diario
鎌倉へ そうして続けるのだ 12月30日
今年の鎌倉詣は前日まで迷いつつも
「これに行かねば新年を迎えられぬ」
と思い切って出かけました。
逗子の海岸を鎌倉へ向けて進む途中
富士山の絶景スポットを通ります。
▲やぁやぁ、今年も無事に御目文字かなう
由比ガ浜、風はないけれど寒い!
雲と光がドラマチックでした。
今年の海岸は、なぜかサザエのような
巻貝の貝殻が沢山落ちていたのでした。
人間が食べた後・・・ではない様子。
なんでしょう、貝界でなにかあったのでしょうか。
とはいえ、やはり。
巻貝が砂浜に落ちているのは絵になるのです。
通り抜けた小町通は例年通り若者であふれ
食べ歩きストリートに拍車がかかっており・・・
八幡様は人が少なめでしたが暖かな雰囲気は変わらず。
可愛らしい七五三のお参り帰りの姿を見て
自分の幸せな幼少時代を思い出していました。
この子たちも大人になった時に思い出す
幸せな記憶がいま刻々と作られているのですなぁ。
わたしも母の着物を着せてもらって車に乗って、
「帯と髪が崩れちゃうからシートにもたれちゃダメ~」と
両親に言われてドキドしたり、草履の鼻緒が痛かったけれど
晴れ着がとても嬉しくて楽しくて。
祖父と祖母にもとても喜んでもらえたのでした。
お参り後、参道を歩いていて「この歩く感触、
どこかで良く知っているぞ」と石畳をよく見たら
フィレンツェの石畳にとても良く似ている・・・
今わたしが求めているもの。
などと思いつつも、無事今年のご挨拶もでき
美味しいお蕎麦をいただいたのでした。
来年こそ、今度こそ、イタリアへ行きたい。
八幡様はお忙しいと思いますけれど
どうか叶えていただけますように。
わたしも「逃げ癖を治す」のその先へ、
続けて精進いたします。
今年2021年の diarioは今日でお終いです。
本年もお付き合いいただきありがとうございました。
寒い寒い大晦日になる予報です、
どうぞ益々暖かくしてお過ごしください。
穏やかな年末年始になりますように。
抱負は辛いよ 12月27日
今年2021年1月4日のブログで
「今年の抱負は『逃げ癖を治す』
2020年に授かった
『驚くような嬉しいこと』を
諦めないで逃げ出さないで大切にして
過ごしたいと思っております。」
などと書いていたのでした。
そうして2021年の暮を迎えて
どうだったのかい?と自問しました。
そうですね、ぼちぼち合格点だったと
言っても許してもらえるでしょう・・・
誰に許されるって?それは自分に、です。
果敢に前向きに追う、は無理でしたし
諦める3秒前くらいまで追い込まれました。
でも今までなら後ろを向いて逃げ出して
断ち切っていたような場面でも、
唸りながら耐えられたと思っています。
このブログに書いてしまった以上
守るしかない、という心境になったのも
成功の一因かもしれません。
何から逃げなかったか・・・?
いや、お話すると大した内容では
ありません。お恥ずかしいようなこと。
こういう抱負は自分との約束ですからね、
何にせよ「負けなかった、約束は守れた」
そこに尽きます。
2022年のお正月にも抱負を決めるのか
自分自身に戦々恐々なのですが
ここまで来たらもう一歩進めて
「逃げ癖が直ったなら、次は攻める」
で行くべきか考えてみる所存です・・・。
いや、でも。うう・・・
抱負を持つってしんどいですね。
でも、だから良いのでしょうね。
額縁の作り方 36 エポキシパテでオーナメント作り 12月23日
以前にも型取りについてお話しましたが
今回は作った型からオーナメント制作に
エポキシパテを使ったお話です。
わたしは「プラリペア型取りくん」で
抜き型を作ったら、焼石膏で型抜きしますが
▲武藤商事「プラリペア 型取りくん」
より折れやすいデザインや強度が必要な場合は
エポキシパテを使うこともあります。
焼石膏は安価で手軽なのですが
硬化・乾燥まで時間がかかります。
一方エポキシパテは費用が石膏より高い。
ただ硬化時間が短く衝撃に強いのが魅力です。
どちらも一長一短、ケースバイケースで
使い分けています。
エポキシパテ、いま手元に3種類あります。
▲左上の緑色がタミヤのエポキシ造形パテ・速硬化タイプ
中央茶色がセメダインのエポキシパテ木部用
右端赤がセメダインのエポキシパテ金属用
写真左下にある抜いたオーナメント群の
大きなツバメなど茶色がセメダイン木部用
グレーのものがセメダイン金属用
黄色いものがタミヤです。
特徴はそれぞれ違います。
タミヤは硬化後に一番硬くなりほぼプラスチック。
速硬化とあるだけに作業時間が短いかも。
練り合わせるときもニチニチした手応えがあります。
セメダイン木部用は金属用にくらべて
粒子がモコモコしていてるような感じです。
硬化には練り終わってから4~5分はある印象。
