diario
食べられないお菓子 5月29日
KANESEI小箱は、以前から「なんだか美味しそう」
「お菓子みたい」と言われることもありました。
小ささや色味がチョコレートやきんつば(!笑い)に例えられたりして。
今回完成した小箱をじっと眺めていたら
我ながら「たしかにお菓子っぽい・・・」と思いました。
▲お皿に載せたらますますお菓子風
お抹茶味の天使チョコレート
デイジー(でしょうか)のプラリネチョコレート
和三盆の落雁、奥にはビターチョコレートのビスケット・・・
ささ、一服しましょう。
コーヒーと紅茶、どちらがお好きですか?お抹茶にしますか?
お供にひとくち、甘いものはいかがですか?
・・・なんちゃって。
いっそのこと「お菓子シリーズ」を作っちゃおうかな
いや、狙って作るとわざとらしいかな、などと
グルグル悩み出すと止まらない。
いや、グルグルはもうやめましょう。
今まで通り「出来上がってみたらお菓子っぽい」が
一番自然に「お菓子っぽく」なる気がします。
昨年9月末にご披露しました小箱の展示会「秘密の小箱展」は
箱義桐箱店谷中店さんのご厚意で今年も同じころに
開催させていただくことになりました。
今日の小箱も9月後半にお披露目の予定です。
ただいまガサゴソと「鋭意制作中」でございます。
詳しく決まりましたらまたご報告いたします!
芸術は長く人生は短し 5月25日
曹洞宗の冊子「禅の友」6月号です。
2015年に完成させたレプリカ、オリジナルは
16世紀のイタリア・トスカーナ州で作られた祭壇型額縁で
オリジナルの額縁はロンドンの
ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館が所蔵しています。
かつてアトリエLAPISのメンバーだったSさんが
製作販売してくださったキットを使って作りました。
(残念ながらキット販売はすでに終了)
▲制作キット。写真はアトリエLAPISからお借りしました。
小さくてぎゅっと詰まっていて、それはそれは可愛い額縁です。
作っている間も楽しくてたまりませんでした。懐かしい。
そんな思い出深い額縁を表紙に採用していただけて
(毎月それぞれに感慨深いのですが)
これまたいろいろと思い出してしみじみします。
裏表紙には額縁の裏面を入れてください!
とのお願いを叶えて頂きました。
こうした変形の額縁って裏面はどうなっているのか
気になりますよね?(気になると言ってください・・・)
このレプリカの木地はオリジナルに
忠実に作ってありますので、構造も同じ。
窓をくりぬいた一枚板をベースにして
それぞれ装飾を組み合わせてあります。
この額縁にはKANESEIオリジナルの
銅の吊り金具を付けてありますので
これまた裏面を掲載していただけてうれしい限り。
6月号に掲載されている青木千恵さんのコラム
「時事を考える」のテーマは「人と音楽」
坂本龍一さんについてです。
坂本龍一さんの好まれたラテン語の名フレーズ
「Ars longa, vita brevis」(芸術は長く人生は短し)
人生は短いけれど芸術は長く後世へ残り続けるという意味と同時に
芸術を完成させるには人生は短い、という意味もあるとか。
「芸術」とは、「生きる」とは一体なんだろう。
そんなところから改めて考えたくなります。
「禅の友」、ぜひお手に取ってご覧ください。
イニシャル小箱3つ 5月22日
偶然にも同時期にイニシャル小箱のご注文をふたついただき
同時に完成いたしました。
大き目のA小箱、豆サイズのS小箱です。
(豆サイズAは以前に作ったものです。)
S小箱は遠くにお住まいの方からのご注文でしたので
仕上げのニュアンスや内側の布の色など
写真をお送りしてご相談したり
そのやり取りも楽しいものでした。
大き目のA小箱は豆サイズA小箱をご覧になって
「一回り大きいものを」とのご注文でした。
お客様はすでに完成イメージをお持ちですので
できるだけ豆Aとの差がないように
でもただ大きくするだけではなくバランスを考慮したつもりです。
なかなか難しい。
Sの純金そのもののキラキラも
Aのアンティーク風なしっとり感もどちらも可愛くて
ニヤニヤしながら眺めております。
この豆S小箱もA小箱も先日無事に
お客様のお手元に「お嫁入り」しました。
ふたつとも幸せに過ごしてくれることは
確信している母(わたし)です。
Firenze 2023ー食べた食べた2 5月18日
フィレンツェ滞在中、アパートで
しがない自炊料理が基本ではありましたが
友人宅にてご馳走もいただきました。
「おいしいワインがあるからウチで
ビステッカ(ステーキ)パーティーしよう!」
と誘ってくれたのは
フィレンツェ留学時に修復学校で
3年間クラスメイトだったLです。
彼はキャリアウーマンの奥さんと
猫2匹と暮らしています。
約束の午後に「これを焼くぜ~」と送られてきたお肉の写真。
熟成したキアーナ牛の赤身は骨付きですが巨大。
何グラム??これで2人分です。
▲猫のチョルニの目が真剣。
Lの奥さんCちゃんはお肉が苦手。
そして大学では日本文学専攻だったそうで日本大好き!
