diario
古典技法額縁の作り方見本を作る グラッフィート 11月03日
しばらく間が空きましたが
市が尾の古典技法アトリエの企画で
制作中の「見本額縁」つづきです。
今日は右辺の装飾をします。
graffito グラッフィートと言いまして、
磨き上げた金箔の上に卵黄テンペラを塗り、
細い棒で絵具を搔き落として
下の金箔を出す、という技法です。
▲額縁右辺(右長手)にテンペラを塗ります。
▲弾き止めオックスゴール、卵黄メディウム
アイボリーブラックの顔料と水を混ぜて
テンペラ絵具を作ります。
磨き上げた金箔は絵具をはじきますので
オックスゴールは欠かせません。
オックスゴール、牛の胆汁でございます・・・
界面活性剤的なもの。
ちなみにグラッフィートは右長手の上半分。
下半分はまた違う装飾技法を入れますが
ひとまず一緒に黒に塗ります。
さてさて、テンペラ絵具が乾きましたら
いよいよ「グラッフィート」です。
金箔を傷つけないように竹串や木の細い棒が
使われるのが一般的なのですけれど
わたしは鉄筆(ニードル)を使うのが
好みなのです。これは職人それぞれで。
▲カリコリ削ります。
イタリア語 graffio とは「引っ掻くこと」
そこから graffito 「掻き絵」を指しています。
ちょっと間違えてもテンペラ絵具で補彩可能。
搔き落とした絵具を柔らかい筆で掃除して
ひとまず完成です。
今回は金箔地に予め模様の線を入れましたが
入れない場合の方が多いと思います。
線があると書き落としが楽。
線が無ければ絵具の上に模様を転写します。
その方が繊細な表現ができるように感じます。