top » diario

diario

世界が変わったぞ 12月28日

 

最近なにか、「おお、これは!」と思われたことはありますか?

 

わたしが「こ、これは世界が変わった!」と思ったもの

・・・それは0.2mm芯のシャープペンシル。

「また大げさなことを言っている・・・」

と思われるでしょう?でも本当なのです。

 

▲その名もオレンズネロ。極細の芯でも折れにくい工夫がされている。

 

アトリエLAPISの生徒さんが使っていらっしゃる様子を見て

「こんなものが世の中に存在しているとは!」と驚きつつ

すぐさま購入しました。

 

ちょっとお高い・・・のですけれど

その細さと繊細さ、書き易さといったらありません。

トレーシングペーパー(わたしが描くと

線が太くなりがちな紙なのです)の細かい下描きだってお手の物!

今まで0.3mm芯を使っていましたが

別世界といいますか、壁の向こう側な感じ。

0.3mmでは描き切れなかった部分、

なんだかモチャッと潰れてしまった部分も

0.2mmですとハッキリ描ける。

変な例えですけれど、目が悪かった人が

初めて眼鏡をかけたような感じと言いましょうか。

0.1mmの差は大きいのです。

 

 

たしかにちょっと折れやすいけれど

ペンも色々と工夫してくれています。

Bの芯でも慣れると折れずにスイスイ。

一度手にしたら、もうこれ以外ない。

久しぶりに「おおおぉ・・・!」と感動した品でした。

 

いつ発売になったのか、もう以前からあったのか。

きっと有名な品なのでしょうけれど

とにかくシヤワセ~な気分になる書き心地。

 

もし細かい作業がお好きな方がいらっしゃったら

0.2mmシャープペンシルをぜひ。

 

 

Buone Feste 2023 12月25日

 

クリスマスの月曜日でございます。

皆様いかがな年末をお迎えですか。

 

海外のこの時期のご挨拶として「Season’s Greetings」

(イタリア語だと 「buone feste 良い祝日を」になると思います)が

ずいぶんと増えましたね。

クリスマスはキリスト教の大切な祝日ですから

クリスチャン以外の人には冬至前後に

「これから日が長くなって、春が近づいてくるよ。

新しい季節を迎えよう」と言う意味を込めて

挨拶する方が良いのでしょうね。

 

日本ではあまり深く考えることなく

楽しいイメージのクリスマスですから

日本人同士でメリークリスマス!と言いあうのは

なかなか素敵なことだと思います。

 

イタリアの友人知人で、クリスマスの礼拝に行く人は・・・

ひとりしか思い出しません。

他の人たちは、家を少し飾って、家族で集まって食事して

プレゼント交換まではするけれど、と言った感じです。

特に都会の人たちはそんな感覚が多い様子。

今の時代は宗教について話す機会も随分と減りましたしね。

 

・・・なんてことは、まぁ置いておいて。

皆様、今年のクリスマスも、どうぞ暖かくしてお過ごしくださいね。

 

 

 

記念にひとつ 12月21日

 

谷中の箱義桐箱店での展示会が無事終わり

放心状態だったとき、家族に

「なにか記念のものでも買ってみたらぁ・・・?」と言われました。

 

そうですね、せっかくの機会、記念に

何か手元に置いても良いかも・・・と思いました。

そして「これじゃ!」と買いましたのはこちら

 

 

「THE VISCONTI HOURS」

14世紀後半ミラノのジャンガレアッツォ・ヴィスコンティ公の時祷書です。

 

時祷書は、現存するものの中では

もっとも多く存在している中世装飾写本である。

内容はそれぞれ異なっているが、祈祷文や詩編を集成し、

内容に合わせた挿絵をつけて、ローマ・カトリック教会の

キリスト教徒としての信仰・礼拝の手引きとして

編集したものである。Wikipediaより

 

イギリスの古書店から送料含めておおよそ1万円。

安くはない買い物。でも欲しかった!

アトリエLAPISの書架にあって

以前から眺めていたのがようやく念願叶いました。

 

▲1972年ニューヨークで出版

 

▲目次 全編英語・・・

 

この本(写本)の特徴は、なんと言っても色使いでしょうか。

とにかく派手です。クリーム色の羊皮紙に金

そしてピンク・青・水色・緑・紫。

目がちかちかしそうです。

天平時代の色使いを彷彿とさせるような派手さを感じます。

 

 

悪趣味と綺麗のギリギリライン

中には「下品」と表現する方もいらっしゃるようですけれど・・・

 

▲確かにちょっとやりすぎ感は否めない

 

装飾模様の美しさ、大胆さに見とれてはまると出られない

ちょっと中毒性がある感じです。

有名な「ベリー公のいとも華麗なる時祷書」とは

まったく違う趣、確かにあちらの方が華麗だけど・・・

 

