diario
その扱いの違いを比べる 1月18日
2024年、辰年です。
年男、年女の皆様おめでとうございます。
毎年の年始のご挨拶に干支の動物が描かれた
中世~ルネッサンス時期の絵を探して
自作の額縁と組み合わせたりなんかして
(図々しいけれどお許しを!ハハハ・・・)いるのですが、
今年の辰は困りました。
辰は龍、日本ではとても演技が良くて神様にもなっています。
だけど、西洋での龍(ドラゴン)、どうも悪者なのです。
毒の息を吐くとか、炎を吐いて焼き尽くすとか、確かに邪悪。
▲ウッチェッロ作「聖ゲオルギウスと竜」 1470年頃
悪者退治で槍で突かれる竜・・・これは年賀状には使えません。
鳥のような足と爪、蛇のような尻尾にコウモリ風の翼
目を突かれて血を吐く、ひどい姿で描かれています。
▲「アンティキオの聖マルガリタ」
上の絵なんて、日本の竜とはずいぶんと印象が違います。
笑っちゃうような姿。
ちなみにこの聖マルガリタはドラゴンに食べられちゃったけれど
手に持っていた十字架が竜の胃袋を傷つけたので
無事に生還できた、というお話。
そんな訳で聖マルガリタのガウンの残り布を吐出し中・・・?
方や中国~日本での龍は威厳があって近寄りがたく
この世ならぬ姿で天を駆け巡っています。
地上にいる姿って見たことが無いような?
▲海北友松「雲竜図」
日本の龍も、そうは言っても
ユーモラスな表情をしている絵が結構ありますね。
上の龍も鼻やら目つきに人間味があったりして。
頭の形も剝げたお爺さん(失礼!)みたいだし。
だけど邪悪さは微塵もない。
日本の龍は毒を吐いたり焼き尽くしたりしませんものね。
なにせ水の神様ですからね。
ドラゴンも龍も起源としては近いらしく
紀元前に蛇や爬虫類の姿から始まったとか。
蛇と言えばキリスト教では「悪」ですから
土着宗教の想像上の動物だったドラゴンが
キリスト教に追いやられて(表現が難しいですが)
徐々に「悪」のシンボルになって行ったのかしら・・・と思っています。
文化と宗教を遠くから眺めて比較するって面白い。
人間っていろんなことを考えてきたものですね。
辰年、充実した一年にしたいと思います。