diario
Firenze 2020-3 8月31日
ひとり暮らしの1ヵ月、基本的に毎日自炊です。
なんとなく記録として、食事を写真に撮りました。
その一部をご覧いただこうと思います。
他人の食事内容なんてご興味ない??
まぁそう仰らずに・・・
毎日のスケジュールはおおよそ、午前9時から12時まで
グスターヴォさんの工房にて額縁彫刻の修行、
帰宅の途中に美術館や教会に寄り道をする。
そしてアパートに帰ってからお昼ごはん。
お昼過ぎは洗濯したりスーパーマーケットに行くか美術館へ。
夕方5時にパオラの工房へ(午後の開店は4時半だけど
時間ちょうどには開いていないことも多い)。
夜の7時半か8時まで手伝って、帰宅してからお風呂、夕飯。
そんな毎日なのでした。
朝ごはんは東京でもフィレンツェでも同じ、
お味噌汁とシリアルとミルクティーです。
違いと言えばフィレンツェではインスタント味噌汁・・・
2月の寒い朝に温かなお味噌汁は欠かせませんのです。
▲前回を踏まえて、赤いランチョンマットと
緑色のお箸を持参いたしました。
お昼ごはんはパスタがほとんどでした。
朝出かける前にマカロニを水に漬けて出発。
帰宅したらふやけたマカロニが待っていますので
すかさず着火、すぐにゆだってすぐに食べる!
ついでに野菜もゆでて、大好きなペストジェノヴェーゼで
和えるだけという手抜きランチでございます。
▲芽キャベツが安くて大喜び!
水漬けパスタはイタリア人が聞いたら変な顔をしそうだけど・・・
腹ペコで帰宅するわたしにはとても有効でした。
▲たまにイタリア米を炊いて、冷凍サーモンを
塩じゃけにして日本を懐かしむ。
こちらの冷凍サーモンは皮無し。皮がおいしいのに!
▲マルタイの棒ラーメンは荷物の必需品。
キャベツとネギだけで十分おいしい。
夜はすっかりくたびれて、自分だけのために
料理をする気力は残っておらず・・・さらなる手抜き。
ルッコラや茹で野菜と、アボカドやビーツ、チーズと果物。
イタリアならではのおいしいハムやサラミ!
たま~にお肉かお魚、そして白ワインは何としても!
タブレットで日本のニュース番組を見ながら食べるのでした。
▲夜は炭水化物抜き。でもお酒で差し引きゼロ・・・。
▲チーズを豚肉で巻いて焼くだけ!のものをスーパーで発見。
とろけるチーズがおいしかった。
▲たまにロゼワインにしてみたり。飲まない日はない・・・。
▲ニシンのマリネも売っていました。とても塩が効いていた!
▲黒いのはビーツ。ゴルゴンゾーラと食べると美味!大好物。
▲鳥の手羽は手羽先と手羽元が一緒のまま売っている。
ひとパック10本入り・・・冷凍庫もなく食べきれなかった罪悪感。
▲マグロの「タルタル」つまりお刺身もスーパーの隅っこで発見。
マグロでお腹がいっぱいになるしあわせ。
と、まぁなんともノンキな食生活を送りました。
振り返るとあまり健康的とは言えませぬ。
途中でちょっと風邪気味になりましたけれど
体調を崩すことなく1ヵ月暮らしました。
次回(まだつづく!)は外食編です・・・
サンソヴィーノの双子 その後 8月27日
先日ご覧いただきましたサンソヴィーノの
双子額縁は、どうにか彫り終わりが近づきました。
とは言え、これはふたつのうちのひとつ。
もうひとつは悲しいかな、練習台の犠牲となって
パテで修正されつつ控えております。
▲だいぶ良い感じ。
双子で同時制作と言っても、なぜだか同じにならない。
職人とは同じものを同じように繰り返し作ることが
できなくてはいけないんじゃ・・・と思いつつも
まぁ今回はひとつは練習台、ひとつが本番と考えて
「同じ失敗を繰り返さなければそれでよし」
としようと思っています。
▲下の額縁が「練習台」、パテで補修されているのを
隠しつつの写真撮影・・・
さて、練習台のほうはパテを隠して取り繕うために
石膏を塗るほかありませんけれども、
もうひとつはまだ仕上げを決めていません。
どうしたものか。
まだ時間はあるので悩んでみます。楽しい悩み。
Firenze 2020 -2 8月24日
2月初頭からイタリアのフィレンツェへ
彫刻修行に行ってまりました。
もうずいぶん前にお話ししました「弟子入り修行」先
グスターヴォさんの工房です。
工房のあるサンタ・レパラータ通りへは
アパートから歩いて15分くらい、
シニョーリア広場を抜けてドゥオーモの前を通り、
サン・ロレンツォ教会の横からさらに北上。
観光名所を眺めつつ早歩きで気持ちが良い通学路です。
日本から持ってきた木地と彫刻刀、そして
お菓子のお土産を担いでいざいざ!
