diario
汚れた金が好きなのさ 12月22日
今日のお話はいわゆるdirty money ではありません。
すみません、まぎらわしいタイトルなのは
重々承知なのですけれど、つい。
先日「なぜ古典技法の額縁を作るのですか?」
という質問を受けて、ほとんど無意識に出た答えが
「おそらく金(gold )が好きだからでしょうか」でした。
その時「ええっ!!金ですか?!」と驚かれ
その驚きにまたわたしも驚いてしまったのですが。
金が好き・・・意外でしたでしょうか。
その方にはわたしに、あるいはわたしが作る額縁のイメージに
キラキラした華やかな金の印象がなかったからでしょう。
金の「俗っぽいイメージ」がお嫌いだったのかも。
でも、わたしが古典技法額縁を作るようになったのも
黄金背景テンペラ画で純金箔の水押し技法に魅了されたことが
おおきな理由の一つですから、金好き歴は長いのです。
風化した、古びた金が好きです。
赤いボーロに乗った金箔をメノウ石で磨き上げる。
その輝く金をわざわざ汚す作業を加えます。
汚れて擦れて傷がついて、それでも下からほんのりと輝く
半艶の金の額縁を作りたいと思っています。