diario
額縁を熟成させる 6月22日
わたしは田町にある絵画修復スタジオTokyo Conservation で
額縁修復と併せて絵画修復の仕事も携わらせて頂いています。
かれこれ10年以上、早いものです。
ずいぶん前のことですが、油彩画の補彩をしていた時、
(絵具か欠け落ちてしまった部分を補う作業です。)
ひとまず完成したので上司のYさんに確認をお願いしました。
「うん、良いね。でもまぁちょっと寝かせておきなよ」と。
数日間「寝かせて」おいて、また見直すと
客観的に広い視野で、改めて確認できたのでした。
それ以来、額縁も同じようにしています。
「できた、完成」と思っても、半日あるいは丸一日寝かせて
なるべく近寄らず、目に触れないようにします。
それから最終判断をする、という工程を心がけています。
きっと物作りをする方々ならご理解くださるのではないでしょうか。
離れている間に自分の心と頭がリセットされ、そして
なぜだかわかりませんが、そのちょっとした時間で
額縁の箔やら装飾、色が馴染んで落ち着いてきます。
まるでほんのりと熟成されるような感じ。
そうして「熟成額縁」が完成されるのです。