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Firenze 2018 tempo calma №18 9月16日

 

フィレンツェについてから2週間が過ぎて

ようやく行ったサン・マルコ美術館です。

敬愛するフラ・アンジェリコの美術館

すぐにでも来たかったけれど、

なんだか勇気というか、フラ・アンジェリコの

作品に対峙する気持ちを整えないと行けない

という少々緊張の心持になっていたのでした。

 

さて、気持ちを落ち着けて、でもわくわくしながら

朝一番で向かったサン・マルコ美術館は

まだ誰もお客さんがいなくてひとりじめ。

階段下から見上げる受胎告知もひとりじめ。

2018年春に聞いたイタリア文化会館での講演

「アートと科学:広帯域の電磁波で観たフラアンジェリコの壁画」は

この受胎告知図がテーマでした。

天使の翼はすべて土系の顔料で描かれていた、など

その時に知ったさまざまなことを思い出しつつ見学です。

 

そしてマリア様の衣装、今は真っ白のワンピースに

青いガウンを着ているようなお姿だけど、

アンジェリコは白ではなくて赤に描いた、ということ。

たしかに白と青の服をまとうマリア様はめずらしい。

伝統的に赤と青の衣装と「決まって」いるのですから。

 

画面に近づいて見てみれば、確かに確かに。

フレスコの亀裂に赤い顔料が残っているのが確認できます。

そうなんだ、やっぱり赤だったんだ。

 

おそらく後世の修復時に赤い顔料が取れてしまう事故が

あったのではないか・・・とのお話でしたけれど、

一体何が起こったのでしょうか。

いやまったく、その時の修復家の心情いかばかりか!

(想像するだけで身の毛がよだつ。)

そして、事故であったならなぜ補彩で赤を再現しなかったのか。

いろいろと考えてしまいました。

 

だけど、こう言っては何ですが、

白い衣装とマリア様の表情がよく合って

赤い衣装より無垢なイメージを表現できているような。

・・・いや、これは単に好みの問題ですか。

そしてもう、わたしにとってこの絵は

「これ以外にはありえない」と思い込むほど見慣れて、

そして憧れているということなのだ、と思っています。