初日は朝いちばんで工房にてご挨拶、そして
さっそく翌日から特訓が開始されたのです。
▲グスターヴォさんもわたしもまだお互い様子見といった感じ。
そして出だしからびっくりする。
何に驚いたかと言えば、まず出だしは三角刀で
アウトラインを取ってしまうということ。
留学時に学校の彫刻の授業で教わったっけ??
いや、これがプロの時短+技術か??
頭はぐるぐる、そして「さぁやってごらん」と言われて
・・・ふたりで固まってしまいました。
だって出来ないのですもの!
大きな三角刀を滑らかなカーブで均一の深さで
彫り進めていくには相当な腕力と握力が必要なのです。
わたし、自慢ではありませんが(いや自慢だけれども)
腕力と握力は女性としてかなりあるのですよ。
なのにまさか出来ないなんて初日から自信喪失。
どうにかカーブを彫れても、最後に止められない、
あまりに力を入れすぎて彫り抜けてしまうのです。
前途多難な始まりの日なのであります。
continua…
飛ぶのじゃ! 8月20日
このコロナ禍がはじまって、運動嫌いなわたしの
運動量はますます減る一方
そして身体は重くなる一方。
友人と話すと、みんな散歩をするとかランニングするとか
それぞれ頑張っているのです。
わたしもどうにかせねば・・・と思い立って
手に入れたのは縄跳びの縄です。
なにせ続けられるか自分が信用ならないので
高い器具を最初から買うのもナンですし、
あきらめがつく価格の縄跳びでございます。
▲いかに室内でできるか、ひとりでできるかにこだわる。
絨毯の上で縄跳びをする無謀・・・
高校生以来の縄跳び、3分飛んで1分休んでを3セット。
縄跳びで疲れた記憶もなく、前飛び後ろ飛び交差飛び
遊んでいた記憶だけだったのにいざ始めてみたら、
ただの前飛びの飛び方も忘れたのか
10回と続かない! 2セットで脚はガクガク
滝のような汗と動悸息切れ・・・
我ながら呆然とします。
そして意外なことに縄を回す二の腕も
パンパンに疲れるのです。
ようやく最近はもう少し続けて飛べるように
なりましたけれども、たかが縄跳び、されど縄跳び。
一説によりますとジョギングより負荷があるとか。
もう少しがんばって続けてみようと思います。
ダイエットになって、ふくらはぎと二の腕も
引き締まって、ついでに体力が付けば
などと期待してニヤニヤ飛んでおります・・・。
Firenze 2020-1 8月17日
夜に到着して翌日の午前中、さっそく
額縁師匠パオラの工房へ駆けつけます。
なにせ昨年2019年夏におおきな手術を受けて数か月療養し
いまは諸事情でひとりで工房を続けているパオラ。
心配で居ても立ってもいられないのでした。
工房に着いてまず目に入るのはショーウィンドウ。
昔から見慣れた彼らの作った額縁と
フィレンツェ・バロックスタイルの額縁。
▲別名ピッティ・フレーム(と、思います)。
ピッティ宮殿内のパラティーナ美術館に
このタイプの額縁がたくさん展示されています。
▲顔を隠して失礼します。
パオラとわたし、工房預かり犬のミルティッロ。
パオラが踏みしめているのはミルティッロのベッド・・・ああ。
パオラはすっかり白髪になって痩せているけれど
笑顔と毒舌は相変わらず!
