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ジョヴァンナのお家は 11月09日

 

先日完成しましたギルランダイオ

「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」

卵黄テンペラの部分模写の額縁を作りました。

この絵は毎年暮に開催されます

「小さい小さい絵」展に出品する予定です。

 

▲先日完成した部分模写

 

この「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」

オリジナル作品は黒と金の額縁に納められておりまして、

じゃぁシンプルながら同じ色の額縁にしましょう

と決めました。

木を組んで下ニカワを塗り

ボローニャ石膏を塗り重ねまして。

 

さて、いつもならここから石膏地を

紙やすりで磨いて整えるのですが、

今回はこの作業をしませんでした。

わたしの額縁師匠であるパオラ

(フィレンツェの額縁工房経営)によりますと

ルネッサンス時代の一部の額縁には石膏地を磨かずに

そのまま装飾をしているものがある、とのこと。

たしかに・・・

ルネッサンス当時に今のような紙やすりは無い訳ですから

(鮫の皮で磨いていたとか)今でさえ大変な石膏磨き

当時の職人のご苦労は推して知るべし。

 

その後、美術館や教会で観た額縁は

確かに磨かれていない額縁もありました。

黒など強い色であっても柔らかく暖かな印象で

新たな発見でした。

 

ギルランダイオは15世紀末に活躍した画家ですから

このスタイルの額縁であっても良いのではないかな

と思い立った次第でございます。

 

さて前置きが長くなりました。

なにせ塗りっぱなしの石膏・・・ということは

筆跡が丸見えな訳でして、やはりそれなりに

「美しく塗られた石膏」である必要があります。

石膏液の濃度、温度を整え、筆も吟味して

手早く丁寧に塗り重ねまして・・・

乾いたらすぐに赤色ボーロ、内側の端先には純金箔を貼り磨き。

 

 

あとはすべて黒にしました。

 

 

上の写真、磨いていない感じが見て頂けるでしょうか。

なんとなくニョロッとしているというか

液溜まりの跡があったり。

力強さや動きが感じられるような。

なるほどなるほど。こうなるのですね・・・と言う感想です。

お好みや額装する作品によりますが、これはアリです。

 

▲絵を入れてみる。

 

ふむ!ルネッサンスっぽいかも!フフフ。

いや、だけど、く、くらい・・・。

絵の背景も額縁も黒で、ちょっときつい印象かも。

マットに暖かい色の布を貼ってみようと思います。

 

ひとまず「ジョヴァンナのお家」が出来てほっとしております。