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四角以外も 1月29日

 

最近ようやく完成した小箱は、外側を削った変形型です。

いつもの通り箱義桐箱店製の美しい桐小箱を

ガリガリとヤスリで削りました。

 

▲まだ削り途中。

 

箱木の厚さや強度を考慮して

でもギリギリ削れるところまで攻めてみました。

 

 

この箱は石膏下地を磨き終えて、あとは装飾!という段階で

ず~~~っと放置、いえ「お昼寝」させていました。

なかなか気に入るデザインが思い浮かばない。

本当は昨年秋の小箱展に出したかったのですが間に合いませんでした。

 

適当に落書きのようにデザインを考えていて

ある日ポカッと浮かんだ模様を入れてみたら

あら、悪くない(当社比)んじゃないかい?

 

 

中は王道クラシックに木地部分は茶色に着色

濃い緑の別珍を選びました。

磨り出しはせず、少しだけワックスを付けて

アンティーク調にして、ふむ、いかがでしょうか。

 

なにせ小さな箱ですが、制作時間は結構かかっていたりして。

 

 

今度はもう一回り小さく、または大きく

それとも水箔(金と銀半々の箔、ほとんど銀色)でも良いかも?

いろいろバリエーションを作ってみようと思います。

 

 

厄は落ちたか拾ったか 1月25日

 

昨年暮の大晦日間近の日

とつぜんポカッと時間が出来たので

ガサゴソと小箱制作をしていました。

純金箔を貼ってさて、メノウ棒で磨きましょう

・・・と思った時、手から滑り落ちて折れてしまったのでした。

 

 

細くてすこしカーブしているので

落とせば折れやすい形ではあるのです。

だけど、これと同じメノウ棒を折るのは2回目。

1本目は留学時に買って、数年後に落として折った。

今回のは2011年にようやくフィレンツェに行って買って、また折った・・・。

何ということでしょう。

古典技法の道具は日本では手に入り辛い、そして高価なのです、トホホ。

 

きっとこれは2023年の厄落としである!

 

そう勝手に思い込みまして。

だけど現実的に、このメノウ棒が無いのは大変に不便です。

金箔を磨くにもタイミングを逃すと

美しく輝きませんので「まさに今必要」なのです。

 

手元にあったゼリー状の瞬間接着剤で張り付けてみました。

このメノウ棒という箔を磨く道具、結構力や体重をかけて磨くようで

一代目は接着してもダメだった記憶があり、今回もダメ元でした。

 

そうしましたら、しっかり接着出来て早速使うことが出来ました。

折れ方が良かったのか、接着剤の進化か。

とにかく作業も出来て二代目復活、一安心したのでございます。

 

その夜にお風呂でふと思ったこと。

壊れたのが厄落としだったら、直したら厄は戻ったのか??

折角落としたのにまた拾っちゃったんだったら

ものすごく嫌だな・・・なんて。

 

でもまぁ、都合よく考えることにします。

厄は落ちた。直したメノウ棒はもう新たなものである!

rinascimento これぞ再生、ルネッサンスでありますよ!

・・・そう思うが吉、でございます。

 

 

その時に言うべきこと 1月22日

 

1月24日の水曜日から、フィレンツェに行って参ります。

 

いつもは帰国後にご報告でしたが

今回は先にお知らせしてみることにしました。

とは言え、イタリア滞在中もブログは予約投稿いたしますので

変わらずご覧いただけますと嬉しいです。

イタリア滞在記はまた帰国後に。(2023年滞在記も中途半端ですが。)

 

大学卒業後すぐに留学したフィレンツェで

一番お世話になったのが額縁工房corniceria del’agnolo の

マッシモ&パオラ夫妻でした。

修行先探しに難航したなか、受け入れてくれたのはマッシモでした。

2年間毎日毎日、半日を彼らの工房で修行させていただき

親知らずを抜くときは工房のお客様の歯医者さんを紹介してもらい

(おかげ様で緊急対応していただけた)

頭痛の時の鎮痛剤選びから食事のこと

(激安ワインを飲むくらいならビールを飲みなさい、とか!)の心配、

たまに家に招待してもらって

暖炉の炭火焼きステーキをご馳走になったり・・・

まだまだ精神的に子供だったわたしにとって

本当に「イタリアの両親」でした。

 

その後、彼ら夫婦にも様々なことがあって

数年前からマッシモは額縁の仕事から離れてしまい

わたしがフィレンツェに行った時も挨拶と少しのお喋りだけ

という状況だったのでした。

 

パオラから「残念ながらマッシモが数日前に亡くなった」

と連絡があったのは昨年12月でした。

 

 

