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小箱1 6月28日

 

小箱もだいぶ増えました。

制作過程ばかりをご紹介していましたので

完成品もご覧いただきたいと思います。

 

木地小箱はすべて桐の既製品です。

無垢材ですので、古典技法の

ボローニャ石膏下地をほどこし

仕上げています。

まずは古典技法らしい金箔シリーズを

ご紹介させてください。

上の写真には12個あります。

今日はそのうちの4つ。

木地にボローニャ石膏

線刻、パスティリア(石膏盛り上げ)

赤色ボーロに純金箔水押し

メノウ磨き、ワックスによる

アンティーク仕上げ

蓋裏と内部に布貼り

4つのうち3つは

外側寸法:78×57×39mm

 

楕円装飾のものは

外側寸法:78×57×31mm

(いずれも凸装飾部分は含まず)

ひとつだけ8mmほど低いサイズです。

サイズはおおよそですが

女性用腕時計をたたんで入れると

こんな感じです。

 

贈り物などにも

いかがでしょうか。

 

 

久しぶりに再開 6月24日

 

ここしばらく、グスターヴォさんに

教わったヴェネト額縁の

仕上げの小さな部分以外

彫刻から距離をとっていたのですが

久しぶりに「そろそろ良いだろう」と

再開いたしました。

 

 

半年以上本格的な彫刻から

離れていたので感覚が変!

あれ、どうするんだっけ・・・

とは大げさですけれど

腕慣らしが必要でした。

 

えーっと、ううむ、んん??

などと言いつつ。

 

やっぱり木槌を振り上げて

ガシガシと彫り進めるのは

楽しいのです。

 

 

これはなかなかよろしい額縁が

完成する予感です。

 

 

ようやく手に入れた 6月21日

 

成城学園前のアンティークショップ

atticさんにおじゃましましたら

ずっと前からほしかったガラス小箱が。

我ながらどれだけ小箱が好きなんだ?!

・・・と思いつつ。

 

 

このタイプの小箱は

「ヴィトリン」とか「ベベル」なんて

名前で呼ばれるそうですが

分厚いガラスを面取りして組んだ

美しいガラス小箱です。

骨董市などでたまに見つけると

数万円もして「ぎゃー」と逃げるのを

くり返しておりましたが

attic にあったものはなんと数千円!

それもそのはずリプロダクトなのですって。

でもそんなの構いません。

ガラスに程よく傷があって

佇まいもエレガントですもの。

アンティーク・骨董ではなくて

「古いもの」で十分でございます。

嬉々として連れ帰りました。

 

底の内張が黒い布で・・・それだけが

なんだかなポイントでしたので

水色の布貼りボードを仕込むことに。

▲黒い布底だと内部がとても暗い。

 

▲厚紙に青い布を貼って

箱底に両面テープで留めてしまう。

 

一番上の写真は仕込み後に

グスターヴォの左手を入れたところです。

イタリアの教会にある聖遺物風・・・

またもや家族に「こわい!」と叫ばれ

やめました。

 

 

気づけば窒息寸前 6月17日

 

小箱も少しずつ作っております。

 

ヨーロッパの古典技法を使った

小箱ではありますが

日本の模様を使ったものも

作りたい・・・と思いまして

天平時代のデザインを。

東大寺三月堂の仏様にある模様を

参考にしました。

▲天平時代の模様は地中海世界のものが

 シルクロードを通って日本にやってきたそうですから、

 バランスが洋風、アラブ風にも感じられる。

 

桐の小箱に下地を施し

ボローニャ石膏を塗り磨き

模様を線彫りしてから

アクリルグアッシュで彩色。

 

なにせ細かい模様なので

神経を使います。

▲この後にバックの色を塗ります。

 

じぃぃぃぃ~っと描き続け

はたと気づくとものすごい頭痛。

びっくりした!

呼吸をほとんど忘れておりましたよ。

窒息して酸欠になっていたのでした。

やれやれ。

いくら楽しくても息はしましょう。

 

 

Firenze 2020-21 6月14日

 

先日のパラティーナ美術館でのお話のつづき。

 

ラファエロなどの有名どころも

当然ですけれども画集で見るのとは

色の深みも迫力もなにもかも

別世界の美しさなのです。

▲ラファエロ「小椅子の聖母」目がくらむ。

 

▲いわゆる「カルトッチョ」額縁。

 これもフィレンツェらしい額縁です。

 絵と合ってるのかな・・・というのは

 余計なお世話ですか。

 

それにしてもこの美術館の派手さ。

赤い壁に保存状態の良い金の額縁

そこに絵画の発するエネルギーが加わり

なんと言いましょうか

心身ともに体調が良くないと吹き飛ばされます。

 

ある大広間にたどりつきましたら、あれ⁈

空っぽの額縁があるではありませんか。

これは確か、カラヴァッジョの作品の

額縁だったような記憶です。

この後3月、ローマでカラヴァッジョの

大回顧展が開催予定だったはず。

記憶はあやふやです。

いやぁ、こう言っては何ですが

空の額縁は絵が無いから額縁に集中できて

わたしなどには悪くなかったりして。

絵を見たかった方には残念ですけれど。

 

