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あなたのイニシャルはなに? 8月31日

 

日本で一番多いイニシャルはなにかご存じですか?

 

インターネットで調べましたところ

(ですので、正確かどうか不明です)

女性はM、男性はTなのですって。

自分の友人知人を考えてみると、ううむ

確かにそうかもしれません。

そんな訳でMの文字を入れた小箱を作りました。

 

 

極小の豆小箱にホワイトゴールド

(おおよそ金と銀が半々の合金属)箔を

貼り磨きまして、マイクロ点々でMを入れています。

あまり主張せず、でも反射の角度によって

キラキラと白く輝くイニシャルです。

 

古今東西、名前のイニシャルや

モノグラムを入れたものは人気がありますね。

やはり「自分のもの」という特別感があるのでしょう。

 

イタリアの名前で一番多いイニシャルはなんだろう?

日本ではとんと見かけない P C B G L V F なども

トップ10にはランクインしそうです。

個人的には・・・女性はM、男性はGじゃないかなぁ

と想像しています。

なにせ聖母マリアはM、ヨセフはG

(伊Giuseppe ジュゼッペ)ですから。

・・・なんて。

 

マリアとヨセフは別にしても

M&G は遠からず、と思っています。

 

今年秋11月9日から19日まで

箱義桐箱店谷中店にて「秘密の小箱展」開催いたします。

このイニシャル小箱も展示予定です。

ぜひお手に取ってご覧くださいませ。

詳しくは改めてご案内させてください。

 

遠くて近い異国に嫁いだ娘 8月28日

 

つくづく、インターネットって便利です。

 

いまさら何を言っているのだとお思いでしょうね。

インターネット無しの日々はすでに成り立たない世の中になって

もうずいぶんになりますから。

 

先日インスタグラムから「見知らぬ人が

わたしについて何やら投稿しましたよ」と

お知らせが届きました。

(あなたをメンションしました、のお知らせ)

 

「イタリアからお気に入りを持ち帰った。

ラヴェンナのガッラ・プラキディア廟堂の

天井モザイク模様を描いた手作り一点物の小箱だ。」

のコメントともに、居間らしき部屋に置かれた小箱の写真でした。

わたしのことも一緒にご紹介くださっています。

 

この方はラヴェンナ観光後、最後にフィレンツェに滞在して

Eredi Paperone に立ち寄り、イタリア旅行の思い出に

ラヴェンナ小箱を買ってくださったとか。

 

▲中央の青地に黄色模様の箱がラヴェンナ小箱です。

 

物を売るとは、その商品が手元を離れれば(つまり納品すれば)

もうその先はわたしの与り知れぬことになります。

自分の手元を離れたのだから、当然のこと。

分り切ったことだけれど、嬉しさと寂しさ不安が半々です。

そんな、まるで自分の分身か娘のように感じる小箱の

行き先をこうして知らせて頂けるのは、本当にうれしいことです。

 

インターネットの登場で世界と世間が狭く身近になった。

良い事ばかりではないだろう・・・けれど

わたしのように個人で制作販売している身としては

とても恩恵を受けているとつくづく実感しています。

 

 

ラヴェンナ小箱を買ってくださったのはアメリカ在住の方。

この小箱をわたしが手に取ることはもう二度とないでしょう。

願わくばラヴェンナ小箱が大切にされて

この方に幸せを運んでくれますよう!

遠い異国に嫁いだ娘とその家族に「幸あれ」と叫ぶ

母の心持ちになった夕暮れでした。

 

 

愛の詩を 8月24日

 

ことわざ額縁制作以来、わたしの中で復活しました

文字装飾ブームは続いております。

今日の小箱にもラテン語の詩の一節を入れてみました。

 

 

Cras amet,qui numquam amavit,quiqueamavit,cras amet.

 

▲中はライトグレー

 

「明日は愛せ、愛を知らぬ者よ。愛を知る者も明日は愛せ。」

というような内容だそうで、有名な詩の一節だとか。

愛する対象があるのは幸せなこと。

その対象が自分自身でも。

 

 

上の写真、ちょっと・・・

やりすぎ感漂う1枚になってしまいました。

 

「深夜間近、フィレンツェ郊外の別荘に集まっている

ブラトン・アカデミーのメンバーは

ロレンツォ・デ・メディチを囲み

ゆったりとくつろぎながら古い愛の詩について話している。

メンバーのひとりがふと思い出したように

ロレンツォに今夜の土産として持参した小箱を披露して・・・」

とか!