この日はLがステーキなどお料理担当、わたしは
Cちゃん用に日本食を作って持っていくことにしました。
さて、じゃあわたしはCちゃんに何を作ろうかしらと考え
まぁ結局いつも日本の家で作っているものが無難だろうと
肉無し肉じゃが(つまり野菜の煮物・・・)とインゲンの胡麻和え
それからメインに鮭とイカのから揚げにしました。
アパート近くの「コナッド」というスーパーは結構大きくて
毎週(木曜か金曜か忘れました)魚売り場が素晴らしく充実します。
▲生のたこ!お刺身で食べたい。
▲鯛やサバのような魚、マスのような川魚から
イカ、切り身の鮭やエビなど豊富でおいしそう。
ただお値段はそれなりに・・・
▲肉無し肉じゃが製作中。
コンロは4口あり大きなフライパンもアパート備品。
さて、18時ころ彼らのお宅へお邪魔しました。
アパートから歩いて20分くらい。
フィレンツェではとにかくよく歩きます。
食前酒のプロセッコ(発砲白ワイン)でお喋りしつつ
ここぞとばかりに猫2匹を撫でくりまわしていると
20時にCちゃんが帰宅、さぁいよいよ晩御飯ですぞ~
▲「どうだ~」と笑顔のLがご馳走してくれたワイン
どちらも美味しかったけれど左の赤が特に美味。
▲付け合わせのポテトはニンニクとオリーブオイルとお塩のみ
弱火でじっくりローストして、これまた美味しい。
▲奥にいるのはチョルニの相棒ムジッチェ
食べかけの写真ですみません。
あまりに美味しくて仰け反り続けたビステッカ
レアだけど肉汁は流れ出さず、お皿もほとんど汚れないほど。
外はカリッと香ばしく、中はほんのり暖かくてジューシー
そこに新物のオリーブオイルと美味しいお塩
そしてピンクペッパーでパクっと!
ビステッカにオリーブオイルをかけるなんてどうなの?
と思いきや、味に深みが出てまろやかになって
こんなに合うとは驚きでした。
イタリア料理をイタリア人といただくと発見があります。
Cちゃんはわたしの家庭料理を
大喜びで完食してくれて、これまたうれしい。
美味しいご馳走と暖かな友人と
膝で眠ってくれる猫がいて、何と幸せな夜だこと。
昔のLは、料理といえば「素パスタ(茹でたパスタに
オリーブオイルかバターとお塩のみ)か
「素ブロード」(お湯にコンソメキューブを溶かしただけ)の
専門だったのに、いつの間にか大変な料理上手になっていました。
思えばLとわたしが学生時代は毎日
学校でも放課後でもグループで集まって
ワイワイギャーギャーと遊んでいましたが
二十歳すぎの子供でしたからお金もなくて
誰かの家に集まってトマトソースのパスタを食べて
安ワインを飲むのがせいぜいでした。
今はこうして美味しい料理をゆっくり会話しながら
楽しむゆとりが出来たんだな
わたし達も成長したな・・・と感慨深い夜でもありました。
やるぞエミリア、要らなかったかも・・・? 5月15日
3月に着手しましたエミリア地方16世紀の
額縁レプリカ制作は、何と言いましょうか
進みは遅いですが必死に作っております。
だんだんと目が点になってきている気がします。
一枚の写真だけを参考に
作ったこともない複雑な額縁を真似して作る無謀・・・。
そこで自分を励ます一言を心の中で叫びます。
「この1枚目の木地は失敗しても大丈夫、
なにせもう1枚予備があるから!」
そして思い切って彫り進めることにいたしました。
▲ジェルトン材。柔らかくサクサク彫れますが欠けやすいのが難点。
どこを思い切ったのかい?とのご質問が聞こえてきそうですが
上部と下部の葉が巻いている部分です。
ここは内側に巻き込まれた葉を表現するために
部分的にパーツを別に彫って後から取り付けるつもりでした。
▲彫る前状態。上にある6つのピースが貼り付け予定の部分パーツ。
せっかくのパーツだけど、要らなかったかも・・・?
