diario
世界共通木地問題 1月24日
インスタグラムで知り合った
アメリカの画家K君という青年が
以前からわたしの額縁を気に入って
どうやって作るのか?など
メッセージで尋ねてくれています。
(恐らく20代、既に画家として活躍中)
金箔の扱いなどを知りたいというので
アメリカで箔技術を教えている人
(この方もまたインスタのみの知人)を
紹介したりしていました。
先日K君からまたメッセージで質問が。
「この君の額縁(写真添付)みたいなの
作りたいんだけど、木地はどうやって
手に入れたら良いの?自分で作ってるの??」
(英語ですので意訳ですが、こんな雰囲気)
そうなのです。
額縁を作ろうと思ってまず最初の問題は
「木地をどうするか」なのです。
フィレンツェの額縁師匠パオラとマッシモも
留学の終わりに話してくれたことは
「君が日本に帰ってから大切なことは
まずは良い木地を見つけること。
木地工房を探しなさい。」なのでした。
老舗の額縁工房は自社工場がありますし
大きなメーカーでは完成した棹
(モールディング。切って繋げると
額縁になるような装飾加工済みの棹)を
販売するところがほとんどです。
わたしは幸いにも白木地の棹を販売している
瀬尾製額所さんや、特殊な木地を作ってくれる
千洲額縁さんとのご縁があって今に至ります。
でも、パオラは一昨年にも
「最近は良い木地が手に入らなくなってきた」
と言っていましたし、K君のアメリカでも
思い立ってすぐ入手と言う話でもなさそうです。
額縁も大量生産型と高級工芸品型と二極化が進み、
木材に関しては環境保護などの観点から、
今後また変化していくかもしれません。
▲ハガキサイズの木地。これくらいは自作します。
右上のは千洲額縁の木地サンプル。
以前はわたしも大きな木地や凝った木地を
自作していたことがありました。
ですが最近はプロにお願いしています。
それはやはり、木地の完成度が
額縁の最終完成度を左右するから。
木地の段階での小さなズレや揺れ、隙間を
「まぁこれくらいなら良いか」と妥協して、
箔を貼って磨く段階になると
致命的になることが多々あるのです。
印象がどうしても「手作り感」溢れてしまう。
その温かみや人間味(よく言えば)を
良しとするのはそれぞれの感性ですが、
わたしには「お金と交換できるもの」
とは思えなくなったのでした。
それくらい、木地は大切なものです。
瀬尾製額所、千洲額縁の皆様には大変
お世話になり、感謝しております。
長々つらつらと書いてしまいました。
それにしてもK君、インスタの
フォロワーは2600人もいますし
ギャラリーの知人もいらっしゃるでしょう。
アメリカにも古典技法額縁工房はあります。
なぜ日本人のわたしに尋ねてくれるのか。
わたしは投稿には英語を使っておりませんのに。
嬉しいような不思議なような気持ちです。
▲そして角を丸くしてみたり。これくらいは自分でします。
ちなみにK君は、わたしのことを
同世代の青年と思い込んでいる
節があります・・・。
楽しいのでこのまま訂正しないことにします。