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Firenze 2023ーその呼び名はコファネットと言う。 6月01日

 

以前、箱のことをイタリア語で「scatola」スカートラと呼ぶ

とお話したことがありました。

小さい箱ですと scatolina スカトリーナまたは

scatoletta スカトレッタなどと言うことができます。

 

インスタグラムにはイタリア語のコメントも書いておりまして

(間違いだらけの変な文章だとしても

イタリアの方々にも見て頂きたいので・・・)

その際には scatolina と書いていました。

 

フィレンツェ滞在中、大好きな美術館のひとつである

バルジェッロ美術館を訪ねました。

朝いちばんで行って、ガラガラの展示室を

(普段もあまり混まない美術館ですが)

独り占めする気持ち良さがたまりません。

 

 

ここは彫刻作品が有名ですが、工芸品

特に象牙細工や宝飾品も充実しています。

小さくてぎゅっと詰まった世界

まさにわたし垂涎の品々でございます。

 

今までも心の中は大騒ぎで見学していましたが

小箱を本格的に作るようになってから初めての訪問で

いにしえの小箱を改めてじっっっくり見ることができました。

 

▲500年前の七宝がこんなに美しく残っている驚き。

 

▲今はもう作ることも無い象牙の小箱が大小さまざま。

緻密な細工にほれぼれ。

 

▲この小箱はなんと13世紀のもの。日本の鎌倉時代・・・

 

これら小箱のキャプションですが

ひとつも scatolina scatoletta なる記載はありません。

すべてが「cofanetto」と表示されているのでした。

cofanetto コファネット、フランス語で coffret コフレ

つまり小さな箱のこと。

そうか、コファネットという単語があるのか。

ううむ、なるほど。

よぉ~し、今日からわたしの小箱も

Cofanetto コファネットである。決めました。

 

美術館に展示されている宝石のような小箱を見て

自作品も同じ呼び名にしようとは我ながら図々しいのですが

でもまぁ呼び名ですから、自称ということで!

 

後日、イタリア人の友人にこの話をしましたところ

「ふむ、確かにスカトリーナよりコファネットのほうが

ずっとエレガントだね!コファネットと呼ぶのは大賛成!」

と言ってもらえたのに気をよくして

それ以来すっかり 自称cofanetto が定着しております。

 

さて。この美術館は小箱だけではありません。もちろん。

 

▲マヨルカ焼きのコレクションも素晴らしい。

 

忘れちゃならないのがこの部屋。

 

▲広々とした大広間は明るくて気持ちがよい。人もまばら。

 

▲片隅に置くなんてもったいない、かわいいかわいいヨハネ君。

 

 

そして中央にはフィレンツェ共和国のシンボルのライオン像「マルゾッコ」

その後ろには麗しいダヴィデ、さらに奥の壁には聖ジョルジョ

(大学のデッサン練習ではお世話になりました。)と

視界にドナテッロ作品が並び立つ奇跡のような空間です。

これはもうドナテッロ祭りが年中開催されているようなもの。

心と頭は大興奮であります!

 

なんで誰もいないの・・・

これが日本の特別展だったら長蛇の列だろうに!

嗚呼なんたる贅沢、なんたるしあわせ。

 

つづく1階にはミケランジェロ作品もありますが

わたしはコファネットの衝撃と広間のドナテッロで満ち足りてしまい

ミケランジェロに感動する心のスペースがありませんでした。

 

フィレンツェにお越しの際には

ウフィツィ美術館もアカデミア美術館も良いけれど

その後にはぜひバルジェッロ美術館へ!

珠玉の世界をご堪能下さい。