2月に会った時 Come sta? (お元気ですか?変わりない?)と聞いたら

Si, cosi cosi… (うん、まぁぼちぼちね。)との返事でした。

「ちょっと痩せたな」と思ったものの、

その時は慌ただしい挨拶で終わりました。

それが最後になるなんて、もちろん思いもせず。

 

この人に一体どれだけお世話になって

支えられて、助けてもらっただろう。

その感謝はきちんと伝えただろうか。

せめてマッシモの墓前でご挨拶だけはしたいのです。

 

後悔先に立たず、人生はいつ何があるか分からない、

一日一日を大切に、一期一会、

そんなことは頭では知っていたけれど。

 

会いたい人には会っておかないといけない。

せめて感謝は伝えておかないと、と今更思っています。

 

 

その扱いの違いを比べる 1月18日

 

2024年、辰年です。

年男、年女の皆様おめでとうございます。

 

毎年の年始のご挨拶に干支の動物が描かれた

中世~ルネッサンス時期の絵を探して

自作の額縁と組み合わせたりなんかして

(図々しいけれどお許しを!ハハハ・・・)いるのですが、

今年の辰は困りました。

 

辰は龍、日本ではとても演技が良くて神様にもなっています。

だけど、西洋での龍(ドラゴン)、どうも悪者なのです。

毒の息を吐くとか、炎を吐いて焼き尽くすとか、確かに邪悪。

 

▲ウッチェッロ作「聖ゲオルギウスと竜」 1470年頃

 

悪者退治で槍で突かれる竜・・・これは年賀状には使えません。

鳥のような足と爪、蛇のような尻尾にコウモリ風の翼

目を突かれて血を吐く、ひどい姿で描かれています。

 

▲「アンティキオの聖マルガリタ」

 

上の絵なんて、日本の竜とはずいぶんと印象が違います。

笑っちゃうような姿。

ちなみにこの聖マルガリタはドラゴンに食べられちゃったけれど

手に持っていた十字架が竜の胃袋を傷つけたので

無事に生還できた、というお話。

そんな訳で聖マルガリタのガウンの残り布を吐出し中・・・?

 

方や中国~日本での龍は威厳があって近寄りがたく

この世ならぬ姿で天を駆け巡っています。

地上にいる姿って見たことが無いような?

 

▲海北友松「雲竜図」

 

日本の龍も、そうは言っても

ユーモラスな表情をしている絵が結構ありますね。

上の龍も鼻やら目つきに人間味があったりして。

頭の形も剝げたお爺さん(失礼!)みたいだし。

だけど邪悪さは微塵もない。

日本の龍は毒を吐いたり焼き尽くしたりしませんものね。

なにせ水の神様ですからね。

 

ドラゴンも龍も起源としては近いらしく

紀元前に蛇や爬虫類の姿から始まったとか。

蛇と言えばキリスト教では「悪」ですから

土着宗教の想像上の動物だったドラゴンが

キリスト教に追いやられて(表現が難しいですが)

徐々に「悪」のシンボルになって行ったのかしら・・・と思っています。

 

文化と宗教を遠くから眺めて比較するって面白い。

人間っていろんなことを考えてきたものですね。

 

辰年、充実した一年にしたいと思います。

 

俺の家 1月15日

 

俺は白い熊だ。

 

おう、俺の自慢の家を見てくれ。

 

 

ゴールド&ブラック、ゴージャスだろ?

まさに俺にピッタリだ、そう思わないか?

 

中を見せるぜ・・・

 

 

絨毯は黄色だぜ!

 

 

どうよ、俺の硬い尻(!)も痛まないぜ。

 

ちなみに俺の座高は4.5センチだぜ・・・

 

 

どうだい俺の家、気に入ってくれたかい?

 

外側寸法:55×55×25mm

桐小箱にボローニャ石膏下地

赤色ボーロに純金箔水押、メノウ磨き

黒アクリルガッシュで彩色

ワックスによる古色仕上げ

 

Firenze 2023-効くか効かないか 1月11日

 

ダラダラと続けております2023年1月~2月の

フィレンツェ滞在記です。

 

わたしがフィレンツェに行くのは、以前は11月

最近は専ら2月メインです。

なぜなら一番安い時期だから。

そしてなぜ安いかと言えば、寒いから。

 

海外からイタリアへ旅する方々にとって

イタリアの魅力と言えばやはり

美味しい食べ物もさることながら

燦燦と輝く太陽と青い海・・・が大きいようで

2月の暗くてジメジメで寒い時期は

わたしのような「海は特に・・・」

の人間には穴場時期です。

 

