされてきた
(残念ながら葉が一枚だけ欠けている)と言うことなのであります。
どんな人が作ったのかな、神経質そうな初老男性かな
でもこの細かさは天才的な新進気鋭の若者彫刻師かな。
どんな人が持っていたのかな、やっぱりブルジョワの奥様かな
それとも若くして亡くなった女性の肖像画(写真かも)を
入れるために家族が注文したのかな。
・・・とか!
相変わらず激しく妄想を繰り広げています。
それもまた楽しい。
骨董グランデの会場奥深くで、わたしは
胸ぐらをつかまれた勢いで引き寄せられたこの額縁です。
今までの人生で、何度かこうした「呼ばれた」品
(古本やら道具やら)がありますが、
逃せばもう二度と会うことも無い。
もう運命、一種の諦めを持って呆然と立ち止まってしまう。
だけど、そうです、この日のお財布はほぼ空っぽ。
目を泳がせているわたしの隣で家族が
「そんなに欲しいのぉぉ・・・?
じゃあ誕生日プレゼントに買ってあげるぅ。
ハッピーバースデーフフフ・・・」と買ってくれてたのでした。
ちなみにわたしの誕生日は8月です。
先取も甚だしいですけれど、とても嬉しい。
さて・・・この額縁を作った職人に思いを馳せて
わたしもせっせと制作に励みます!