diario
みんな臭かった 2月20日
なにやら匂い(臭い)の話がつづきますが。
Atelier LAPIS の生徒さんがある日
「古いウサギニカワがあるのだけど、まだ
使えるかどうか・・・」とおっしゃるので
まずは見てみましょう、と持って来ていただきました。
下の写真、左が古いニカワ、右が現在のニカワ
どちらもホルベイン社製で
水10:乾燥ニカワ1の割合で作った溶液です。
▲乾燥ニカワは古くても、カビたりしていなければ使えます。
古いニカワ液の蓋を開けた途端、すさまじい臭い!
一度も洗ったことがない野良犬が濡れて蒸れたような
何とも言えないケモノの脂臭といいましょうか。
ビンの下にはすこし濁った澱もあります。
そうそう、これこれ!このニカワの強烈な臭いは
とても懐かしいのです。
わたしが初めてウサギニカワを使ってテンペラ画を
描いていた大学生の頃(かれこれ随分前の話・・・)
ウサギニカワと言えばこの感じ、それはそれは臭くて
研究室がこの臭いで満たされ、鼻がマヒしていました。
古いニカワは今のニカワより不純物が多いのでしょう。
だけど、この古いニカワのほうが古典的といいますか
ルネッサンス時代のニカワに近いでしょうし、気分的にも
「古典技法で制作しているのだ!」と盛り上がります。
数年前から「ニカワを溶かしても臭わないな、
鼻は楽だけど、なにか違う・・・」と思っていたのです。
久しぶりにクッサ~~い「ザ・ウサギニカワ」の臭いを嗅いで
なんだかとても楽しくなったのでした。
この臭い、フラ・アンジェリコもレオナルド・ダ・ヴィンチも
みんな嗅いで臭がっていたのでは・・・。