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実物サイズで考えてみる 8月30日

 

先日、お客様と額縁のサイズの

打合せをしました。

額縁はcorona-di-fiori-1


このデザインで小ぶりの色紙を納める計画です。

 

作品と額縁の間をどのくらい空ける?

これはとても重要な決定です。

サンプルを眺めてもなかなか

イメージが湧き難いかもしれません。

 

今回、お客様のご提案で

実物大の簡単な図を描いて

(カレンダーの裏で失礼いたします!)

バランスを比べてみることにしました。

額縁と色紙の間、下の写真は

3センチと6センチの比較図です。

狭めの3センチ

広めの6センチ

 

こうして具体的に見ると

サイズ感がよりつかみ易くなるかも。

あまり大きな額装には難しいですけれど。

 

どちらがお好みですか?

 

 

使わないと、ずっとある。 8月27日

 

2009年8月のdiarioでお話した宝箱

いまもひっそりと部屋の片隅にあります。

アンティークの箱に仕舞いこんだタッセルは

9年前の、そのままです。


「ものを減らそうキャンペーン」には

コレクションは含むつもりは無かったけれど、

わたしが死んだ後もこの箱とタッセルは

きっと美しいまま在るのかと思ったら

それも何とも言えない気持ちです。

物は「使わないとずっとある」のですよね。

分かっちゃいたつもりだったんだけれど。

 

思い立ってタッセルを、まずはひとつ

コレクションから引っぱり出して

活用することにしましょう。

濃色タッセルのモジャモジャな毛を

濡らして梳かして整えてみました。

これぞ9年間の「寝ぐせ」ですな。

整えていない色違いタッセルと比べると

美しい姿にもどりました。

真っ黒なタブレットにぶら下げる予定です。

すこし優雅な気分で作業できそう。

 

整えて使ってあげないと

タッセルもかわいそうですものね。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年8月 №2 8月23日

 

昨年か一昨年か・・・TAさんが彫り上げた

アカンサスの額縁木地ですが

いつの間にやらご自宅で金箔を仕上げて

先日アトリエで披露してくださいました。


彫刻の凹凸、すみずみまできっちりと

金箔が入っています。

時間を置いて丁寧になんども箔置きをして、

きっちり磨かれた金箔はまばゆくて

MIさん、IMさんの額縁にひきつづき

古色仕上げはひとまず先送りに。

この額縁に納める作品に合わせて

古色の風合いを決めても遅くありませんから。

 

皆さんの腕前にわたしは戦々恐々しつつも、

額縁制作に真摯に向き合い楽しく努力する姿に接し、

美術はもちろん、人生の様々なお話ができて

週に一度のLAPISの時間が楽しくてなりません。

 

TAさん、丁寧な作業で美しい額縁を

完成させてくださってありがとうございました。

 

 

冬は早く来るから 8月20日

 

味を占めて、というのもなんですが

前回なんだか可愛らしくできあがったので

額縁を買い足しました。

 

前回と同じサイズのもの

同じデザインで楕円形のもの、

ひと回り大きいデザイン違い、

それぞれにまたテンペラ画を入れて

暮の「小さい小さい絵」展に出品予定です。


このままでは使えませんので、

裏側にいろいろと細工を施します。

「お色直し」をして色を変えたり

ワックスで汚しを付けるかもしれません。

それは入れる絵に合わせて、おいおいに。

 

とはいえ

夏真っ盛りと思っていたけれど、

案外と冬は早く来ます。

すでに日が短くなって空が高いです。

あまりノンビリしている時間はありません。

早いところ絵を描きすすめなくては。

 

 

新旧の良いところでひとり遊び 8月17日

 

卵黄テンペラで模写をしています。

ギルランダイオの若い女性の肖像。

 

以前は見本となる原画をカラーコピーで

サイズさまざま準備しましたが

最近はタブレットひとつです。

印刷物より細部がとても良く見えますし

拡大も思いのままに。

なんと便利な時代になったことか。


ルネサンス時代の古い技法で描くために

21世紀の道具を使うのです。

わたしにとってはまさに新旧の良いとこ取り。

 

