diario
匂いの記憶 2月17日
先日、近くに用事があったのですが早めに着いたので
ずっと気になっていた「旧小坂家住宅」を訪ねました。
世田谷トラストまちづくり
二子玉川駅から少しあります。静嘉堂文庫美術館近く。
急な坂道沿いにあって、敷地面積は広いけれど
いわば崖とその周囲、といった感じの場所。
今は雑木林の敷地が公園になっているのと、
崖上にある邸宅が無料公開されている施設です。
世田谷区の指定有形文化財になっています。
訪ねたとき、他にお客様はだれもおらず
広いお屋敷内を迷いながら見学しました。
お茶室や内倉、ティンバー風の応接室など
とても凝った造りのお屋敷。
一番奥にたどり着いたら、そこは主寝室でした。
▲シャンデリアや石膏装飾の天井がすてき。
奥の盾状のものはこの家の主、小坂順造氏の肖像彫刻です。
左のカーテンの向こうがサンルーム。
サンルームからの眺めが素晴らしいのです。
庭の向こうには富士山も見える明るい部屋で
とても落ち着いた雰囲気、ほっとしました。
ほっとしたのは雰囲気だけではなくて、
なぜかとても良く知っているにおいがするのです。
もうずっと前に亡くなった祖父の家のにおい。
もちろん祖父の家はこんな立派なお屋敷ではありませんでしたが
独特の同じにおいがします。
古い家特有のにおい・・・だけではないのです。
なんと表現して良いのか分からないのだけど、
古い家具や少し湿度のある空気の、
絨毯や壁や、あらゆる物のにおい、でしょうか。
近くには、祖父が持っていたのと同じステレオが。
▲ビクターの古いステレオ、レコードとラジオです。
我が家にいまだに置いてあるので見間違えません。
そのほか、サッシではない窓や鍵、建具がそっくりだったりと
あまりに祖父を思わせるものが多くて
ぎょっとするやら懐かしいやら。
部屋着の着物姿の祖父がいても驚かない気持ちでした。
においの記憶って凄まじい。
脳の深いところから突然蘇ってきます。
不思議です。