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額縁木地は同じだけれど 2月29日

 

今年はうるう年。今日29日は大切に感じます。

 

さて、新しく描き終わった黄金背景テンペラ模写に

額縁をつけました。

tempera2016-2 (1)

今回はシンプルにしました。

左の額縁は木地を着色してワックスで磨きました。

右の額縁は下地に赤を塗って少しの磨り出し、ワックスでアンティーク仕上げ。

tempera2016-2 (2)

2点とも木地の形状はおなじです。

塗りと仕上げ、またマット部分の布が違うと

全体の雰囲気もだいぶ違うのでした。

いかがでしょうか。

 

英国の夢 ラファエル前派展 2月25日

 

渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の

「英国の夢 ラファエル前派展」に行きました。

なにせこの時代の美術・装飾芸術が大好きですので

見逃すことはできません。

ミレイ、ロセッティ、バーン=ジョーンズにウォーターハウスと

ラファエル前派の有名どころが並びます。

 

ポスターにもなったウォーターハウスの大作「デカメロン」ですが

LEAD Technologies Inc. V1.01

(展覧会チラシより)

こちらは1916年作、そしてストラドウィックの「おお燕よ、燕」

という1894年の作品も展示されており、つくづく眺めたのですが、

どちらの作品も、登場する人物たちの顔が全員おなじ。

上記の「デカメロン」にいたっては男女とも同じ顔です。

まるでモデルはひとりで、それぞれデッサンを組み合わせたよう。

CCF20160219 (3)a

なぜ?? 顔に重きを置かない、装飾的な絵画・・・?

ウォーターハウス自身の自画像?

はたまたレンブラントの描くサスキアのように、妻や恋人の姿?

気になります。

 

見逃せない額縁ですが、この時代のイギリスの額縁の特徴である

装飾モチーフを四隅にだけ置かず、中央にも配置すること、

あるいはあえて四隅に置かず中央のみに置くスタイル。

作品タイトルや作者の名前等をゴシック調文字で入れて

装飾の一部にすること、そして木地に直接ボーロと金箔を施す、といった

典型的な例が沢山みられました。

昨年開催されました上田義彦さんの展覧会でも使われていたタイプ。

2015-09-21-12_12_43

作品も額縁もともに、とても楽しい展覧会でした。

会期も残りわずか、お出かけください。

Bunkamura ザ・ミュージアム

リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」

2015/12/22(火)-2016/3/6(日)

 

 

 

花影 尾形純展 2月22日

 

田町にある絵画修復スタジオ

Tokyo Conservation 室長であり、わたしの

大学時代の恩師でもある画家 尾形純先生の展覧会

「花影 KAEI 」が開催されています。

今回はホームギャラリーのトビン・大橋ギャラリーが会場。

オーナーの大橋さんのお住まいでもあるマンションを

期間中はギャラリーとしておられるそうです。

 

普段、修復スタジオでも先生の作品に触れる機会はありますが

(額装の相談をしたりお手伝いをしたり)

いわゆるギャラリースペースでは無く、生活空間に

展示されている作品は、今までと違う顔をしていました。

居心地の良い居間に展示されていたり、書斎や寝室にも

それぞれ合う作品が展示されていることもあって

鑑賞する側の心も普段よりリラックスしているからなのか、

心によりすんなりと入ってくるように感じました。

 

明るい色の作品-桜色や藤色など-もありますが

漆黒の闇に月と滝を表現した作品のまえにいると

ひとりしずかに思索にふけりたくなるような気持ちになります。

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六本木一丁目駅から直通、レジデンス内にあります。

ギャラリーにご一報後、どうぞお出かけください。

2月28日までの開催です。

Tobin Ohashi Gallery

尾形純

 

 

気分を変えて、背景艶消し 2月18日

 

できた、と思う。

・・・けれど、どうも釈然としない。

tuyakesi (2)

そんな時は、金の艶を変えてみます。

艶ありを艶消しに。

tuyakesi (1)

黄金背景のテンペラ画、背景を艶消しにしたら

日本画のような雰囲気になりました。

ふむ。

 

 

 

額縁見比べ ヨーロッパと日本 2月15日

 

まだ雪が残る箱根の山の上

ポーラ美術館に行きました。

pola2016 (2)

「自然と都市 印象派からエコール・ド・パリまで」という展覧会を開催中。

風景画を中心にモネ、シスレー、ルノワールにシャガール

フジタやゴッホ、ゴーギャンと有名どころがずらり勢ぞろいです。

東京で開催の展覧会なら混雑したでしょうけれど、

平日の箱根ではゆったりと静かに鑑賞できました。

 

作品はもちろんながら、額縁鑑賞も楽しい展覧会です。

フランスのルイ13~15様式でしょう、金の華やかな額縁が主ですが

同じ金でもボーロの色、仕上げの違い、経年での色の変化も興味深いところ。

おそらくここ数十年内に作られた額縁もあって、それらの

古色付けの方法を探って考え込むのも楽しい時間でした。

 

「ポーラ美術館の絵画―日本の洋画、日本画」が別室で開催中で、

そちらでは日本製の額縁を、これまたお腹いっぱい(?)観ることができました。

ついさっき観た本場ヨーロッパのルイ様式の額縁のようなデザイン・・・

だけど日本で作られた額縁は細部のデザインや木地の形、色味がやはり違うのですね。

日本の額縁製造の歴史は、当然ながらヨーロッパよりずっと短く

当初は本場の額縁の模倣からはじまっているのですが、

徐々に「日本らしいオリジナル性」も備えた額縁が作られるようになり、

それが「日本の洋画」にしっくりと合っている、ということを

あらためて確認できました。

pola2016 (1)