ギルランダイオ、そして

レオナルド・ダ・ヴィンチに

500年後の現代を案内できたら・・・

きっと驚き楽しむのだろうなぁ。

レオナルドは最新流行の服を身に着けて

PCもすぐに使いこなしてしまうだろうな。

ギルランダイオは、きっと若い芸術家とも

古い職人とも様々な話をして目を輝かせそう。

などと勝手に妄想しながら描いています。

楽しいひとり遊びの時間。

 

 

決断しようそうしよう 8月15日

 

「物を減らそうキャンペーン」開催中の

わたしですが、なぜか骨董市には

行ってしまうのでした。ううむ。

でも

以前は「わぁかわいい」というだけで

衝動買いしていた古い絵葉書やら

ガラスの小瓶とか空き缶、ボタン、

何かの破片(!)、端切れなど

謎小物の誘惑には負けませんでしたよ。

昔に買った謎小物は今も手元にありますが

「かわいいけど、結局どうするのこれ。」

という状態で意味なく並んでおります。

 

もっと身軽になりたいのです。

近々には、段ボールもうひと箱くらい

本を手放したいと思います。

昨夏は嬉々として着ていたのに

今年は釈然としない服とかありますし。

要るような要らないような微妙な書類や

旅先でもらったパンフレット類、

見返すことも無い古い記録ノートも

いっそ古紙回収に出してしまおう。

 

後悔するかどうか、手放さないと分からない。

決断の夏、です。

 

 

風にご注意 8月13日

 

箔仕事の大敵は風です。

なにせ金箔は鼻息でも 飛んでしまいますから。

真夏の箔置きとなりますと

当然ながら扇風機はもっての外、

エアコンも止めねばならない訳でして、

でも金箔に水分はこれまた大敵ですので

汗を滴らせる訳にもいきません。

 

部屋と自分を強烈に冷やしてから エアコンを止め、

ささっと箔置き。

湧き出す汗とジリジリ上がる室温に

耐えられなくなったら

箔を隠してからエアコンをつけて・・・

普段の倍の時間をかけてしまう。

どうしたものか。

秋が恋しい日々でございます。

 

 

残暑お見舞い申し上げます 8月10日

 

言われなくても分かっているし

もう聞き飽きたわけですが

暑いです。

 

先日の夕方、車で外出時に首都高速の

トンネル内で渋滞になりました。

ダッシュボートに表示された外気温は

40度ですって。

繰り返しますがトンネル内です。

上を見ると水のミストが噴きだされていて

すこしでも涼しく快適に、という

心遣いが感じられます。

窓から手を出してみたら・・・

なんと言うのでしょう、手だけ入浴というか。

ミストサウナは大好きですけれど、トンネルですし。

さすがのミストも敵わない暑さなのですね。

気温40度の湿度100%、いやはや

オートバイの皆様の御苦労いかばかりか。

 

被災地の方、ボランティアの方をはじめ

どうぞ皆様、ご自愛のうえお過ごしください。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2018年8月 №1 8月08日

 

遠くから通って下さっているIMさんは

油彩古典技法のプロフェッショナルで

いらっしゃいますが、ご自身の作品額装のために

月に1度アトリエに来て下さっています。

 

緻密で、そして追求の集中力には

わたしも尊敬の念を抱いているIMさんが

丹精込めた額縁が完成しました。


ここまでの完成度、脱帽です。

ボローニャ石膏を塗り磨く作業をはじめ、

レリーフの高さ、刻印の正確さ、箔の輝き

どれだけの労力と時間を費やされたことか。

お家でも地道に急がず少しずつ進められた成果。

疲れたら無理に続けない、潔く中断することが

均一に仕上げるには重要、とのお話です。


当初は古色を付ける予定でしたが

あまりの完成度の高さから

お引止めしてしまいました。

古色加工は後からでも可能ですのでね・・・。

最近は生徒さんの技術が大変向上し

古色加工が惜しくなるばかりです。

 

自分の手で自分のために、

心と技術と時間を最大限に費やすこと。

いつも同じ精神で作業を進めること。

出来るようでなかなか難しいことです。

わたしも生徒さん方も大変感化された作品でした。

IMさん、心のお手本を見せてくださって

ありがとうございました。

 

 

