diario
額縁の本 「Italian Renaissance Frames」 5月06日
ニューヨークにあるメトロポリタン美術館
所蔵の額縁を集めた英語の本です。
これも昨年フィレンツェの古書店で購入しましたが
鉛筆の書き込みやコーヒーのシミがあったりして
前の持ち主が読み込んだのだと思うと
愛着もわきます。
モノクロが多いけれど写真も沢山で
祭壇型額縁、サンソヴィーノ、トンド(丸型)
など特徴的な額縁が集められている印象です。
この本のとても面白いところは、使われている木材の
記述が断面図としてあるところでしょうか。
おおよそ8種類の材に分類されています。
クルミ、ポプラ、松、トウヒ、梨、モミ、黒檀
そして不明な木材または木材以外の物、だそうです。
この本によりますと、ルネッサンス時代の額縁は
ポプラや松で作られた木地には金箔仕上げ、
細かい彫刻をほどこすにはクルミが多いようです。
▲この祭壇型額縁にはトウヒとポプラが使われている。
2種類以上の材を組み合わせている額縁も多いのです。
他の本にも、使われているメインとなる材の記述は
もちろんあるのですが、この本のように図で説明してあるのは
ひと目で理解できて興味深いところです。
でも、なんだか見たことがある額縁が多いな
と思いきや、それもそのはずですね
Robert Lehman Collection との記載が。
メトロポリタン美術館が出版した本
「Frames in the Robert Lehman Collection」
に載っている額縁と重なっているのでした。
著者のひとりも同じ方です。
今回の本がまず出版されて、その後に改めて
「Frames in the Robert Lehman Collection」
がまとめられたようです。
▲右ページの額縁についているプッティの顔に見覚えあり。
同じ額縁の解説はどちらも似たような内容ですが
今回の「Italian Renaissance…」では
制作年代が17世紀とされていたものが
「Frames in…」では1620~1630年と
ほぼ特定されていたりと新しい情報もあります。
でもこちらには材の断面図説明はありません。
それぞれに特徴がありますので
情報の新しい「Frames in…」があるのなら
今回の「Italian Renaissance…」は要らない
と言い切れません。
どちらも良い。両方あると良い。
そんなところです。
「Italian Renaissance Frames」
The Metropolitan Museum of Art
Timothey J.Newbery
George Bisacca
Laurence B.Kanter
全111ページ
1990年 第1刷発行