diario
遠足展覧会 ギャラリー916へ 9月24日
市が尾にある古典技法の教室 Atelier LAPIS の
月曜コースを受講されている生徒さんと一緒に
以前にもご紹介しましたギャラリー916 へ「額縁遠足」にでかけました。
いつものアトリエを離れて、珍しい額縁を見学に行く遠足です。
ギャラリー916では、写真家上田義彦さんの展覧会が
会期を延長して現在も開催中です。
許可をいただき展示額縁の写真を撮りましたのでご紹介しますが、
作品には加工をしております。見難い点をお許しください。
シンプルモダンな額縁から古典技法の額縁まで、様々なスタイルの額縁を
組み合わせて展示された広い空間は、とても居心地の良い場所です。
写真と額縁の組み合わせの可能性をひしひし感じます。
なかでも、アメリカのアーツ&クラフツ時代の額縁が見どころ。
これまた以前にご紹介しましたニューヨークにある額縁のギャラリー
「LOWY」から頂いたカタログ「A CHANGE OF TASTE」の時代です。
この日もカタログ片手に鑑賞しましたが、掲載されている額縁の
まさに実物が使われており、ちょっとした興奮でした。
1920年頃に作られた carrig-rohane の額縁です。
外側の鎖束のような編籠のような模様も素敵ですし、
内流れの部分、石膏地に縮緬のような細かい模様が
入れられているのが印象的でした。
どうやって作った地模様なのでしょうか。
繊細な模様でありながら、力強い男性的な額縁でした。
こちらもアメリカ東部で1900年代初めごろに作られた額縁。
素朴な雰囲気の彫刻に、おおらかに刻印が打たれています。
箔足は美しく、確かな技術が感じられました。
こちらはイギリス風?
バーン・ジョーンズの絵が入っていそうな雰囲気で
アーツ&クラフツ時代のスタイルです。
内側の平らな部分に木目が見えているのが特徴的。
これが磨かれた石膏地のつるりとした面が作られていたら
印象はまったく違うでしょうね。
こちらもまた、アメリカのアーツ&クラフツ時代のもの。
ギリシャ風の装飾で、アール・デコも感じます。
内流れの部分は、おそらく木地をうすく彫った上に
石膏をかけて「揺れ」のある趣をだしています。
大げさに言えば、この「揺れ」がこの額縁の命です。
ここも上の額縁同様につるりとした面が作られていたら
印象がまったく違うはず。
もしもっと古い時代だったら、きっとつるりと平らに
磨くスタイルで作られたのではないかな、と思ったりします。
アメリカのアーツ&クラフツ時代の額縁を数点観ることができましたが、
コントラストがはっきりした、男性的な額縁という印象でした。
その他、イタリアのサンソビーノ額縁(写真撮り忘れ)や
南の地方(ナポリやシチリア、もしくはスペイン?)の額縁、
シンプルながら目を引くような額縁が色々展示されていました。
そしてやはり、額縁が生き生きとしているのは
なかに納められた写真の力によるものがおおきいのです。
写真と額縁がお互いを高めあっている。
理想の額装のかたち。
ご一緒して下さった生徒の皆様、ありがとうございました。
今後も「遠足」の機会を設けたいと思っています。
今回ご参加頂けなかった皆さんも、ぜひ次の機会に。
遠足展覧会のリクエストもお待ちしております。