diario
額縁の作り方 21 気の強い娘から妖艶なマダムに変身 7月11日
しばらく時間が空きましたが
いよいよ仕上げです。
ピカピカの金と塗りたての黒。
これも悪くは無いでしょうけれど
わたしはアンティークな雰囲気が好きなので
今回もいつものように古色仕上げにします。
手順は、①打ち出し②磨り出し③汚し付け
で完成とします。
まず、木槌で打って傷を付けます。
角や凸を打ちますが、強弱をつけて
打ち跡が並ばないようランダムに打ちます。
石膏が割れて白くなっても木地が少々見えても
それはそれで良しとします。
掛け替えや移動のときに
落としたりぶつけた感じをイメージ。
つづいて磨り出しをします。
スチールウールで少しずつ様子を見ながら
凸部分を狙って箔の上も絵具の上も磨ります。
箔下のボーロの赤や黒の下色の赤を
ほんのりと見せます。
これまた昔々に歴代のメイドさんが
何年も長い間、季節の変わり目の拭き掃除で
徐々に下地が見えてきた・・・そんな感じ。
下の写真、金の下にうっすら赤が見えています。
さて、最後に汚しを付けましょう。
わたしはフィレンツェの師匠マッシモ氏に
教わったレシピでワックスを調合しています。
このレシピはここでお知らせできませんが
様々な茶色の塗料を工房それぞれで作っています。
日本では手に入りやすいブライワックス
という商品を使う方もいらっしゃるようです。
ワックスを筆やウエスで付け、乾き始めたころに
灰色のパウダーをはたきます。「にせものホコリ」です。
これもわたしは調合して作っていますが、
最近は「ホコリ」として販売しているお店も
あるそうですので、お試しください。
ホコリをはたいた表面を手のひらで擦ったり
ウエスで拭きこんで、さぁ完成です。
額縁のデザインや時代、額装する作品、
飾るお部屋や家具の雰囲気、
それらを考慮し、お好みで調整しましょう。
下の写真は古色を付ける前と付けた後。
金の反射が落ち着いて、黒に艶が出ました。
いかがでしょうか。
パーティー好きで熱気みなぎる気の強い娘から
酸いも甘いも噛み分けた妖艶なマダムに変身・・・
そんなイメージです。
完成した様子はこちらでもご覧ください。