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性格が出る 1月31日

 

ご注文いただいた額縁制作の他に

自分のために作りたい額縁も作ります。

本を見ていて「これ作ってみたい!」

と言うこともあれば、木地があって

「この木地を生かすにはどうする?」

という場合もあります。

いま準備しているのは、ずいぶん前に

手に入れた木地です。

 

▲本を観てデザインを真似してみる。

おおよそこんな感じ・・・おおよそね。

 

トレーシングペーパーに型紙を起こして

カーボン紙で木地に写すのですが

これは本当に性格が出る作業だと思います。

わたしの場合、配分や間隔も目分量

行き当たりばったり「こんな感じ」です。

写すのもブレブレ、隙間が広かったり狭かったり。

でもいざ制作を開始すれば下描きは目安ですので

彫刻刀のサイズに合わせてアレンジしつつ彫り進めます。

ここからも、わたしの行き当たりばったりな

性格があふれ出していると思われます。

 

アトリエLAPISの生徒さんの中には

きっちりとデザイン画を起こして

ミリ単位で採寸してから写す方もいれば

海外の額縁彫刻の職人さんなどは

彫刻刀を入れる場所の目安のみ、点などで

入れるだけ、という方も。

要は自分が分かっていれば良いのです。

 

わたしがいちいち(とは言え適当に)

模様をすべ描き入れるのは、この時点で

なんとなく完成図が見えて楽しいこと、

だけど気が変わって変更しても可能な程度に

きっちり決めすぎない猶予を入れておくこと

そんな感じでやっております。

 

箱を壊さないでください? 1月27日

 

相変わらず小箱はガサゴソと

制作しております。

 

イタリアの友人とメッセージのやり取りをして

突然思い出したフレーズがありました。

「Non mi rompere le scatole.」直訳すると

「わたしに(複数の)箱を壊さないで。」

イタリア語で箱は scatola(スカートラ)

と言います。複数形で scatole(スカートレ)。

わたしに箱を壊す・・・?日本語では

意味不明ですが、イタリア語では

「わたしをうんざりさせないでよ」と

言いたいようなときに使います。

(わたしの記憶・感覚ですので違うかも??)

 

▲この箱を壊されたら・・・泣きます。

 

こうしたフレーズは学校で習うのではなく

日々の生活の中で聞いて覚えた記憶があります。

たぶん、額縁師匠のパオラも言っていました、

「んも~!いい加減にしてよ!」なんて意味で。

(わたしが言われた訳ではありませんよ・・・)

 

ちなみに

「Che rompere le palle」も同じような意味。

なんちゅーこっちゃ!やってらんねー!

と言うような感じです。

箱(scatole)が違う単語に変わりましたが

palle は「玉」(複数形)つまり

男性の大切な部分を指す言葉・・・

「『あそこ』を壊す」なんと恐ろしい!

スラングでございましょうね。ハハハ。

老若男女が普通に使っていました。

 

▲ようやく1面終わり、あと4面・・・

 

それにしても、うんざりだよ!のフレーズに

なぜ「箱」という単語が出てくるのか?

箱を作りながら「箱を壊す」について考えております。

 

 

世界共通木地問題 1月24日

 

インスタグラムで知り合った

アメリカの画家K君という青年が

以前からわたしの額縁を気に入って

どうやって作るのか?など

メッセージで尋ねてくれています。

(恐らく20代、既に画家として活躍中)

金箔の扱いなどを知りたいというので

アメリカで箔技術を教えている人

(この方もまたインスタのみの知人)を

紹介したりしていました。

 

先日K君からまたメッセージで質問が。

「この君の額縁(写真添付)みたいなの

作りたいんだけど、木地はどうやって

手に入れたら良いの?自分で作ってるの??」

(英語ですので意訳ですが、こんな雰囲気)

 

そうなのです。

額縁を作ろうと思ってまず最初の問題は

「木地をどうするか」なのです。

フィレンツェの額縁師匠パオラとマッシモも

留学の終わりに話してくれたことは

「君が日本に帰ってから大切なことは

まずは良い木地を見つけること。

木地工房を探しなさい。」なのでした。

 

老舗の額縁工房は自社工場がありますし

大きなメーカーでは完成した棹

(モールディング。切って繋げると

額縁になるような装飾加工済みの棹)を

販売するところがほとんどです。

 