▲比較的落ち着いた色使いのページもあります

・・・比較的、だけど。

 

こちらも負けないくらい「思い入れ」たっぷりに描かれております。

受胎告知のシーンは厳かに、シックな色使いなのです。

ジョヴァンニーノ・ディ・グラッシと

ルキーノ・ベルベッロ・ダ・パヴィアという2人が描いたとか。

なんだかこの2人の自慢げな鼻息が感じられる気がします。

とても楽しく描きたいように描いた!と言ったような。

 

こうした「作者本人が楽しく充実した制作時間を持てたのだろう」

と感じられることが大切(わたしの勝手な想像だとしても!)です。

苦しみの中から生まれた作品には感動するけれど

わたしは身近に置くには修行が足りない・・・。

 

▲文章ページのレイアウトも聖書の雰囲気。

 

この本についての詳しい説明は省きますが

現在オリジナルの原本はフィレンツェの

国立中央図書館が所蔵しているとか。

この図書館、留学時の自宅も学校もとても近かった思い出の図書館

なんだか勝手に親近感がわいちゃったりして、

そしてとうとう手元に置くことを決めたのでした。

 

さて、せっかく入手した宝物です

汚さないようにカバーをかけました。

 

 

本体にはモリスデザイン、ケースにはピンクの紙

(頂き物の包装紙。捨てられない性格が発揮されます。)で包みました。

なんたる悪趣味!

でも良いの。強烈なカバーになりましたけれど

このフューシャピンクもモリスの色使いも

この時祷書の中で見覚えがあるのですもの・・・ムフフ。

自己満足満載になりました。

 

 

良い写真を撮りたい 12月18日

 

最近つくづく、ブログやインスタグラムにはとにかく

「美しくて目を惹く写真」が必要と痛感します。

 

大量に流れるSNSや情報を携帯電話で見るとき

流し見していることもありますが

その中で手を止めて見てもらうには、まず写真。

いつ、どこで、誰が見て下さるか分かりませんから

発表するからにはより沢山の方に「おや」と思って頂きたいのです。

 

それにしても小箱や額縁の金箔・水箔(銀色)を

撮影することも難しさと言ったらありません。

ギラギラしすぎず、自分の影が映り込まず、色も美しく

背景から浮かず、そして美しくて目を惹く写真。

・・・撮りたいけれども。

 

▲ひとまず暗くすれば雰囲気が出るだろう、という算段・・・

 

雨戸を閉めて、鏡台の上を片付けて小箱を並べ

角度やら背景を考えて(散らかった背景をいかに隠すか)

右往左往します。

なんだか、こう、釈然としない。

 

大学の卒業制作で黄金背景テンペラ画を描いていた時

製作途中の記録写真を撮るときの苦労を思い出します。

鈍い鏡のような金箔面に自分が映り込まない角度で撮影したり。

卒制展のカタログ写真をプロの方が

順番に撮影してくださるのですが、

その時にも「うぎゃー、金箔かぁ・・・」と言われた記憶。

美しい黄金色に撮影ってプロでも面倒なのですね。

 

箔を使っていない彩色小箱も

ちょっとした影や角度で表情が変わるのですから

もうどうしたもんか、どのポイントからがベストか

沢山撮って比べるしかありません。

 

▲ドイリーなんか敷いてみちゃったりなんかして。

 

重い一眼レフはもうすっかりお蔵入り

もっぱらiPhoneで撮っています。

 

でもなぁ、やっぱり最新機種が欲しいな

いや、ミラーレス一眼が良いかな。

いやいや、そもそも写真撮影の腕とセンスの問題では?!

 

むーんむーんと唸りつつ、今日も母(わたし)は

娘たち(小箱)のお見合い写真を撮る気持ちで励んでおります。

 

 

広がる夢のレパートリー 12月14日

 

いままではオーダーのご依頼といえば

ほとんど額縁だったのですが、

最近ようやく小箱のオーダーも頂けるようになりました。

谷中の箱義桐箱店での展示会でも

いくつもご注文を頂くことが出来ました。

お客様は皆さん「いつでも良いですよ

気長に楽しみに待っています」と仰ってくださるのです。

なんとも有難いお言葉で恐縮です。

 

とは言え、やっぱり出来るだけ早くお届けしたい。

まずはともあれ、着手します。

 

 

上の写真の大きな箱(とはいえB5より一回り小さい)は

指輪ケースです。

蓋に透明なアクリル板が入っているので中が良く見えて便利!

