diario
やるぞエミリア、着手の日 3月30日
自覚はあまり無かったのですが(今はある・・・)
わたしはお調子者の面があるようです。
その場の勢いとか雰囲気で、あまり考えずに
「いいねいいね!やってみよう!やってみないと分からないよ」と口走り
いざ始めてみて「・・・あれ、大丈夫かな」などと思うのです。
これつまり後の祭りと言う。
今回の額縁摸刻もまさにそれ。
▲本の額縁はイタリアのエミリア地方で17世紀に作られた額縁です。
市が尾の古典技法教室 アトリエLAPIS の生徒さん数人と
「この額縁かわいい~♡こんなのつくってみた~い!」と盛り上がり
いそいそと千洲額縁さんへ木地をお願いしたのでした。
届いた木地を見て、そして本の写真と比べてつくづく見て
3月ついに着手する日が来て・・・
おおぅ・・・強烈。いや、分かっていたけど。
同じ木地を購入された生徒さん方が作る前に
講師のわたしが一通り理解していないとなりませんから
何はともあれやるべしやるべし!でございます。
▲上の小さなピースは別に彫ってあとから取り付けます。
下描きをしてみたらやっぱり可愛いムフ。
だんだんと気分が盛り上がってきました。
これまたお調子者です。
なにせ「曲線の額縁」は初めてですので
今回、同じ木地を2枚注文しました。
ひとつはチャレンジ用、もうひとつは完成用。
つまり、ひとつ目は間違えること前提です。
心置きなく失敗して経験して理解して
もうひとつをきっちり仕上げるつもりです。
・・・つもりです。
なぁに、人生何ごとも挑戦ですよ!ワハハ!
・・・ハハ・・・がんばります。
「青き衣」じゃない 3月27日
先日、鼻歌交じりに純金箔を貼り終えた小箱を彩色しました。
「ここはキリッと青と赤にしちゃおう」と思いまして。
緑がかった明るい青と濃い赤を選びました。
塗り終えて、なにか・・・
なにかとても良く知っているものを思い起こさせる。
それはナウシカの「青き衣」なのでした。
▲分かる方にはわかって頂けると期待します。
王蠢の体液に染まった衣・・・
模様の感じとか青の色味とか、似ていませんか。
(「風の谷のナウシカ」をご覧になっていない方には
何のことか分かりませんよね。すみません。)
そう思うともう、そうとしか見えなくなる不思議。
これはまずい・・・。
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし・・・」
大ババ様!違います、これは金色の小箱なのです!
ユパ様に相談しまして(嘘)、これは強めの古色を付けて
「脱・青き衣」を狙うべし、となりましたので
つや消しにしてからワックスとパウダーで汚して
青の色味を変えました。
▲ いかがでしょう、「青き衣」感は遠ざかりましたでしょうか。
最初は我ながら「まさかのお蔵入り?」と
どうなることやらハラハラしましたが
古色を付けてみたらすっかり気に入りました。
笑ってしまう。
何となく祭壇型額縁の装飾模様にも見えてきました。
かなり贔屓目ですが!
そしてもう一度「風の谷のナウシカ」を観たくなりました。
箱の内側に貼り込む布を何色にするか悩んでいます。
でも青は選ばないつもりです。
・・・いや、やっぱり青ですかね??
小箱の物語 3月23日
先日作っておりました金箔の小箱は
内側には予定通りバラ色の別珍を貼って
完成といたしました。
しっかり磨り出して下地のボーロ色(今回は赤)を出して
パスティリアで作った凹凸レリーフが強調されました。
そして汚しのワックスとパウダーを強めにつけてコッテリと。
外側はコッテリと派手。内側も乙女バラ色で派手。
つまりとても派手。
(当社比・・・というか私が思うに!)
勝手なイメージですけれど、往年の宝塚大女優
(もちろん娘役)な感じがしてきました。
”かつての女優時代の美しさをわずかに残す老婦が
夕日の差し込む部屋でひとり開けた小箱には
かつての恋人からの贈り物が今も大切に仕舞われていた。
数年ぶりに小箱を開いた彼女は
随分前に旅立ったと人伝に聞いた恋人の面影が明るく甦り
はっとした。
女優の瞳の輝きが戻った瞬間だった。”
なんちゃって。
宝塚の舞台、わたしは従姉に数回連れて行ってもらいましたが
華やかで夢のような世界でした。
この小箱もちょっと現実離れした雰囲気ですが
それもまた良し、でございます。
いかがでしょうか。
外側サイズ:78×58×39mm
木地にボローニャ石膏、パスティリアでレリーフ模様装飾
赤色ボーロに純金箔水押し、メノウ磨き
ワックスによる古色仕上げ、内側にピンク色の別珍布貼り
春だからバラ色に 3月20日
毎日ドタバタとしているつもりでしたが
実はものすごく狭い範囲しか移動していません。
はっきり言えば家の中か買い出しのスーパーくらい!
