diario
楽園のカンヴァス 10月26日
幼い頃に両親に連れられて行った展覧会で、母が
「ハガキを一枚買ってあげる。好きなのを選びなさい。」
と言って買ってもらったのは
アンリ・ルソーの「入市税関」でした。
しばらく壁に貼って、そのあとは折り紙の箱に入れて
いつのまにかどこかに行ってしまいましたけれど。
先日手に取った「楽園のカンヴァス」はルソー作品をめぐる物語で、
あまりに面白くて先が気になって、電車は乗り過ごし
結局夜も眠らず一息に読んでしまったのでした。
小説内の物語ですから、内容の真偽は別として
主人公二人の-つまり著者の原田マハさんの-
ルソーを愛する気持ちや作品の解釈を読みながら
「ああ、そうだったなぁ。」とこのハガキを
買ってもらった時のことを思い出しました。
ちょうど Tokyo Conservation のスタジオでも
ルソーと同時代の、きっとルソーと会っていただろう画家の
作品が納められている額縁を修復しており、
すっかりルソーと「楽園のカンヴァス」の物語世界に
心が入り込んでしまった数日間でした。
とても面白い物語。おすすめです。
「楽園のカンヴァス」
著者 原田マハ
株式会社新潮社
平成26年7月1日 第1刷発行