なんちゃって!

 

図々しくも勝手な妄想は広がる一方なのでした。

 

箱外側寸法:113×33×20mm

木地にボローニャ石膏、赤色ボーロに純金箔水押し、メノウ磨き。

パスティリア(石膏盛上げ)と点打ちで模様装飾、

ワックスによる古色仕上げ。

 

今年秋11月9日から19日まで箱義桐箱店谷中店にて

「秘密の小箱展」開催いたします。

この小箱も展示予定です。

ぜひお手に取ってご覧くださいませ。

詳しくは改めてご案内させてください。

 

 

Firenze 2023- その会話と感覚 8月21日

 

わたしがフィレンツェに行く時には必ず会いたい

そして会う人は何人かいますが

その一人は小箱珍道中に付き合ってくれたL

そしてもう一人はベルリン在住のドイツ人Kです。

Kはわたしの滞在に合わせてベルリンから来てくれます。

この2人は特に大切な友人です。

 

2人ともPalazzo Spinelli の木工修復コースで共に学び

お互いに家族も知っているし

若気の至りの恥ずかしい思い出も知っていたりして

もはや隠すことも無く安心して受け止めあえる

と言うような間柄です。

この人たちと会えたことは

留学で得た大きな大きな経験と宝です。

 

▲右がK、左がL、3人で郊外にドライブに行ったとき。

 

Kがフィレンツェに来てくれて

3年ぶりに再会して喜んだあと、

まぁちょっと2人でアペリティーボ

(夕方の食前酒と軽いおつまみ)でもしようよ、と座って乾杯。

その時、Kがまじめな表情で

「あのさ、ご両親が亡くなった後、あなたどうする?」

と聞いてきたのでした。

会ってすぐに突然の質問だったので

ビールを吹き出しそうでした。

「最近よく考えるのよ。

両親も今は元気だけど年を取ったし。」と。

うん、確かにそうだね。

そうか、3年ぶりの再会、その最初の会話が

「一人になったら」かぁ・・・。

 

またある日、KとLと3人でお茶をしていた時の2人の会話

L「あれ、君、昨日髪を洗ったの?」

K「ううん、昨日も一昨日も洗ってない。」

L「あ、そう?なんか昨日のほうが君の髪が脂っぽかったけど」

K「いやぁ、もう面倒だから家に帰るまで洗わない。アハハ」(翌日帰国)

 

わたしはまたもやコーヒーを吹き出しそうでした。

日本だったら無い会話ではないでしょうか。

ヨーロッパの人たちの髪質は違うし洗髪頻度はそれぞれ。

Kの髪が不潔とも感じませんでした。

それにしても、友達に可能な質問なんだなぁ・・・。

 

その他にも、その会話はアリなの?!というような

(赤裸々すぎて書けない)内容でも

彼らは飄々と普段通りの顔をして

「昨日何食べた?」みたいな感覚で話すのです。

デリカシーが無いのとは違う。

繊細な部分はとても繊細で、人の気持ちにも敏感な人たちなのです。

 

 

ヨーロッパの人と言っても国が違えば感覚も違って

人それぞれで一概には言えませんけれども

日本より個人主義を強く感じます。

図書館や郵便局で職員さんに質問をしても

キッパリ「知らない。」の一言で終わられてしまう。

「私は悪くない。知らないのは私の自由。」だから。

システム(役所や交通機関など)は

担当者の気分次第だったり、

人間の感情が仕事を左右することが頻繁で

日本人はそれに驚き困ります。

 

けれどその分、周りの人々は我慢強いと言いますか

迷惑をかけられても「やれやれ」と寛容なのでしょう。

怒鳴る人もいない。

それってきっと、自分もそうだから気持ちがわかる

怒っても良い事は何もないと分かっているから

なのかもしれません。

互助感覚といいましょうか

困っていても誰かが助けてくれる可能性が日本より高く

「終わり良ければ総て良し」が強いような。

 

彼らは久しぶりに会った友人に

唐突な質問が思い浮かべば素直にするし、

髪を洗おうが洗うまいが自由だし、

それに対して思った質問をするし、

そんな質問をされても何とも思わない。

何歳になっても、流行っていなくても

ミニスカートが履きたければ履く。

困った人は当然助けるし、助けられる事に躊躇しない。

日本ではあまり感じない種類の自由さと寛容さ、

素直さが彼らにはあるようです。

 