だけど頭の中はものすごく慌ただしく過ごしている今日この頃です。
ご注文いただいた額縁の制作ついでに
(ついでと言っては語弊がありますが!)
小箱も同時進行しています。
この額縁と小箱は、いわば「同じロット」であります。
同じ石膏液、同じボーロを使って同時に箔を貼って磨きました。
ですので古色加工ももちろん一緒に。
ロットナンバー0304「ちょっとコッテリ風味」です。
小箱の中に貼る布は何色にしようかな、と迷い中です。
気持ちを盛り上げたいので「バラ色」にしましょうかねぇ・・・。
春ですしね。
Firenze 2023-2 食べた食べた1 3月16日
2020年のフィレンツェ滞在記でご覧いただいた
「食べたもの」は、きっと誰もご興味ないだろうな!
と思いつつも忘備録として書いたのですが
先日「あの食事の様子は面白かった」と
お話くださった方がいらっしゃったので
嬉しくなってまたまたご報告します。
到着した日は午後3時にアパートチェックインでしたので
荷物を置いて一息ついて、ひとまず最寄のスーパーへ
買い出しに行きました。
前回まではウフィツィ美術館裏の
中心地中の中心地のアパートでしたが、今回は住宅街の方
それも留学時代に住んでいた場所から徒歩1分という場所でしたので
なんとも懐かしい地区でした。
最寄のスーパーも当時からお世話になっていたお店です。
さて、そこで買ってきたのはまず、生パスタ、牛乳、卵
オリーブオイル、海の塩、紅茶とプチトマト
イチゴとチーズとヨーグルト。
そして忘れちゃならない白ワインです。
▲食器はアパートの備え付け。
パスタ皿とフォークがなんとも昭和な雰囲気です。
第1回晩ごはん、時差もあるし面倒なのもあって
結局は日本から担いで行ったパスタソース
(成城石井の白トリュフソース。豪華!)でした。
卵4個入りを買って帰って開けてみたら1個ひびがある・・・
「イタリアだから」と諦めの境地。
まぁ腐っていないから良いや!と急きょゆで卵も追加しました。
晩酌をしないのは体調不良時のみというワタクシですが
この日は飲む気分になれず。ハハハ。
とは言え、図らずも初日夜から悪くない晩餐になったのでございます。
現地時間夜8時は日本の明け方
眠くて仕方がないけれど我慢して10時に就寝。
明日朝は市場へ野菜を買いに行こう!と鼻息荒く眠りにつきました。
そうして明け方午前5時・・・
この頃のフィレンツェの夜明けは朝7時過ぎなのでまだ真っ暗です。
でももう眠れない。
1時間ばかりベッドの中でうずくまって、もう飽きた。
ガサゴソ起き上がって朝ごはんでも食べれば元気になるかいな・・・と。
▲お箸も持って行きました!
第1回朝ごはん。
こんなものご覧いただく必要あるか?・・・と
相変わらず恐縮しつつもご紹介しますと
前日にスーパーで調達したプチトマトとヨーグルト。
そしてこれが無いと辛いお味噌汁です。
ちょっと少く作ってしまい物足りなかった。
今回はフリーズドライの出汁入り味噌と
これまたフリーズドライの「みそ汁の具」を別々に持って行きました。
1食分小分けのインスタント味噌汁より荷物にならず
お味噌を料理にも使えて便利でした。
ヨーグルトは洋ナシ風味にシリアル入り。
不思議な食感です。ゆるいヨーグルトにプチプチのシリアル
(ふやけた皮付きの麦?玄米のような?)が入っているので
なんだか甘くて冷たいヨーグルト粥のような。
いや、表現が悪いですな、美味しいのですよ。
はまってしまって、この後ほぼ毎朝食べました。
そしてこの黄色い箱はカロリーメイト!
持って行って良かった、助かりました。
ひとまずお腹は満足、夜も明けました。
予定通り市場へゴーゴー!です。
新鮮野菜と美味しいパンとバターと・・・ムフフ。
つづく
クチュールジュエリー展 2023 ~春を編む~ 3月13日
3月後半のイベントのお知らせです。
なんだかお知らせが続いて恐縮です・・・
KANESEI活動記録ということで。
大阪の阪急うめだ本店で開催の
「クチュールジュエリー展 2023 」
昨年に続き今年も参加いたします。
会期は3月22日水曜から27日月曜まで。阪急うめだ本店9階の催場です。
メインはアクセサリーのイベントなのですが
小箱も仲間に入れて頂いております。
わたしは期間中毎日会場の店頭に立つ予定です。
ぜひお越しくださいませ。
2月のギャラリーササキ商店「工芸市」につづいて
大阪での催事なのですが、だんだんと
新大阪や梅田の駅も「全然知らない!」から
「何となく知っている」になってきました。
デパート催事も早くも4回目・・・
冷や汗が少し減ってきたような・・・
会場でお待ちしております!
