diario
Firenze 2020-25 9月06日
わたしの大好きな美術館のひとつに
捨て子養育院美術館があります。
その名の通り、以前は孤児の養育施設でしたが
現在は子どもの活動支援組織のオフィス
そして美術館になっています。
小さな子どもを連れたお母さんがいましたから
親子教室が開かれたりしているのかもしれません。
ドゥオーモと同じブルネレスキの設計した建物で、
現在、1階は養育院の歴史などの展示解説、
2階からギャラリースペースになっています。
所蔵作品もジョット、ギルランダイオなど
目白押しなのですが、それはさておき。
ギャラリー部分の一角、入組んだ場所に
不思議な部屋がありました。
ギャラリーから数段下がった部屋は
真っ暗で、何やら等身大の人形と
照明された箱が並んでいます。
しんと静まり返った部屋のなかに
ぽつりぽつりと光りながら並んでいるのです。
ちょっと立ち入るのを躊躇するような。
だけど不思議なもの見たさに引き込まれる。
その箱には、どうやら聖書の一場面や
聖人の歴史などを再現している様子。
なのですけれど。
▲右下に見えるのが等身大の人形。
おそらく養育院時代の養母さんのようです。
なにせ暗くて不気味・・・と言っては
いけないのでしょうけれど
古いお人形って存在感が強いこともあって
なにか異次元や異世界を感じさせます。
▲蛍光灯的な青白い照明は影も冷たく強くて
物音もしない凍てつく深夜の緊張感・・・
と言うようなイメージを醸し出す不思議
この展示品は、その昔に子供たちが
作ったものなのかもしれません。
または子どもたちに聖書の教育をするため?
寂しがる子ども達を慰めるために寄付された?
解説が無くて(暗くて見つからなかった)
分からなかったのが残念。
よく見てみれば、マリア様だったり
当方三博士の礼拝シーンだったり
(十字架降下もありますけれど)
怖さとは程遠い内容のはず、なのに
なぜ暗い中に展示するのでしょうね。
舞台装置的なイメージで展示しているのかな?
▲いまこの写真で振り返れば
この箱の彫刻や細工も素晴らしい。
あの時は見る余裕がありませんでした。
だけど、だけど。
いやはや。不思議な部屋でした。
一緒に行った人は、部屋の外から
ちらりと覗いて驚いた様子、
最後まで足を踏み入れないのでした。