小箱装飾は蓋がメインですので

このスタイルの箱は目にとめていなかったのが正直なところですが、

なんのなんの、側面もたっぷり色々細工できますね。

 

奥の長細い青い小箱は乳歯入れ。

なので可愛らしい歯のイラストが印刷されています。

この箱、じつは3段のお重のようになっています。

中も細かく仕切られていて、とにかくかわいい。

小ぶりのピアス入れとか、小さな貝殻標本にしたり

想像が膨らみます。

これはご注文の品ではなくて、新しい試みで作る予定です。

完成したらご披露させてください。

 

 

指輪の箱、18個のマスに小さなクッションがペアで入れてあって

指輪を立てて入れられるようになっています。

このクッションはなんと箱義の上野本社の社員さんの手作りなのですって!

桐箱ふくめて正真正銘メイドインジャパンでございます。

作業のために一旦外します。

失くしたら大変!なので、きっちり保管。

 

本当に、小箱と一口で言っても箱義さんには様々な小箱があります。

(大きな箱もありますよ!)

これからレパートリーをさらに増やしたら

もっと楽しくなる!とワクワクしています。

 

 

ジョヴァンナお披露目 12月11日

 

今年もまたこの時期になりました。

「小さい小さい絵」展です。

秋に完成させましたギルランダイオ作

「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」部分模写を出品します。

 

展示即売会、でございます。

 

 

第29回 小さい小さい絵展

12月21日(木)~27日(水) 最終日は17時閉場

池袋東武百貨店6階1番地 アートギャラリー

03-5951-5742

池袋東武百貨店

 

名刺大の板にボローニャ石膏地を作り

卵黄テンペラで模写しました。

この絵「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」を

ギルランダイオが描いた当時と同じ技法と材料です。

額縁もまた、古典技法(木地にボローニャ石膏

端先に赤色ボーロに純金箔水押し)で制作しました。

 

まるっと全部を古典技法で制作しましたので

(一部の板と接着剤など以外)

雰囲気や手触りはルネッサンス当時を感じていただけると思います。

 

今年はこの1点のみの出品になってしまいましたが

その分だけ「濃い1点」になっております・・・。

12月末、暮れが押し迫ったお忙しい時期ですが

お近くにお越しの際にどうぞお立ち寄りください。

 

 

 

 

「いわくありげ」な小箱 12月07日

 

完成した小箱は家族に見てもらうのですが

その度に感想が面白いと言うか

それってどういう意味・・・と訊ねたくなります。

 

今日の小箱は最小サイズの豆小箱、黒と赤と金の装飾です。

側面にも模様を入れてみました。

 

 

これを見た家族の一言は「なんかぁ・・・ちょっと・・・

いわくありげな箱だけどぉ・・・」

 

???

いわくありげ(曰く有り気)って、どんないわく?

「だけどぉ」の続きが気になるんだけど??

結局この小箱に対する感想はそれでお終いで

わたしも追及しませんでした。

 

 

おどろおどろしい不穏な雰囲気が感じられ・・・

無くもない・・・かも知れない?!

赤と黒と金の色が成せる業、と言うことにしてください。

 

でもぉ、ぎゅっと詰まって可愛い小箱だと思うんだけどぉ・・・。

 

いかがでしょうか。

 

外側サイズ:35×35×23mm

木地にボローニャ石膏、アクリルグアッシュで彩色

ワックスによるアンティーク仕上げ

 

これにておさらば 12月04日

 

「禅の友」12月号です。

 

 

2023年の1年間、毎月の表紙に使っていただいた

「禅の友」の最後の号。

有終の美(自分で言っちゃう!)を飾るのは、この額縁です。

 

▲乱視かな。いいえ、サイズが近いだけです。

 

背景は緑を感じるグレー、タイトル文字は濃い緑と白

12月の表記は抑えた赤。

そしてニヤニヤと嬉しそうに笑う額縁・・・

派手なようなシックなような、とても素敵な表紙です。

毎号ながら額縁と色の組み合わせ、バランスには

編集の方のセンスに唸らされております。

それもこの12月号でお終い。

 

▲ずいずいっと!

 

1年間、12回って長いし結構な回数だな!と思っていましたけれど

終わってみるとまだ続けたい気持ち満々です。

なにより編集者Mさん、フォトグラファー浅野さんと

お目にかかる機会が遠くなって寂しい。

昨年にこの件のお話を頂いてから楽しい事ばかりで

「禅の友」には大変感謝しております。

 

▲11月はドタバタでご紹介できなかったのですが

ことわざ額縁を使っていただきました。

この淡い柿色の背景色と渋い文字色も絶妙・・・

 

来年はイラストが表紙になるそうで

雰囲気もがらりと変わることでしょう。

・・・ううむ、なんだかジェラシー・・・

いやいや、この1年間の経験を基にご縁はさらに広がる予感ですから

ジェラジェラしている場合ではありません。

やりますぞ、張り切っております。

 

 

殊の外楽しく、そして有難かった「禅の友」2023年の12冊は

わたしの一生の宝になりました。

ありがとうございました。