diario
額縁の作り方 29 ほこり大敵 7月16日
たいへんに久しぶりの「額縁の作り方」です。
今回はボーロ(箔下とのこ)を塗る前の準備について。
ボーロをつかうには、木地に石膏を塗り磨いてある
必要がありまして、この石膏地がないと
ボーロを塗っても箔が付きませんし、
またメノウ磨きも出来ないのです。
たとえば、ボローニャ石膏ではなくアクリルジェッソで
代用しようと思っても、上手くいかないのが不思議なところ。
石膏の硬度、密度、ニカワの有無など関係あるのでしょう。
それで、ですね。問題は石膏地は紙やすりで
きれいに磨いておく必要があるのですが
ボーロ以降の作業にはホコリや塵が大敵ということです。
磨き上げた石膏地を、さらにさらに掃除して
石膏粉や紙やすりの屑を極力払っておかないと
箔の仕上がり・・・つまり完成度に影響します。
「たかが石膏の粉でしょ?」と侮るなかれ。
磨き終えた石膏地は柔らかい筆で粉を払い、その後は
とにかく乾いたティッシュで拭きまくります。
わたしの経験ですと、ティッシュがいちばん柔らかくて
粉を取り除いてくれるのです。
ウエスやタオルよりきれいになるように思います。
その後、わたしは作業部屋にエアコンプレッサーが
ありますのでさらに風で吹き飛ばすのですが、
お持ちでない場合、カメラなどの精密機器を手入れする
シュコシュコ(名前が分かりません!)で吹き飛ばす!
100円ショップなどでも売っています。
▲これがいわゆるシュコシュコ
ちなみに掃除機で吸い取ることも可能ですがその場合、
掃除機の掃除がとても面倒になりますのでお気を付けください。
ここで肝心なのは石膏地だけではなくて
裏側や内側もきれいにしておくこと!
木目の中はティッシュでは取れませんから、
筆とシュコシュコを駆使してください。
木目にしつこく入り込んだ石膏紛があとからこっそり
落ちてきて邪魔をしますので、侮れません。
▲ボーロの中にホコリやゴミがあると
ボーロが粉っぽくなって箔の付きが悪くなる。
メノウ磨きのときにメノウが引っかかって箔が傷つく。
金箔を磨いた時にホコリがそのまま凹凸になって現れる。
恐ろしい結果が待っておりますぞ。
それからもうひとつ。
ボーロを塗ったら素手では触らないこと。
これはフィレンツェの修復学校で繰り返し言われました。
手の油分がボーロに付くと
箔置きのときの水をはじいてしまいますし
手汗などの水分でホコリが付いてしまうことも。
側面か裏面を持つようにする必要があります。
いちいち面倒だな、こんなのある程度で大丈夫でしょ!
・・・とのお気持ち、とてもよく分かります。
だけどひとつの工程を適当にすると、その後がすべて
「ザ・適当」になるのです。
これはわたし自身の教訓でもあるのでございます!
手を抜くべからず・・・。がんばります。