さて、そんな「寒い時期」ということは

やっぱり風邪をひきやすいのです。

滞在中、毎度毎度風邪をひいて

(発熱したり寝込むことは無いけれど)

のどのイガイガと鼻水に苦労する。

薬局へ駆け込みます。

 

数年前のブログでも書いたのですが

イタリアののど飴がとても優秀です。

「Benactiv」もうこれ一択!と思って

(言いふらしすぎて数人の方から

イタリア土産に頂戴したほど)いるのです。

だけど今回、違うのど飴も入手しました。

 

フィレンツェの街角には結構な数の薬局があって

(ドラッグストアではなくて、いわゆる町の薬屋さん)

薬剤師さんの考えで提案してくれる薬が違うのです。

それぞれの薬局で「のどが痛くて」と言って

出してくれたのが下の写真のもの。

 

▲箱に点字があるのも素晴らしい。新鮮。

Benactivも箱側面に点字があります。

 

一番下の箱がお気に入り「Benactiv」

その上は違うメーカーだけどBenactivと成分はほぼ一緒です。

一番上はどうも成分が違う。

使い方を読むと、下ふたつは「24時間に8粒まで。

1つ食べたら次まで3~6時間開けること」とあるけれど

一番上は1~2時間に一粒食べること、とありました。

効能が優しいのですね。

これを薦められた薬局は住宅街のオシャレなお店

だけど薬剤師さんはザ・イタリアンなマンマで

「なるべく強い薬は使わないように」と考える感じでした。

 

下ふたつ、食べるとほんのり苦くてよく効く。

一番上は、レモン味の美味しい飴。

効くかと言うと、やっぱりBenactivには敵わないのでした。

 

それからもうひとつ。

イタリアのエルボリステリア、直訳すると薬草店

つまり漢方薬店のような位置づけでしょうか。

そこに行ったときに「風邪気味で頭痛がする」

と相談して買ったのが下のひと箱です。

 

 

このお店はこの薬でちょっと名が知れていたみたいで

後から少し調べたら古くからあるもののようです。

薬剤師さん曰く「解熱効果はないけれど、痛みには効くわよ」と。

物は試しと飲んでみることにしました。1回2錠。

そして1日に2錠以上飲まないこと。

つまり一日1回飲めば長く効くということらしい。

 

薬草の薬ですから当然だけど草の味

見かけも正に「乾燥草団子」(!)です。

ほんのりミントが感じられるので

大粒の割にのど越しスッキリ爽やかで不思議な飲み心地です。

 

そして効きました。

人によって合う合わないがあるでしょうし

わたしは初体験の薬だから余計良く効いたのかもしれませんけれど

即効性があります。

内容はと言うと、ヤナギ、デビルズクロー(?)

トケイソウ(!)、カモミール、ラベンダー

レモン、マジョラム、ミント、

そしてナイアシンの植物抽出物と。

トケイソウって、あの時計草でしょうか??

ヤナギ、つまり柳は抗炎症作用、鎮痛効果がある、と書いてありました。

 

つまり何がどうなのか良く分からない・・・けれども

このひと箱(20粒入り)で15€。

1回1€50・・・日本円で240円弱。

ううむ、安くはない。

ハーブベースの割にあまりに効きすぎるような。

でも常備薬に良さそう。

薬ですから副作用の心配はありますが、

少ない回数で効いてほしいですものね。

 

その国によって薬も医療も歴史があって

人々の体質も体格も違って

医療に対する考え方も人それぞれです。

薬の効き具合、薬剤師さんの品格と優しさ

そんな面からもイタリア文化や考えの一端が見えるのでした。

 

 

鎌倉へ 気持ち穏やか 1月08日

 

2023年12月の終わりに鎌倉へ行きました。

毎年我が家の恒例行事、鶴岡八幡宮へのお参りと

由比ガ浜での深呼吸へ。

昨年は正面からお参りせず慌ただしいお参りでしたが

今年はやっぱり正面から伺わなくちゃね!と言うことで

鳥居をくぐってテクテクと歩きます。

 

▲中央の舞殿、お正月準備で美しい締め縄が飾られていました。

 

とにかくもう、人が多い。

毎年増えているのでは?と思うほどです。

老若男女、そして外国からの方が沢山。

聞こえてきたのは英語と中国語が多かったようです。

 

▲幸せそうなご家族。日本を楽しんでください。

 

▲お参りを終えて振り返ると、八幡宮から海まで続く道が見える。

 

▲「ニーーン♪」

 

2021年はマスク姿だった狛犬も今年は笑顔(?)