金属用は粒子が細かくて、練り終わりから
3分くらいで硬化開始、作業はできなくなります。
でも硬化開始から完全硬化まで
タミヤより時間があります。
ですので、半硬化のフレキシブルな時に
型からそっと外すと、バリなどハサミで
切り取ることができます。
そして完全硬化後にペーパーをかけるのが
一番楽なのも金属用。
(木部用はねっちり感があって、ペーパーの
目詰まりが比較的多いです。タミヤは硬くて大変。)
結論として、この3種類の中から型抜きに使うなら
セメダインのエポキシパテ金属用がベター
という感想です。
タミヤはプラスチック模型のメーカーですから
プラモデル制作には艶もあってピッタリでしょうし、
セメダイン木部用は硬化後に彫刻刀で彫るには
最適な硬さだと思います(金属用は硬すぎ)し、
塗装もしやすく古典技法にも使えます。
わたしの木工作業には欠かせないメンバーです。
そんな訳でして、エポパテ選びのご参考までに。
エポキシパテひとつとっても
こうして選ぶことができるのは大変便利です。
金継ぎ習いましたけれども。 12月20日
ものすごく久しぶりに
金継ぎをしております。
お世話になっている人から
「お願いがあるんだけど・・・
前に金継ぎ習ってるって言ってたよね?」
と小皿を2枚、頼まれました。
安請け合いをしたのですが
金継ぎ教室に通ったのはもう5年も前。
改めて本を引っ張り出して復習し
本漆も数種類取り寄せました。
そして実は5年前に父から預かった
ぐい呑みも途中で止まっていて
これも終わらせなくちゃ、と焦る。
家族に「金継ぎ再開」を宣言しましたところ
母が「じゃあこれも・・・」と
出るわ出るわ欠けたり割れた食器が
押し入れの奥からぞろぞろ。
意を決して金継ぎを再開したわけでございます。
▲まずは父のぐい呑みに蒔絵をして「固め」作業。
奥の小皿は母のものです。
だけど、コツは忘れているし
本やプリントで復習しても、金継ぎは
絵画や額縁修復と同じでケースバイケース。
一筋縄ではいかん!のです。
▲翌日に蒔絵の金を磨いて完成です。お待たせしました・・・。
鯛牙の磨き棒もあるけれど今回は急ぎなのでメノウ棒で代用。
とにかく知人に頼まれたものだけは
完成させねばならぬ。
どうにかこうにか約束の期日までに
終了したのですけれど、我ながら
完成度が低すぎてがっかりしました。
せっかく再開宣言しましたし
漆も買い揃えました。
ここはひとつ真剣に取り組もうと
今日のところは思った次第・・・。
やるのだ!大丈夫!・・・たぶんね。 12月16日
来年2022年の春に小箱を
お披露目&販売をするチャンスを頂き
にわかに気持ちが浮ついています。
▲仕上げの加工中・・・
おちつけーおちつくのだー
だいじょうぶだよーたぶん・・・
などと自分に声をかけつつも
なにせ気は尖っているのに小さいわたし
どうにもまとまらず落ち着かず
右往左往しています。
▲オーナメントシリーズ、ひとまず。
そうこうしつつもハワハワと小箱を作り
Atelier LAPIS やTokyo Conservation へ
のっそりと出かける日々です。
無事に春を迎えることができますよう
何かにすがりたい心境でございます・・・。
この浮つく性格、どうにかならないものか。
我ながら情けないけれど自分とも長い付き合い、
上手く丸め込んで頑張ります。
500年間の感想をお聞かせください・・・ 12月13日
以前に「Firenze 2020」の中でもお話した
ローマのアンティーク額縁ギャラリー
La Cornice Antica di Fabrizio Canto カントさんの
インスタグラムに先日載った1枚の写真。
お許しを得てこちらでもご紹介させていただきます。
昨年2020年2月にカントさんのギャラリーを
訪ねた際に見せてくださった祭壇型額縁が
ようやくお披露目になったそうです。
ギャラリー訪問のお話はこちらから。
ロンドンのナショナルギャラリー所蔵の
ラファエッロの「聖カタリーナ」が
額装されたとか。
カントさんからナショナルギャラリーへ
お嫁に行った祭壇型額縁です。
▲2020年2月カントさんギャラリーにて。
イタリア語で祭壇型額縁は il tabernacolo
男性名詞なのです。だから「お婿に行った」かも。
コロナ禍でローマからロンドンへの
輸送や手続きに時間がかかったりと
普段とは違うご苦労もあったそうですが、
ナショナルギャラリー内の額縁部門で
修復が施された祭壇型額縁は、
昨年近くで見て触って匂いまで嗅いだりした
「あの額縁」ではあるけれど、もう
とても遠い存在になってしまったような気がします。
イタリア・フィレンツェでルネッサンス時代に
作られた額縁が、巡り巡ってイタリアを出て
海を渡ったロンドンに終の棲家を得た・・・
500年近くの長い時間、どんなことがあったのか。
