diario
トッポジージョの穴 3月23日
金箔を水押しで貼り終えたら小さな穴や破れを繕います。
わたしは「つくろい」と言いますが
つまり小さな箔片で穴うめをします。
箔盤に数ミリ角の箔片をたくさん切って準備し、
左手には水用の筆、右手には箔を運ぶ筆を持つと
両手使いで「穴に水を置き箔を乗せる」 という
一連の流れがスムーズに進みます。
イタリア留学時代、額縁師匠マッシモ氏にある朝
“Allora,fai ai topi.”と言われました。
「ネズミをしなさい」?
しばし考えて「金箔の繕いをしなさい」と気づきました。
Topo とはイタリア語でネズミの意味です。
トッポジージョはネズミのジージョなのです。
日本で言う虫食い穴のことをイタリアでは
小ネズミ達がかじった穴と呼ぶのでしょうね。
トッポジージョがクネクネしながら
金箔額縁をかじっている絵を思い浮かべたら
ひとりニヤニヤしてしまいました。