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笑顔のために 3月30日

 

市が尾にあるAtelier LAPIS で毎週月曜に

古典技法額縁と黄金背景テンペラ画模写の

講師をさせていただいて、かれこれ9年目です。

始めたばかりの頃、自分の技術や

制作に対する心構えのようなものを

ほかの人に渡す(お教えする)のは、ある意味

心身の一部を切り取って譲渡するような気持ちで

不安があったのでした。

 

でも、今となればそんな心配は無用も無用、

月並みではありますが「得るもののほうが多い」

という充実し励まされる仕事になりました。

 

そんなLAPISの講座ですが、先日思いました。

生徒さんが「これで良いですか?」と確認を求めて

わたしに見せてくる時、まだまだ作業が足りないと思えても、

それはわたしの感覚では足りなく感じるだけで

この生徒さんにとってはこれで精一杯なのかも?

それとも「まぁぼちぼちで良いかな」と思っておられる?

もうこの作業が退屈になって先に進みたいんだろうな、

でもあと一息、あと一歩頑張ればずっと良い出来になる。

励ましてもっと追及してもらうか。

「良いですよ」と言ってしまうのは簡単だけど。

 

その迷いで、つい

「あなたがこれで良ければ、これで良いですよ。」

という発言をしてしまったのでした。

 

だけど、この言い方は失礼でもあり、怖いですね。

「わたしは納得しないけど、あなたの好きにしたら良い」

という突き放した言葉ですから。

 

生徒さん方は、LAPISにたのしみに来ていらっしゃる。

励まして無理に続けさせても辛いだけなら

楽しく作業していただいたほうがずっと良い。

でもこの人ならもっと出来るはず!

そう思って、最近は「もう一息やってみましょう、

大丈夫、出来ますよ、わたしも一緒にしますよ」

と言うようにしています。

その一言を聞いたときの生徒さんの笑顔は

とても素敵なのです。

 

 

いまはこうした趣味の講座を開講するのも

むずかしい状況ですが・・・

またアトリエで皆さんと笑顔で再会できる日を

たのしみに待っています。