そしてわたしは彼らのそんな様子を興味深く観察し

日本には無い友人関係にも居心地の良さを感じる。

 

染み着いたわたしの日本人的感覚と彼らの感覚と

どちらが優れているとか好きとかでは無くて、

その違いがひたすらに面白いのでした。

 

 

やるぞエミリア、騒動落着 8月17日

 

作業を続ければ、いつか終わりは来るものですね。

なんとか完成と自分に言えるところまで

たどり着きましたエミリア額縁です。

 

▲ちょっとブロマイド風

 

試行錯誤してなんとか丸め込んだ感じ。

技術不足でオリジナルとは違うデザインになってしまったけれど

現時点でのわたしの能力テストといいましょうか、

確認もできました。

 

▲疲れた時は発泡酒ではなくビールを飲むことを許可する・・・

 

金箔の繕いにつぐ繕い。

合間にビールを飲んでやさぐれていましたら

家族が「なんかぁ・・・ギラギラ過ぎて形が見えない。

金の団子みたいぃ・・・フフフ」などと言い。

団子って・・・ダンゴって! 

今に見ておれ。益々やさぐれ度が上がりました。

 

 

すこしだけ磨り出しをして赤色ボーロを覗かせて

ワックスとパウダーで古色加工をして完成しました。

見えた課題は、左右対称にする難しさです。

高さ、深さ、ねじれ加減を

3Dで左右対称に彫刻するのはとても難しい。

分かっちゃいたけど。

 

自分を励ますために言っていた呪文

「失敗しても心配無用!もう1枚予備の木地がありますので!」

を思い出します。

そうです、もう1枚白木の木地が嬉々として待機しているのです。

 

うう、どうしよう。改善点や感覚を忘れる前に

すぐ2枚目を作り始めた方が良い・・・

これも分かっちゃいるけど。

精魂尽きましたので2枚目木地には

もうしばらく眠って頂くことにします。

 

完成したこの額縁を見た家族は

「へぇ!落ち着いて可愛くなったぁ・・・。」

そうして「ありがとう。フフフ・・・」

え、ありがとうって?欲しいの?

団子とか入れる物が無いとか散々言っていたのに?

(根に持っています) 

でもまぁ、誰の物になろうとも

我が家に在ることに変わりなし。

家族にプレゼントいたしました。

 

これにて「エミリア額縁制作騒動」一件落着でございます。

長らくお付き合いいただきありがとうございました。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。

 

 

やるぞエミリア、でも気分は倒れる3秒前 8月14日

 

怒涛の勢いで(自分比)快進撃を続けております

エミリア額縁の摸刻・・・

と書き出しましたけれど

実際のところは動悸息切れ激しいわたしです。

とにもかくにも完成間近になりました。

・・・まだ完成していませんけれども。

 

▲ボローニャ石膏を塗ります。

 

木地に下ニカワを塗り、薄めシャブシャブの

ボローニャ石膏を細い筆で塗り重ねます。

溝に液溜まりができないように細心の注意を払います。

 

▲地獄の石膏磨き

 

なにせカーブや凹凸が激しいので紙やすりも届きにくい。

ここでモノを言うのが石膏塗の跡です。

石膏液を凹凸にもいかに均一に塗るか!筆跡を残さないか!

その結果によって地獄の石膏磨きの作業時間が左右されます・・・。

そして愛用の三共理化学の空研ぎペーパーはしなやかで大変に宜しいです。

 

▲黄色ボーロ塗り

 

さて無事に磨き終えまして、ここで登場するのが

2月にフィレンツェのZECCHIで買った黄色ボーロです。

いままで使っていたシャルボネの黄色ボーロは

何というか黄色というよりオレンジ褐色で

どうも違う・・・と思っておりました。

このZECCHIの黄色は、ローシェンナ色

まさにトスカーナの土の色です。

 

▲黄色の上に赤ボーロ

 

やはり黄色ボーロより赤ボーロのほうが

金を磨いた後に輝きますし、色味もきれい。

凹に黄色を残し、凸に赤を重ねます。

 

▲いよいよ箔作業開始

 

ゼーゼー・・・息切れが。

 

金箔を20等分に小さく切り、チコチコと貼ります。

側面や穴、奥の方まで、可能な限り箔を貼り

どうにもこうにも届かない部分や影は金泥でごまかし

とにかく金で額縁を包み込んでいきます。

 

▲メノウ棒で箔磨き、目が痛くなる。

 

もはや意識が朦朧としてきました。

・・・いえ、もちろんワタクシ元気ですけれど

気分的には白目をむきそうです。

居間の薄暗がりで、メノウ棒でカタコトと

(木とメノウ石が当たる音がする)磨いておりましたら

家族が見て一言「ウッギャー・・・すごぉ・・・」

 

「素敵だね」の「すごぉ・・・」では無い。

ええ、分かりますよ、ギンギラギンでコッテコテですからね

これは和室には不似合いかもしれません。

でもこの曲線、輝く金の光と影、これもひとつの美ですぜ!

