diario
その作者はいったい誰 10月11日
Lawrence Alma-Tadema
ローレンス・アルマ=タデマ
イギリス・ヴィクトリア朝時代の画家で
古代ギリシャ・ローマや古代エジプト等歴史を
テーマにした写実の作品を残しています。(wikipediaより)
特に古代ローマの神殿や美しい女性の髪、服などの描写は
引き込まれるような魅力にあふれています。
“The Roses of Heliogabalus”
Sir Lawrence Alma–Tadema 1888
見よ、このバラの花びらの描写を・・・!
そのアルマ=タデマ作品には祭壇型額縁が多く使われていて
折々に彼の額縁について調べています。
すでに先月のお話なのですけれど、
東京で観られる場所はないかな、と探したところ
八王子にある東京富士美術館が1点所蔵しており
常設展で公開中、それも9月16日まで!
最終日間近に大いそぎで行ってまいりました。
「古代ローマのスタジオ」という作品です。
絵の詳しい解説は上記リンクをご覧いただくとして
額縁はやはり金の祭壇型額縁がつけられていました。
額縁写真をご紹介できないのが残念ですが
作品が板絵ということもあるけれど、額縁の薄さに驚き。
薄いというだけで繊細さが倍増している印象です。
ボーロは赤色、金に褐色の古色加工がされている可能性。
彫刻の装飾もegg&dart , lambstongue など帯状にシンプルで
柱頭だけ細かい渦巻のイオニア式装飾がある・・・。
とにかく繊細で、石膏層が薄く硬質な美しさ。
装飾的なのに無駄が一切ないというか。
ぜひ” Alma-Tadema frame”で検索してみてください。
素晴らしい額縁がいろいろと登場します。
アルマ=タデマは自分で額縁のデザインをしたそうですが
これだけの額縁を作る職人さん、一体どんな方だったのだろう。
富士美術館の額縁は比較的シンプルですが
もっと大きく凝った額縁がたくさんありますから。
なにせ超絶技巧の装飾で、一瞬目が点になります。
完璧主義という彼の人柄が額縁からも感じられるのです。
トーマス・モーという説もあり、でも彼は指物師だから
装飾はできなかったのではないか、という反論もあり。
Sir Lawrence Alma–Tadema
Sir がある通り、1899年に騎士の称号を得ました。
温かな人柄、完璧主義者、そして堅実なビジネスマンでもあったとか。
ロンドンには数々の額縁工房がありましたから
きっとそのうちのどこか、という有力な説もあって
いやぁもうアルマ=タデマの額縁研究だけで
充実した論文になりそうです。
額縁は歴史も材料技法もすべて面白いです。
そして作るのも修復するのも面白いのです。
額縁の海は広すぎて深すぎて、いやはや。