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そこにメッセージはありません 11月12日

 

「あなたはなぜ額縁を作るのですか」

「あなたにとって額縁とは何ですか」

と訊ねられて、はて。

何と答えるべきか。

訊ねた方は きっと

「運命の出会いだったのです」

「額縁こそがわたしの人生です」

というような答えを

想像されていたような気がします。

 

たしかにわたしはブログでも

自作の額縁を「娘たち」などとお話しますが、

これはまぁ、方便と言いましょうか、

とても大切に身近に思っているという

表現のつもりです。

 

さて、質問のこたえに戻りまして、

わたしにとっての額縁とは

「とても好きで興味があって、

熱中して作ることができるもの」 であり、

また シンプルに「なりわい」

(規模はとても小さくとも)

でありましょう。

 

KANESEIの額縁を求めて下さることで

納める作品を安全に、ご希望のイメージで

展示できるように心を砕きますが、

額縁に他の役割を与えてはいないつもりです。

意志の表現もしていません。

すべてはお客様が感じるままに。

そしてわたしの手を離れた額縁は、

その額縁の運命に任せています。

 

どのような額縁も安定した気持ちで誠実に、

もくもくと作業し、完成させたい。

 

わたしが作る額縁はただ額縁であり、

メッセージはありません。

額縁に納められたものが発するメッセージを

守るのが額縁の仕事ですから。

お客様との関係もとてもシンプルです。

 

メッセージ性がある物を作るのが アーティストなら

わたしはやはり額縁の職人なのだろう

と思っています。