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楽園のカンヴァス 10月26日

 

幼い頃に両親に連れられて行った展覧会で、母が

「ハガキを一枚買ってあげる。好きなのを選びなさい。」

と言って買ってもらったのは

アンリ・ルソーの「入市税関」でした。

しばらく壁に貼って、そのあとは折り紙の箱に入れて

いつのまにかどこかに行ってしまいましたけれど。

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アンリ・ルソー「入市税関」1900年頃 ロンドン大学コートルード・インスティテュート

 

先日手に取った「楽園のカンヴァス」はルソー作品をめぐる物語で、

あまりに面白くて先が気になって、電車は乗り過ごし

結局夜も眠らず一息に読んでしまったのでした。

小説内の物語ですから、内容の真偽は別として

主人公二人の-つまり著者の原田マハさんの-

ルソーを愛する気持ちや作品の解釈を読みながら

「ああ、そうだったなぁ。」とこのハガキを

買ってもらった時のことを思い出しました。

 

ちょうど Tokyo Conservation のスタジオでも

ルソーと同時代の、きっとルソーと会っていただろう画家の

作品が納められている額縁を修復しており、

すっかりルソーと「楽園のカンヴァス」の物語世界に

心が入り込んでしまった数日間でした。

 

とても面白い物語。おすすめです。

rakuen

「楽園のカンヴァス」

著者 原田マハ

株式会社新潮社

平成26年7月1日 第1刷発行