diario
祭壇型額縁をつくる9 繕いマラソン 2月18日
ひとまず金箔を置き終わりましたが
これでお終いではありませぬ。
箔の破れやピンホールに箔を置く
繕い作業が待っています。
この作業もまた、完成度を左右する
大切な作業なのでございます。
よく研いだ箔ナイフを準備して
金箔をこまかく切り刻みます。
細い丸筆を2本用意し、左手には
水を塗るための筆を持ち、
右手には箔を取り上げて移動させる
筆を持ち、いざはじまりです。
左手で水を置いたら右手で箔片を置く。
この流れ作業をえんえんとおこないます。
以前、繕うときは頭の中で
「やーい、このヘタクソー!」だの
「簡単な場所を破いちゃって、もう!」
などと自分をののしりながら作業していましたが
これは悪いクセです。もうやめます。
自分を鬼の形相にしていた気がします。
今年、お正月の箱根駅伝を見ていたら
選手の後ろを伴走する車からコーチが
「いいよいいよ!その調子で行こう!」と
暖かく励ましているのに感動しました。
疲れてつらいとき、まだゴールが見えないとき
励ましの言葉は大切です。
金箔繕いもマラソンのように
もくもくとたんたんと行う作業です。
星の数ほどに思われる繕い仕事も
(もっと上手に箔を置きたい)
ふと離れて眺めてみれば、ずいぶんと
進んでいることに気づきます。
終わりのない繕いはないのですから。
「どこかで聞いたセリフだな」ですって?
ええ、確かに石膏磨きの時も同じことを
申しました・・・。ハハハ。
「いいよいいよ、その調子で行こう!」と
せめて自分だけでも自分を励ましつつ
作業をすすめます。