diario
生まれた時は大きかった 4月05日
修復でお預かりした額縁の裏の角。
木材が欠損しています。
でも、なんだか変ですぞ。
上の写真、額縁左上角には木片が45度の
角度で差し込み留めてあります。
本当ならこの木片は下半分にも突き抜けているはず。
▲角の接合部分に細い木片(サン)が差し込まれ
強度を与えている。本来ならこうなっていたはず。
写真はAtelier LAPIS よりお借りしました。
おそらく、この額縁はサイズ変更されたのでは?
45度の接合部分を切って(サンも同時に切られる)
すこしだけ切り取ってから
また接合したけれど、接着剤と釘固定で終えた。
角にあったサンの残骸は経年で落ちた。
つまり大きなサイズだった額縁を切って
小さいサイズに作り直した。
・・・と想像します。
なんと乱暴な!とも思うのですが、
違う作品のために額縁のサイズを変える
というのは珍しいことではありません。
ヨーロッパの古い額縁が修復に来ると
たまに出会います。
フィレンツェのパオラとマッシモの工房にも
お客様の依頼でのサイズ変更仕事がありました。
小さい額縁を大きくするのは難しいけれど
大きい額縁を小さくすることは
デザインさえ大丈夫なら可能です。
古くてすてきな額縁が手に入ったけれど
サイズが合わないから、あきらめる?
気に入っていた額縁だけど、合うサイズの
作品が手元にもうないから、お払い箱?
一概には言えませんし、サイズが合う作品に
出会うまで倉庫で待てれば良いけれど。
加工して再利用可能なら、して頂きたい。
でもその際の加工は丁寧に、と思います。
さて、今回の額縁ちゃん。
裏の角ですからほとんど見えないし
強度にも影響はほぼありませんが
失くしてしまったサンの代わりの木片を
貼りつけました。
▲三角の木片を接着して
▲水性ステインで着色
額縁の裏側はその額縁の歴史が見えて
とても面白いのです。
裏側をじっくり見ることができるのも
額縁修復の醍醐味でございますよ。