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復活した花飾り 9月18日

 

先月にご覧いただいていた水押し金箔の

額縁修復が完了し、先日お引渡ししました。

KANESEIに届いた時はあまりに脆くて

持ち上げる度にパラパラと

石膏が剥がれ落ちてしまう程だった額縁ちゃん。

花飾りの彫刻は、額縁木枠と接する部分の花弁が欠け落ち

木枠も痛んでいます。

遥々と遠く海の向こうから東京に来て素敵なお宅に納まったら

事故で落下して壊れてしまった・・・。

落下の衝撃と経年劣化による石膏の亀裂も深刻でした。

この額縁ちゃん、どんな思いでいたことやら。

さぞかし悲しかったに違いありません。

 

と、つい額縁に感情移入してしまいますが

それはさておき。

下の写真は修復前の様子です。

白く見えているのは表層が剥がれ落ちて石膏地が見えている状態。

花弁も割れて失われています。

 

そして修復後。

可能な限り、ひび割れの剥落止めをしてから

ボローニャ石膏で繕い、赤ボーロを塗って箔を置きました。

水押しの金箔の良いところは、古い箔の横に新しい箔を置いても

メノウ磨きで馴染んでしまうことです。

再現した花弁の形は、全体の雰囲気から

そして対にある左の花弁を参考にわたしの想像で作りました。

違和感なく馴染んでくれたでしょうか。

オリジナルもこんな感じであったなら良いのですが。

 

この額縁、他の部分も大きく壊れていて手間取りましたが

どうにか丈夫に美しく復活できたと思います。

 

経年変化した色や艶は、それ自体が美しさのひとつです。

この美しさを保ったまま修復することを心がけています。

わたしが修復する前にも、なんども修理修復の手が

入った形跡がありました。

それぞれの職人が試行錯誤して、どうにかこの額縁を

元気な姿にしてやりたい、との気持ちを感じます。

これからもまた、持ち主の方と末永く

幸せに暮らしてほしいと願ってやみません。