diario
祭壇型額縁をつくる10 金箔仕事おわり 2月22日
さぁ、祭壇型額縁の金箔作業も
ようやく大詰め、終わりに来ました。
金箔を置き、繕いもして磨きました。
全面をくまなく見て、ううむ。
ここ、どうだろう。
箔の仕上がりが釈然としない部分があります。
なんだか薄い、というか軽すぎる感じ。
重厚なデザインで平らな面と凹凸のある面が
並んでいるような額縁では
平らな面の箔の仕上がりがより目立ちます。
ですのでもう一度、箔を置きます。
今回は下の棚部分、上部の平面部分、
そして柱の土台部分、いずれも平らな面に
金箔を2枚かさねに置きました。
遠目には分かりませんが、2重の箔は
しっとりとした厚さを感じられるのです。
金箔はたったの0.1~0.2μmの厚さですが
1枚と2枚では違いが見えるのが不思議です。
さて。
これにて箔仕事は完了です。
下の写真では分かり辛くて恐縮ですが
今回は部分的につや消しにしました。
つや消しの明るさと磨いた部分の重さの
コントラストがなかなか良い感じです。
ぎんぎんぎらぎら、金箔ひかる・・・
今はまだ生々しい金の輝きですが、
これから古色付けの作業です。
そう、いよいよ例の古色付けです。
それにしても・・・かつて
自分で見て「ここ、どうだろう」と思っても
「これくらいなら、まぁいいか」と
見ぬふりをして完成にしたこともありました。
お恥ずかしいことです。
そんな額縁の場合、十中八九で
「ん?ここ、なんだか、どうなんだろう」
と気づかれる方がいらっしゃいました。
「ん?」と思われたときの目、表情。
でもなにもおっしゃらずに無言で
じっと見続けておられる時間。
その時の自分の気持ち。
忘れないようにしています。