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なにかを見た。 10月08日

 

毎度のことですが今回もまた

終わり間近の駆け込みでどうにか

藤田嗣治展を観て参りました。

没後50年とのこと・・・そうなのか。

わたしが生まれた時には亡くなっているけれど

半世紀も昔の人とも思えない。

 

さて、雨の日の夕方にもかかわらず

展覧会は大盛況で、ゆっくり感慨にふける

というような鑑賞はできませんでした。

それでもやはり、あの独特の

白く半艶消しの画面と細く長い墨の線、

そして古色を付けたような繊細な表現を

間近に観ることができて心は燃えました。

額縁も手作りしたことで有名なフジタですが

ポーラ美術館の「姉妹」の8角形額縁は

今はレプリカに換えられていて、

オリジナルを見ることは叶いませんでした。

 

でも今回、風景の小品(フランスの美術館所蔵)に

付けられていた額縁は・・・なにも記載は

ありませんでしたが、あれはきっと

フジタの手になるものだったろうと確信しています。

なんということも無い、白い箱額で

「姉妹」と同じような四角いモチーフの

彫刻が入っているのですが、

その彫刻の「美しい不揃いさ」と言いましょうか、

バランスと佇まいと、オーラと、

大げさですけれど、額縁からぐいと

腕を掴まれたような気持ちになりました。

 

あの額縁と絵のひと組を観て、

今回「フジタを垣間見た」と思います。

彼の本業の絵から感じるものではない、

もっとちがう何かを見ることができた、と思います。