diario
半分現実 半分脳内回顧 7月06日
額縁制作の作業では、箔のメノウ磨きや石膏磨きなど
ひたすらに黙々と続ける作業があります。
刻印打ちの作業もそのひとつです。
作業中はラジオを付けることもありますが
あまり耳には届いていないような気がします。
わたしの心、というか意識はだいたい半分に分かれていて
半分はいま現実に行っている作業について
「このラインに沿って打つ」「強さはこの位」など考え
もう半分の意識はもっぱら古い記憶をたどっているようです。
この「脳内回顧」はわたしの作業中のくせなのか・・・分かりません。
学生時代のこと、いぜん作った額縁やお客様の反応など
次から次へ糸がつながるように記憶が蘇ります。
困ったことに、蘇る思い出は自分で選べず勝手に湧き上がりますので
もちろん嫌な記憶-たいていは失敗したことや恥ずかしかったこと-も
含まれていて、「嫌な記憶連鎖」が始まってしまうともう
どうにもこうにも眉間のシワは深くなる一方。
こうなったら脳の半分も現実の作業に引き戻すしかありません。
最近は連鎖を断ち切る方法がどうにか身についてきましたが。
座禅修業や瞑想の練習は、この自分の「脳内回顧」も含めて
いかにして「考え事」を乗り越えるか、なのでしょうか。
無我の境地。
ううむ、わたしの境地は遠そうです。