ひとまず笑顔を見て、お店の繁盛ぶりを見て
ホッと胸をなでおろしたのでした。
そして hori-makuha-3と初心 8月13日
先日完成をお披露目しました hori-makuha-2 額縁は
ドローイングを額装してお客様にお届けしました。
そして後日に「もっと古色を強くしてください」
とのご注文により、さらにガシガシと加工をしました。
▲加工後
▲先日ご覧いただいた加工前
イタリア留学時にパオラとマッシモが経営する
額縁工房に押掛け弟子入りをしたのは
彼らの作る額縁の古色加工に憧れたからでした。
そして帰国してひとりで額縁を作るようになったら
日本では古色加工をした額縁はおもったより
受け入れてもらえない・・・ということが分かって
以来、無意識に強い古色付けは避ける気持ちに
なっていたようです。
そして今回「金がほとんど無くなるくらいまで
強い加工をしてください」とのご注文をいただき
ここぞとばかりに叩いて擦って汚してみたわけです。
出来上がった額縁は「そうそう、これこれ!」
と嬉々としてしまうような、初心を思い出すような
仕上がりになりました。
ああ、やっぱり私は古色加工ガシガシの
額縁が好きなのだな~!と再確認いたしました。
こんな額縁を作らせていただけてわたしは幸せです。
この額縁は hori-makuha-2 の加工後ですから
同じ額縁ですけれども、あえて今回は
hori-makuha-3 と新たな名前で置くことにします。
「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。
どうぞご覧下さい。
Firenze 2020 prologo 8月10日
今年2020年の2月ひと月の予定でフィレンツェに
滞在した当初、まさかこんな事態(Covid-19)などに
見舞われようとは思いもよらず。
1月時点ですでに中国では大変な状況になっていたけれど
「日本よりイタリアのほうが安全かもしれませんね」
などと会う人には言われていたのです。
その後の世界状況はもうご存じのとおり・・・。
そして半年がすぎて8月になった今現在は
イタリアはおろか隣県への外出も考えざるを得ない。
けれども、心と記憶には2月のフィレンツェ滞在が
生き生きと残っていて、今の息苦しさと
先の見えないもどかしさの小さな救いになっています。
忘備録もかねて、少しずつお話を聞いていただければと思います。
▲帰りの飛行機で見たうつくしい朝日。
さて、今回は2月3日出国28日帰国という予定でした。
向かうは我が第2の故郷フィレンツェ。
そして滞在先は2018年と同じアパート、中心中の中心です。
勝手知ったる我が街の、勝手知ったる我が家
と言いますと大げさですけれど、荷物の準備にしても
心身の安定にしても、短期間でも以前に「住んだ」部屋は
もうわたしのテリトリー、目覚めの眺めで安心したのでした。
▲ベッドから見上げると、とにかく天井がたかーい・・・
今回の目的はふたつ。いえ、みっつ。
1.彫刻師グスターヴォさんに弟子入りして彫刻技術を学ぶ。
2.昨年夏に大手術を受けた額縁師匠パオラに会って笑顔を見る。
3.ローマの「La cornice antica」アンティークフレームギャラリーを訪ねる。
時差ボケで早朝に目が覚める(4時!)けれど、
なんだか得した気分にもなったりします。
まずは近所のポンテ・ヴェッキオで街との再会を喜びました。
continua…
サンソヴィーノの双子 8月06日
ロンドンのナショナルギャラリーで2015年に
開催された展覧会のカタログである
「THE SANSOVINO FRAME」掲載の額縁を
摸刻することにいたしました。
▲木地はいつものように千洲額縁さんにお願いしました。
ふたつ同時制作しようと思います。
なぜふたつか・・・それはですね、
ほぼ9割がた失敗するであろうと思っているから。
いえ、もちろん失敗はなるべくしないように
必死に考えて計画するわけですけれども
サンソヴィーノスタイルの額縁はとにかく
難しい(わたしにとって)のです。
▲見本の写真より。シンプルに見えますけれど・・・
ねじれた帯の流れる角度、渦巻きの角度、
ちょっと外れるとすべて台無しになる・・・という
恐ろしいデザイン(わたしにとって!)です。
だけどチャレンジしたくなってしまう。
ひとつ目で失敗したら、すかさずふたつ目に
取り掛かって・・・という風に作業を進めると
失敗理由も忘れませんし、ひとつ目の
リカバリー方法も見えてくる。
二本立て制作はなかなか良い感じです。
(労力は2倍、いえ3倍4倍ですけれども)
前にも言いましたが 8月03日
額縁制作のさいごの仕事は、作品を額縁に納めること。
金具を取りつけたり裏板を閉じたり
小さなネジを締める作業がおおいのです。
で、使うのはドライバーです。
いままで、なぜか家にあったドライバーセット
(パーツが6本とグリップが付属セットの)を
使っており、さして問題はありませんでしたが
先日ホームセンターへ買い出しに行ったさいに
一本売りのドライバーを買ってみました。
そうしたら、なんとまぁ使いやすいこと。
いままではガッと握って本気でまわすところを
新しいドライバーは、ちょいとつまんでまわせる感じ。
握りやすい→回しやすい→力が要らない
つまり早くきれいに仕上がるのです。
いやぁ、びっくりしました。
▲左が新しいドライバー、右がセットの愛用ドライバー
でも今後は右の出番はほとんど無くなりそう。
けっして高い買い物ではないのですよ。
数百円で買えるドライバー、されどドライバー。
いままで何だったの・・・。
ものすごく得した気分になっております!
以前にもお話した記憶がありますけれども
道具って本当に大事ですね。