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額縁の作り方 25 差し箱の向き 10月16日
本日は番外といいますか余談といいますか。
額縁を保存するための箱「差し箱」の向きについて。
額縁を黄袋(黄色い布の袋)に入れてから
差し込み式の箱に収納する場合、
画面はどちらに向けるのか。
Atelier LAPIS の生徒さんにも質問されましたし
疑問に思われるお客さまも多い様子です。
▲こちら差し箱と黄袋。
一般的に段ボール製ですが、布を貼ったタトウ箱もあります。
昔、いろいろな方に質問しましたが諸説あって
結論として向きに決まりは無かったのです。
その中でわたしがしっくりきた答えは
『紐具のある面に画面をむけて収納』でした。
随分前に、あるギャラリーオーナーにお聞きした時
「じゃあ差し箱を壁に立てかけて置いてごらん」
と言われて、わたしは紐具面を表に置きました。
「ね、自然に置くとその向きでしょう、だから
絵の表もおなじだよ。」とのお話でした。
▲箱の紐金具がついている面と額縁の表を合わせる。
そして紐をくるくる巻き付けて閉じる。
わたしはこの向きで入れていますが
反対向きに入れるほうが安全という方もいらして、
どちらが正しいかはそれぞれ。
▲裏側には何もありません。
蓋を閉じる前に黄袋のくちの処理もします。
黄袋に入れて箱に入れて、蓋をしますけれど
黄袋のくちをきちんと畳んだほうが
蓋はきちんと閉じます。
そして次に開けたときも美しい。
たまに黄袋がグチャッとつっ込まれた額縁に会いますが
ものがなしい気分になります。
いちいち細かいですか?
でもこうした小さなことって、案外と人の目に
留まっているものですから
気を付けるに越したことはありません。
▲黄袋を畳まないと額縁も箱内で不安定になる。
ちなみに!どちら向きに箱に入れたとしても!
差し箱に入れた作品を何枚も立てかけるとき。
たとえば棚に収納したり、搬入搬出のときなど。
画面はかならず中合わせにしてください。
A、B、C、Dと箱に入った作品4枚があったなら
A表とB表、B背中とC背中、そしてC表とD表。
「前へならえ」(すべて同じ向き)ではありません。
これ、昔々に「前へならえ」で並べてしまい
こっぴどく怒られた思い出があります・・・。