 

こうした時に改めて、日本とイタリアの文化と

感覚の違いを痛感します。

安土桃山時代の人々なら・・・織田信長とか

気に入ってくれたかしらん?と妄想しております。

 

次回は古色を付けて完成した姿をお披露目いたします。

 

 

たまには新調 8月10日

 

ここのところ、新調して「つくづく良かった!」

と思うものがふたつあります。

 

ひとつは冷蔵庫。

我が家の冷蔵庫はかれこれ30年近く使っていて

ドアパッキンが緩くなるし、たまに変な臭い

(たぶんフロンガスが漏れている・・・)がしていて

電気代も高騰の折、新しい冷蔵庫をお迎えしました。

 

ひと回り大きいサイズ、冷凍庫もたっぷり、ドアも両開き。

そして何より氷が自動にできて

いつでも使い放題なのですよ!魔法のよう!

 

・・・もうずいぶん前から自動製氷機能搭載の

冷蔵庫が一般的なのは知っておりますが

実際に使ってこんなに便利と思いませんでした。

夏にありがたさを痛感します。

パカッと開ければ明るい庫内は整理されていて

(以前は一部魔窟化していた)氷もたっぷり。

とても豊かな気分です。

 

▲先日立ち飲みしたクラフトビール、美味しい!

内容とは関係ありませんが。

 

そしてもうひとつは日傘です。

これまた大昔の、いちおうUVカットと表示はされているけれど

普通の布地の日傘を愛用しておりました。

日傘って汚れるとか日焼けしてみすぼらしくなる以外に

壊れないので新調する機会がなかったのです。

まだ元気な日傘があるのに新しい傘を買ったら

古い傘は使わない、さりとて捨てるに惜しい。

 

ですが今年の猛暑は異常。背に腹は代えられぬ。

ちょっと奮発して最新加工のお高め日傘を買いました。

 

これが!いや、たかが日傘とはもはや言うまい。

傘の下はぐっと暗くなり、体感温度の違いに驚きます。

吹き抜ける風まで冷えて感じるような。

・・・そうですね、この表が白、中が黒の

99%遮光UVカットの日傘が登場してから

もう数年(もっと?)ですので

皆さんは機能の進化と効果はよくご存じですよね。

 

▲友人と行った中華のピータンと腸詰。美味しい!

内容とは関係ありません・・・

 

どちらもほかの方々からしたら「今更?!ようやく??」の内容かも。

冷蔵庫はさておき、日傘は投資額に比べれば

今までの我慢があほらしくなるほどの違い。

物持ちが良い(ケチとも言う)も一長一短だなぁと思いました。

快適に過ごすには新陳代謝も適度に必要でございます。

 

ああ、イタリア女性にもこの日傘の快適さをお届けしたい。

でも彼女らは日焼けしたいのですから余計なお世話かしら。

 

 

怖い怖いと言いながら 8月07日

 

前回ご覧いただいた「ルネッサンス風」

ほぼレプリカ額縁の制作過程をご紹介いたします。

とはいえ、これまた以前ご覧いただいた

「ことわざ額縁」と同じ技法で重複しますので

もしご興味がありましたら、ご覧いただけますと嬉しいです。

 

さて、木地は参考にしたオリジナルの額縁と

今回額装する作品とのバランスを考えて

簡単なデザイン画を起こしてからお客様にご相談。

微調整をして最終確認をして頂いて・・・

いつものように千洲額縁さんへ木地をお願いいたしました。

 

▲写真は千洲額縁さんインスタよりお借りしました。

 

千洲額縁の職人さんは、もうわたしの魔法の玉手箱状態です。

図面と希望を伝えると形にして送って下さるのですから!

