diario
比べ物にならない美しさなのに 2月06日
いまお預かりして修復している額縁は
19世紀にイギリスで作られた額縁です。
持ち主何人かを渡って、最近日本に着いたところ。
装飾の少しの欠けはありますが
さすが木地本体は緩みもゆがみもなく
申し分ない状態です。
けれども。
以前の持ち主の方が修理を試みたのか、
純金箔の上に銀色のペイントがあります。
下部端先、とても目に付く場所なのです。
今回の修復目的のひとつは、このペイント除去。
▲美しい純金箔の上に銀色の謎のペイントが。
ちぐはぐでおかしい。
溶剤テストをして、これぞという溶剤が決まったら
綿棒に浸してペイントを少しずつ取り除きます。
▲綿埃もいっしょに塗りこまれているペイント。
除去は急がば回れ。丁寧に根気強く。
銀色ペイントの下から純金箔と
赤色ボーロが見えてきましたよ。
▲綿棒には目的の銀色ペイントのみの付着。
金や赤が付いていないことを確認します。
恐らく「金箔が経年で擦れてしまった結果
赤色ボーロが見えて気になる。
金色はないけれど手近に銀色塗料があったから
ひとまず塗ってみた」のでしょうけれど・・・
なぜ「銀色でもいいや」と思ったのかは謎。
古色好きなわたしにとっては、銀色ペイントより
経年で擦れた純金箔とボーロの色のほうが
比べ物にならないほど美しいのです。
さて。
おおよそ除去できました。仕上げまでもう少し、
そして純金箔を補ってこの部分の作業は完成です。