diario
Firenze 2018 tempo calma №20 10月28日
サン・マルコ美術館にはフラ・アンジェリコ作品以外にも
もちろんほかの作家の作品もありますし
古い遺構の装飾なども展示されています。
ギルランダイオの最後の晩餐図もあります。
だけどわたしにとってここは「フラ・アンジェリコ美術館」。
2階の写本室(図書室でしょうか)には写本展示もあり
フレスコ画やテンペラ画とは違う美しさが堪能できます。
その薄暗い部屋の一番奥に、画材紹介がされていました。
▲写本室入り口。柱列がうつくしい。そして誰もいない。
おそらくルネッサンス時代に使われていた画材紹介で
顔料、膠、筆と樹脂など。
顔料は9色ありました。
黒=ワインブラック(葡萄の種などを炭化・粉末にしたもの)
白=鉛白(塩基性炭酸鉛)
青=ウルトラマリン(貴石ラピスラズリの粉末)
黄=イエローオーカー(天然土系顔料)
=ローシェンナ(天然土系顔料)
茶=鉛丹(四酸化三鉛)
=バーントシェンナ(天然土系顔料)
緑=テルベルト(天然土系顔料)
赤=辰砂(硫化水銀)
=レッドラック(カイガラムシ由来の染料)
あとはアラビアガムの樹脂、クローブの枝、金粉。
樟脳、板状にした魚ニカワ。
クローブの枝と樟脳は何に使ったのかわかりませんでした。
これらを使ってフラ・アンジェリコもここで描いたのだなぁ、
などと考えると感慨深い気持ちになります。
映画「薔薇の名前」ではショーン・コネリー扮する修道士
「バスカヴィルのウィリアム」が写本の謎を解きますが、
その映画では1300年代の修道士が写本を描いていた
北イタリアの修道院にある写本室や様子が再現されていて、
とても興味深く面白いのです。
▲サン・マルコの写本室。
窓は小さくて、当時はもっとずっと薄暗かったと思われます。
きっとアンジェリコたちサン・マルコ修道院の修道士たちも
あの映画とあまり変わらない環境で、上の写真のような
道具と材料で写本やテンペラ画を描いては祈る、
そんな生活をしていたのでしょう。
▲写本室正面の窓からは中庭が見下ろせる。
アンジェリコも見たであろう風景です。
どんなことを考えながら描いていたのかなぁ・・・。
日が暮れて暗くなってきたら、その日の仕事は終わり。
きっとこの窓の前で深呼吸などしたのではないでしょうか。