diario
古いガラスの趣 1月23日
修復でお預かりした額縁は、ガラス磨きも大切な工程です。
汚れていないつもりの内側も案外と曇っていますから、
ガラスを磨いただけでも小ざっぱりとします。
先日修復が終わった額縁には、額縁完成と同時に入れられた
おそらく1800年代のものと思われるガラスが入っていたのでした。
写真の下部に見える2つの点のような気泡もちらほら。
すこし青味がかっていて、表面に緩やかな波が見えました。
古いガラスは柔軟性も失われて割れやすいですし、
作品鑑賞には邪魔な青色と気泡ではあるのですが、
この揺らぎのあるガラスが作品に乗ったときの雰囲気は
なんと言うのでしょうか・・・柔らかで上品で
なににも換え難いものに感じられるのでした。
ガラスは重くて割れると危険、紫外線も通してしまうこと等から
古いガラスはアクリルに交換されることが多くなりましたが、
展示する環境を整え、理解していれば、
オリジナルのままの形で鑑賞するのも決して悪くない、と思うのです。
そういえばフィレンツェの額縁工房でも、わざわざ
古いガラスを探して入れる、なんてこともあったなぁ・・・
と思い出していました。