ヨーロッパの古典技法展 ―絵画・額縁の魅力― 3月09日
横浜市の市が尾にある古典技法の教室
「Atelier LAPIS」の展覧会のお知らせです。
わたしが月曜コースを担当させて頂いてから
早くも12年目!なんと早いこと。
こちらのアトリエの講師と生徒さん方の作品の展覧会です。
横浜本牧絵画館の第4回 作家・研究者支援プログラム展示
と言うことで、かなり本格的な展覧会になりました。
わたしは額縁を2点出品いたします。
↑16世紀半ばにフィレンツェで作られた額縁の摸刻と
↑18世紀にイタリア・ヴェネト地方で作られた額縁の摸刻の2点です。
展覧会のポスターはアトリエ主催の筒井先生の作品です。
水曜コース講師の井上雅未花先生の作品
古典技法で制作された生徒さんの作品
そしてわたしの額縁のご紹介ページなど。
それから、2022年秋にご紹介しておりました
「古典技法額縁制作見本」の額縁はこの展覧会で
筒井先生のご解説と共に展示いたします。
わたしは会場にてお迎えすることが出来ず恐縮ですが
ぜひ生徒さん(とわたし)の情熱のこもった作品をご覧頂ければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
和風に見えてくる不思議 3月06日
「禅の友」(曹洞宗の冊子)の3月号が届きました。
今月は「cassetta-1」という名前で出している
額縁を選んで頂きました。
雛祭りの時期だから、バックはピンクで可愛く!
額縁も併せて可愛らしいものを!!
と編集の方が作って下さった表紙です。
それにしても漢字タイトルが隣にあるせいか
額縁がとても和風に見えてくるのが不思議です。
なんだか金糸で織られた帯のような。
オリジナルの額縁は16世紀半ばに
フィレンツェで作られた額縁なのですが
日本人のわたしがレプリカを作りましたので・・・
なにか「和の血」が注がれたのかもしれません。
▲こうして見ると大して和風でもないような・・・。
影の有無とか?やっぱり和風??
なぞの折衷と言うことで!
この「禅の友」は毎号に山下裕二先生の「体感!日本美術」
というコラム(今月は若冲と田中一村)があったり
今月号には箱根駅伝で総合優勝した駒澤大学の
監督インタビューなども掲載されていて
読みごたえがあります。
お手に取って頂けますと幸いです。
ギャラリーササキ商店「工芸市」ありがとうございました 3月02日
大阪の心斎橋、御堂筋にあるギャラリーササキ商店にて
開催されました「工芸市」は2月27日に無事終了いたしました。
お越しくださり、またお買い上げいただきありがとうございました。
遅ればせながら様子をご報告させてください。
今回は7名それぞれ違う分野での作家のグループ展でした。
丹波布、陶器、椅子、染色、螺鈿、ホームスパン、そして小箱です。
東京からの参加はわたしのみ。
なんだかとても新鮮な気分でした。
▲並べた小箱も額縁も「いつもの」です・・・。
何といってもギャラリーのSさんとNさんが!
それはそれは素敵なお二人で、このお二人のギャラリーなら
何も心配は要らない・・・と思いました。
穏やかでふんわりとした雰囲気
作家にもお客様にも心配りが行き届き
好奇心に溢れ(だから知識も経験も豊富で)冗談と笑いがある。
ギャラリーはシンプルで細部にこだわりがあって
目抜き通りに面しているのにテラスには花と緑があって、中庭もある!
本当に唯一無二だなぁ・・・と
居心地の良さに毎日ボンヤリしてしまうのでした。
▲このシルバーのトレーはNさんの私物を貸してくださいました。
他の参加者6名の作家さん方も、そんなSさんとNさんが
呼び寄せた方々ですので不思議とホンワカした雰囲気で
初対面のわたしを(他の皆さんは顔見知りとのこと)
すぐに仲間に入れてくださり、これまた居心地が良すぎてボンヤリ・・・
昨年3月の阪急うめだ本店でのイベント以来の大阪でしたが
インスタグラムを見たとお出かけくださった方が
何人もいらっしゃって、本当にうれしいことでした。
物を作って発表するって想像以上に勇気と根性が必要と痛感していますが
こうしてお客様が来てくださる喜びも想像以上のものです。
大袈裟に言えば「生きていることが許された」と言うか・・・。
だから、今後もまた小箱と額縁を作ってイソイソと発表しようと思います。
お越しくださいましたお客様、ご一緒して下さった作家の皆様
そしてギャラリーササキ商店の皆様
心よりありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。