 

そしていつものように下膠(ウサギ膠1:水10)を塗り

ボローニャ石膏液を塗り重ね、乾きましたら紙やすりで磨きます。

 

▲地獄の磨き(大げさ)を終えたところ。ふぃ~

 

次はこれまたいつも通り

魚膠で溶いた赤色ボーロを塗り重ねまして、純金箔を貼ります。

 

▲側面も金ぴか。これからメノウで磨きます。

 

参考にしましたルネッサンス時代に作られた額縁

もちろん実物を見たことはありません。

お客様から送って頂いた数枚の写真を拡大印刷して凝視して

下描きを「ああでもないこうでもない」と繰り返して数日。

ようやくトレーシングペーパーに転写しまして

お客様にもご確認いただき

 

▲トレペを載せたところ。まだ完成図には程遠い。

 

さて、問題はここからでございます。

オリジナルの額縁、当時の諸々を考えると

恐らく模様は黒ベースの可能性が高いんじゃないかな、と思いつつ

お客様のご希望は「オリジナルは深緑に見える。

作品との相性も良いから深緑で。」とのご注文です。

オリジナルの額縁を見ることは叶わず問い合わせも難しい。

 

問題は、わたしにはどうにもこうにも緑に見えない・・・ということ。

見えない色を再現する難しさよ。

 

色の認識は人それぞれの感覚ですし

深緑で製作、これはもう全く異存ありません。

額縁職人としての微々たるプライドをかけまして

経験を総動員して「古色加工後の完成時に黒寄りの深緑になる」を

作る覚悟を決めたのでございます。

怖い!でもやるしかない。

 

色を作って塗って、乾かしてから

古色用ワックスを塗って確認して

という実験を繰り返しまして、

再度覚悟を決めまして(大げさですね。しつこくてすみません。)

 

▲こんな緑色を卵黄テンペラで塗りました。

 

▲グラッフィート(模様の搔き落とし)を終えたところ。

実際の緑色はもっと明るかったのですが

写真に撮ると暗くなりました。

 

いやはや・・・息切れします。日々恐怖との闘いでした。

何が怖い?そりゃ失敗です。

「こんな色になるはずじゃなかった!」とか。ヒィィ。

 

▲ZECCHI のシェラックニスを塗ってから、いよいよ古色付け。

 

上の写真は古色付け初日

まだまだ金の輝きも緑の色も鮮やかでした。

これから更にワックスや塗料、パウダーを重ねては拭き

重ねては磨いて、完成しました。

 

▲コテッと古色仕上げ

 

それにしても「大変だった怖かった」と書き連ねるほどに

職人として自信がないと自白しているようですね・・・

でもまぁ、わたしの製作の現実はこんな感じです。

 

 

額縁伝道 8月03日

 

曹洞宗の冊子「禅の友」8月号です。

 

 

この額縁も7月号同様

イタリア・ピエモンテ州で作られた額縁のレプリカです。

7月号の額縁が1700年代、この額縁は1600年代末。

100年近いひらきがあります。

 

 

さわやかなレモンイエローの背景に青葉色のロゴ。

夏らしくフレッシュな感じです。

偶然ながら(または編集さんの楽しい企みか)

表紙の写真と額縁実寸が同じ!

小さい額縁ですから、それが可能だったのですね。

 

▲実物額縁を探せ!・・・すぐばれますね。でも面白い。

 

毎月編集の方がこの「禅の友」を数冊まとめて

我が家へ届けてくださるのですが

編集部に届く読者の声をプリントしたものも

同封してくださいます。

これがもう、なんとも嬉しいのです。

 

わざわざまとめてプリントして送って下さる

編集さんのお気持ちに加え

表紙の感想をわざわざ投稿してくださる

読者の方のお気持ちのありがたさ。

それこそ老若男女からのご感想です。

ひとこと「励まされる」では足りないくらいです。

 

いままで額縁に興味がなかったけれど、新しい世界を知った

切り抜いて壁に貼って、中に子供が描いた絵を入れて家族で楽しんでいる

額縁の表紙は突飛で最初は驚いたけれど、気づけば毎月面白くなってきた

などなど。

 

わたし一人の活動では狭い世界でしたが

こうして「禅の友」の皆さんのお力で

いままで接点がなかった方々に額縁の

魅力を感じて頂ける機会になりました。

 

 

自分が好きなものを作って手元ばかり見ていたけれど

顔を上げて見回してみたら、いつのまにか

笑顔の人が周りに沢山いてくれた、といった感じです。

ありがとうございます。

 

いつの間にか残りはあと4か月になりました。

額縁の魅力と楽しさを感じて頂ける機会を

大切にしようと思います。