後ろの2代目大イチョウもスクスク育っていました。

 

さて、お昼にしましょう。

八幡宮入口の池の横にあるカフェテリアは穴場なのか

小町通などのお店に比べると並ばず静か

そして景色も良いので好きな場所です。

ここでおうどんをば。

 

 

写真が悪い・・・のですが!

関西風のお出汁にシンプルな具(牛煮込み、ネギ、温泉卵)で

それはそれは美味しいのでした!

このお出汁・・・たまらなく美味しくて

すっかり飲み干しました。

茶寮 風の杜

 

腹ごしらえも無事に済ませ

いざいざ由比ガ浜へ参りましょうぞ。

もう小町通は恐ろしいので

(人込みも歩き食べの食べ物もニオイも・・・)

若宮大路をまっすぐ突き進む。

 

段葛は着物を着せてもらった観光客がのんびり散歩しています。

のどかで良い風景です。

 

若宮大路も少しずつ小町通化してきていることに気づく。

いつも立ち寄っていた骨董店2軒は

いつの間にかふたつともとも無くなっていて

謎のパワーストーンのお店やら和雑貨店

そして食べ歩き用のおやつの店・・・

 

いや、もう何も言うまいよ。

わたしの記憶の鎌倉が遠くなるだけ。

今は今の鎌倉の姿がある。

祇園精舎の鐘の音を聞いたのでした。

 

 

変わらない由比ガ浜で気分転換です。

今年も良く晴れて暖かで気持ちが良い!

中学生くらいの女の子たちが

キャッキャと遊ぶ姿に昔の自分を思い出して和んで

 

 

太平洋の宝さがし。

今年はなにも見つからなくて

でも海風と日差しで気持ちも穏やかになりました。

広々とした場所でボォォォ~~ッとする時間は、人生で必要です。

 

帰りの車の窓からは、遠く

薄ぼんやりと頂上の雪だけが見える富士山が

「また来年元気においで」と言ってくれているようでした。

 

▲江の島の向こうに薄く薄く見えているのです。

 

鎌倉詣を終えて、2024年を迎える気持ちになりました。

さぁさぁ、今年も出来ることを出来るだけ

マイペースに頑張ります。

 

 

整理したい 1月04日

 

能登地震、飛行機事故で被害にあわれました方々へ

心よりお見舞い申し上げます。

 

今日4日から仕事始めの方が多いのでしょうか。

今年のお正月、お節も相変わらずの内容でした。

不穏な日々の中、こんな呑気な話をすることを

おゆるしください。

 

 

お煮しめは

三浦大根、金時人参、ゴボウ、蓮根、京芋、綱こんにゃく、くわいです。

銀杏と絹サヤを飾りました。

何だかそれでも足りなくて庭の葉など摘んで。

 

 

紅白かまぼこ、二色卵、鮒の甘露煮、コハダの粟漬け。

これらは買いました。

田作り、黒豆、紅白なます、キンカン煮、百合根の卵とじ

たたきごぼう、酢蓮、鰤の塩焼き、酢タコ、鶏の松風焼

海老の含め煮 数の子、の16種。

遅れていた数の子の塩抜きも何とか間に合って一安心でした。

 

酸っぱい物が多い我が家のお節です。

なにせ家族全員酒飲みですので

おつまみになるようなメニューになってしまいます。

 

▲そして今年も頂いてしまったお年玉・・・

 

▲お雑煮は鴨出汁に人参とゴボウの細切り

京芋、大根、小松菜、そして丸餅。

 

今年のお正月はとにかく眠いです・・・体力不足。

年齢ですかなぁ。

 

近くの神社へお参りに行きましたら

風が強くて並んでいてもビュービュー寒い。

でも余計なものが吹き飛ばされて清められて

氏神様はご機嫌良さそうな雰囲気でした。

勝手な想像ですけれど。

 

午後は眠気覚ましにお抹茶と花びら餅です。

 

 

いつものテーブルで、お茶入れも篩(ふるい)の

缶のままというスタイル、お湯もヤカンから直接です。

本来なら先にお菓子を頂いてからお茶・・・の順番ですけれど

いや、まぁ、一緒の方が美味しいし・・・。

お点前も何もありませんけれども、ハハハ、美味しかったです。

 

毎年、なんとなく、なんとな~~く考える抱負。

2024年は、ちょっと諸々を整理しようと思います。

したい事とやらねばならない事があっちこっち散らばっていて

方向と覚悟が定まらぬ。

自分のキャパシティも変化しているようなので確認したいですし。

仕事も日々の生活も頭の中も少しずつ整理して

やめられる事を「覚悟を決めてやめる」、そして

したい事とやるべき事を絞って注力できるようにしたいと思います。

 

・・・思います。いや、します、ハイ。

 

 

あけましておめでとうございます 1月01日