わたしは幸いにも白木地の棹を販売している

瀬尾製額所さんや、特殊な木地を作ってくれる

千洲額縁さんとのご縁があって今に至ります。

でも、パオラは一昨年にも

「最近は良い木地が手に入らなくなってきた」

と言っていましたし、K君のアメリカでも

思い立ってすぐ入手と言う話でもなさそうです。

額縁も大量生産型と高級工芸品型と二極化が進み、

木材に関しては環境保護などの観点から、

今後また変化していくかもしれません。

 

▲ハガキサイズの木地。これくらいは自作します。

右上のは千洲額縁の木地サンプル。

 

以前はわたしも大きな木地や凝った木地を

自作していたことがありました。

ですが最近はプロにお願いしています。

それはやはり、木地の完成度が

額縁の最終完成度を左右するから。

木地の段階での小さなズレや揺れ、隙間を

「まぁこれくらいなら良いか」と妥協して、

箔を貼って磨く段階になると

致命的になることが多々あるのです。

印象がどうしても「手作り感」溢れてしまう。

その温かみや人間味(よく言えば)を

良しとするのはそれぞれの感性ですが、

わたしには「お金と交換できるもの」

とは思えなくなったのでした。

それくらい、木地は大切なものです。

瀬尾製額所、千洲額縁の皆様には大変

お世話になり、感謝しております。

 

長々つらつらと書いてしまいました。

それにしてもK君、インスタの

フォロワーは2600人もいますし

ギャラリーの知人もいらっしゃるでしょう。

アメリカにも古典技法額縁工房はあります。

なぜ日本人のわたしに尋ねてくれるのか。

わたしは投稿には英語を使っておりませんのに。

嬉しいような不思議なような気持ちです。

 

▲そして角を丸くしてみたり。これくらいは自分でします。

 

ちなみにK君は、わたしのことを

同世代の青年と思い込んでいる

節があります・・・。

楽しいのでこのまま訂正しないことにします。

 

小箱8 1月20日

 

昨年秋に「梨地風」などと名付けた

点々打ちで入れる模様細工にはまり

ひとつ完成させました。

赤ボーロに純金箔の水押しで

ザ・古典技法でございます。

 

模様も純洋風。

・・・なはずですが、なんだか

エキゾチックな雰囲気も出ました。

なぜだろう?

 

中には白い別珍を貼りました。

古色をかけていない輝く金と

白い別珍の柔らかさでプラマイゼロ

と言いましょうか(違いますな)

引き立て合っている、と言わせてください。

 

1€コイン(23πくらい)を入れて

こんなサイズ感です。

いかがでしょうか。

どのように使っていただけますか?

 

 

外側寸法:78×50×25mm

内側寸法:58×30×15mm(おおよそ)

 

油断大敵 1月17日

 

久しぶりに寝込みました。

 

火曜の未明に胃痛で目が覚め

悩みつつも予定をキャンセルしたところ

午前中から38度台の発熱です。

まさかのまさかコロナではあるまい、

これはあれだな、前にも同じことがあったなと

解熱剤とブスコパンを飲みました。

季節の流行病、感染性胃腸炎でございましょう。

(自己診断ですが!)

 

平熱が高いので、少々の熱はまぁ

ボンヤリする程度なのですけれど

ギギギィィとひねりつぶすような

胃の痛みで疲れました。

翌々日木曜は事務作業など再開しまして

一安心といったところ。

 

 

それにしても今回の感染性胃腸炎って

(繰り返しますが自己診断)ウイルスが

経口か接触で体内に入り感染するわけでして

(気持ち悪いことこの上ない)

新型コロナと同じウイルス性感染症・・・

今回はたまたま胃腸炎のウイルスだったから

まだ良かったものの

新型コロナだったらと考えると

ぞっとすると同時に、緩んでいた

自分がどこかにいたのに気付きます。

 

こうして知らないうちに

自分の身体にウイルスを入れてしまう。

オミクロン感染だって明日は我が身の

今日この頃、気を引き締めます。

皆さまもどうぞ引き続きご自愛ください。

 

 

オーナメントの飾りもの(名称不明) 1月13日

 

エポキシパテで型抜きしたオーナメント、

蚤の市で買ったヨーロッパのアンティークや

デッドストックから型を作りました。

 

気まぐれに色を塗ってみたりして

 

それをちょっとした飾りもの(何と呼ぶか

分からない・・・ストラップ?チャーム?)を

作ってみました。

手元にあったシルクのリボンをつけて

裏にはフェルトも貼り付けました。

 

 

家族に見せたら「かわいいけど・・・

どうやって使うの、これぇ・・・」と

言われましたが、そうですなぁ。

キーホルダーには強度がありませんから

クリスマスツリーのオーナメントとか

(遅い。来年のクリスマスに・・・!)