そして思い出しました。

数日前にボーボリ庭園から見えた様子

ピッティ宮殿の裏側の作業が見えたのですが

なにやら大きな作品を運び出していました。

なるほどね~ここからこんな風にして

作品の搬入出をしているのか!と

写真を撮ったのですが、おそらくは

この額縁に入っていた作品がちょうど

運び出されるシーンだったのかな、と

思いました。

 

この絵、もう今は自宅(つまりこの額縁)に

帰ってきて、のんびりと高いところから

眺めて暮らしているのでしょう。

ようやく美術館も再開しましたから

お客さんが戻ってきて、絵も額縁も

喜んでいるに違いありません。

 

 

もう寝なさい。 6月10日

 

どうもわたしは日ごろ

ひとりで作業しているからか

はたまた根っからの性格なのか

煮詰まりがちで、

そんなときは大抵作業も

上手く進まなかったり

失敗したりします。

・・・いえ、そんな頻繁に

失敗しているわけでは

ありませんけれども。

 

眉間にしわを寄せつつ家族に

「失敗した」などとブーブー訴えて

気を紛らわそうとしていると母は

「まぁ、そんなときは一晩寝るのねぇ」

とノンキな口調で言うのでした。

 

結局その日は手直しの準備だけして

違う作業をして一晩寝ました。

翌朝見ても、やっぱり失敗は失敗で

小人が夜中にこっそり直してくれているわけもなく。

でもまぁ、昨日思ったほど深刻でもないし

失敗の理由の整理がついたので直せるし

「もう同じ失敗は繰り返さない」と思えたし

一晩寝たことで煮詰まりも消えました。

 

分かってはいたことだけれど

寝ちゃって仕切り直しって

改めてわたしには効果的なのです。

この年齢になってもやっぱりまだ

母には助けられているのだわ・・・と

苦笑いの朝なのでした。

 

 

ヴェネト額縁はひとまず 6月07日

 

2020年2月にフィレンツェにて

木彫職人グスターヴォさんの

工房に通って制作した額縁木地は

帰国後に追加工をして

先日無事に完成しました。

勝手に呼んでいた名前

グスターヴォ額縁改め

ヴェネト額縁でございます。

 

 

なんたる派手。

額縁の中に見えている写真は

参考にしたオリジナル額縁

18世紀イタリア・ヴェネト州で作られたもの。

Roberto Lodi 著

Repertorio della cornici europea P.270掲載

 

▲技術的に足りないのはもちろん、葉の向きとか

 いろいろとオリジナルとは違う部分もあります。

 

すぐにアンティーク加工をしようと

企んでいたのですけれど、

完成してみたらなんだかこれも悪くない。

もう少し眺めて楽しんで

具体的にどうするか検討しようと思います。

 

実は完成前日に、ふと遠くから

離れて眺めてみたら気が付きました。

左下角、対で葉が足りない。

え、今気づくってどういうこと。

彫って、塗って、磨いて、

また塗って、貼って磨いて・・・

ここまでの作業中に一度も気づかなかった。

ちょっと自分が信じられないのですが。

 

そういえばフィレンツェで作業中に

わたしが「あ!間違えて彫りすぎた!」

と叫んだ時にグスターヴォさんは

「そんなのは後からリカバリーできる」

と確かにおっしゃったのでした・・・。

これを今、書いていて思い出しました。

 

ハハハ・・・もうリカバリー不可。

でもまぁ、それもまた思い出

と言うことにしよう・・・

 

 

 

Firenze 2020-20 6月03日

 

さあ、満を持してやってきました

ピッティ宮殿内のパラティーナ美術館です。

日曜の午前は不定期な休館でがっかりでしたが

おかげでボーボリ庭園を独り占めできたので

それはそれで良かったとして。

この日も朝いちばんで乗り込みました。

 

入り口で荷物と身体検査をうけて入館。

(飛行機搭乗前のような感じ)

オーディオガイドを借りようと思ったら

一時的に休止中とのこと。

あら残念~でしたが、今思えば

コロナ感染拡大が確認されつつあり

蔓延防止措置が始まっていたのかもしれません。

 

まずはとにかく、拝見いたしましょう!

▲絵画も見ますが目が行くのは額縁

 

いわゆる「フィレンツェ・バロック」の

額縁がそこかしこに。

 

この美術館は後期ルネッサンス~バロックの

作品がメインで、ラファエロが有名どころ。

実はわたし、この時代の作品にも額縁にも

長らく興味があまり持てず

留学中もほとんど近寄らない美術館でした。

 

ですが2018年にこの本

「CORNICI DEI MEDICI 」を手に入れて

ひたすら眺めているうちに

どうにもこうにも実物が見たくなってしまった!

という訳です。

 

ものすごく独断的な表現ですが

彫刻模様のエッジが際立っていて

ニュルニュルした感じがして

むやみやたらに入り組んじゃって

ちょっと爬虫類や昆虫っぽいし

好きになれない・・・と思っていたのは

過去の話になりました。

▲でも昆虫風味はぬぐえない・・・

 

大変失礼いたしました。

やはり年月を経ると自分の経験が増えるぶん

好みも感覚も変われば変わるものですね。

 

うう~む!

これはいつかきっと、わたしも

ひとつ作ってみなければなるまいよ!と

志をひたすら高くしたのでした・・・。

達成はいつになるやら、ですけれど。