木地を厚く作って頂いたので
予想以上に高さに余裕がありました。
もしかしたらこのままいけるかも、と彫ってみた次第です。
左肩部分の葉の失敗が痛いですが
(パーツ取り付けのつもりで彫り落してしまった)
ここは当初の予定通りパーツを張り付ければ大丈夫でしょう。
「なぁに心配無用!もう1枚予備の木地がありますので!」
と呪文を唱えて再度自分を励まします。
最後の救世主であるエポキシパテ木部用も準備万端です。
為せば成る、為さねば成らぬ何事も!
・・・為しても成らぬ事もあるけどね・・・。
成るように頑張ります。
Firenze 2023ーサン・ロレンツォ教会地下潜入 5月11日
すこし間が空いてしまった2月のフィレンツェ滞在記
つづきです。(そして長いです。)
彫刻師匠グスターヴォと一緒に
サン・ロレンツォ教会へ納品に行きます。
教会の保存修復部門入口は一般見学の入口の
右奥の鉄扉の先にあります。
インターフォンを押して重々しく扉が開き
中に入ってみると
バラ咲く中庭があって
振り向いて見上げれば、そこにはサン・ロレンツォ教会の
メディチ家礼拝堂クーポラがそびえています。
近すぎてよく見えないくらい。
小さな扉から「やぁ、どうもどうも」
グスターヴォはIKEAのバッグに額縁をいれて持ってきました。
工房から歩いて10分ですからね。
東京だったら考えられない近さと手軽さです。
さて。この教会の保存・修復部門の担当者の
ご許可をいただいて写真を撮りましたのでご紹介します。
▲中央の楕円額縁が今回グスターヴォが彫刻を修復した額縁
テニスコートくらい?の広さ、低い天井
そして雑多に置かれた教会の宝物!
ものすごく散らかって(失礼!)ホコリだらけ
とても面白くワクワクします。
▲ゴシック風の祭壇、そんなに古くはなさそうですが
素敵なデザインです。
▲「あらよっと! 早く直してよ~」
▲これはいったい・・・?
▲これはアレです、たぶん。
十字架から降ろされたイエス様や聖人の亡骸風彫刻が
横たえられているケース・・・じゃないでしょうか・・・
▲なんだか見慣れたものも。赤ボーロやファーゼ社の塗料。
そしてホコリ・・・
グスターヴォと担当の方が次の修復の打ち合わせをしています。
聖人像の冠が無くなっちゃったから、新たに作るのだとか。
置かれてある道具や材料も、修復を待っている宝物も
この蛍光灯の照明やらニオイやら埃っぽさや何もかもが
留学していたパラッツォ・スピネッリ木工修復コースの教室
パオラの工房、グスターヴォの工房、そして
2020年にローマで訪ねた額縁修復工房を思い出させるものでした。
繋がっている。
わたしがあまりに興味津々で右往左往しているものですから
じゃあちょっと案内してあげましょう!と
修復室の外も見せて頂けることに!
入口と反対にある奥の扉を出ると、教会の地下通路でした。
きゃーこわい♪ ドキワク
冬なので空気は冷たい。そして湿度もあります。
ミケランジェロは一時期このサン・ロレンツォ教会の
地下に身を隠していたことがあるとか。
その部屋には窓があったようですが
「雰囲気は近いのかも・・・」と想像が膨らみます。
▲教会の中庭が高く見える。
外の明るさ、オレンジの生る木の暖かさと
この地下道の暗さと湿度のコントラストが強い。
サン・ロレンツォ教会は紀元4世紀まで
さかのぼる歴史があるそうですが
1421年にメディチ家の出資により拡張工事がされたとか。
この地下迷宮はその頃に作られたのかもしれない、と
想像しています。(確認はしていません。)
だとしたら600年。
この踏み固められた通路は600年間
いったい何人が歩いたことか。
この小窓から、いったい何人が「ああ、外は明るく美しい」
と思っただろう?
道端には燭台が山のようにありました。
誰も管理していないし、修復も未定。
もはや教会のどの場所に置かれていたかも
資料がなくて不明だとか。
泥に汚れたものがあり「これは1966年11月の
洪水の時に被害を受けたものだね」とのこと。
それはつまり、57年ずっと放置されているの??