先人の教えに忠実に 8月06日

 

額縁の四角い形は

4本の棒状の木材を組んで作りますので

角をボンド等で接着する必要があります。

(他の補強ももちろんしますが。)

 

その接合部分にボローニャ石膏など

下地剤を塗り乾かすと、多くの場合

亀裂が入ってしまうのです。

留め切れ、と呼ばれています。

 

材木は湿度で伸縮しますし

ニカワ液も石膏液も水性ですから

乾くときのスピード、水分濃度、

木材の乾燥度やクセで

ひび割れが出るのは仕方がない。

だけど。

これはとても困ることが多いのです。

一旦ひび割れた石膏は、亀裂を埋めても

(エポキシパテ等で埋めても)

最後には線状の跡が浮き上がってきてしまう。

シンプルな額縁ほど目立ちますからね。


フィレンツェ留学先の修復学校で、

また古典技法の伝統技法書で、

接合部には目の粗い麻布をニカワで木地に

貼る、と教えられました。

 

そうは言っても

麻布を貼るとその分だけ厚みが出るので

美的に微妙・・・と思っておりました。

接着剤を変えてみたり、和紙を貼ったり

色々試したこともありました。

 

今回ひさしぶりに麻布を使ってみて

その丈夫さに改めて驚きつつ、

頼もしさを再確認した次第です。

ちいさな麻布が木地と石膏をがっちり繋ぎ、

細くて大きい不安定な額縁も亀裂皆無。

 

結局のところ麻布に勝るものなし。

基本に戻るって大切です・・・。

右往左往せず、今後は麻布を使うべし!

 

 

夏の金継ぎ大会開催中 その2 8月03日

 

大会報告その1でお話した

蒔絵みがきです。

 

数日前、薄く塗った漆に金粉を撒いて

2日間ほど室(むろ)で乾かしてから

最後に「堅め」の生漆を塗って

1日室入れ。

翌日に鯛牙で磨きます。

古典技法額縁のメノウ磨き同様に

とてもワクワクする作業ですよ。

 

岡晋吾さんのお皿が欠けていましたが


エポキシパテで欠けを埋め

本漆で蒔絵。

磨き終えて完成です。

金が入って、ワンポイントアクセント。

これはこれで可愛らしい。

今夜のお食事から使えます。

 

わたしはお手頃な漆を使っています。

マニキュアのような筆付き小ビンに入っており

ほんの少し出すことができて便利です。


室も、ご覧に入れるのが申し訳無いような

超簡易室、段ボール箱にタオルをしいて

ビニール袋で覆っています。

漆専用の部屋も無く、手頃な材料ばかり

ですけれど、いまのところ十分。

「平成最後の夏・金継ぎ大会」は

まだつづきます。

 

 

ドアの向こうの親子は誰 8月01日

 

なんども繰り返してみる悪夢。

夢の中で「ああ、またこの夢が来た」と

思いながらも抜け出すことができない。

皆さんもいくつかあるのではないでしょうか。

 

わたしの悪夢の話

聞いて下さいますか。

 

場所は以前に住んでいた古いマンション、

廊下の突き当りにある自宅のドア。

夢の中でわたしは子供に戻っています。

深夜、静かな家の中は薄暗い蛍光灯がひとつ。

家族は出かけていて一人で不安です。

鉄の玄関ドアの下部にある新聞受けの

ちいさな扉から人が覗きこんでいるのが見える。

 

わたしはそっと近づき覗き窓から外を見ると

うす暗いマンションの廊下で、

幼い男の子、小学生の女の子

そしてそのお母さん3人が

ドアのすぐ前に立っています。

覗き窓から3人と目が合います。

ドアの蝶つがいはいつの間にか壊れていて、

わたしは内側から必死でドアノブを引っ張っている。

ドアの向こうからそのお母さんの声が聞こえました。

「殺したのはお前だ」

 

 

いったいわたしは誰を殺したのでしょうか。

深夜の廊下に立つ3人は、誰なのでしょう。

 

余りの恐怖に、目が覚めてからも

しばらく茫然と暗い部屋を見詰めてしまいます。

この悪夢がなぜ繰り返されるのかも

いまだにわかりません。