diario
「西洋製本図鑑」で箔用小箱を夢見る 1月21日
暮に行った鎌倉小町通り横の古書店「藝林荘」
(たびたびの登場です)には「西洋製本図鑑」もありました。
数年前の神田古本市で購入したことを思い出し
帰宅後にあらためて開いてみました。
これは「本」という物が好きな人、
そして古い技術に興味がある人にはたまらない内容です。
帯には「本場ヨーロッパの本格的な西洋製本技法を
抱負な写真でわかりやすく紹介、フルカラー160頁。
歴史、伝統技法、箔、皮モザイク、修復などが
総合的に紹介される機会は極めて少なく、待望の出版」
といったことが書かれています。
わたしにとっては大興奮の本。
なにせ本の革表紙や小口の金箔押し技法から
古書の修復技法まで載っているのですからね!
鼻息も荒くなります。
イタリア留学時代、友人の友人に本(革表紙)の箔押し職人がいました。
当時は一緒に食事をしたりドライブしたりと遊ぶばかりで
作業のことをもっと聞けばよかったと今さら後悔です。
フィレンツェを含めヨーロッパでは今も
こうした豪華本や1点ものの希少な本を製本する仕事が
いわば伝統工芸のひとつとしてしっかり残っているのですね。
上は道具紹介のページのひとつ。
右下には箔床(箔盤)と金箔が見えています。
おなじみのメノウ棒やボーロも紹介されています。
そして気になるひとつ「箔用小箱」が紹介されていました。
おそらく箔の束を保存しておくための箱ですが
「金箔がちょうど入る大きさで、内側にサテンが張ってある」
ですって!
古めかしい小箱を開けると、中と蓋にふっくらと
美しいシルクサテンが張ってある。色は何色?
赤とか水色、ピンクも悪くありません。
その中にはキラキラ輝く金箔が厚み豊かに束ねられ
仕舞われているのです。
ロウソクの炎ゆらめく工房の一角で小箱を開ける瞬間を
妄想しはじめたら止まらないのはいつものことでした。
豪華本は無理だけど、箔用小箱、作ってみましょうか。
「西洋製本図鑑」
著者 ジュゼップ・カンブラス
訳者 市川恵里
株式会社雄松堂出版
2008年12月1日 初版発行