グスターヴォが「ちょっと直して売っちゃえば?」
なんて言いましたら、担当の方曰く
「そうなんだよね~(そうなんかい!)
でも全部に管理番号が付いているから
ちょっと難しそうなんだよね~」ですって。トホホ。
予算はない。どうにもできないし、どうする予定もない。
そんな宝物が修復室にも沢山ありました。
なんだか残念なような、でも仕方がないような。
そんな燭台をボケッと見ていたら、二人はどんどん先に。
ぎゃー!待って!
置いていかれたら道に迷って二度と出られず
死んでも発見は57年後・・・そんな気がしました。
教会って聖なる場所で、この教会などいわゆる
「パワースポット」かもしれませんけれど
どうしてこうも怖いのでしょう。
日本のお寺も神社も、やはり時々
ドキッとするときもあります
(わたしはスピリチュアル系にはうといのですけれど)。
人間の「気」や「思い」が降り積もっているからですかね。
以上、サン・ロレンツォ教会地下潜入報告でした。
脱・開店休業 5月08日
開店休業に近い状態だった
8つ小箱とテンペラ模写2点を追加して
更新いたしました。
せっかく作ったのに放置していては
立ち寄ってくださった方にも
「ああ、ずっと同じままだ。
つまらないな。やる気がないんだな!」と
思われてしまってはもったいない。
▲新作の星模様も出しました。
小箱は手に取って実際ご覧いただいてこそ
小ささや面白さをお伝えできると思うのです。
でも今の世の中は遠く離れた場所からも
ご興味を持っていただけるのですから
使わない手はありませぬ。
小さいものがお好きな方は
全世界にいらっしゃるのですからね・・・。
▲委託でお預けしていた「おなじみ」も帰ってきました。
小箱は、プレゼント用とお伝えいただければ
オーガンジーのポーチに入れて包装いたします。
今は国内限定販売ですが、近々には
海外からのご注文にも対応できるよういたします。
ぜひKANESEI ネットショップ
ご利用くださいませ。
お待ちしております。
春のその先 5月04日
この豆小箱もまた以前に作ったものの色違いです。
前回は真っ赤なベースに模様を金色のペイントで入れたデザイン
今回は全面純金箔を貼り磨き、模様をグリーンで入れました。
アンティーク風の仕上げをせずピッカピカのままにしました。
豆小箱くらいのサイズだと金箔そのままのキラキラでも可愛く感じます。
大きな小箱(変な表現)で磨きっぱなしのキラキラだと
・・・ちょっと濃すぎるように思うのです。
でもお好みもそれぞれですしね。
大きなキラキラを選んでくださる方もいらっしゃるかもしれません。
ゴージャスで華やかで、それも有りですね。
今度作ってみようと思います。
中は模様と合わせて濃いグリーンの布を選びました。
春のその先、初夏の雰囲気になったようです。
いかがでしょうか。
外側サイズ:35×35×23mm
木地にボローニャ石膏、赤色ボーロに純金箔、メノウ磨き
アクリルグアッシュで彩色
内側にグリーンの布貼り
イソイソと使う予定 5月01日
2月に参加いたしましたギャラリーササキ商店での
「工芸市」では、展示の什器をすべて
ギャラリーササキのNさんがご準備くださいました。
テーブルクロスの美しい麻布
小箱を乗せるアンティークのお皿
小物の古い本など、それはそれは素敵なのです。
小箱を合わせると小箱が何倍もよく見える!
▲この銀のお皿も麻のクロスも奥の本もご準備くださったもの!
▲ラインがほれぼれエレガントなお皿。
それ以来、わたしももう少し展示用の
備品を揃えたいと思うようになりまして
ネットで探したり色々と考えておりました。
そして先日、デパートでアンティークの
催事をしていたので覗き込みましたら
ワーオ、欲しいお皿に出会ったのです。
Nさんのお皿は銀ですが、わたしが買ったものは錫。
なかなか重さもあります。
シンプルで無骨で、使い込んだ凹みが良い雰囲気。
マッチョな小箱を並べたらきっと可愛いぞぅ・・・
と妄想が膨らみます。
▲ナイフで何かを切った跡がたくさん。それも良い味になっている。
これまた先日、成城学園前にあるアンティークショップ
「attic」で購入した白いドイリーを乗せて遊んでみたりして。
これからこのお皿に乗せた小箱の写真が出てきたら
「ああ、例のお皿をイソイソ使って喜んでるなぁ」と思ってください。
ムフフ。