diario
ことわざ額縁を作る つづき 6月12日
前回にグラッフィート完了までご覧いただきました
ブリューゲルのことわざ額縁
アンティーク風の加工をしまして完成まで進みます。
▲グラッフィート(搔き落とし)が終わったところ。
▲マットな黒とキラキラ金で派手です。
磨いた純金箔の上に塗った卵黄テンペラ絵の具は
なにせ搔き落とせるくらいですから
固着力はあまり強くありません。
爪で引っかけば取れてしまう。
ですので、テンペラの上にシェラックニスを塗ります。
▲ZECCHI で買った(これは最近)シェラックニス
イタリア語で Gommalacca
ニスが乾きましたら角や凸を叩いて傷を作り
スチールウールを使って下色の赤色ボーロを磨り出します。
特製の古色用ワックスを塗りまして
さらに「偽物ホコリ」つまり埃風の粉を撒きます。
まるでお化粧ですね。
下地を塗ってリキッドファンデーションを塗ってパウダーで仕上げ。
お化粧と違うのは塗るほどに汚くなっていく・・・。
▲ツヤピカだった額縁がコッテリと。
粉が落ち着くまでしばし待ちまして、ウエスで拭いて
最終的には手のひらと指先で磨き上げます。
手の微妙な指紋や弾力が秘訣なのかもしれませんが
布拭きでは出せないツヤと落ち着きが出るのです。
愛情込めて我が娘(額縁ですけれど)を
撫でくりまわして抱きしめます。
ああ、なんて可愛いの、いい子だねぇ、と褒めちぎります。
ひとりでブツブツ、ニヤニヤ・・・
ここは誰にもお見せできない姿です。
イタリアの教会や美術館で見る本当に古い、
ルネッサンス時代に作られたグラッフィート装飾の
額縁を見るたびに感じていたのは
テンペラ絵の具に厚みがあって
下の金との段差があることで表現される美しさと力強さでした。
絵の具も粒子が粗くて、ざらつきの上に
しっとりとしたツヤがある、という印象なのです。
それを今回どうにか再現したかったのですが
イメージに近い仕上がりになったようです。
勝因はやはり本場イタリア ZECCHI の顔料と
シェラックニスかな、と思っています。
次回は完成して版画作品と合わせた姿をお披露目いたします。
引っ張りますが、もう少しお付き合いくださいませ。