diario
ボッティチェリとルネサンス -フィレンツェの富と美- 6月22日
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催している
「ボッティチェリとルネサンス -フィレンツェの富と美-」展を観ました。
平日の午後でしたが、予想通りに混雑していましたが、
それもそのはず、なかなか充実した展覧会でした。
さて、この展覧会の目玉は何と言ってもボッティチェリの作品ですが、
テンペラありフレスコあり、そして油彩との混合技法もあり、
ボッティチェリの技術の高さを感じられるのはさることながら、
それらの作品が丁寧に修復されており、修復箇所とオリジナルの見比べも
興味をそそられました。
イタリアならでは(?)の線描きによる補彩は、オリジナルと修復箇所を
近くで観れば明確に区別でき、離れてみればオリジナルと融合して邪魔をせず。
とくにフレスコの大きな画面の補彩は苦労がしのばれる個所もありました。
衣装や天使の翼などは熟練の修復師の手によるもの、そして
画面端の辺りにはまだ修業中と思われるような拙い筆跡もあって、
イタリアの修復の幅や奥深さ、そして大らかさも感じられたのでした。
古典技法額縁の出品もまた素晴らしいラインナップです!
ルネッサンス時代の額縁と言えば、世界に「額縁」という存在が生まれて
まだ歴史が浅い頃です。タベルナコロ形(祭壇型)額縁やトンド(円形額縁)、
また上部が半円型の額縁など、イタリアのルネッサンス時代を代表するような
スタイルの額縁を間近で見ることができました。
いま、わたしが作る額縁には故意に傷を付けたり汚したりすることもあり、
いわばルネッサンス当時に作られた額縁の雰囲気を再現しようと
努力している訳ですが、リアルに500~600年の年月を経た額縁の
金箔のかすれや汚れ、ボーロや石膏下地の経年変化を見て、
色々と感じ、考えることができました。
今後の制作に少しでも生かすことができればと思っています。
それにしても、いつもの愚痴ですけれど、
図録に額縁の写真も載せて頂きたいのです・・・。
無理な希望ではあるのでしょうけれど
作品のオリジナル額縁ではないかもしれませんけれど、
それでもせめて巻末の付録でも良いので
額縁写真の羅列でも良いので!
お願いしたいものです。ううむ。
・・・などと言いつつも、やはり図録は買いました。
そしてフィオリーノ金貨のチョコレート。良くできています。
ルネッサンス当時は本物の金貨かどうか歯で噛んで確かめたとか。
金貨は美味しくないでしょうけれど、金貨チョコレートは美味しい!
会期終わり間近です。
テンペラ、額縁、修復にご興味ある方、ぜひご覧ください。