プレゼントのリボンの代わりに、とか。

 

子供のころ、サンリオで何か買ってもらうと

可愛らしい包みに小さなオマケを

シールで貼ってくれていたことを思い出します。

ものすごく嬉しくてドキドキワクワクしました。

 

 

それにしても、相変わらずと言いますか

ちょっと色使いが暗いですかね?

 

 

Firenze 2020-27 1月10日

 

だいぶ間が開きましたが、ひきつづき

2020年2月のフィレンツェ滞在記でございます。

 

2月のイタリア、カルネヴァーレ(カーニバル)

日本語で言えば謝肉祭のシーズンです。

有名なのはヴェネツィアの仮面を付けた

大人のカーニバルですが

フィレンツェでも毎年かなり賑やかに

催されています。

 

イースター(キリストの復活祭)の前の

40日間は禁欲に過ごすので

その前に大いに飲み食いしようじゃないか!

というのがカーニバルの始まりだそうで。

メインイベントは日曜日の午後です。

 

サンタ・マリア・ノヴェッラ教会前の広場は

仮装した子供たちでいっぱいでした!

▲お父さんお母さん、お疲れ様です・・・。

 

▲足元には紙吹雪の残骸がたくさん。

 

メイン会場のシニョーリア広場に近づくと

太鼓の音も人込みもどんどん増える!

楽しそうな家族連れ、初々しいカップル、

はしゃぐ子ども、ゆっくり歩く老夫婦のあいだをすり抜けて

広場の先にある我が家(小さくとも期間限定でも)

に無事辿りついてホッとしました。

 

 

老若男女のにぎやかな声、遠くから聞こえる

リズミカルな太鼓の音、その中をひとりで

歩き抜けていく外国人のわたし。

久しぶりに「異邦人」と言う言葉を思い出しました。

 

2年前の2月、こんなに賑やかで

楽しい日曜日があったのですね。

ものすごく遠い昔に感じます。

今年2022年2月はどうなるのでしょうか。

 

 

これがあれば何とかなる。 1月06日

 

わたしの額縁制作での重要物と言えば

型紙がそのうちのひとつです。

 

以前に作った額縁をもう一度作るとき

型紙があれば再現もできます。

 

▲2022年最初の制作はこちら。

右にある「hori-makuha」を新たに作ります。

もちろん以前の型紙を応用して。

 

万が一、作業部屋が火事になっちゃったり

した場合には(想像するだに恐ろしいけれど)

完成している額縁より、彫刻刀や箔道具より

この型紙を入れたファイルを抱えて

逃げ出すべし・・・と思っています。

これさえあれば、なんとか立ち直れるつもりです。

 

もうやめよう 1月03日

 

改めまして

新年あけましておめでとうございます。

久しぶりに本格的に寒いお正月

どのようにお過ごしですか。

ようやくご家族と再会なさった方

お仕事やお家の事情でお正月どころでは

なかったよ・・・という方、それぞれでしょうか。

 

我が家はいろいろとあった12月ですが

どうにかこうにかお正月に辿りつきました。

▲今年のお節は大皿に盛りました。

 

品数は減ったけれど、とにかく

体裁を保つ程度のお節料理を作って

元旦は穏やかに家族そろって迎えました。

 

▲変り映えしない元旦風景ですが

この変化の無さが穏やかな幸せの証しです。

 

迷いに迷った2022年の抱負・・・

いま唐突に思いついた「身軽になろう」

で進もうと思います。

物理的な断捨離とか片付けはもちろん

精神的に「執着をなくす」とか

「むやみにこだわったり考え込んだりしない」

「小さなことをいちいち気にしない」

がわたしに必要なのでは無いかな、と思います。

「しない・やめる」方向です。

 

2021年の抱負「逃げ癖を治す」はひとまず

山は越えたのですが、逃げる理由って

わたしの場合「考えすぎ・気にしすぎ」から

ひとりで勝手に一杯一杯になって逃げだすパターン。

なので、今年はその原因を減らそう

という魂胆でございます。

ああどうか、前進できますように!

 

 

あけましておめでとうございます 1月01日

 

 

旧年中は大変ありがとうございました。

新春を迎え皆様のご多幸をお祈りいたします。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和4年 元旦 KANESEI