モネの「睡蓮」、シャガールの恋人たちの様子は何度観ても素敵ですし、

フジタの「姉妹」と岸田劉生の「麗子坐像」は、作品と額縁の

組み合わせを観るたびにため息が出てしまう。

岡田三郎助の「あやめの衣」の実物は初見で感動、

ルソーの「エデンの園のエヴァ」の前で原田マハ著の

ルソー像を思い出す・・・

それはそれは贅沢な、幸せな時間を過ごすことができました。

あまりに沢山見過ぎて頭が痛くなりましたけれど。

3月13日までの開催です。

チャンスがありましたら是非。おすすめです。

pola2016-3

ポーラ美術館

 

彫る その後 2月11日

 

先日彫り始めた額縁は、ようやく彫刻が終わりました。

結局箔仕上げではなく茶色に着色して

ワックスで仕上げることに決めました。

hori-acanthus

それにしても、デザインは典型的なスタイルですが

茶色にするとイタリア風味はゼロです。

無国籍風・・・ううむ?

hori-acanthus-1 (2)a

白木で生々しかった木地が変身し、

KANESEIらしい額縁になりました。

彫刻、楽しいです。

しばらく彫刻熱を温めたいと思います。

 

「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたしました。

どうぞご覧下さい。左から3、下から3です。

 

 

ヒヤ子との再会 2月08日

 

昨年に青い大輪の花を咲かせて、我が家に春を届けてくれた

ヒヤシンスのヒヤ子

2015年4月、第2花が終わったときに庭の日当たりの良い場所に埋めました。

sakura2015 (2)

美しかった花のお礼に液体肥料をご馳走し、おやすみなさい。

それから夏、秋、冬、新年あけてヒヤ子から新しい芽が出ました。

hiya2016

水栽培をした球根は命が短いと聞いていましたが

我が家のヒヤ子は頑張ってくれたようです。

そそくさとまた液体肥料を差し入れしようと思います。

もしかしたら、今年も花を咲かせてくれる??

淡い期待を抱きつつ、観察しましょう。

春近し、ですね。

 

 

Atelier LAPIS(アトリエ ラピス)の様子から 2016年2月 2月04日

 

南西に向いた大きな窓からの日差しでいつも暖かな

Atelier LAPIS ですが、この冬はやはり寒いです。

朝、アトリエに着いたらまず暖房を付けて、掃除機をかけて

コーヒーを飲んで一息つきます。その頃ちょうど9時30分。

生徒さん方がアトリエに入って「あったか~い!」と

言って下さるようにしたいと思っています。

 

さて、寒さも雪もなんのその、いつも通り生徒さんは熱心です。

昨年暮にフィリッポ・リッピの聖母子模写を完成させたNAさんは

合わせた額縁を制作中。

一念発起でZECCHIから取り寄せたご自分の箔道具を初使いで

金箔も美しく貼り終えました。

辛抱強く丁寧な仕事はNAさんのすばらしい美点です。

lapis2016 (5)

半円アーチの額縁木地はIMさん。

フラ・アンジェリコのリナイウォーリ祭壇画聖母子像の

模写にあわせて、5月の展覧会用に急ピッチで制作中です。

lapis2016 (6)

 

そしてIWさんのグラッフィート額縁が完成しました。

IWさんらしくモダンでシンプル、可愛らしさもある額縁です。

lapis2016 (1)

グラッフィート技法は、まず金箔を貼り磨き、

その上にテンペラ絵の具を塗ります。

模様に沿って細い棒などで絵具を掻き落として

下の金箔を出すという、大変手が込みまた贅沢な方法です。

側面にも模様、可愛いです。

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デザイン構想、下絵作り、そして木地を整形して

石膏を塗り磨き箔を貼り、絵具を塗って削りだし。

長い長い作業、IWさんお疲れ様でした!

素敵な額縁を作って下さりありがとうございました。

そして次のモダンデザイン額縁は初挑戦の彫刻です。

怪我に十分注意しながら、どうぞ楽しい制作を!

lapis2016 (7)

 

 

 

遠足展覧会 プラド美術館展 2月01日

 

市が尾にあるAtelire LAPIS 月曜コースの生徒さんと

第2回遠足展覧会「プラド美術館展」にでかけました。

最終日が近いこともあり、夕方もなかなかの混雑ぶり。

小品をメインに、ベラスケス、エル・グレコ、ゴヤ等

そうそうたる作品群が観られました。

prado2016 (1)

そんな中、私たちがメインに鑑賞したのは額縁。

特にゴシックスタイルの額縁に目を奪われました。

イタリアではあまり見る事ができないデザインばかりで新鮮でもあり、

ため息をつきながら、横から下から斜めから隈なく鑑賞します。

とくに角側面には中折れの金具が取り付けられており

そのデザインのすてきなこと!

繊細さと力強さが両立したカッコイイ額縁でした。

 

2009年にご紹介したスペインの本「Coleccion CANO DE P.E.A」には

今回の展覧会に出品されていた額縁が載っていました。

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下の2点、特に葉模様の額縁は10点近くあったのではないでしょうか。

実際本には「プラド美術館で多く使われている額縁のひとつ」とあります。

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グラッフィートを施したもの、またベルベット布を貼ったものなど

展覧会で観たものにとても良く似た額縁も載っています。

もしかしたら、あれらもCANO社の額縁だったのかもしれません。

prado2016 (2)

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いくら本で観ていても、やはり実物を目の当たりにするのは

全く違うのです。

ご一緒くださった生徒さん方もスペインスタイルの額縁に

興味を持ってくださったようで、新しい扉ができました。

わたしも手の込んだグラッフィート額縁の制作意欲が湧いています。

 

生徒の皆様、ご参加ありがとうございました。

また第3回遠足展覧会、企画したいと思います。