diario
ティントレットの世界 10月10日
国立新美術館で開催中の、アカデミア美術館所蔵
「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展に行きました。
ベッリーニ、クリヴェッリ、カルパッチョ、ティツィアーノ
そしてわたしの大好きなティントレットの作品が出ています。
19歳の時にはじめてヴェネツィアでティントレットを観たとき
うす暗い部屋の天井近く一杯にあった作品の
灰色がかった青と紫がかった赤、強いハイライトの白と
影の縁にある反射の表現の激しさで
「な、なんだこのオドロオドロしい絵は!」が第一印象でした。
なにせその頃のわたしはボッティチェッリとモネ凝っていて
明るい色使いと女性的な美を追っていたのです。
でもティントレットの作品に「ぎゃっ」と思ったのもつかの間
旅の最中になんども、教会やドゥカーレ宮など本来あるべき場所
-美術館ではなくて-で観る機会を得るにつけ
独特の強さと不思議な世界に引き込まれたことを覚えています。
今回ひさしぶりにティントレットの作品に触れる事ができて
ヴェネツィアで観たときの感情や部屋の匂い、空気の様子を思い出しました。
この展覧会にはルネッサンスらしい額縁も出ています。
肖像画の小品に付けられていた額縁には、金箔をふんだんに使った
グラッフィートなど繊細な額縁があって、それも見どころ。
ちなみにわたしのおススメはティントレットの「動物の創造」です。
神様が動物、鳥、魚を生み出した瞬間を描いています。
筆使いも構成もドラマチック、そしてちょっとユーモラス。
神様が今まさに「さぁ、行きなさい!」と叫ばれた瞬間でしょうか。
みなが神様の指さす方、同じ方向を目指しています。
鳥が不思議な飛び方をしています。
そして右端のユニコーン。
天地創造時にはユニコーンがいたのかな。
顔しか描かれていませんが、躍動感あふれる全身が見えるよう。
東京での展示は今日で終わってしまいますが、大阪に巡回します。
おいでの際にはぜひ楽しみにご覧ください。
「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」
東京・新国立美術館 10月10日(月・祝)まで開催
大阪・国立国際美術館 10月22日(土)より開催