アメリカに滞在していた時期もあったそうです。
「何を見て感じたのか」など、この額縁に
聞くことができたら。
内容はきっと面白いような恐ろしいような・・・ですね。
ロンドンに行きたいな、再会したいな、と
来年以降に夢は膨らんでおります。
そうやって進むんだ 12月09日
ここしばらくずっと、感じていたけれど
はっきりせずモヤモヤしていたことを
言葉にする努力をしたら、頭と心が
だいぶスッキリとしました。
その内容は、改めて書き出してみたら
古今東西絶え間なく続いていることでした。
わたしの人間関係が入れ替わりつつある
と言うことなのです。
いままで親しくしていた人たち、
心を寄せ合っていた(と感じていた)人たちと
心理的にも物理的にも距離ができて、
入れ替わるようにして違う人たちと
精神的に近く過ごしているような気がします。
近くなりたかったけれど機会が無かった人と
近くなれる場面を持つことができたり。
「支えあう」というと大げさだけれど
笑いあって共鳴して励ましあって、
前進する気持ちを持たせてもらう、ような。
以前から年齢や生活の変化で人間関係は
当然ながら変化していましたが、
それは緩やかでした。
でも今回のコロナ禍で、変化が強く素早く
なったのかもしれません。
変化の印象が強いから寂しさも強いけれど
生活の変化、ひいては世界の急激な変化が
あったのだから、人間関係の変化も
当然と言えることなのでしょう。
自分も変わったし、周囲の人も変わったのだ。
それに良し悪しはないのだ・・・。
そしてお互いが深く必要としている人とは
遠くなってはいないことにも気づきました。
これは一見当然のようだけど、実は奇跡的なこと
なのではないかな、と思っています。
長いようで短い、短いようで長い人生です。
ご縁があるのなら遠くなった人とはまた
近しくなれる時が来るのでしょう。
そしてこれで遠ざかったとしても、
思い出は抱えていこうと思います。
ハガキサイズ用額 100点展 12月06日
先日よりご覧いただきました絵葉書用の額縁を
こちらの展示会に出品いたします。
代々木にあるGallery Picaresque にて
12月4日から26日まで開催されます。
秋にこちらのギャラリーの方から
お誘いのご連絡をいただいて
少々悩んだのですが
なにせ腰が重いワタクシ
これも何かのご縁かも、と思って
参加させていただくことにしました。
多数の工房・作家がそれぞれ制作した
ハガキサイズの額縁をご購入いただけます。
クリスマスのプレゼントや
思い出を身近に置くために、いかがでしょうか。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
粉で復活、宝もの 12月02日
引き出しの奥から、ずっと前に
絡んでほどけなくなったネックレスが
出てきました。
もうすっかり忘れていたのですが。
そうだった、大事にしていたのに。
何度かほどこうと思ったけれど
出来なくてお蔵入りしたのでした。
▲ぎっちり玉結び・・・
そしてふと思い出したのです。
少し前に何かで読んだぞ・・・
絡まったネックレスは片栗粉を使うと
簡単にほどけるって。
わたしはタルク紛を持っています。
お化粧で使う仕上げパウダーのような細かい粉。
粒子の細かさが片栗粉に似ているかんじ。
片栗粉を使うのはもったいない気がして
(だって記憶があやふやだし、後が困るし。)
タルクのボトルに入れました。
▲それで、どうするんだっけ・・・?
いや、思い出しました。
そうだ、粉に入れて、振るんだ!
▲小さい器に移しました。
で、手のひらで蓋をして器ごと振る!
パタパタと振ってネックレスを
引き上げてみると、当たり前だけど粉だらけ。
かたい結び目にも粉が入りこんでいます。
振っただけでほどけて出てくる・・・を
期待したけれど、さすがにそれは無し。
当たり前ですけども。
だけど、いままでどんなにしてもダメ、
(石鹸水のなかで試したり、いろいろ・・・)
かたかった結び目をピンセットで引っ張ったら
あらまぁ、ほどけましたわ・・・。
あっけなくするすると。
▲ほどけた!
粉が飛び散り、期待の大きさが伺える・・・
なるほど、結び目に粉がついて
滑りが良くなった、のですな。
片栗粉やタルク以外に、たとえば
コーンスターチとかでもいけるかも。
こんなアイディア、気づく人もいるのですね。
「粉とは」をご存じの人にとっては
分かり切ったことかもしれませんが
これは面白かったです。
ちょっと夏休みの実験宿題を思い出しました。
さて、粉だらけになったネックレスは
すかさず首に装着!でございます。
身に付ければ絡みませんからね。
粉は、まぁシャワーを浴びれば
流れるでしょう。
うれしいかぎり。ふふふ。
絡まったネックレスをお持ちですか?
ぜひお試しあれ!